爆撃雷獣『グルジオライデン』登場
レッドキングとの戦いから数日後、ハルキはGIRLSの休憩室で黙って座りながらレッドキングについて記されたページの怪獣図鑑を開いてそこに記載された写真を黙って見つめていた。
「俺は・・・どうすれば・・・。」
小さく呟いたその顔からはいつもの明るさが消え、明らかに暗く感じられる。そこにミコがかぷせるがーるずにマコ、ベニオにミカヅキと一緒にやってきた。
「ねえねえ、聞いてよ‼︎今度の大怪獣ファイトでさ、新人ちゃんがデビューするんだって‼︎」
「へえ、どんな子なの?」
「いや〜、それがまだ分かってなくて〜‼︎」
「でも、ゴモとミクラスならどんな子が来ても仲良くなれると思うよ。」
「あれ、ハルキさん?」
「おっ、本当だ・・・おーい、ハルキ‼︎」
レイカの声で彼女達はハルキに気付く。1番にベニオが話しかけるもハルキはこちらを向かない。
「あれ・・・聞こえなかったか?」
「おーい、ハルちゃーん‼︎」
ミカヅキも手を振ってハルキに呼びかけるがハルキは一向にミコ達の方に振り向く気配がない。ミコとマコはハルキの後ろに近付くと肩を叩いて話しかけた。
「ハル‼︎」
「ちょっと、ハルキ‼︎」
「⁉︎・・・ミコ、マコ・・・それに皆も・・・⁉︎」
ハルキはミコとマコのお陰でアキ達に気付くも彼女達の中にいたベニオに先日のレッドキングを重ね合わせてしまう。頭の中で命を散らしたあのレッドキングとベニオの姿が合わさり彼女を見たハルキは崩れ落ちてしまう。
「ハル⁉︎」
「ちょっと⁉︎どうしたのよ⁉︎」
ミコとマコは思わずハルキに駆け寄って肩を貸す。2人の支えで何とか立ち上がったハルキは今の自分の心を悟られたくないとばかりに離れようとする。
「あ、ありがと・・・お、俺は大丈夫だから‼︎じゃあ‼︎」
「待って、ハル‼︎」
ミコは思わず様子がおかしい幼馴染を引き止める。そして真っ直ぐハルキの顔を見ると彼を心配した表情で訊ねた。
「ハル?最近どうしたの?」
「えっ?」
「最近のハル、少し・・・ううん、だいぶ様子が変だよ。学校でもぼーっとするようになるし・・・GIRLSにいる時はレッドの顔を見るの避けるようになってない?」
「えっ?・・・いや、そんな事ないと思うけど・・・。」
「アンタ、自覚なかったの⁉︎最近のアンタ、よくぼーっとしてるわよ。まるで・・・何か重大な考え事でもしてるかのように。」
「それだけじゃねえよ。お前、明らかに俺の顔を見る度に何か辛そうな顔してないか?」
「ええっ⁉︎」
ハルキはガッツ姉妹とベニオの言葉に驚きながら最近の自分を振り返る。すると幾つか思い当たる節が脳裏に浮かんできた。
「なぁ、ハルキ・・・俺、お前に何かしたか?・・・心当たりはねえんだけどもし何かお前が嫌な事をやっちまったなら謝るぜ。」
「い、いや‼︎ベニオさんは何も悪くありません‼︎だから・・・気にしないでください‼︎・・・俺が勝手にそうなっただけですから・・・。」
「そんな事言ってもよ・・・。」
「ねえ、ハル。ハルってば何か悩み事があるんじゃない?もし何かあるんだったら話してよ。わたしで良ければ相談に乗るよ。」
「いや・・・でも・・・。」
「もし、わたし達が邪魔ならここからどくわよ。」
「それか・・・もし2人きりになれるところがいいって言うならそこで相談にのるよ。どうする、ハル?」
「・・・・・・ミコ・・・お前だけだったら・・・まだ・・・。」
「分かった。ミコ、アンタに任せるわよ。」
ハルキの声を聞いたマコ達はその場を去っていく。やがてハルキとミコの2人だけになり、ハルキは静かに口を開いた。
「ミコ・・・あのさ・・・。」
「ハル?」
「実は・・・俺・・・。」
ハルキが胸の思いを打ち明けようとした時、建物全体にアナウンスが鳴る。それはハルキの身を引き締めるには十分なものだった。
『GIRLSの皆さん、緊急事態です‼︎廃棄場付近に怪獣が出現しました‼︎GIRLSの皆さん、直ちに出動して下さい‼︎』
「ハル‼︎」
「ああ‼︎どうやら悩んでいられなさそうだな‼︎」
ハルキ達はピグモンの案内で怪獣が出現した場所に来ていた。そこでは黒い体に青い血管のような発光器官を備えた怪獣が廃棄場に棄てられた鉄屑などのゴミを貪っていた。
「ご、ゴミを・・・。」
「食べてる・・・。」
「しかもあのキャノン砲・・・あれ、絶対ヤバいって・・・。」
「ピグちゃん、キングジョーは出せないの⁉︎」
『まだ修理中です‼︎今は皆さんで持ち堪えるしかありません‼︎』
「しょうがない・・・ハルは民間人の避難をお願いね‼︎」
「ああ‼︎」
「皆、行くぞ‼︎」
レッドキングの声で彼女達は突撃する。彼女達の前で爆撃雷獣『グルジオライデン』は雄叫びをあげながら吠え立てる。
「グワアアアアアアアア‼︎」
「どりゃああああああああああ‼︎・・・痛ぁぁ‼︎」
「この怪獣、硬い‼︎」
苦戦する怪獣娘達は一旦地上に着地するが彼女達を鬱陶しく感じたグルジオライデンは口にエネルギーを集めて青い破壊光線を放つ。それが地面に着弾すると爆風と衝撃波で怪獣娘達が吹っ飛ばされていく。
『うわああああああああああああああああ⁉︎』
「ミコ‼︎マコ‼︎皆‼︎」
ハルキは咄嗟にゼットライザーを構えてヒーローズゲートからインナースペースに突入する。そしてゼットライザーにウルトラアクセスカードを装填する。
〈Haruki Access Granted〉
ハルキはガンマフューチャーに必要なメダルを取り出してゼットライザーにセットした。
「変幻自在、神秘の光‼︎」
「ティガ先輩‼︎ダイナ先輩‼︎ガイア先輩‼︎」
〈TIGA〉、〈DYNA〉、〈GAIA〉
ゼットの掛け声と共にハルキはゼットライザーのトリガーを押した。
『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』
「ウルトラマンゼェェェット‼︎」
〈ULTRAMAN Z GAMMA -FUTURE〉
「グワアアアアア!!」
「シュワッ!!」
ガンマフューチャーに変身したウルトラマンゼットがグルジオライデンの前にに降り立った。グルジオライデンの前でゼットの中のハルキはウルトラメダルを取り出した。M78流・竜巻閃光斬に必要なメダルを取り出し、ゼットライザーに装填して読み込ませる。
〈JACK〉、〈ZOFFY〉、〈FATHER OF ULTRA〉
ゼットライザーから放たれた竜巻がグルジオライデンを拘束し、斬撃光線が怪獣の体に切り傷をつける。怪獣がダメージを負った隙にゼスティウム光線を放つ構えに入った。
『ゼスティウム光線!!』
ゼットがそのまま光線を放とうとする。しかしゼットの中のハルキの脳裏に先日現れたレッドキング夫婦が頭によぎった。
(!?・・・えっ!?)
町に現れ、自身が倒した雄のレッドキングの姿を目の前の怪獣に重ね合わせてしまいハルキは動悸し始める。ゼットの両腕にチャージされていたエネルギーも消え、戦闘に集中出来なくなるハルキにゼットは動揺しながら呼び掛けた。
(ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・!!)
『おい、どうした!?ハルキ!!おい!!』
その時、ゼットのカラータイマーが点滅し始める。それと同時にグルジオライデンの背中の砲台に付いた発光器官が発行し始める。そして砲台にエネルギーが集まり始める。
「グワアアアアア!!」
エネルギーが溜まった砲台から強力な光線が放たれる。ゼットは即座にバリアを張って防ぐもその威力は思っていた程高く防ぎきるも反動で吹っ飛ばされてしまう。
「シュウワッ‼︎」
ゼットが吹っ飛ばされた間にグルジオライデンは地中に潜り始める。ゼットが再び立ち上がった時には怪獣は完全に姿を消していた。
GIRLS本部に戻ってきたハルキ達は起こった事を報告していた。現場に出ていた者を代表してアキがトモミに頭を下げて謝る。
「すみません・・・逃げられてしまいました。」
「いえいえ、目立つ負傷者がいなかったのですから全然いいですよ。」
「あの怪獣はその後何処に行ったの?」
ミカヅキの言葉を聞いたトモミはパソコンを操作する。するとディスプレイに地下を写したサーモグラフィーが映し出された。
「現時点ではあの怪獣の行方は分かっていません。恐らくですが仮死状態となり地底に身を潜めたのかもしれません。」
「ピグっち、ちょっといい?」
トモミの解説が終わるとランが手を上げて質問する。トモミはミコに聞き返した。
「どうしました、ガツガツ?」
「あの怪獣・・・どう見ても普通の純粋な生物には見えないよね?背中に付いたあのキャノン砲・・・あれはどう見ても人工的な処置が施されているようにしか見えないよ。」
「流石、ガッツ。鋭いわね。」
ミコの問いかけに後ろから答える声が聞こえ、ハルキ達はそちらを振り向く。そこには怪獣のものと思われる肉片を鉄板に乗せ、ガスマスクを装着したランとレイカが入ってくる。ランが怪獣の肉片を机に乗せるとその匂いにハルキ達は思わず顔を顰めて鼻をつまむ。どうやら余程臭かったらしい。
「う"っ⁉︎何この臭い⁉︎」
「臭ぇ・・・。」
「これは先程の怪獣の皮膚の表面の一部です。私達調査部が先程怪獣が現れた場所を調査した時に採取しました。」
「え・・・エレ、早くこいつをしまってくれ!酷い臭いだ‼︎」
「ウインちゃん、これをしまってよ〜‼︎」
「悪いけど、皆我慢して頂戴。」
「実は皆さんに見て頂きたい事があるんです。この皮膚の表面を見て下さい。」
ハルキ達はレイカの声でグルジオライデンの肉片を見る。するとそこには配線やネジなどの金属のようなパーツが組み込まれていた。
「これって・・・ネジ?」
「ええ、これらは怪獣の表面に埋め込まれています。そして更にこの肉片の調査を進めた結果、遺伝子操作が行われた跡もありました。これはサイボーグ怪獣のようなものと考えて間違いないでしょう。」
「ガッツの予想が・・・当たってたね。」
「もしかするとあの怪獣は何者かによって生み出された生物兵器の違いかもしれないと言うのが調査部の結論よ。」
「⁉︎・・・生物・・・兵器・・・。」
ランの言葉をハルキは深く噛み締める。その横でレイカが調査結果について更に補足を入れる。
「尚、怪獣は空から落ちてきました。その後、人工衛星に宇宙から落ちてくるところが撮影されている上、このネジや配線、そして遺伝子は地球外のものであると判明しました。ガッツさんの言う通り、この怪獣は地球を狙う侵略者が送り込んできた生物兵器と考えるのが妥当かと思われます。」
「成る程な・・・こんな奴を送り込んで俺達に喧嘩を売ろうってか・・・上等じゃねえか‼︎」
「先輩‼︎怪獣を送り込んできたそいつは‼︎あたし達の手でボコボコにしてやりましょう‼︎」
「おうよ、ミクラス‼︎」
ベニオとミクが怪獣を送り込んだ敵に戦意を燃やす中、ヘビクラはモニターに写ってるグルジオライデンに目を向ける。
「サジタリ・・・・・・。」
「・・・ヘビクラさん?」
「どうしました?」
「ああ・・・何でもない。本部はこの怪獣をコードネーム『グルジオライデン』と名付けた。これからはこの怪獣をグルジオライデンと呼称する。」
小さな呟きに反応したマガコンビを誤魔化しながら怪獣の名を伝える中、ヘビクラはこの星に来るまでの事を思い出していた。
魔人態となったジャグラーはグルジオライデンの体にしがみつきながら宇宙空間を飛んでいた。その時、横から何者かの攻撃を受ける。
「ちっ‼︎一体何が‼︎」
「クワックワアアア‼︎」
ジャグラーが攻撃があった方向を向くとそこには二股に分かれた頭部の鳥のような顔にブレード状の翼を備えた怪獣がいた。その再生怪獣『ギエロン星獣』は両腕の翼を合わせてリング状の光線を放つ。グルジオライデンはその光線から逃れながら宇宙空間を飛ぶ。リング光線が当たらない事に気付いたギエロン星獣は体勢を立てて突進する。突進をまともに受けたグルジオライデンは横に逸れる。それと同時にジャグラーも振り払われてしまった。
「ちっ‼︎」
ジャグラーは邪心剣を取り出し、力を溜める。再びギエロン星獣が突進しようと突っ込んできた時、ジャグラーは剣を振るい大きな斬撃を飛ばした。
「邪心剣、新月斬波‼︎」
邪心剣からの斬撃を受けたギエロン星獣は大きなダメージに怯むとその場から飛び去っていった。ジャグラーは再びグルジオライデンを探すため辺りを見渡す。すると丁度発生したワームホールにグルジオライデンが吸い込まれていくのが見えた。
「なっ⁉︎」
ジャグラーは急いで追うが間に合わずグルジオライデンの姿はワームホールの中に消える。ジャグラーは再び舌打ちして静寂の宇宙を漂っていた。
そして時は流れ今、ジャグラーは様々な裏ルートからグルジオライデンが吸い込まれたワームホールの先の宇宙を調べ、やがてGIRLS、そして怪獣娘がいる宇宙の地球を突き止めた。そして怪獣娘達がいる宇宙の地球に辿り着くもまだグルジオライデンはこちらに来ていなかったため、ジャグラーはヘビクラとなり、今まで待つしかなかったのだ。そして、今、この星にやってきたグルジオライデンの姿が映るモニターとその肉片を見てヘビクラは思いにふける。
(漸くやってきたな、グルジオライデン・・・いや、サジタリ。前にも思ったが・・・可哀想だとは思うが、お前はもう以前のお前じゃない。遠慮なく戦わせてもらうぜ。)
最初はギエロン星獣をメインにしようと思っていました。しかし、ヘビクラ隊長関連に説明がつかないので原作と同じようにグルジオライデンを出す事にしました。