とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのは編)。   作:SUN'S

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第16話(ザフィーラ)

私は人気の少ない道を歩く主と背丈も年齢も変わらぬ幼児の垂れ流す膨大な魔力を奪うため、目の前に降り立った瞬間、その幼児の細い首を掴もうとする人の形をした赤い何かを殴り飛ばす───。

 

突然の事とはいえ主のために振るうと決めた守護の拳を出逢ったばかりの幼児のために使った。

 

しかし、この幼児を見捨てるようでは主を守ると誓った守護獣の誇りが、なにより幼き子供を殺めんとする者を見逃すことは出来ん!

 

「ゼェアッ!!」

 

そう叫んだ赤い何かは私の放った正拳を往なし、私に両の腕を突き出すように構える。一見、隙の大きい構えにも見えるが相手の四肢を掴むには最適の姿勢と構えだ。相手の力を利用した投げ技、あるいは関節を破壊する技を使うのか。

 

私の動きに合わせて身体を揺らすヤツの動きが止まり、地面を這うように駆け抜けてくる。その動きに対応するためにスタンスを広げ、右の拳を打ち下ろすように地面に叩き込んだ瞬間、赤い何かは私の首と腕を絡め取ると身動きの取れない私の腕をへし折ろうと身体を捻る。

 

「ぐっ、おおぉぉぉ!!」

 

ビキビキと悲鳴を上げる右腕に絡み付いた赤い何かごと持ち上げ、そのまま石壁に叩き付ける。私の腕を折ることより己の頭を守ることを優先したおかげで、ヤツの拘束は外れたが、私の腕を振るうのは少しばかり厳しい状態だ。

 

ゆっくりと瓦礫を押し退けて立ち上がってきた赤い何かは短剣の様なものを逆手に持ちながら構え直し、ジリジリと間合いを積めてくる。成る程、短剣を用いて戦うのがヤツの本流ということか。

 

「いざ、参る…!」

 

私の言葉を遮るように首筋を狙って放たれる短剣を手甲で弾き上げ、先程の極め技で動きの鈍い右腕を赤い何かの腹部に打ち込む。

 

僅かに身体を沈めたヤツの顎を左拳で叩き上げ、そのまま歪な音の聴こえる右拳をヤツの顔面に放つ。二度、三度、地面から宙へと跳ねながら吹き飛ぶヤツが動かなくなる。

 

まだ、警戒を解いた訳ではない。私の後ろにいる幼児の安否を確認するため、一瞬だけヤツから目を反らした瞬間、私の右肩に深々と十字の槍が突き刺さっていた。

 

やはり、先程の一撃で倒し切れなんだか…。

 

深々と右肩に刺さった槍を引き抜く間も与えず、私を仕留めようと向かってきた赤い何かは私の顔を覗き込んだかと思えば少しでも遠くに逃げようと走る幼児を見ている。

 

「き、貴様ァ…!」

 

私は怒りに任せてヤツの足を握り潰し、まともに動く左腕と両足を使ってヤツの動きを封じ込め、振りかぶった頭でヤツの顔面を叩き潰すために何度も頭突きを繰り返す。あの様に怯える幼き子供を執拗に追い回すだけではなく、その命をも奪おうとするとは何という極悪非道なことか!!

 

「イヤッ…トォーッ!」

 

「ぐっがぁ!?」

 

私と違って両の腕を使えるヤツは躊躇せず、私の左の脇腹にヤツの短剣が突き刺さる。

 

「この程度で守護獣を止められると思うな!」

 

私の叫び声と共にヤツの身体は薄れていき、最初から何も居なかったように忽然と姿を消した。移動の魔法もしくは協力者の加勢によって逃げれたか…。

 

 

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