とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのは編)。   作:SUN'S

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第24話(高町なのは)

私達の目の前で死んだ筈の彼女は生きていた。

 

燦々と輝く胸の青い光を見て、ホッと安堵の溜め息を吐きながら高層ビルの屋上にシャマルさんと一緒に降りた彼女は首飾りを角の生えた機械に変えて、カードと乾電池に似たものを機械の中に慣れた手付きで入れていく───。

 

ウルトラマンコスモス!

 

ウルトラマンベリアル!

 

あの子の発する声とは違う。

 

「集めて、月光!」

 

ここにいる誰の声でもない人の声があの子の傍から聴こえてきた。私たち魔導師しか存在しない隔離空間で響き渡る最中、みんなの視線は彼女の突き上げるように掲げる機械に集まっている。

 

ウルトラウーマンフォスキア!

 

フルムーンフィサリティ

 

彼女は大きく円を描いて胸の前で機械を止めた瞬間、目を瞑ってしまうほど眩しい光を放つ。それは夜天の書の闇も同じだったのか、ずっと身体を守るように展開していた触手を一ヶ所に集めていた。今なら砲撃を撃ち込めるとレイジングハートを構えようと視線を動かした先に青紫色の巨人がいた。

 

突如、私達の前に現れた巨人に警戒しろと叫ぶリンディさんと正反対の考えが浮かんでいる。たぶん、ここにいる皆も同じことを思っている。あの巨人は変な機械を使って変身した、あの子で間違いない。

 

「やっぱり、アタシの言った通りじゃねぇか!」

 

フンスと胸を張りながら自慢気に巨人を指差すヴィータちゃんを諫めるはやてちゃんはどこか納得したような表情を巨人へと向けている。

 

「フェイトちゃんもシグナムさんも巨人を見たまま固まってるのはいいけど、そろそろ動かないと夜天の書の闇が動き出しちゃうの!!」

 

私の言葉を聞いて二人とも剣を構える。

 

あの子は高層ビルの間を通り抜けると海の中で触手を振り乱す夜天の書の闇に両手を開いて構え、夜天の書の闇を傷付けないように少しずつ距離を詰めて触手を弾きながら近寄り、僅かに光を纏った両手のひらで夜天の書の闇を沖まで突き飛ばす。

 

私のスターライトブレイカーを使おうとする夜天の書の闇の目の前で円を描いてバリアを作り出し、スターライトブレイカーの一撃を一歩も退かずに受け止めた。私の全力と同等の一撃をバリア一枚で防ぎ切った巨人に驚きの声を上げるアースラの皆と打って代わり、私は少しだけショックを受けている。

 

ずっと戦えないと思っていた彼女は私より強くて、私の持つ最強の魔法も通用しない相手だった。なんだか自分が滑稽に思えてしまうけど、あの子を恨んだり妬んだりすることは絶対に有り得ない。

 

「シェヤァッ!」

 

「そうだ、行けえぇっ!!」

 

ヴィータちゃんは興奮しているのか。

 

夜天の書の闇と戦う彼女を応援する姿は運動会でリレーで走っている友達を応援しているようにしか見えない。

 

こんなこと本人に言ったら思いっきり叩かれそうだけど、もう抵抗を止めて動かなくなった夜天の書の闇を優しく撫でる動きは普段も変わらない。

 

あの子が私達を一瞬だけ見たかと思えば夜天の書の闇を包み込むほど光を作り、優しく抱き締めるように光を与える姿は子供をあやす母親に見えた。

 

あとで私も優しく撫でてほしいの…!

 

金色の光を発する夜天の書の闇は巨人の放った光と共に小さくなり、私達と同じ背丈の子供になっていた。やっぱり、あの子の技と力を理解するのは無理だと思う。

 

「そう貴女もはやてさんを守りたかったんだ」

 

「でもね、私がいるとマスターの迷惑になるの…」

 

私達は元の姿に戻った彼女と話す銀髪の女の子を見る。どことなくリインフォースさんに似ているけど、悲しそうに笑う彼女を見ていられない。

 

「はやてさん、一つお願いが…」

 

「その前に言うことがあるやろ?」

 

あの子ははやてちゃんの言葉に苦笑いを浮かべながら「ごめんなさい、ただいま」と直ぐに言葉を返した。私の時は普通の挨拶しかしないのに…。

 

あの子とはやてちゃんのやり取りにムカムカとする心を追い払うために頭を振り回していたら二人の話が終わっていた。

 

もう少しだけ、ちゃんと聞いておけば良かったと思いながら二人の会話に耳を傾ける。

 

「なあ、ほんまにその技を使えば夜天の書の闇を殺さずに済むんやな?」

 

「うん、この技を使えば邪悪なものを切り離せる。それに個人として生きていくことも出来るようになるのは確かだから安心して」

 

「それじゃあ、祐佳ちゃん…お願いな」

 

「うん、任せて」

 

私の耳はハッキリとはやてちゃんがあの子の名前を呼んでいるのが聞こえた。私は未だに苗字でしか呼べないのに、私ははやてちゃんより先に出会ってるのになんだかズルい。

 

 

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