とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのは編)。 作:SUN'S
π月β日
私の腕の中で眠ったまま動かない理子を抱っこしながら星雲荘の近くを歩いていると「私こそ爺やに相応しい」と言い合っているスカリエッティさん達を見掛け、そっと彼らから離れたところに座る。
いくらベリアルの腹心を名乗っているとはいえ人様の迷惑を考えない人は理子と話したり遊んだりさせるつもりはないですよ?と声を掛けたらお互いの肩を抱き合って「私達は仲良しですよ、なにを言っているんですか?」なんて誤魔化そうとしてきた。
まあ、私はベリアルと仲良くしてくれる人が増えるのも嬉しいので何も出ていけなんて言うつもりはないですけど、ベリアルの名前を使って悪さしてる宇宙人が地球に潜り込んでるんです。
この悪い人を捕まえてほしいってゼナさんに言われたんですが、私は普通の主婦なので危ないところに行くのはベリアルが許してくれないんですよ。あとベリアルが「あいつらに任せればいい」と言ってたので、二人を探してたんだけどさ…。
二人とも大変そうだからリクくん達にお願いしてみるよ。それと自分達は子供の目標となる大人だってことを忘れちゃダメですよ?
偶然にも近くを通り掛かった伊賀栗さんに「す、すごいですね。なんだかベリアルさんと結婚できた理由も分かります」なんて褒められた。
π月Η日
早朝、私はレッキング・バーストを乱発して怪獣を吹き飛ばすリクくんのことを法被や団扇を構えて応援するスカリエッティさん達の知り合いだと思われたくなくて顔を反らしてしまった。
あんな格好じゃなかったら大きな声でリクくんを応援してくれるのは嬉しいけど、あんな痛々しいジードとベリアルの写真を張り付けた法被は恥ずかしいので止めてほしい。
そんなことを考えながら伏井出さんの用意した小さなキングジョーと遊んでいる理子を見る。あのキングジョーは伏井出さんが怪獣墓場を脱出するために解体したものらしいけど。
私は理子と遊ぶ時間が減って悲しい。
まあ、あのキングジョーはお風呂に持ち込めない仕様だって言ってたから理子とは二人っきりでお風呂に入れるので今だけは満足しておこう。
それにしても攻撃手段を持っていないとはいえキングジョーを子供の遊び相手に宛がおうとする伏井出さんの発想は普通に可笑しいと思うんですが…。
とりあえず、私はキングジョーを盗もうとする宇宙人が星雲荘に入ってこないことを祈りながらキングジョーとテレビを見てる理子を写メるので忙しくなりそうだと確信している。
むしろ私は理子の可愛さを世間に知らしめるためにも写真を残すのは当たり前だと思うんだけど、それのなにが悪いのだろうか?
ただ、まあ、私が写真を取りすぎたせいなのか、気が付いたらリクくんのも合わせてアルバムが二十冊を越えるくらい増えてた。
π月∩日
今日から理子はベリアルと一緒に光線技の練習を始めるのだが、私は小学校に上がってからでも遅くないと思うんだよね。
ただ、光線技を子供に教えるのは光の国の伝統的なものなのか、ベリアルが異様に張り切ってるようにも見えるのだ。
そんなことを考えているとリクくんとペガちゃんが危なくなったら直ぐに止めると言ってくれた。うぅ、リクくんは優しい友達を持ってくれてママは嬉しいよ。
あとで二人の写真も取らせてねと言ったら「もう、僕らの写真で本棚の半分が埋まってるからダメだよ」と言われたけど、私は大好きな子供の成長を死ぬまで残していたいのです。
そのためにもリクくん達も私の写真を残すのに協力してくれてもいいんですよ?と言いながら理子の放った淡い紫色の光線の余波を浴びて少しだけ後ろに吹き飛ばされる。
これは、なんて言えば良いのだろうか。
リクくんのレッキング・バーストどころかベリアルのデスシウム光線をも凌駕する破壊力を宿す光線を作ってしまった理子を見る。
私の光線技は威力を抑えるために光線の質量を意図的に変えてるけど、理子の二回ほど衝撃の余波を感じた気がする。
そのことをベリアルに伝えると「お前の光線を制御する技術、それに俺のデスシウム光線の加えたものだ。もっともデスシウム光線の外面は極薄の光線でコーティングしているようだが…」と光線の仕組みを教えてくれた。
成る程、理子は最強ということね。