とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのは編)。   作:SUN'S

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第72話(ジェイル・スカリエッティ)

私は光の国の科学技術を学ぶため、私の作ったモノを自分の子供と呼ぶ菱木祐佳を追い掛け、私はベリアル陛下と出会った。それは劇的な変化をもたらす訳ではないが、彼と言葉を交わす度に惹き付けられるものを感じていたのは確かだ。

 

この果ての見えぬ次元の世界を征服しようと考えたものは幾人もいるだろう。しかし、ベリアル陛下のように実行に移したものは一人もいない。何故かと問われると答えは簡単だ。そんな叶う訳もない空想を思い描くより、真っ当に生きる方が簡単で生きやすいからだ。

 

例えば誰かがベリアル陛下を真似して次元の世界を征服すると豪語したとしよう。その誰もが彼の在り方を真似ることは出来ない。私とてミッドチルダを脅かす悪だったと公言することは出来る。だが、ベリアル陛下のように全ての次元の世界を手中に納めるなど不可能だと断言する。

 

いや、そう断言するしかないのだ。

 

ベリアル陛下は生まれながらの絶対的強者だ。私達がどれだけ頭脳や肉体に優れたとして数万年という永遠にも思える時間を生きることは出来ない。私達はベリアル陛下のように数多の種族を統率する圧倒的なカリスマ性を持っていない。

 

私の生まれてきた理由はクソの役にも立たない薄汚い脳髄を生き長らえさせることではなく、ベリアル陛下のために兵器を作ることだ。そう、その事実を知ることが出来たのも彼女のおかげだ。

 

しかし、その話を語っても彼女は「スカリエッティさん、もしかして擬態化した伏井出さんなの?」と言ってくるのだが、そのフクイデという男の話を聞けば羨ましく妬ましく思えた。

 

私よりベリアル陛下に仕えてきた腹心であり、彼のために死ぬことが出来たのだ。私もフクイデという男のようにベリアル陛下のために生き、この作り物の肉体が糧となれるのならば喜んで捧げたい。

 

漸く見付けることが出来た私の生きる意味をウーノ達に話せば涙を流して喜んでくれるはずだ。そう信じていたが、私を抱き締めて喜びとは違う。哀れみ、悲しみ、その類いの涙を流しながら「死なないで」「生きて」と縋ってくる。

 

私の意思を肯定する。

 

私の意見に賛同する。

 

そうプログラムしていた。それが、どうだ。彼女達を人間のように扱ってきたせいで、私が死ぬ意味を見付けたと分かれば涙を流す。全く以て下らない。お前達は彼女を追って地球へとやって来た。

 

その時点で戦闘機人とは違う。普通の人間として生きる道もあるというのに、私の手元に残ることを選ぶものしかいない。いくらお前達が「私のために」と理由を作ろうとプログラムのバグだ。

 

もう、お前達は自由だ。

 

私に従う必要もなければ私に着いてくる理由もない。お前達の過ごしたいように過ごし、自分の好きになったものを追い求め、彼女とベリアル陛下のように家庭を作ったりすれば良いだろう。

 

そう言った瞬間、ウーノ達の動きが止まった。よく見れば私に縋っていたウーノ達の目の色が金色に変わっている。

 

「ドクター、もう先程の言葉を覆せませんよ?」

 

「それは、どういう意味だ…」

 

「それは直ぐに分かりますよ」

 

私の身体を押さえ付け、そのまま何処かへと運ぼうとするウーノ達を見れば金色の瞳に光は灯っていない。ふむ、不安定な精神状態を安定させるために私を閉じ込めるつもりか。まあ、そんなことで気が済むなら幾らでも繰り返せば良いだけのことだ。

 

 

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