とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのは編)。 作:SUN'S
∴月≦日
最近、私のカラータイマーを見るシグナムさん達の目が可笑しい。三分毎にピコーンと赤く点滅しながら鳴る度に帰るように急かされ、八神さんと話す時間を少なくなってる。
やっぱり部外者がいると家族関係のことを話し辛いのかな?と考えながらウルトラマン大図鑑という本を手に取る。今の私なら使える技も載ってるかもしれないし、八神さんを助けるためにもコスモスの技の他にも覚えないといけない。
ペラペラと大図鑑のページを捲っているとウルトラの母の全ての技を記載したページを見付けた。テレビで何度もウルトラマンを助けたウルトラの母なら八神さんを治せる技があるはずだ。
その技を使えるようになれば、八神さんの病気も治せるようになれば、ずっと八神さんはシグナムさん達と笑っていられる。
今の私に出来ることを限界まで突き進める。
∴月∪日
早朝、漸く見付けた技を八神さんに使うために病院へ向かって自転車を走らせる。この時間のバスは人が多くて出入り口に辿り着くのも難しいから仕方無いけど、ちょっと自転車を使うのは無謀すぎたかもしれない。
そんなことを考えながら病院の駐輪場に自転車を止め、自転車から鍵も取らず、ヘルメットを着けたまま受付のお姉さんに八神さんの面会に来たことを伝える。まだ、人の少ない時間を選んで良かった。
受付のお姉さんに許可を貰ってからエレベーターに乗り込み、八神さんの病室に駆け込むように入る。朝早くに来たせいで八神さんはベッドの上で眠ってるけど、このまま技を掛けるしかない。
八神さんの同意も得ていないのに使うのはダメだと分かっているけど、私は大切な友達を助けられるのに助けないまま居るのは絶対に嫌だ。
ゆっくりと両手を胸の前で構え、右手と左手に異なる技を作り出す。ぶっつけ本番の失敗を許されない技を使うなんて無謀と言われても仕方無いけど、これしか助けられる方法が思い付かない。
右手に作ったヒーリングシャワーを八放ちながら左手を八神さんの胸の真ん中に押し付け、内側と外側から染み込ませるようにリライブ光線を掛ける。
ぐぅっと自分の口から零れる身体の力を失っていく激痛に堪えながら八神さんに光線を使い続けていると窓を突き破り、私を押し退けようと現れたシグナムさん達に驚きつつ、さっきよりも強くエネルギーを八神さんに流し込み。
私の顔色と目覚まし時計の時間に設定していた胸の真ん中のカラータイマーが鳴り始める。ここに来る前に切っておけば良かったと思いながら弱まる光線の威力を限界まで底上げする。
私の光線が完全に消えて無くなる頃には苦しそうにしていた八神さんの顔色も良くなり、穏やかな呼吸が聴こえてくるけど。
シグナムさんの「やめろ、お前が死ぬと主が、はやてが悲しむんだ。頼む、頼むから死ぬなァ!!」と叫ばれたけど。
いや、ちょっと疲れただけですよ。
∴月〆日
たぶん、翌朝で良いのだろうか?
私は八神さんの健康状態を癒やすことに成功し、シグナムさんに「お前のおかげで主の病気は完治した。この恩は必ず返す。しかし、あのような無茶を続けるようであれば私は主の友だろうと叩き斬る」と怒られてしまった。
まあ、私は八神さんが無事で良かった。私の大切な友達を助けられるなら無謀でも無茶でも何だってするつもりだ。それに八神さん、はやてさんが居なくなったらシグナムさん達が悲しんじゃうから…。
そんなことを話していたら変な仮面を被った二人組の男の人が現れ、シグナムさんに向かって「今より闇の書の完成を遂げる」と語り始めた。ザフィーラさんは「もう、その必要は無くなった」と言いながら男の前に立とうとした瞬間、どこか知らない建物の屋上にいた。
これも魔法の一種だろうか?
私が考えるように首を傾げながら空を見たら高町さんとテスタロッサさんがバリアジャケットを着たまま降りてくることに気を取られ、八神さんと仮面の人から目を反らした。
次の瞬間、私の胸を後ろから貫く腕が見えた。突然の出来事に何も言えず、後ろにいる男の人を見上げることしか出来ず、私のカラータイマーを模したブローチと青く光る光の結晶を力を込めて握り潰すように消された。
あれ?と思いながら力の入らなくなった身体が重力に従って倒れる。ああ、さっきの光ってるのがリンカーコアなんだと納得し、私の傍に這いずりながら来てくれた八神さんの頬っぺたを撫でる。
ちょっとだけ休憩したら手伝うから…。