とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのは編)。 作:SUN'S
ずいぶんと背丈の伸びた地球人の女は俺の妻を名乗り、我が息子の他にも出来ていた小さな光を宿す女の子供を一人で育てていたそうだ。その小さな光を宿す女を見た瞬間、俺の頭の中に存在しない家族との思い出が溢れてきた。
そっと我が娘の頭を撫でる。
かつて光の国の警備隊の隊長の座を巡ってウルトラマンケンと死闘を繰り広げ、強く気高いウルトラウーマンマリーを奪い合った。しかし、俺の求めていた世界は「ここ」にあった。
その事を知ることが出来たのも我が妻のおかげだ。どれほど感謝しても尽きることはないだろう。だが、我が息子は宇宙船を操縦する人工知能を地球人を模したボディへと押し込め、我が物のように侍らせている。
ふん、我が息子も色を知る年か…。
俺の態とらしく呟いた独り言が聞こえたのか、顔を赤くしながら詰め寄ってきた我が息子を見る。俺は機械と付き合おうと何も言わんが、自分の女を奪おうとするものは徹底的に叩き潰せ、そうしなければ簡単に奪われるぞ。
「それってウルトラウ……」
我が妻が俺の思い出したくもない忌々しい過去を口走ろうとした瞬間、そっと口を押さえつけて我が娘の隣に座らせながら「あれは何かの間違いだ。俺の子を産んだお前を裏切るつもりはない」と言い聞かせてる。
あの頃の俺は若さゆえに大事なものを見落としていただけだ。なによりマリーは過去の女で、お前は俺の認めた最高の女だ。
その事実を覆すことは許さん。
なぜか顔を両手で覆いながら「ポポポッ」と言葉を続ける我が妻に首を傾げる。そんな反応を見せるのは初めてだ、なにか気分を害することを言ってしまったか?
そんなことを考えていると我が息子が顎に手を添えながら「これがストロベリーな雰囲気…!」と納得しているが、そのストロベリーとはなんだ。
「ストロベリー、親密な関係の男女の求愛行動を示す言葉の一つ。簡潔的に言ってしまえば男女の求愛行動を隠すために作られた造語です」
カッと眼鏡を外して両目を光らす機械を見る。この我が妻を逃げないように捕まえている行為も地球人では求愛行動になるのか。
「ベリアル、理子が頬っぺた痛いって…」
「そうか」
「むにむにするのはダメですよ…!」
「そうか」
俺の膝の上に座ってきた我が娘の柔らかい顔の肉を引っ張り、いろいろな方向に動かしていると我が妻に怒られた。
いったい、なにが悪かったのだ。
そんなことを考えながら我が息子を見る。そっと顔の肉を隠す真似をするが、お前の顔の肉など触っても硬いだけだろう?
「もう、ママの言うことを聞きなさい!」
そう叫んだかと思えば我が娘を持ち上げ、べーっと舌を伸ばしながらテレビの前に行ってしまった。俺のなにが悪かったのだ。これでも力加減を間違えず、優しく花を慈しむように触っていたぞ?