フロストリーフはいつものように朝食を取っていた。そこへ、重装オペレーターのジュナーに誘われて、お茶会に参加することに。ジュナーの部屋へ行くとそこには先客がおり……
登場人物
フロストリーフ
ジュナー
カッター
7:00 a.m.
ロドス本艦・あるオペレーターの私室
「うーん……。」
目を擦る。眠気を体から振り払い、両手を上げ、背伸びをする。固くなった体が伸ばされ、所々骨の軽く高い音がする。ベットから起き上がり、歯を磨き、顔を洗っていつもの服に着替える。そして、自分の部屋から出て朝食を取るため食堂に行く。
食堂に着くと、顔馴染みに挨拶をしたりされたりしながら、自分の分を取りお気に入りのいつもの角の席へに向かう。今日の朝食はパンとレーズン。それと何かのシチューだ。朝から食べるのには重すぎず、かと言って軽くもない丁度いい量だ。レーズンをバターナイフでパンで塗り食べようかと考えていた時、声をかけられた。
「おはようフロストリーフ、ここに座ってもいいかしら?」
顔を上げると、そこには帽子を被ったヴァルポの重装オペレーター、ジュナーが朝食を載せたおボンを持って立っていた。フロストリーフは頷くと、どうも〜と言いながらジュナーがフロストリーフの正面に座る。
「おはようジュナー。」
フロストリーフはジュナーに挨拶を返すと、レーズンをパンに塗り、口の中に入れる。
ジュナーも同じようにパンをほおばる。
「あんたは今日何か任務とかあるの?」
「いや、ない。」
「ならさこの後、私の部屋に来ない?いいお菓子が手に入ってさ。どう?」
「お菓子か……。」
フロストリーフは一瞬思考を巡らす。フロストリーフは特段お菓子が好きというわけではない。ファッションと音楽は好きでよく雑誌やなんかを漁っているが、お菓子は偶につまむ程度でしかない。しかし、今日は休みで、特にやることもないのも事実である。
以上のことを考えた結果、フロストリーフは、
「分かった。行こう。」
「よし!なら決まりね!後で私の部屋に来てね!」
ジュナーはそう言うと、いつの間に朝食を平らげたのか席を立ってもう食器を返しに行っていた。
「……。」
フロストリーフはその背中を呆然と見つめながら、パンを口の中に入れた。
8:00 a.m.
ロドス本艦・ジュナーの部屋
フロストリーフは朝食を食べ、部屋に戻り一息ついた後、ジュナーの部屋の扉を叩いていた。
「どうぞー!」
快活なジュナーの声が扉越しに聞こえる。ドアのロックが解除され、ジュナーが部屋に入るよう促す。フロストリーフが部屋に入るともう一人、先客が居た。
「ん、どうも。」
「カッターか。」
先客は前衛オペレーターの二刀流剣士、カッターだった。
「カッターも呼んでいたのか。ジュナー。」
「そう。フロストリーフと別れた後、なんかじっとみられてる気がしてね。そっちの方を見たらカッターが物欲しそうに見てた訳。まるで、餌を恵んで貰いたい飼い犬のように!」
「いや、私はそんな風には見ていない。」
「嘘付きなさいよ!あんたのあんな顔は日向ぼっこでしか見られないと思ってたわ!」
「いや、だから。」
「そんなことより!速く食べましょ!」
「そんな事って。」
ジュナーは訂正しようとするカッターを他所に、棚からお菓子を取り出した。
「ジャジャーン!ヴィクトリアの限定品かつ高級品をドクターから仕入れて貰ったの!」
「よくそんな物を取り寄せられたな。」
「まあね!ドクターに頼んでちょっとズルしてもらった!」
「ドクターを買収でもしたのか?」
「どうかしらね〜。」
ジュナーは机の上に高級品を置く。高級品らしく、風景画と金色の文字が刻印されたプレーン缶だ。
「本当に高そうなお菓子だな。」
「さーて、開けるわよ〜!」
ジュナーは早速、高級品の蓋を取る。フロストリーフは一瞬目を奪われた。宝石のような煌めきを宿した、色とりどりの装飾を付けたクッキーが箱に整然として並べられていたからだ。
「こんなの、故郷じゃ見たことない。」
カッターは目を輝かせながらそう言った。
「ふふ。じゃあ早速……。」
ジュナーはコレまたいつの間に用意したのか三人分の茶と皿を机の上に置いていた。
「ジュナーは食事の事となるとこんなにも速いのか?」
「まあね〜。」
そんなことを言いながら三人はそれぞれ席に座る。
「しかし、なんで私とカッターを呼んだんだ?私はお菓子についてあまり詳しくないが、コレは本当にいい品だろう?一人で独占しなかったのか?」
「それじゃつまんないでしょ?こういうのは、やっぱりこういうのは、皆で喋りながら楽しく味を共有するのがいいのよ。」
「それは……そうかもな。」
「さてさて、それじゃあ……。」
ジュナーは赤色の宝石のような物が埋め込まれたクッキーを手に取って食べる。一口噛むことにジュナーの顔が破顔していく。
「〜〜〜〜!」
言葉にならない感想をジュナーは述べる。手足をバタつかせ、全身で表現している。
「美味しい!とっても甘いわ!イチゴとクッキーの味が丁度いい!」
「そんなになのか。どれ、一つ頂こう。」
フロストリーフはジュナーとは違う、青色の宝石が入ったクッキーを食べる。噛み砕いた瞬間、最初に、口の中でブルーベリーの甘酸っぱい味が広がる。その後クッキーのサクサクした乾いた甘さとブルーベリーの甘酸っぱさがハーモニーを形成し、非常に味合い深い仕上がりとなっている。
「これは……美味しいな。」
フロストリーフは思わず舌鼓をうった。彼女の人生の中でもこれ程味合い深いお菓子を食べたのは初めてだったようだ。カッターは二人の表情を見て自分も味を確かめるべく、黄色の宝石が入ったクッキーを食べる。数口噛んだ後破顔した。どうやら相当美味しかったようだ。
「ん〜〜〜〜!」
カッターもまた声にならない感想を述べている。その後三人は無心でお菓子を食べ続けた。
暫くの後、フロストリーフが気になっていた事をジュナーに聞くことにした。
「ジュナー、やっぱり私達を呼んだのは何かしたかったんじゃないからか?誰でもいいって訳じゃないだろ?」
「あ、分かっちゃった?まあその通り、これはクルビアヴァルポの1回目の集会よ。」
「クルビア……ああそうか、私たちは全員クルビア出身でヴァルポだな。」
「なら1回目のメンバーは何故私とフロストリーフなの?」
カッターがジュナーに質問する。ジュナーは上へ向き、一息ついてから質問に答えた。
「私は元正規軍、フロストリーフは元少年兵、カッターは傭兵。皆戦闘に関与してるでしょ?だから呼んだの。本当はフランカも呼びたかったんだけど、彼女忙しいみたいで。」
「クルビア出身でヴァルポ。それでいて戦闘に関連した職種……まあ、あまりいないな。」
「でしょ?コレって何かの偶然って思ったから二人を呼んだの。まあ、集会がこの先あるかは分からないけどね。」
ジュナーはフロストリーフに対してウィンクをしながらそう言うと、紫色の宝石が入ったクッキーを食べる。
「正直、ジュナーから誘われるとは思ってもなかった。私から任務に誘ったことはあったが、ジュナーからは無かったからな。」
「まあ、それもあるわね。今度は私からってヤツね。後、カッターを誘ったのは、ヴァルポとかってのもあるけど、こういう話をする機会が無かったから、まとめてしちゃお!って思ったのもある。」
「正直、誘ってくれて嬉しかった。こんなに美味しいのは食べたこと無かったから。」
「ふふ、なら良かった。」
「こんなに美味しいのは師匠が食べたらどんなリアクションするんだろ。」
カッターは下を向きながら懐かしむように呟く。
「師匠?何の?」
「剣術の師匠だよ。私の親が亡くなってからずっと育ててくれた人。ある日、このペンダントだけを置いてどっかに行っちゃったけど。」
「育ての親ってやつか。私にはよく分からない存在だな……。その師匠は何も告げずに行ってしまったのか?」
「うん。ある日突然、ね。」
「寂しく、はないのか?」
「寂しい……かぁ。」
フロストリーフがそう聞くとカッターは目線を上に上げ、考える動作を見せる。
「正直、分からないというのが一番の理由。師匠が居なくなった時はビックリしたけど、いつかは来るかもって、心の中で思ってたからそんなに長くがビックリはしてなかったかな。」
「そんな、ものなのか。淡白だな。」
「淡白っていうか、未だに実感が湧いてないっていうか……。でも、師匠と一緒に居たら今こうして集会には居なかったかもしれないから、それはそれでいいとは思ってるね。」
「まあ、物事には常に二面以上の事柄がある訳だからね。そんなものなんじゃない?」
ジュナーが話をそう閉めると、最後のクッキーを頬張る。
「さてさて、宴ももう終わりかな。」
「ああ、そうだな。」
フロストリーフが空になったプレーン缶と食器を一瞬で片付ける。
「相変わらず速いな……。」
フロストリーフが感想を述べる。
「今日はあんまり話さないことも話しちゃった。ありがとね。二人とも。」
カッターが立ち上がり、礼を述べる。
「こちらこそ、ありがとうね!」
ジュナーがそれを受け取ると、フロストリーフも同じように礼を告げ、二人はジュナーの部屋から出ようとする。するとフロストリーフは出る直前に二人に提案をした。
「今度の集会は、フランカも連れて、服でも見に行かないか?」
「いいかもね!それ!」
「楽しみしておく。」
こうして、狐達の午前の集会は幕を閉じ、二人は部屋から出て行った。
フロストリーフ際推し