とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのは編)。 作:SUN'S
私はベリアル様の忠実な僕として生涯を終えることが出来たかと問われれば答えは否だ。たとえ肉体は朽ち果てようと、私の魂はベリアル様への忠誠心を忘れることは絶対に有り得ない。
あの誇り高き悪の帝王の腹心は私だけだ。その事実を覆そうとする者、あるいは私よりもベリアル様の信頼を得ようと模索する者を許すつもりはない。あの方を支えることが出来るのは私だけだ。
しかし、私はベリアル様の見初めた奥方様を見たことが一度もない。あの方は朝倉リクを製造するため、とある地球人の遺伝子を組み込めと仰っていた。その方こそベリアル様の奥方様に違いない。
この何も存在しない怪獣墓場を抜け出し、私はベリアル様の奥方様へと御挨拶する。これもベリアル様の与えて下さる試練に違いない。
そう考えれば謎の生命体を次元の狭間へと押し戻す瞬間、ベリアル様は「地獄へ落ちようと必ず這い上がってこい。次こそ全ての宇宙を統べるために…!」と言ってくださった。
この伏井出ケイは地獄より這い上がり、必ずやベリアル様のお膝元へとお戻り致します。私は怪獣墓場を徘徊していたキングジョーを解体しながら空を見上げる。ベリアル様と同じ空を見上げ、いつの日か光の国をも打倒する。
そのためにも一日でも早くベリアル様の元へと戻らなくてはいけない。そんなことを考えながらキングジョーを宇宙船に改造していた日のことだ。ふと空を見上げるとベリアル様の気配、それに朝倉リクの気配を感じ、未完成の宇宙船を起動して突撃したという訳なのですが…。
まさかベリアル様に御息女まで生誕されているとは知りませんでした。この伏井出ケイ、無事に地球へと帰還することが出来たならば盛大なパレードを開こうと思います。
「たしかジェイル・スカリエッティだったか?お前は私よりも後にベリアル様の研究を手伝っているそうだが、その程度の技術力でベリアル様を満足させられると思っているのか?」
「私の分野は武器や兵器の製作ではなく、生物学など生命に携わるものなのだよ。もっとも私の発明品より汎用性の低い不格好なものを作ってしまった、それも少し資料を読んだら簡単に出来てしまうほど幼稚なものを造るなんて、私には無理を通り越して不可能だよ」
「それは随分と頼もしいですね。私は生物学など研究する必要もないと考えていましたよ。えっ、その理由を聞きたいんですか?そんなの生き物の体の構造なんて中身を見れば分かるからですよ」
「なにを言うのかと思えば呆れてしまうよ、私達の出生は神秘そのものだ。たとえ人造のものだとしても生きようと歩み続ける、その原動力である『心』というものを解き明かすことも出来ていない現状を打開することも出来ていないじゃないか…!」
私の言葉を聞いて反論を繰り返すジェイル・スカリエッティを睨みながら何度も問答を続ける。まったく、この男は何も分かっていない。
そんなことを考えているとご息女様が首を傾げながら私達のことを見ていた。なんと愛らしく可愛いのだろうか、私の居ぬ間に生まれたベリアル様のご息女様は不思議そうに見てくるだけで、なにも仰って下さらない。
しかし、この伏井出ケイは貴女様のためにもジェイル・スカリエッティを蹴落とし、必ず貴女様を外敵よりお守りする爺やの地位を獲得してみせます。