とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのは編)。 作:SUN'S
▽月・日
朝御飯の時間になっても降りてこないパパを起こすため、私はパパの部屋のドアを軽く叩いてからドアを開けるとクシャクシャに丸めて捨てられた原稿用紙が床いっぱいに転がっていた。
やっぱり、昨日も寝ないで原稿を書いてたの?と椅子に座って原稿用紙に文字を書き連ねるパパに聞けば「ん?ああ、もう朝だったのか…」と前より隈が濃くなって酷くパパが窶れてるように見えた。
えと休まないと倒れちゃうよ?そんなことを言いながらパパの座ってる椅子より小さめの椅子を踏み台にパパと目線を合わせて、ぎゅーっとパパの頭を包み込むように抱き締める。
よく先生が怪我して泣いてる子にやってるのを見たので真似してみたした。なんてパパに教えたら「うん、ありがとう。これで十年は頑張れるよ」と言ってくれたけど。
いや、その、私はパパに休んでほしいだけで…。
むう、私の話を聞かずに原稿を終わらせようとする悪いパパには晩御飯は無しですと怒ったふりをしながら言うと「はは、それは困るなぁ…」なんて言ってるのに書く手は止めない。
もう、ママは何でパパと結婚したのか。
私には分からないよ。
▽月∞日
早朝、なにか変な感覚の場所に近寄ったら魔法少女みたいな格好の高町さんが人間の言葉を話す鼬を肩に乗せながらオバケと戦っていた。
私の知ってる常識は通じないのかな?等と不安になりながらも私の存在に気付いた高町さんがアワアワとしているのが見えて、どうしようもなく可愛いと思ったのは内緒です。
フッとさっきまで感じていた変な感覚が消えると高町さんが気まずそうに近寄ってくるなり、私の手を掴んで「おねがい、この事は内緒にして欲しいの!」と言われた。
いや、こんなの誰に話しても信じて貰えないよ。
そう高町さんに言葉を返せば「えと、あはは、そうなのかな?」と遠回しに話さないと伝えたら安心したように笑ってくれた。うん、やっぱり、高町さんは笑ってる方が可愛いと思う。
そんなことを考えつつ人間の言葉を話す鼬ことユーノ・スクライアの教えてくれた夢物語なんて言葉では片付けられない。もはや地球の繋げてきた科学社会の崩壊を目の当たりにした気がする。
とりあえず、私は魔法なんて知らない。
高町さんは普通にクラスメイトで、スクライアさんは普通のフェレットで、私はパパの仕事に使う原稿用紙とインクを買いに行くだけの女の子です。
▽月〇日
どうやら私は高町さんと友達になったらしい。
イマイチ友達の定義が分からないのでパパに聞いたら「どこからどこまでが友達なのか、それはパパにも分からないことだよ」と言われた。
なんだかパパに誤魔化されたような気もする。
私は高町さんみたいに友達とか多い方じゃないから友達が増えるのは嬉しいけど、高町さんの秘密を隠し通せる自信がないよ。
はあ…と溜め息を吐きながら高町さんに指定された場所に近寄ったらパパの書いてる小説に出てきそうな四足歩行の化け物と高町さんが見えた。
もしかして、私は高町さんに囮として呼ばれたのかな?等と考えたりしながら吹き飛ばされる高町さんを抱き止め、化け物のお腹に向かって左拳を突き上げる。よく考えると私って動物を殴るのも化け物と向かい合って立つのも初めてだ。
どうすれば良いの?
そんなことを後ろにいる高町さんに聞きたいけど、あれから目を離すのが怖いから後ろに振り向けず、一人で勝手に唸るほど考えていると後ろから飛んできたピンク色の光が頬を掠った。
えと今のビームは高町さんが出したのかな?と素朴な疑問を問えば「さっきのはビームじゃないの、ワンちゃんの動きを止める魔法なの!」と返された。
いやいやいや、どう見てもビームだよ?