この日、怪獣娘達は街に発生したシャドウの対応に追われていた。ガッツ星人(マコ)がスライム状のシャドウを蹴り飛ばすとその先に待っていたアギラが突進でシャドウを撃破する。
「やあああああ‼︎」
また別の方向ではミクラスとレッドキングが同時にシャドウを殴り飛ばしていた。2人の怪獣娘の拳を受けたシャドウは容易く消滅する。
そして2人の後ろではゴモラがシャドウを踏み台にして高く飛ぶとそのまま尻尾を振り下ろした。頭上から尻尾の一撃を受けたシャドウはすぐさま消滅するもゴモラの後ろからクマムシ型のシャドウが迫っている。その時、ザンドリアスがゴモラの後ろに降り立ち、口から炎を吐いてシャドウを燃やし尽くした。
「ゴモたん先輩、大丈夫っすか⁉︎」
「後ろありがとー、ザンちゃん‼︎」
ゴモラはザンドリアスに礼を言うと後ろに集まってきたシャドウを確認する。そして高く飛び上がり、シャドウを踏みつけると次から次へとシャドウを踏みつけながら飛び上がっていく。
「皆さん、こちらです‼︎急いで‼︎けど、慌てないで避難して下さい‼︎」
その一方でハルキは市民の避難誘導をしていた。いつ怪獣が現れるか分からない以上、ゼットに変身して戦うのは避け、避難誘導に回る事にしたのだ。
「こちらです‼︎慌てないで落ち着いて避難して下さい‼︎」
「ハルハル‼︎」
「トモミさん‼︎」
「こちらの地区の避難は完了しました‼︎応援に回ります‼︎」
「分かりました‼︎」
ハルキはこちらに向かってきたトモミと共に力を合わせて市民の避難誘導に回る。その時、突然地面が揺れ始める。その時、ピグモンのソウルライザーに警告音が鳴り始めた。
「この警告音・・・まさか⁉︎」
ピグモンが後ろを振り返ると地面からパイルバンカー型のシャドウが現れる。それを見たハルキは携帯でガッツ星人(ミコ)に連絡を入れた。
『どうしたのハル⁉︎』
「ミコ、シャドウビーストが現れた‼︎こっちはまだ避難が完了していない‼︎応援を呼べないか⁉︎」
『ええっ⁉︎・・・少し待ってて‼︎こっちを片付けてすぐに向かうから‼︎』
「ミコ!ミコ‼︎」
「ハルハル、そちらの方は?」
「まだ片付いてないようです・・・。」
幼馴染がいる現場の様子を伝えたハルキは隣で顔を青ざめながら慌てているピグモンの隣で目の前のシャドウビーストを見据えると思わずゼットライザーを構えた。
「・・・仕方ない。何処までやれるか分からないけど、コイツは俺がやるか。」
「ま、待って下さい‼︎そのゼットライザーでシャドウビーストと戦うつもりですか⁉︎無茶ですよ‼︎そのゼットライザーが普通のシャドウに効いた事は聞きましたけど・・・生身のハルハルが挑むには幾ら何でも危険すぎます‼︎」
「そうですよ、ハルキさん‼︎」
ゼットライザーを構えたハルキの後ろからロケットパンチが飛んできた。それはシャドウビーストに命中するとその体を大きく転倒させる。ハルキとピグモンが思わず振り向くとそこにはEXモードのセブンガーがいた。
「セブセブ‼︎」
「お待たせしました‼︎ピグモンさん‼︎」
セブンガーが地面に着地すると彼女は後ろのハルキを確認し、力強く口を開いて目の前のシャドウビーストに目を向ける。
「ナナちゃん‼︎」
「ハルキさん、幾らウルトラマンになれるとはいえシャドウビースト相手に生身は危険すぎます‼︎ここは私にドーンと任せて下さい‼︎」
「・・・分かった‼︎頑張って‼︎」
セブンガーは後ろのハルキに頷くと再び背中のジェットパックで飛び上がる。そしてそのまま急上昇してシャドウビーストの頭に拳を叩き込んだ。シャドウビーストはそのまま怯んで後退するもすぐに体勢を立て直して両腕をロケットパンチのように飛ばす。思わずセブンガーは身構える。その時、2人のガッツ星人が右腕に飛び蹴りで、アギラとゴモラの2人が尻尾で左腕を弾き返した。
「ガッツさん‼︎アギラ師匠にゴモたんさん‼︎」
「お待たせちゃーん‼︎」
「1人でよく頑張ったね!」
「ここからはわたしも加勢するわよ‼︎」
「ミコ‼︎」
「ハル、セブンガー、ここからはわたし達に任せて‼︎さて、さてさて‼︎来ました!私達が‼︎貴方を倒しに・・・ね!」
「いよぉぉし‼︎行くでぇ‼︎」
ゴモラを筆頭に全員がシャドウビーストに突撃しようとする。その時、不可解なことが起こった。突然、シャドウビーストの体が透け始めたのだ。
「皆、待って‼︎」
「どうしたの・・・って、え⁉︎」
「何が起こってるの⁉︎」
アギラが怪獣娘代表として目の前で起こってる事に疑問をあげる。しかし、彼女達が考える間もなくシャドウビーストは完全に姿を消してしまった。
その後、ハルキを含むGIRLS東京支部のメンバーが街に繰り出した。理由は突然シャドウビーストが消えた理由とその先の行方を掴むためだ。その中でハルキは幼馴染であるミコと組んで調査を行なっている。
「この辺りからも特に怪しい反応は無いか・・・。」
「シャドウがあんな忽然と消える事なんてあるの?」
「本来だったら有り得ないよ。撤退するにしても地面に潜るか空を飛んで逃げる場合が多いから。」
「一体何が起きたってんだ?」
「・・・なんて言うか・・・何かもしくは・・・誰かに消された感じがしたよね・・・。」
「だとしたらその原因を突き止めなきゃ話にならないな・・・。もう少し広い範囲を探してみるか。」
「それに加えてアギ達が回ったところを改めて回らない?アギ達が来た時とわたし達が来た時で何か変化があるかもだし。」
「それもそうか・・・。」
こうして2人は更に捜索範囲を広げただけでなく他のメンバーも回った箇所を見回る事にした。しかし、2人が更に捜索範囲を広げて1時間が経過するも何も見つける事は出来なかった。ハルキとミコは疲れたのかベンチに座り込んでいる。
「くっそ〜、何も見つかんねえ・・・。」
「参ったね・・・この調子だと・・・他のチームも収穫無しかも・・・。」
2人はベンチに座って項垂れる。2人揃って溜息をつくと同時にお腹が鳴る音が響いた。
「そういえばお腹空いたね・・・。」
「今日は朝から突然シャドウが出現して朝飯食わずに出動したから・・・何も食ってないな・・・。」
「そろそろ1時回りそうだし・・・お昼にしよっか。」
2人は食事が買えそうなところを探すとハンバーガーなどのファーストフードを取り扱っているキッチンカーを見る。2人は顔を合わせて目を輝かせると同時に頷き、キッチンカーに向かっていく。そして昼食を買った2人は先程座り込んだベンチに座って食事を取る。ハルキがハンバーグが2枚乗った特大ハンバーガーにかぶり付くとミコが苦笑する。
「もうハルってば・・・ダブルサイズのハンバーガー、そんなに勢いよくがっついて・・・チキンナゲットや照り焼きバーガーもあるのに最初からそんな飛ばしてたら喉に詰まるよ。」
「・・・人の事言えないだろ。ミコだってホットドックに加えてダブルサイズのチーズバーガーにアップルパイ平らげた癖に・・・。それに加えてまだLサイズのポテト残してさ。」
「そりゃシャドウとの戦いで動いたんだもん‼︎お腹ペコペコだよ。」
やがて2人は注文した食べ物をすべて食べ終え、それぞれ頼んだ飲み物に口をつける。ハルキがオレンジジュースを一口飲んでふと上に目を向けるとそこには動かなくなった大きな観覧車があった。
「おい、ミコ・・・。」
「何?」
「あの観覧車って・・・もしかして・・・昔、俺と父さんと母さんがお前ん家と一緒に行ったあの遊園地じゃねえか⁉︎」
「え?」
ミコはレモンティーを飲みながら観覧車に目を向ける。するとミコは思い出したように叫んだ。
「あああ‼︎あの観覧車、昔、ハルのとこのおじさん達とパパ達で行ったあの観覧車じゃん‼︎」
「やっぱりそうか‼︎うわ〜、懐かしいな〜‼︎」
「わたし達がまだ小学生だった頃、ハルの家と一緒によく来たよね〜‼︎」
「覚えてる覚えてる‼︎父さんが亡くなってからは行く機会が減ったけど、よく家族絡みで付き合っていたからさ。」
「ジェットコースターとかおじさん達と一緒によく色んなアトラクション回ったよね〜!最後にいつもこの観覧車乗ってさ、街の景色を眺めるのが最高だったよね‼︎」
「ああ、お化け屋敷で腰抜かして泣いてたお前もこの観覧車で夕焼けや夜景の街を見たらすっかり泣き止んでたもんな。」
「ちょっと〜‼︎わたしそこまで泣いてないよ‼︎ハルだって男の子の割にはビビってたじゃない‼︎」
「し、仕方ねえだろ‼︎あの頃はまだ小学1年とか2年くらいの年なんだぜ‼︎あのお化け屋敷妙にクオリティ高いし、あの頃の年の子供なら誰でも泣くっつーの‼︎しかし・・・今じゃもうやってねえんだな。」
「園長が病気で倒れたとか・・・他に大勢の人達が来て大人気となる新たな遊園地とか出来たもんね・・・。まあそれ以前に昭和の頃に建てられたから老朽化が進んで閉園しちゃったんだよね。」
思い出話で盛り上がった2人は目の前の動かない観覧車を眺めながら飲み物を飲む。そしてその脳裏に昔、お互いの家族と一緒にまだ開園していた頃の遊園地を思い起こしながら想いにふけている。その時、横から赤い帽子に赤い傘を身に付けた昭和の時代を思わせるファッションの女性が話しかけてきた。
「そう、それで動かないのね・・・懐かしいと同時に・・・寂しくなるわ・・・。」
「「へ?」」
「ああ、御免なさい。貴方達カップルの邪魔をするつもりは無かったの。私もこの観覧車には思い入れがあるからつい口を挟みたくなって・・・。」
「べ、別にわたし達カップルじゃないですよ‼︎」
「そ、そうです‼︎ミコの言う通りです‼︎」
「あら、そうだったの?今の若い子って距離が近いのね。」
女性はクスクスと微笑みながら顔を赤くしながら慌てているハルキとミコを微笑ましい目で見ている。慌てる2人の若者を見たその女性は2人に近付いてくる。
「貴方達もこの観覧車に思い入れがあるのね。」
「ええ、俺達幼馴染で・・・。」
「よくお互いの家同士で遊びに行ってたんですよ。それでお互いの家族ぐるみでここによく連れてきてもらってて。」
「そう・・・私も・・・子供の頃、よくここに連れて来てもらったわ。頂上から街を見渡せて・・・夜景も綺麗で・・・まるで王女様になったような気分だったわ。」
ハルキとミコも女性の話にシンパシーを感じて2人同時に頷く。すると女性は意味深な言葉を呟いた。
「ここに来れて良かった。これでもう・・・思い残す事はないわ。」
「「えっ?」」
「ちょっ、ちょっと待って下さい。」
女性の言葉が気になったハルキは思わず女性を呼び止める。女性はハルキの言葉を聞いて立ち止まる。
「もし良かったら名前を聞いてもいいですか?」
「・・・カオリ・・・。」
「俺、ハルキって言います。こっちは幼馴染のミコ。GIRLSの怪獣娘です。」
「GIRLS?・・・怪獣娘?」
「怪獣娘とGIRLSを知らないんですか?怪獣や宇宙人の魂を継いでその力が使えるようになったわたし達のような女の子の事です。」
「GIRLSはその怪獣娘達が集まった組織で・・・怪獣や宇宙人の事件から皆を守るために立ち向かっているんです。俺もそのGIRLSの隊員です。今は任務中ですけど・・・何か悩みがあるなら聞きますよ。」
「怪獣や宇宙人から・・・。」
ハルキ達の前に現れた女性『カオリ』が意味深そうに呟く中、ミコがハルキを睨んで問い詰める。嫉妬で頬を膨らませるミコにハルキは後退りながら答える。
「ハル〜、まさか美人だからって鼻の下伸ばしてないわよね〜・・・。」
「そ、そんな怖い目で見るなよ‼︎どう見ても何か悩んでいるようだし・・・放っておけないだろ‼︎」
「・・・ま、確かに何か悩んでそうね。あの、何か悩みがあるんだったら」
ミコが最後まで言い終える前にカオリは2人の方を掴んで詰め寄る。そしてカオリは2人にとんでもない頼み事をしてきた。その言葉に2人は思わず驚きの表情になる。
「だったらお願い‼︎私を殺して‼︎」
「ええっ、カオリさん⁉︎」
「な、何言ってるの⁉︎」
「もうすぐ大変な事が起きる‼︎手遅れになる前に私を‼︎・・・ぐっ⁉︎」
「お、落ち着いてください‼︎」
「一体どうしたんですか⁉︎」
ハルキとミコはカオリを宥めようと呼び掛ける。その時、カオリが突然胸を押さえて苦しみ出した。
「カオリさん、どうしたんですか⁉︎」
「・・・ぐっ・・・寄るな‼︎」
明らかに様子がおかしいカオリにハルキとミコはお互いを見合わせて彼女の顔を覗き込む。その時、ミコのソウルライザーに電話がかかってきた。ハルキは思わずミコの方に振り向く。
「ミコ、ソウルライザーに着信が‼︎」
『こちらピグモン、ガツガツ、ハルハル、そちらは何か収穫がありましたか〜?』
「ピグっち、ちょっと今取り込み中‼︎後にして‼︎」
「ミコ‼︎」
ハルキに名前を呼ばれて正面を向いたミコは唖然とする。目の前にいた筈の謎の女性カオリが姿を消していたのだ。
「えっ⁉︎何処に行ったの、ハル⁉︎」
「悪い・・・さっきお前のソウルライザーに着信があった時、思わずお前の方に振り向いちまってた・・・その間にいつの間にか・・・。」
「消えちゃったって事・・・。一体どうなってんの・・・?」
ハルキとミコはさっきまでカオリがいた正面を唖然と見ている。そんな中、ミコのソウルライザーに再び着信が鳴る。
「こちらガッツ。」
『こちらアギラ、2人とも一旦GIRLSに戻ってきて。シャドウビーストが消えた時に分かった事があるって。』
「分かった、すぐに戻るよ。ハル、行こ。」
「ああ・・・。」
ハルキとミコは消えたカオリを不可思議に思いながらもGIRLSが突き止めて分かった事実を聞くためにGIRLSに戻っていった。
来月からクロスオーバーユニバースの方で怪獣娘×ブレーザーの先行版を連載する予定です。
予定ですが・・・地球怪獣であるゲードスとダガヌラーは怪獣娘世界では出しにくいため出ない可能性が高いです。あらかじめご了承下さい‼︎