夏油を名乗る男は「目」からの情報、渋谷駅構内で起きている想定外についてウンと一つ頷いた。
漏瑚の方はもう駄目だ。あの状態では五条悟の半径四メートル付近に「五条悟に気付かれることなく」近づくなど不可能に近い。ならば夏油がすべきは渋谷駅ホームに留まることではなく――
「作戦変更だ、真人。駅での五条悟との対面は避けて上へ行こう」
「えー、漏瑚はどうすんのさ 」
「今日の我々の目的は五条悟を封印し、将来のため布石を打つことだろう? 今あの場に行っては『夏油傑の生存によるインパクト』という重要な手札を一つ失うことになる」
明治神宮前駅から渋谷駅へは電車で四分。猛スピードで近づく現場を前に、夏油は真人へ計画の修正を語った。先に立てていた計画では渋谷駅5番・6番線乗り場で五条悟を封印する手筈だった。
再会の場には多量の生者がいる。五条悟の動きを止めうる、無力な猿で溢れる場でなければならない。しかし生者を補充するための術式を持つ呪詛師は五条の領域展開により気絶しており、これでは補充は不可能だ。
仕切り直しをしよう。
渋谷駅で改造人間を放ち、その隙にA7出口に近いエスカレーターから上階へ向かおう。行き先は地下二階、生者でごった返した――スクランブルスクエアを舞台にするのだ。
スクエア入り口を守っているのは見かけ倒しの血塗と呪力を持たない猿のたった二人、押し通るなど容易い。
「仕方ないなぁ」
あと少しで渋谷に着くところで、真人は肩をすくめて言った。夏油は安堵に笑みを浮かべかけ。
「……なーんて、言うと思った? 俺、ごじょーさとるがここで封印できるとか出来ないとかなんてどうでも良いんだよね」
真人の言葉に糸目を見開いた。ついトゲのある声が漏れる。
「真人」
「俺たちって……お互いに利益があるから手を組んだだけだろ? 夏油は夏油で好きにすれば良いじゃん」
確かに真人ら呪霊は、面白そうだから、利益があるから夏油と手を組んだだけだ。あれこれと指示を受けたり縛られたりするような関係ではない。
元々の計画からして呪霊側の負担ばかりが大きすぎた。「五条悟にインパクトを与えるために表に出られない」などと言われても、夏油の出番までのあいだ五条悟と対峙し戦わねばならないのは漏瑚だし、花御は既に五条悟の手で
五条を引き付けているのは漏瑚で、改造人間を作り増やすのは真人で、それらにより出来た隙を突くのが夏油。美味しいとこ取りではないのか? 利用し利用される仲にしては――天秤が傾きすぎている。まるで最後に笑うのは夏油一人だけで良いのだとでも言わんばかり。
労力に見合った利益を提示できないならば、夏油と真人らの同盟はここまでだ。
真人の主張は最もだ。タダ乗りを狙う者の意見に従う必要はなく、夏油は客観的に見てフリーライダーだ。
快楽主義の真人ですら夏油に対し譲歩し続けてきた。ならば今回譲歩すべきは夏油の方だろう。
「……分かった。私も漏瑚と合流しよう」
夏油は両手を上げて降参のポーズをとった。
そして、暴力的なほどの数の改造人間が乗った電車は――滑らかに渋谷駅に到着。扉が開き、『人間』が我先にと車両から逃げ出す。
だがホームに踏み出したとたん、ずん、と重石を背負ったかのような負担が夏油、真人両名にかかる。体内の呪力が薄れる――これは削られているのか? 誰が、どうやって?
夏油は視線の主に気が付いた。電光掲示板に三つ目のマークが
やられた……! 漏瑚の動きが悪い理由はアレだ。あの目が漏瑚の動きを抑えているに違いない。そして明治神宮前駅で夏油らが威嚇されていなかったのは、夏油の目である呪霊が無事だったのは、二人を掌中に誘い込むためだ。
「なんだ!? めっちゃ重い……ッ!」
真人が膝に手を突き呻く。
呪力を持たない猿どもが呪詛師を潰せていた原因もこれなのだろう。渋谷は陣野のお膝元、あちこちに三つ目マークの広告や看板を出している。その目により縁を繋いだデバフを用いていたのだ。
呪力を持つ者は別の安全な場所にいるに違いない。小賢しいやり口だが活用の幅は広い。手持ちの呪霊に命じて付近の電光掲示板を破壊すれば、二人にかかっていた圧力は霧散した。
「視線だよ。液晶越しに見られたようだが……媒体を壊してしまえばどうと言うことはない」
列車内の液晶も構内の液晶も全て砕いてしまえば解決する程度のことだ。少し手間が増えたというだけで、さしたる不便はない。
あとは五条悟と呪胎九相図二体の視界に入らないよう移動すれば――数歩踏み出して、夏油は地面に膝を突いていた。さっきまでとは比べ物にならない「威圧」が夏油の膝を笑わせている。
なんだこれは。
この威圧は――神だ。この圧倒的な正方向の力は呪霊ではない、間違いなく神だ。誰かが神降ろしでもしたのか? いいやまさか、ありえない。この場にいるのは五条悟、呪霊の漏瑚、呪霊もどきの脹相と壊相、そして千人近い改造人間だ。この中で誰が神降ろしを出来るというのか。
ならば誰かが神降ろしを行ったのではなく……神が気紛れを起こして降りてきたのだろうか?
神は気儘だ。祈れば必ず降りてくるとは限らない。降りないときは何を捧げようが何度祈ろうが降りてこず、降りてくるときは祈らなくても現れる。神が気紛れに降りてきたのだと夏油は確信した。
なんと酷い
地面に縫い付けられてしまいそうになりながら、夏油は四つん這いで床を進む。逃げねばならない。この場に残れば、神の勝手気ままで理不尽な暴力に巻き込まれてしまう。
負方向の力の塊である真人には夏油より酷い圧力が掛かっているようだ。真人の様子はほぼ五体投地に近い、いや、これは気絶しているのか。どうにか真人の首を掴んでエスカレーターに体を預ける。
上半身だけで良い、階段に体を預ければ自動的に上へ連れていってくれる。はやく逃げなければ。激しく脈打つ心臓が耳に騒がしい。
夏油がいて、真人がいて、獄門彊があれば仕切り直しは利く。今日はもう逃げねばならない。ここから離れなければならない。
エスカレーターに倒れ込み、この場から逃げようとしている夏油の目の前。改造人間らが闊歩するそこへ現れた後ろ姿に、夏油は目をカッと開いた。ふわふわとした白髪の彼の手で次々と改造人間が殺されていく。
何故あいつは動ける。何故地に伏せていない。神降ろしに気付いていないはずがないのに、自分は威圧されていませんとばかりに動けるのは何故だ。あいつの術式、無限は神威さえ受け流すのか?
夏油は自分を叱りつけた。今はそんなことを悩んでいるほど暇ではない。男はまだ夏油に気が付いていないが、このままでは見つかってしまう。男――五条を封印するための奥の手を失ってしまう。
夏油にとって運が良かったことに、エスカレーターに倒れ込んだ夏油の姿はまだ改造人間の影に隠れており、五条の視界に入っていない。五条が振り返ってしまう前なら……今ならまだ、彼を封印できる可能性がある。やつが別方向を向いている今なら。
夏油は胸元を探ると掌より大きな立方体を取り出した。エスカレーターの段に背を預けたまま、上にゆっくりと連れていかれるまま、夏油は「それ」を五条に向かって投げる。この立方体こそが五条悟を封印するための呪具、獄門彊。
「獄門彊、開門」
五条が目を真ん丸に見開いてエスカレーターを振り返る。夏油は五条の視線の高さまで昇っていた。
五条の唇が「すぐる」と動いた。
五条悟の「脳内時間で」一分が経過し、獄門彊から杭を打ち込まれた彼に向かって、夏油は声をかける。
「閉門」
――勝った。五条悟は獄門彊に封印された。渋谷駅周辺全てを巻き込んだ大殺戮の目的を達成し、夏油は哄笑する。
「はは、ははは! やはり運は私を見捨てなかった……!」
このまま上へ逃げればなんとかなる。獄門彊の回収は後でも良い――五条悟ならまだしも、神降ろしの場へ行ける呪術師などいるわけもない。勝ちだ。「私」の勝利だ。ゲラゲラ笑う夏油の耳に、上りエスカレーターを下ってくる軽い足音が届く。
首を反らして見上げれば
なんだこいつは。
「……ええ、彼には見覚えがあります。十年ちょっと前にうちへお使いに来た子です」
渋谷駅周辺には帳を張っている。電波が届かないのに通話できるはずがない。そういう術式を持っているならば通話できるだろうが、この男には呪力がない。
四十代前半といった見た目の男は、夏油のすぐ頭上で立ち止まる。そして通話を切り、スマホをポケットに仕舞った。
無力な夏油は男に蹴り落とされた。中程まで上っていたエスカレーターの段差をごろんごろんと転がり落ちる。男には真人の姿が見えていないのか、真人はそのまま上へ。夏油は下へ。
男は――陣野正輝は軽快なステップでエスカレーターを下り、地下五階のホームに到着した。転がったままの夏油を姿勢良く見下ろしている。傘を持ったまま腕組みすると、疲れきった長嘆息を漏らす。
「一般家庭出身の子であるからと、大目に見るのではなかった」
正輝は甚爾のことを親友だと思っている。身内以外には理解されない陣野の歴史に、おとよの悲劇を繰り返さないための暴力的解決法に、甚爾は深く理解を示してくれた。呪術使いの中にも甚爾のような者もいるのだと正輝は知った。
甚爾は「呪術使いはみんな糞だ。俺も含めてな」と言っていた。たしかに御三家ならば甚爾の言う通りだろう。だが、一般家庭出身の呪術使いが相手なら――暴力に訴えず、柔和に追い返してやるだけで良いのではないだろうか。彼はまだ学生で若いし、甚爾のように「呪術使いとしての」正道を外れる者が他にもいるのではないか。
そう主張した正輝に、当時陣野の男衆を束ねていた祖父は「好きにやってみろ」と頷いてくれた。
「久しぶりだね、きみ。その額はイメチェンかな、ノアの一族みたいだ」
十年前。正輝が彼にくれてやったのは正輝の叔父が買ってきた福岡土産だ。そこらのスーパーで買えるものとは価格も味も違う、ほうじ茶の香り高いお茶漬けの素。この僧衣の男は味わって食べただろうか。
呆然と正輝を見上げる夏油の肩を、爪先でゆっくりと踏みつける。
「本当に残念だ、君には失望した。あいつの言う通りだったんだ……呪術使いはどいつもこいつも糞ばかりなんだ。俺が間違っていた」
地下五階はもはや地獄だ。改造人間の死体が山となり濃い血の臭いに満ちている。失われた命の数を思い、正輝の目尻から一筋涙が流れる。
あの時夏油を警察に引き渡していれば何か変わったのではないか。これだけの人が一度に死ぬことはなかったのではないか。後悔が正輝の胸に渦巻いている。
だから正輝はもう迷わない。呪術使いは皆殺しにする。いま渋谷にいる呪術師も呪詛師も、老いも若きも生かして帰さないと決めた。――おとよから続く呪術使いらとの縁を、今こそ断ち切ってみせる。
「甘い顔をしなければ良かった」
自分で蒔いた種、自分で摘むべきだろう。
――正輝は、夏油の胸に傘を突き刺した。
***
漏瑚は真人の数十倍の時を生き、数十倍の経験を積んできた。でなければ、何故か
そんななか突如として五条の呪力が関知できなくなった。時を同じくしてホームの反対端から夏油の笑い声が響く。
夏油がやってみせたのだ。漏瑚の唇が笑みにめくれる。五条が消えればこの劣勢も幾分かマシになる――この神威が五条の無限に劣るわけではないが、強力な敵が一人減ったのは有難い。しかし喜びもつかの間、夏油の笑い声が急に止まった。何があった。
「正輝、どうしてホームに?」
夏油の声がしていた方向からゆらりと現れたのは四十かそこらの男。親しげに名を呼んでいることから脹相の知り合いのようだ。
「主犯が」
正輝と呼ばれた男が声を詰まらせる。
「主犯の男が、俺がむかし見逃してやった呪術使いだった……。今、そいつを殺した」
「正輝……」
脹相と壊相は正輝の嘆きを聞いて立ち止まった。二体とも漏瑚に背中を向けている。こちらを向いているのは正輝だが、呪力を持たなければ呪霊の姿が見えないし、声も聞こえない。正輝に呪力は皆無。漏瑚はそれを利用した。
逃げるのだ。
獣のように体を低くしてホームを駆ける。五条を封印できたならばもはやここに留まる必要などない。夏油や真人と合流し、ここから逃げねばならぬ。
向こう端のエスカレーターの足元に夏油が転がっていた。その数メートル先には地面にめり込んだ獄門彊。あれの回収は無理そうだ。
胸を突き刺されたようだが夏油はその程度で死ぬようなタマではない。首根っこを掴み勢いをつけて夏油を背負い、漏瑚はエスカレーターを駆け登る。
逃げてから十秒以上経つが追手がない。見逃されたか?
エスカレーターの上には真人が転がっていた。気絶しているようだ。背中の夏油が小声で囁く。
「礼を言うよ、漏瑚。下にいるままでは動けなかったのでね」
漏瑚は夏油の言葉に鼻を鳴らし、同じく小声で話す。
「……来るのがずいぶん遅かったようだが、何をしていた」
「詳しく話したいところだが、ここではね。三つ目のないところで話したい。八咫の陣野は私を殺したつもりでいるからね」
周囲を見回せば、様々なものに三つ目のシンボルが描かれている。商品広告、看板、監視カメラ等の電子機器のメーカー表示。漏瑚は一つ大きな舌打ちをし、隣の登りエスカレーターに真人と夏油を乗せる。地下二階には便所がある。便所の中には監視カメラや広告の類いはないはずだ――少し遠いが、仕方ない。
脹相から距離を稼げば呪力を削る威圧が薄れていく。地下二階に着いた時点で真人を叩き起こし、夏油を背負ったまま便所に入る。
「漏瑚ってばもっと優しく起こしてよね」
「馬鹿を言うな。……それで夏油、何が起きた」
夏油は漏瑚の背から下りると洗面台に腰掛け、あのエスカレーターでの流れについて話し始める。情報共有だ。
「なに? 神降ろしをしたのは脹相だって?」
「ああ、あの男に神が降りた」
その神の目なのだろう、脹相の額には第三の目が生じていた。あの目に睨まれればそこらの呪霊など一発で消滅だ。圧倒的な正方向の力で呪霊の負を埋め、弱体化させる。あの場にいたのが漏瑚で良かった。
「……特級呪物が、ねぇ」
五条悟が封印された――悠仁が渋谷中に響き渡る大声でもたらした悲報に、伏黒恵は「くそが」と自らの太腿へ拳を振り下ろした。五条悟という男は、問題にならない程度の遅刻を繰り返し、生徒の救出よりお土産の購入を優先し、六本木に行くなどと嘘を吐いて山の廃病院に生徒を放り込み、死んだと思っていた同級生の「実は生きていました」ドッキリをかます。はっきり言ってクソだ。性根が腐っている。
性根が腐っているくせに、妙なところであの男は素直なのだ。騙されやすいと言い換えても良い。そして思考回路が単純なたちで、自他共に認める「最強」であるからか小手先の技にひっかかりがちだ。
そのどれもを力業で捩じ伏せてきたから五条悟が「五条悟」なのだが。
今回は――いや、「何故」も「どうして」もここで考えることではない。どんな手段にせよ、五条悟は封印されたのだ。
悠仁は冥冥らと共に渋谷駅地下五階を目指していたはずだが、地下から向かえなくなったのだろう。地上に来るまでに時間が掛かっているだろうから五条が封印されたのは少なくとも五分は前のことだ。
いま、恵は
「まず私を屋上で下ろし、それから虎杖君を迎えに行ってください」
「うす」
恵の生得術式である
恵は七海と共に渋谷Cタワー屋上へ飛んだが、そこには戦闘不能にされ縛り上げられた老婆と男の二人しかいなかった。
「中から下りたようですね。私もホテル内部から下に向かいます」
「了解です」
このホテル――Cタワーにいる呪詛師に三人が気づけたのは偶然、運が良かった。人混みで溢れかえっていると思われた渋谷駅周辺はがらんとしており、改造人間が通りをうろついて人を襲っているものの、被害者の数は少ないように見えた。
どこかに逃げ込んでいるのだろう。……そこを人造人間や呪詛師らに襲われているかもしれない。そして恵が呼び出した式神は玉犬、犬だから耳も鼻も利く――渋谷駅近辺で一番血生臭い場所はどこか探させた。
そうして着いた駅から徒歩五分にあるホテルの中は、まさしく悲惨という他なかった。改造人間や呪霊が人々を襲い、その肉を食らっていた。渋谷にいた人々はここへ追い込まれ、出口を塞がれてしまったのだろう。
ラウンジのテーブルや椅子、調度品は散乱し、フロントにも人の姿はない。血痕や死体が少ないのは丸飲みされたからか。
呪術師が三人いれば除霊と駆除ははやい。順調に階を上がって――七海が気付いた。
「上に、二つ……いえ、三つか。変な気配を感じます。呪詛師がいるのかもしれません」
「上って言うと……屋上っすよね」
七海の言葉に猪野が食いついた。工事や修理の作業員の可能性はないではないが、ホテルの屋上など基本的に人の出入りはない。夜分に作業をする必要性がないため……気配の主は緊急の修理か、でなければ不審者だ。
「問題が起きる前に倒してしまいましょう」
屋上の三人が呪詛師であれば、どうせ出入り口に何かしらのトラップを仕掛けられているはず。やるなら空からが良いのではないか? 三人は鵺で屋上の呪詛師らを強襲した。
屋上にいた呪詛師らが守っていた何らかの呪具――三つの釘は全て破壊。あべこべの術式を持つドングリ目の男は首都高へ引き落とし七海と恵の二人かかりで戦闘不能にしたが、屋上に残った猪野は一人だけで二人を倒したようだ。七海はその事実に微笑みかけ、表情を消した。
違う。彼らを倒したのは猪野ではない。
この二人の怪我に残穢がない。猪野の残穢も、他の誰かしらの残穢もない。
そうする必要があったか、猪野以外の者が純粋な物理力であの二人を倒したか。七海は後者だと判断した。
顎を擦る。既に悠仁のもとへ乗り飛んでいった恵の――親のことが頭をチラリと七海の脳裏によぎる。呪力、術式とはシーリングスタンプの様なもので、使えば必ず
残穢を残さない呪詛師、禪院甚爾もとい伏黒甚爾のことを知っているのは、七海や伊地知までの世代もしくは禪院の人間くらいだ。呪力を持たない代わりに五感と身体能力に恵まれたフィジカルの鬼子、御三家たる禪院の名も義務も捨てて呪詛師となった男。
死んだはずだ。呪力も術式も持たない彼は、生存を望めないほどの怪我を負って死んだはずだ。「最強」に目覚めた五条悟が殺したはずなのだ。死体は見つかっていないけれど、五条は「たしかに殺した」と話していた。
一体ここで何が起きたのか。……死体が見つかっていないと言うことは、あの男が生きている可能性があると言うことだ。七海は額の冷や汗をハンカチで拭い、非常用エレベーターの壁にもたれ掛かった。
地上にいたのは二人の男。一人は後輩である呪術師の猪野、もう一人は伏黒恵に似た容貌の――間違いない、伏黒甚爾だ。二人並んで、互いに敵意がないが。
「その人から離れなさい猪野君!」
七海は駆け出す。いま
こんなガバで五条を封印させて良いのか……?
あとがきみたいなもの。追記
10話目
五条はガバる、私はしってるんだ。あと奇妙な流星群
11話目
時系列難しすぎマジうんこ
Cタワーどこぉ? とpixivの注意書きページに愚痴ったら、神が降臨して「○急ホテルだよ……」と教えてくださったので該当部分急いで修正しました。