とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのは編)。   作:SUN'S

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第36話(ティーダ・ランスター)

最初の頃は体の良い厄介払いの護衛任務だと思っていたが、彼女の傍に居ることが増えて上層部の思惑も彼女に固執する理由も理解することが出来た。

 

数年前まで管理外世界の中で平和に生きてきた女の子、それが偶然にも魔法と出会って劇的なほど運命が書き換えられた。

 

俺の隣を歩く彼女は楽しそうに笑っているが、本来なら親に甘えていても可笑しくない年頃だ。彼女の気晴らしのため、俺の妹と会わせるのも良いかもしれない。しかし、彼女の稀少技能(レアスキル)は他の保有者と比べても異質なのは確かだ。

 

未だに彼女が全力を出して使ったところを見たことはないが、レジアス・ゲイズ中将は「光の巨人」と呼称していたのが気になる。いったい、あの言葉の意味は何なのだろうか?

 

そんなことを考えながら彼女に貰ったスポーツドリンクを飲み干し、彼女の作ってくれたお弁当を食べる。なぜか恨めしそうに見てくる男の局員に金を出すから譲ってくれと言われたことは良くも悪くも忘れることの出来ないものだった。

 

「おやおや、今日も愛妻弁当か?」

 

フォークで突き刺した唐揚げを口元に運ぼうとした瞬間、俺の肩を叩きながら聞いてくるヴァイス・グランセニックを見上げる。

 

「何度も言っているが、俺と彼女は付き合ってる訳じゃない。それに彼女との年齢を考えて言えよ、明らかに俺が変態扱いされるだろうが…!」

 

ドスッと良い音を出す肘打ちがヴァイスの脇腹に刺さり、痛みに悶絶しながらも彼女の作ってくれた唐揚げを横から奪うように食べられた。なあ、お前は俺を怒らせるために近寄って来てるんだよな?

 

そうだな、そうに違いない。

 

それ以外は有り得ないよな。

 

俺はヴァイスからお弁当を守るように食べつつ「折角、朝早くから用意してくれたお弁当を他の奴に渡してやるものか!」と言いながら食べ終えるとヴァイスや他の奴らに「シスコン拗らせてんのにロリコンだろ?救えないところまで来たんだなって…」と意味の分からないことを言われた。

 

俺はロリコンでもシスコンでもない。ただ、俺の妹と護衛対象が可愛すぎて仕方無いだけだ。それ以外に他意はないし、むしろ見守ってるお兄さん的なポジションのはずだと言えばドン引きされた。

 

やはり、みんなが可笑しいのだろうか?と思いながらも食べ終えたお弁当を巾着の中に戻して逃げようとするヴァイスを追い掛ける。

 

俺の唐揚げを食べたことは許さん。

 

この地上本部に配属したばかり頃は他の奴らと仲良くなる切っ掛けを作ってくれたが、それとこれとは話は別だって分かるよな?

 

「お嬢ちゃん、悪い奴から助けてくれ!」

 

「おまっ、それは卑怯だろ!?」

 

ヴァイスは医療室を出てくる彼女の後ろに回り込んで俺との距離を広げようとしてくるが、お前は女の子に守られて大人として恥ずかしくないのか?と思いながら彼女を盾のように持ち上げて使うヴァイスを睨み付ける。

 

「あの、これって何してるんですか?」

 

「「食べ物の恨みを晴らす戦い」」

 

彼女の疑問に二人して答える。

 

こういう時はヴァイスと口裏を合わせる。

 

いつもと同じだと分かった彼女は小さく溜め息を吐きつつ「グランセニックさん、そろそろ降ろしてください」と言いながらパタパタと乱雑に両足を動かしてみせる。

 

確か彼女も今年で17歳だったか。

 

流石に羞恥心を持っても可笑しくない年頃だということは分かってるが、どうにも抱き締めたり撫で回したくなるのは彼女の稀少技能のせいなのか?

 

彼女を持ち上げながらグルグルと回転するヴァイスを見ていたら「もう、いい加減にしないとスペシウム光線を撃ちますよ!」と十字に構えた両の手を見せてきた。

 

ヴァイスはソッと彼女を降ろして、ゆっくりと俺の隣に両足を畳んで座る。彼女の出身世界「地球」では正座と呼ばれる説教を待つ姿勢だ。ちらほらと俺達を見ながら笑う局員も居るが羨ましそうに見てくる奴も少なくない。

 

おい、あれがロリコンじゃないのか?

 

 

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