とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのは編)。   作:SUN'S

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第80話(八神はやて)

彼女は私を置いていった。

 

そう思ってたのは自分達の方で、こんな危険なところまで彼女は助けに来てくれた。まあ、多少は強引な方法でダークザギとかいう悪いヤツから引き剥がされたけど。

 

もし、この戦いが無事に終わったら…。

 

菱木祐佳!

 

八神はやて!

 

私の魔法と彼女の光の力を合わせて作り出されたカプセルをスロットに装填し、なのはちゃんとフェイトちゃんの魔法の力を合わせて作り出されたカプセルのトリガーを押し上げる。

 

高町なのは!

 

フェイト・テスタロッサ!

 

二人の持ってる力を注ぎ込まれたカプセルも私達の力を入れたカプセルと同じようにスロットに入れる彼女は呼吸を整えるために息を吐き出し、ゆっくりと力を込めて突き上げるようにデバイスを掲げた。

 

「勇気!」

 

「星光!」

 

「雷轟!」

 

「神秘!」

 

なにも合図されていないのに彼女が叫んだ瞬間、なのはちゃんからフェイトちゃんへと伝わり、最後は私が叫んで拳を突き上げる。今まで練習したことも真似したことものないのに、なんで完璧に合わせられるんやろ?

 

そんなことを考えているとデバイスの光が私達を優しく包み込んでくれる。やっぱり、私は君といるだけで心が温かくなるんよ。

 

トワイライトクイーン!

 

彼女の持ってるデバイスの叫んだ言葉を直訳すると「黄昏の女王」って意味になるけど、私たちって黄昏てるように見えてんのかな?なんて考えながら四人で一緒に同じ構えを取る。

 

まだ、この場所に上手く馴染めてないと思ってたけど。そんなこともないみないやねと思いながら彼女の旦那さんが吹き飛ばされた。あんまり時間を掛けるわけのはダメってことやね。

 

「よっしゃ、最初っから飛ばすでぇ!!」

 

私の掛け声に合わせて頷いてくれる三人は一斉に駆け出したかと思ったらダークザギに紫色のビームが叩き込まれる。なんとなく、こう、感覚的に分かるものなんだけど。今のは私が力んだら頭から飛び出たビームやと思う。

 

つまり、この身体は自分が思ったり考えたりした技や魔法を自由に撃てるわけやね。なんっていう羨ましい体なのだろうか…。

 

そう思ったりしながら私の気付いたことをなのはちゃんとフェイトちゃんに伝える。すんごい表情を浮かべたかと思ったらスターライトブレイカーが機関銃のように発射され、プラズマザンバーブレイカーを模したブーメランがモヒカンみたいなところから無数に射出される。

 

これがやり過ぎに思えるんは私だけなんやろか?

 

私の疑問に答える時間も惜しいと思ってるのか、なのはちゃんとフェイトちゃんは一心不乱に自分の代名詞とも言える魔法を連発している。

 

その後ろで胸を押さえながら呼吸を粗くする彼女の存在に気付いていないのか。それとも手加減せんでもいい相手がいるせいで、そっちに意識が向いてしまってるのか。

 

どちらにせよ、二人とも怖くて恐ろしいわ。

 

まあ、私も初っぱなにラグナロクブレイカーをダークザギの顔面に叩き込んでしまったんやけど。それは出来心というより偶然なんです。あれは決して態とじゃないんです。

 

「これで決める!」

 

「メフィストを返して!」

 

「いや、二人とも落ち着こうな…」

 

「…し…死んじゃう…」

 

なんとか焦点の定まっていない二人を嗜めようと話し掛けながら胸を押さえながら覚束無い足取りで近付いてくる彼女を見る。私のラグナロクブレイカーより威力の高いプラズマザンバーブレイカーとスターライトブレイカーの連発は彼女の身体に負荷を掛けている。

 

たぶん、この一撃で決めないと彼女は倒れて戦うことも出来ずに動けなくなる。そうなったら彼女の旦那さん、もしくは怪獣なのか宇宙人なのか、よく分からない人達に任せるしかないけど。

 

そうなったら只でさえ下がっている管理局の地位は無くなるといっても過言ではない。むしろ彼女のおかげで社会復帰を目指す犯罪者や危険な事件を抑制していた。

 

そのことを忘れていたのか。彼女の悪口を言った管理局の局員の半数は帰宅する途中、誰かに暴行されたり、出勤を拒むほど追い詰められた。

 

「「これでトドメだ!!」」

 

「(もう、なんも言えんよ…)」

 

そっと二人の後ろで胸を押さえたまま動かなくなった彼女から顔を反らし、私達を包んでいた巨人が光の粒子となって彼女の中に取り込まれる。

 

「メフィスト、メフィストは!?」

 

私はフェイトちゃんの叫んでるメフィストって人は知らんけど、その狂気染みた虚ろな瞳で叫んでたら怖くて近寄れんと思うよ?

 

いや、これは私の独り言やで?

 

「ふぇ、ふぇいと、これを…」

 

私の肩を杖代わりに立ち上がった彼女はフェイトちゃんにカプセルを差し出す。なるほど、あのえげつない攻撃の中からメフィストって人をカプセルの中に入れて助けたんやな…!

 

「ああ、私のメフィスト、こんな姿になるなんて、もう私がいないと生きていけないね。ふふっ、安心していいんだよ?私は絶対にメフィストを離したりしないから、そんなに怯えなくていいんだよ?私はメフィストがいれば安心していられるんだ、だから、ずっと、一緒だよ?」

 

私は未だにフェイトちゃんの「これで一緒に居られるね」という言葉が耳の奥から離れません。それと「ずっと、ずーっと、一緒に居ようね」なんて言葉も聞いてません。

 

とりあえず、その後の事は何も知りません。

 

メフィストさんとやら御愁傷様やで…。

 

 

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