とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのは編)。 作:SUN'S
⌒月⇒日
私は海上で激しい砲撃戦を繰り広げる二人を見詰めるスクライアさんとアルフさんの隣に立ち、いつでもコスモヒーリングを使えるように手のひらにエネルギーを集めながら空を見る。
海を揺るがす轟音と共に放たれる金色の雷撃を打ち消し、ピンク色の砲撃を受け止め、互いの動きを封じるための拘束すら引き剥がす二人は生唾を飲むほど凄まじい攻防は激しさを増すばかりだ。
テスタロッサさんはデバイスの先端を金色の鎌に変形させ、高町さんも砲撃用の形状にデバイスを変形して何時でも迎え撃てるように構え直している。
次の瞬間と言った方が良いのか。私が瞬きした瞬間には二人とも額を押し付け合う距離でデバイスをぶつけ合い、距離を取ったかと思えば蹴りや拳打を繰り出し、ほぼゼロ距離で砲撃を受けているにも関わらず、そのまま前進を続けながらデバイスを押し退けてパンチを相手の顔に叩き込んでいる。
私の覚えてる限りだと少し前は魔法を撃ち合ったり、魔法のバリアを張ったりと攻撃を防いでいたと思うんだけど。この数時間の内に何が二人をあそこまで変貌させたのか。
私は心当たりも助言した記憶もない。
ただ、なんと言えば良いのか。私を見るスクライアさんとアルフさんの目が可哀想な人を見ているような気がするのは何故なのだろうか?
⌒月₩日
流石に二人とも無事とは言えないけど。私の溜めていたコスモヒーリングで傷は無くなり、テスタロッサさんの後ろにいる人を捕まえるために動き出そうとした瞬間、私だけ窶れた女の人の前にいた。
じーっと窶れた女の人を見ていると身体が浮き上がり、なぜか女の人の後ろを浮きながら着いていくという奇妙な体験に驚きつつ、私の名前を呼ぶ男の人に挨拶しようとしたら電撃が頬を掠った。
今の電撃はテスタロッサさんと同じやつかな?等と考えながら女の人に聞けば「テスタロッサさん?ああ、フェイトのことね…」と納得している。
もしかして、この女の人が黒幕だったりするのかな?そんなことを思いながら玉座の隣を通り過ぎるとテスタロッサさんより小さいけど、テスタロッサさんとそっくりな女の子が水槽の中に入っていた。
ウルトラマンに出てくる怪獣や宇宙人でも分かりやすい実験してるのに、この女の人の考えてることが全く以て一つも分からない。
私の問い掛けにも答えず、そのままテスタロッサさんのことを人形だとか失敗作だとか言い出す女の人の髪の毛を引っ張り、海老反りになるように頭を後ろに振りかぶって思いっきり叩き付ける。
私もくおぉっと叩き付けた額を押さえながら右手を突き出し、まともにチャージも出来ていないフィールウォーマーを女の人に浴びせ、テスタロッサさんに対する嘘偽りない感情を剥き出しにさせる。
ここまでは良かった。
うん、ここまでは良かったと私も思うんだよ?
流石に自分の話してる内容に顔を赤くしながら「フェイトは可愛い!私の自慢の娘よ!いつもキツく当たるのは私が死んだ後に一人でも生きていけるようにするためで、べつに私は貴女が嫌いだから鞭で叩いていた訳じゃないのよ!?」と語り始めたかと思えば、その場に座り込んでプルプルと震えながら顔を隠す女の人を見るなんて想像してなかった。
⌒月₩日
何とも言えない雰囲気の中で、私は未だに顔の赤い女の人に「ごめんなさい、私に出来ることなら何でもします」と言ったら「じゃあ、アリシアを生き返らせなさいよ!」と怒鳴られた。
そのアリシアっていうのは水槽の中に入っている人で良いのかな?と聞けば「そうよ、どうせ貴女みたいな子供には無理でしょうけどね!」と諦めたような声色になる女の人の隣に立ち、アリシアさんのいる水槽へ向けて両腕の突き出す。
私は使ったことのない初めての技だし、成功するとは限らないと言いながらコスモフォースを出し続ける。たぶん、高町さんに使った分を考えると気絶するかもしれない。
アリシアさんにコスモフォースを放ち続けて、五分が経過した頃だろうか?ゴポっと水槽の中で動かなかったアリシアさんの口から小さな空気の泡が漏れ、うっすらと目を開けたかと思ったら水槽の壁に手を添え、水槽の中から出すように身振り手振りで示してくる。
とりあえず、私の上着で良いかな?なんて考えているとアリシアさんが水槽を殴って自力で出てきた。アリシアさんは見た目に反してアグレッシブな人なんだな…。
フラフラとした足取りのアリシアさんに上着を着せて肩を貸しながら女の人の前に連れていこうとした瞬間、私を押し退けて女の人がアリシアさんを力強く抱き締めていた。
まあ、終わり良ければ全て良しってヤツかな?
あとテスタロッサさんは「貴女のおかげで母さんと生きていける。この御恩は必ず、命に代えても果たします」なんて誓わなくて良いよ。
私は大切な人に悲しんでほしくない。
私の中ではテスタロッサさんや高町さん、アースラのみんなも私の大切な人だから怪我したり、傷付いたりするところなんて見たくない。