仮面ライダーデイナ   作:黒井福

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どうも、黒井です。

お陰様でお気に入り登録件数も30件まで来ました。ありがとうございます。


第25話:暗闇から迫るもの

 峰は目の前に居る仁と亜矢をジッと見ていた。

 時間は現在午後の3時過ぎ。この時間は教授の意向で白上研究室は恒例のティータイムとなっている。

 

 なので今は学生は全員作業を止め、談話スペースで教授手製の紅茶で一服している所なのだが――――――

 

「亜矢さん、砂糖要る?」

「ありがとうございます。あ、仁君。このスコーン美味しいですよ」

 

 峰と拓郎の前には、仁と亜矢が並んで座っている。それ自体は何時も通りなのだが、気になるのはその距離感。

 

 昨日からこの2人の距離が矢鱈近いのだ。物理的にも精神的にも。

 この2人は前から確かに仲が良かった。ナチュラルに隣同士で座るし、何だったら普通に一緒に昼食を食べに行く。

 

 だが今の近さはその比ではない。仁の左隣に亜矢が座る形なのだが、一言で言えば密着も同然の近さだった。腕と腕が触れ合い、それどころかリラックスすると亜矢が仁の肩に頭を寄り掛からせている。

 

 こんなのを見せつけられてしまえば、気にならない訳が無かった。

 

「双星さん、随分と門守と距離が近いが何かあったのか?」

「ふぇっ!? あ、いや、その……」

 

 拓郎に指摘され、一気に顔を赤くする亜矢。どうやらほぼ無意識の近さだったらしい。それでも仁から離れることはしないが、誰かに指摘されると恥ずかしいのか顔を赤くして顔を俯かせている。

 

 状況が分かっていない拓郎はそんな亜矢の様子に首を傾げているが、峰がそんな彼の脇腹を小突いた。

 

「ちょっと瀬高君……」

「な、何だ?」

「少しは察してあげてくださいよ」

 

 仁と亜矢の距離が急激に近づいたのは昨日ファッジとの戦いを終え戻って来てから。あれから2人の距離は明らかに近かった。亜矢の方にはまだ恥じらいがあったが、仁は明らかに意図して亜矢に近付いている。

 その事に気付いた峰は、仁が亜矢からの告白に返答し2人が正式に恋仲になった事を察した。

 

 因みに白上教授も気付いているらしい。彼が2人を見る目が前と比べて明らかに温かい。若人2人の恋路を優しく見守っている目だ。

 前途ある2人の未来を優しく見守る紳士っぷりである。流石紳士教授。

 

 しかし拓郎は依然として理解していないのか、はてなマークが見える程の顔で首を傾げている。彼の朴念仁さに峰は堪らず溜め息を吐いた。

 

「はぁ~~~…………」

「おい、何だその馬鹿でかい溜め息は?」

「自分の胸に聞いてみたらどうです?」

「だからどういう意味だ!?」

「分からないなら結構です」

「おい!」

 

 拓郎と峰が揉め始めたその時、突然仁の携帯から着信音が鳴った。仁はジーンズの後ろポケットに突っ込んでいた携帯を取り出すと、ディスプレイに表示されている名前に僅かに視線を鋭くした。

 

「権藤さんから?」

 

 仁の呟きに発信者が誰か分かった瞬間、亜矢も表情を引き締めた。

 宗吾が仁に直接連絡してきたと言う事は、何か厄介な事が起こったと言う事の証拠だからだ。実際先日がそうだった。

 

 仁は紅茶のカップ片手に宗吾からの着信に出た。

 

「はい、門守です」

『門守君か? 突然済まない。実は少し君の知恵を借りたい状況になってな』

 

 話し口が何かおかしい。先日と違ってストレートに戦闘が起こっている訳ではないようだ。だが仁に助力を乞うと言う事は、十中八九原因はファッジによるもの。仁はその確信を持って宗吾に問い掛けた。

 

「何があったの?」

『手短に話すと、恐らくファッジによるものだろう他殺死体が発見された。だがどんなファッジにどうやられたのかイマイチ判然としないんだ』

「そこで俺に知恵を借りようって?」

『そう言う事だ』

「でも警察にはその道のプロが居るでしょ? その人達にも分からなかったの?」

『鑑識は死因や殺害道具、犯人に繋がる手掛かりを見つけるのが仕事だ。だがその犯人が人外で常識外れとなると、彼らにも手に負えない。そこで君の柔軟な思考が必要になる。頼めるか?』

「分かった。今からそっち行くよ」

 

 宗吾から現場の場所を聞くと、仁は通話を切り残った紅茶を飲み干すと荷物を持った。亜矢もそれについて行く。

 

「んじゃ、そういう訳なんで俺達先に上がります。今日は多分もう戻ってる時間無いでしょうし」

「分かった。気を付けたまえよ」

「それじゃ、失礼します」

 

 研究室を出て2人は駐車場に停めてあるトランスポゾンで宗吾から聞いた現場へと向かっていく。

 尚2人が研究室を出るまで、峰と拓郎は依然揉め続けていたので2人が研究室を出ていった事には気付く事は無かった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 仁が亜矢を後ろに乗せトランスポゾンを走らせ十数分、2人は宗吾に指定された現場に到着していた。

 場所は都内某所の地下鉄。入り口は既に警察により封鎖されており、周りには野次馬が集まっている。

 

 思っていた以上の人混みに亜矢が若干辟易した顔をしたが、仁は構わず突き進み警備をしている警察官に話し掛けた。

 

「あの、こちらに権藤 宗吾って人が居ると伺ったんですが?」

「君は?」

「門守 仁。こっちは双星 亜矢。2人が来たって言えば、権藤さんには伝わると思いますけど?」

「なるほど、貴方達でしたか。こちらです」

 

 既に警護している警察官にも2人の事は伝わっているのか、名前を出すとすぐさま2人は通され地下鉄へと入っていった。

 

 2人が地下鉄駅構内に入ると、S.B.C.T.の装備に身を包んだ慎司が2人を出迎えた。

 

「待ってました! 2人とも、こっちです」

 

 慎司は2人をホームへ連れていき、そこから路線内へと連れて行った。どうやら問題が起こったのは路線での事らしい。

 と言う事は被害に遭ったのは地下鉄の職員と言う事か。

 

 外から持ち込まれた照明に照らされた路線を2人が歩いていくと、次第に慎司と同じ格好をした隊員を多く見かけるようになった。

 そのまま更に慎司の後をついて行くと、地面に敷かれたブルーシートの傍に立つ宗吾の姿を見つけた。彼の方も近付く仁達に気付き、手を上げて2人を迎えた。

 

「よく来てくれた。待ってたぞ」

「お待たせ。外、野次馬凄かったよ」

「だろうな。日本で地下鉄が封鎖されるなんて事、そうある事じゃない」

「で、何があったの?」

 

 率直に何が起こったのか訊ねる仁に対し、宗吾は無言で自分の足元のブルーシートを見た。よく見るとそのブルーシート、一部が微妙に盛り上がっている。そこに何があるのかは、最早考えるまでもない。

 

「……見てもいい?」

「あぁ。言っておくが、少し覚悟して見てくれ。ちょっとどころではなくショッキングな状態だからな」

 

 宗吾からの警告に臆することなくブルーシートを取り払おうとする仁だったが、ふと何かを考えるとブルーシートに掛けた手を離し亜矢の方を見た。

 

「え?」

 

 突然視線を向けられ困惑する亜矢に、仁は少し離れるように言った。

 

「亜矢さん、少しの間離れてて。権藤さんがこういうって事は結構グロい事になってるかも」

「仁君…………それなら私が変わるわ」

「真矢さん?」

「仁君、そう言うのは無しよ。私達、そんなに頼りない?」

 

 別に足手纏い云々の話ではなく、仁としては純粋に亜矢が嫌な思いをしないようにと配慮したつもりだった。だがそれが2人にとっては足手纏い宣言してるも同然であると気付かされ、仁は肩を竦めると頬をかきながら己の浅慮を恥じた。

 

「……ゴメン」

「分かればよろしい」

「じゃ……いくよ」

 

 気を引き締め、覚悟を決めて仁はブルーシートを外した。

 

 途端に広がる死臭と血の匂い。仁は僅かに、真矢は盛大に顔を顰めた。内面に引っ込んだ亜矢は、真矢が代わってくれたことに感謝した。自分が表に出ていたら、最悪吐いていたかもしれない。

 

【ゴメンね、真矢……うっ!?】

「(気にしないで。亜矢は難しい事気にしなくてもいいから)」

【真矢――?】

 

 感謝すると同時に、真矢に厄介事を押し付けるような形になった事を謝る亜矢だが真矢は全く気にした様子がない。寧ろこれが当然だと言うようにも捉えられる真矢の様子に、亜矢が内面で首を傾げる。

 

 それを横目で見つつ、仁は外気に晒された遺体をじっくり眺めた。

 

 酷い有様の遺体だ。体の大部分が欠損している。頭も左腕も、下半身も無い。

 これだけでも人の死に様としては十分異常だが、何よりも気になるのはその傷口だ。

 

 鮮やかな傷口。まるで鋭利な刃物で切り裂かれたかのような滑らかさは、臭いが無ければ人の死体とは思えない程である。

 

 これは明らかに人の手によるものではない。ファッジ以外に考えられなかった。

 

「ふむ…………」

「凄く滑らかな傷口ね。一体どうやったらこんな傷になるのかしら?」

「蟹とかの鋏じゃこうは無理……と言いたい所だけど、ファッジなら何でもありな気がするのがなんともなぁ…………」

 

 ファッジになると、元となった生物の能力は大幅に増強され本来のそれとは異なる力を発揮する事がある。

 例えばマンティスファッジだが、あれの元となったカマキリの鎌は本来獲物を捕らえ押さえつける為の物であって切り裂くと言ったことは出来ない。しかしマンティスファッジの鎌は明らかに敵を切り裂く刃物としての能力を持っていた。

 バットファッジの超音波だってそうだ。自然界に居る蝙蝠が、超音波で獲物を探知するならともかく超音波自体を武器にして獲物を捕らえるなど聞いたこともない。

 

 この遺体を作り出した犯人も、そうした常識から逸脱した能力を持った何者かによるものの可能性が高い。こうなるとどんな相手で、どんな能力を持っているかを予測する事は絶望的だ。

 

「ん~…………ん?」

 

 悩む仁だったが、ここで彼はある事に気付いた。

 仏となった死体は服装から地下鉄の整備の作業員である事が伺えるが、彼らは通常1人で行動しない。他にも仲間の職員が居る筈だ。

 その人達はどうなったのか?

 

「ねぇ、この人の仲間ってどうなったの?」

「仲間?」

「この人、整備の作業員でしょ? こういう人たちって基本チームを組んで動くものであって、単独行動はしないんじゃないの?」

 

 宗吾は仁の洞察力に驚いた。彼の言う通り、この亡くなった作業員と同時に行動していた作業員は存在する。ただし、彼らは一切の痕跡も残さず音信不通となっていたのだ。

 

 遺体も遺留品も無しに姿を消した作業員の事を今この場で告げても混乱するだけだろうと言う事でその事についてはまだ話していなかったのだが、その事をズバリと言い当てられた事に宗吾は自分がまだまだ仁を甘く見ていた事に気付かされた。

 

「確かに門守君の言う通り、他にも連絡が取れなくなった作業員は居る。だが彼らに関しては一切の遺留品が見つかっていないんだ」

「遺留品がない? 遺体も見つからなかったの?」

「あぁ。唯一見つかった痕跡がこの遺体という訳だ」

 

 宗吾の話に、仁は違和感を覚えずにはいられなかった。そもそもにしてファッジがこんな部位の欠損した遺体を残す理由が分からないのもそうだが、この遺体だけ残して他の作業員は何処へやったと言うのか。

 

(鋭利な切り傷…………欠損部位…………消えた遺体…………ん? 待てよ? 何かこんな事する奴居たな……)

 

 記憶の本棚を片っ端から漁り仁は該当する生物を検索する。しばし考え、そして彼は思い出した。こう言った感じの捕食後を残す生物を。

 

「あ、思い出した。これオニイソメだ」

「オニイソメ? 何、それ?」

「一言で言えばゴカイの仲間だよ」

 

 オニイソメ…………海底に生息する多毛類である。海底の土に長い体を隠して5本の触覚で獲物を感知し襲い掛かるミミズの様な奴だ。最大の武器は鋭い牙とその速度。恐るべきことにオニイソメはその牙の速度で獲物を捕らえるだけでは飽き足らず、綺麗に両断してしまう事もあるのだ。

 寿命が長い事でも知られており、長く生きている個体の中には3m近くまで成長する事がある。

 

「……つまりこの作業員の遺体は、そのオニイソメの能力を持ったファッジによるものだと言う事か?」

「実物を見てないから確証はないけど、でも状況的にはありえるかも。この欠損した体も、仕損じて切断されたと考えれば納得できる」

「……でも、だとすれば何でこんな死に方……って言うか殺し方をしたのかしら? 他の作業員は全身持っていったのに?」

「最初に片腕、次に下半身。瀕死の体を引き摺ったところで頭を持っていかれたんだろうね」

 

 この作業員が最初の犠牲者か最後の犠牲者かは分からないが、じわじわとなぶり殺しにされる恐怖は如何許りだったか。全身一気に持っていかれた作業員の方が、もしかしたらまだ幸運だったかもしれない。一思いに死ぬことが出来たのだから。

 

「さて、となると何処かにそいつが出入りした穴がある筈だけど……」

「ファッジって素体人間でしょ? そんな穴あるの?」

「オニイソメ、と言うかゴカイ系の奴を基にした遺伝子の奴ならあってもおかしくないと思う」

「あ~……それってもしかして、あんな奴か?」

 

 仁と亜矢が周囲を見渡してそれっぽい穴を探していると、宗吾が徐に上を指差した。2人がその指の差す方を追って上を見ると、そこには明らかに不自然な穴が開いている。あれが件のファッジ――名付けるならボービットワームファッジだろうか――が出てきた穴だろうか。

 試しに仁がライトを向けて穴の中を照らしてみるが、穴の中には何も見えない。

 

 天井に空いた穴を見て、仁が顔を顰める。今回はちょっとマズいかもしれない。

 

 まず第一に、今回のファッジはかなり凶暴だ。人間性が低く獰猛で、恐らく人間を食料にしてエネルギーを得ている。それが生存の為か戦いの為かは分からないが、とにかくそいつは今後も人を襲う。今はまだ地下鉄の路線内と言う限定的な空間でしか被害が発生していないが、これが地上で起こるようになると被害は加速度的に大きくなる。想像するだに恐ろしい。

 

 第二に、ボービットワームファッジは元のオニイソメと比べて能力が大幅に強化されている。足元どころか天井にまで潜むことが出来るとなると、陸上でありながら奴は何処にでも潜むことが出来てしまう。それはこの地下鉄の路線と言う上下左右360度全てが敵のフィールドになってしまうと言う事。このまま戦うのはむざむざ敵の懐に飛び込むも同然である。

 

 そして最後――仁としてはこれが最も警戒すべき事と認識している――は、このファッジは人間性が低いくせしてなかなかに頭が回ると言うところであった。通常オニイソメは一度狩場を設定するとそこが荒らされるとかしない限り移動する事は無い。元々移動には適さない体だからだ。

 だがこのファッジは、人間の体を素体として優秀な頭脳を手に入れたからか、確実に自分に有利な状況でのみ攻撃を行おうとしている様に仁には見えた。

 

「…………権藤さん、部下の人達はこの先に展開してるの?」

「ん? あぁ、もしかしたら連絡が取れない作業員の生き残りやファッジ本体が見つかるかもしれないからな」

「直ぐ引き上げさせて。今回のファッジは何時も以上に一筋縄じゃ――――」

 

 仁が全てを言い終える前に、彼らの耳に立て続けに銃声が響いた。それが何を意味しているか、分からない程この場の3人はぼんやりしていない。

 

「遅かった」

「くそッ!?」

 

 急いで路線の先に向けて駆ける3人。

 まだ照明が設置されていない路線は暗く、彼らは手に持ったライトの光を頼りに足元と先を照らす。

 

 まだ銃声は響いているが、同時に怒号と悲鳴も聞こえてきた。どう好意的に見積もっても押されているのはS.B.C.T.の方だ。3人は走る速度を上げる。

 

 だがその時、唐突に銃声が止んだ。声も聞こえない。3人が嫌な予感を感じて先に進むと、足元にライトが落ちているのが見えた。

 近付いてみると、それはS.B.C.T.の正式装備となっているライフル『ガンマカービン』だった。スコープのガンマライフルの簡易量産版、そのオプションとして取り付けられているフラッシュライトが光っていたのだ。

 

 銃は落ちているが、肝心の隊員の姿は見当たらない。3人は周囲を警戒した。

 

「……オニイソメはどんな狩りをするんだ?」

 

 宗吾がスコープドライバーを装着しながら問い掛ける。仁はデイナドライバーを腰に装着しつつ、それに答えた。

 

「海底の砂の中に潜って、獲物が傍に寄るのをじっと待つんだよ。それで獲物に鋭い牙で食らい付くと、そのまま砂の中に引き摺りこむんだ。ただその時の攻撃の速度と牙が鋭すぎて、偶に獲物を真っ二つにしちゃうんだけどね」

「なるほど……だがここは周囲をコンクリートで固められた地下鉄のトンネルの中。隠れ潜むには少し適さないんじゃないか?」

「そうは問屋が卸さないみたいよ」

 

 真矢が照らす先には、壁や天井に空いた無数の穴。どれもこれもが人間1人を引き摺りこめるくらい大きく、内幾つかは穴から血が滴っていた。

 それを見て仁と宗吾も顔を顰めた。

 

「お、おいおいおい!? あれ全部がファッジの出入りする為の穴か!?」

「…………オニイソメだけじゃない」

「何だと?」

「またベクターカートリッジを二つ使ってるって事?」

 

 一目見ただけであの光景を作り出したファッジが二つ以上の遺伝子を用いている事を見抜いた仁。真矢が彼の予測に思わず壁に空いた無数の穴から目を離した。

 

 その瞬間、穴の一つから牙の生えたミミズの様な物が飛び出し真矢に襲い掛かった。目を離していた真矢はそれに対する反応が遅れた。

 

「あ――――!?」

「真矢さんッ!?」

 

 突然の事に体が動かない真矢を、仁が突き飛ばし庇った。代わりに壁から飛び出したそいつの牙は、仁の脇腹を大きく切り裂いた。

 

「ぐ、あ――――?!」

「仁君ッ!?」

「く、変身ッ!」

〈Access In focus〉

 

 脇腹から血を流し倒れる仁に真矢が駆け寄り、宗吾はスコープに変身して壁から出てきたミミズをガンマライフルで蜂の巣にしていく。余り頑丈ではないのか、ミミズの体はあっと言う間に穴だらけになり悲鳴を上げながら引っ込んでいった。

 スコープはそのままミミズが引っ込んでいった穴に銃口を向け、次の攻撃に備えた。その間に真矢は仁に声を掛け続ける。

 

「仁君、仁君大丈夫!? しっかりして!?」

「だ……だい、じょうぶ……くっ!? これ位なら、まだ……」

 

 そうは言うが、切り裂かれた脇腹からは血が流れ続けている。このままでは仁の命が危うい。

 急いで治療を施す必要があると真矢が仁を移動させようとした時、スコープの口から焦りの声が上がった。

 

「おいおい、マジか!?」

「え!?」

 

 何事かと真矢がスコープの方を見ると、そこには信じられない光景が広がっていた。

 何と壁にある無数の穴から次々と牙の生えたミミズが姿を現したのだ。スコープが片っ端から撃って引っ込めさせるが、引っ込んだ先から次のミミズが姿を現すのでキリがない。

 

 次々と襲い掛かってくるミミズに、銃では対処が間に合わないとスコープは盾から『ボルテックスブレード』を展開。近くまで寄ってきたミミズを片っ端から切り裂いた。

 

【このままじゃキリがない。真矢!】

「言われなくても分かってる!」

 

 このままではマズいと、真矢もデイナドライバーを装着しルーナに変身しようとする。

 

〈CAT Adaptation〉

 

 アダプトキャットにキャットベクターカートリッジを装填しドライバーに装着した。その電子音声が響いた瞬間、地下鉄の天井が崩れた。あのファッジがトンネルのあちこちに穴を掘って脆くなっていたのだ。

 

 ミミズ達は一斉に穴の中に逃げ込み、スコープも後退し崩落から逃れた。が、仁は脇腹の怪我の所為で満足に動くことが出来ない。動きの鈍った彼の上に、無数の瓦礫が降り注ぐ。

 

「仁君危ないッ!?」

 

 真矢は変身するよりも先に仁を助ける事を優先し、崩落する天井の下に居る彼に抱き着くとそのままトンネルの奥へ向かって飛び込んだ。その直後、2人の背後を崩落した天井が塞いだ。

 

「門守君!? 双星さん!?」

 

 2人と分断された事に、スコープが塞がれたトンネルに近付き声を掛ける。だが向こう側からの返事は無い。

 思わずスコープは行く手を阻む瓦礫の山を殴った。スコープのパワーを以ってすればこの程度の瓦礫を撤去することなど造作もない。だがそれは更なる崩落を考慮しなければ、だ。こんな状態で無理矢理瓦礫を撤去すれば、更なるトンネルの崩落を招きかねない。

 

 しかも更に悪い事に、崩落が落ち着いたからか再びミミズが現れ攻撃し始めてきた。崩落の音を聞いて他の隊員が応援に駆けつけてきてくれたが、こいつらを何とかしなければ仁達を助けるどころではない。

 

「くそっ!? 頼む2人共、無事でいてくれ――!」

 

 スコープは仁と真矢が崩落から逃れた事を信じて、ボービットワームファッジのミミズに向け引き金を引いた。




と言う訳で第25話でした。

晴れて仁と亜矢が恋仲となったので、イチャつく頻度が跳ね上がります。2人の周りではコーヒーの消費量が倍増するでしょう。

スコープの装備は一部が簡易量産されてS.B.C.T.の隊員に支給されています。スコープ自体の量産計画も進行しているので、その内2号機とか簡易量産版スコープが登場する予定です。

それとお知らせですが、前々回の更新後くらいにR-18版の投稿を始めました。本編の裏だったり、少し未来の話になりますので興味のある方はご注意ください。

https://syosetu.org/novel/260388/

執筆の糧となりますので、感想その他よろしくお願いします!

次回の更新もお楽しみに!それでは。
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