転生して逆行した結果人生イージーモードだった   作:紺南

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1話

空を飛び、炎を吐いてくる異世界在住の火竜さん。

現在、俺の隊と全力戦闘中。

 

「くそ! なんだあのドラゴンは!?」

 

隊長が忌々しそうに言うがいくら言っても状況変わらず。

竜は嬉しそうに火を吐いてくる。

 

「くっ……。おい、ライ! あの炎何とかならんか!?」

 

「え、無理ゲ」

 

喋っている間にもすぐ横を火竜の吐いた炎が通過。

石が溶け、溶岩に。

……。

 

「無理ゲ」

 

「二回も言わんでいい!!」

 

涙目の隊長が怒鳴る。

生きるか死ぬかの瀬戸際。焦る気持ちはわかるが落ち着かなきゃいかんよ。死ぬよ。

 

他の隊員たちが魔法を放つも空を高速で自在に飛ぶ竜には当たらず。むしろ竜に自分の居場所を伝えている。

いよいよ絶望がこんにちは。このままでは全滅するしかない。いや、身を隠してたら何とかなるか? でもそれで生き延びたらお前は何やってたんだとか言われそうだしな。

とにかく全滅は嫌なので岩陰に隠れながら策を練る。

 

閃いた。

 

「隊長!」

 

「なんだ!」

 

「俺が仕留めるので囮になってください!」

 

「お前は俺に死ねと言ってるのか!?」

 

「あんな高速で移動してるのに魔法ぶつけるには何かに集中してもらわなければ……。

それに隊長は部下を死なせて自分は生き残るか、自分が死んで部下を生き残らせるか、どっちがいいですか!」

 

「お前を生き残らせるぐらいなら全員道連れだ!」

 

ひどい。この人本当に隊長か? 責任どこいった。

しかし嫌だ嫌だと言ってる間にどんどん追い詰められていく。具体的には何人か溶けた。

 

「隊長!」

 

「ぐっ……! くっそおおおおお!!!!」

 

岩陰を飛び出す隊長。後を追うように俺も飛び出す。

 

「ステルス」

 

気配や匂い、姿を消す魔法を使い走る。

 

「かかってこい、ドラゴン風情が!!!」

 

囮の役割を見事に果たしてくれている隊長に感謝して銃型のデバイスに魔力を溜める。

 

「うりゃあああああああああああ!!!」

 

爪で引き裂こうと突っ込んできた竜に隊長が一太刀浴びせるのを横目に見ながら術式を組み上げ空へ。

怒った竜は隊長に夢中。

 

「ぐううううううううううぅぅぅぅぅ!!!」

 

隊長が炎を真っ向から受けてるのを確認。

長くはもたないだろうと気づかれないように素早く、慎重に近づく。

 

「ぁぁぁあああああ!!!!」

 

隊長の声を聞きながら魔法を放つ。俺の使える魔法の中で一番威力の高い魔法。

 

「ムーンレイ」

 

ほぼゼロ距離で放った魔法は竜の腹に風穴を開ける。俺も余波を受けて少し吹っ飛んだ。

竜はこちらに爪を伸ばしてきたが届く前に地面に落下した。

 

 

時折びくんびくんと動いているのでまだ生きているのだろう。しばらく近づかないでおこう。

痛々しい竜から目を離し周囲に目を向けるともっと痛々しいものを発見した。

 

「隊長」

 

「ぐ……。あ……」

 

竜のブレスで痛々しい姿の隊長。結局炎を最後まで受けきれなかったのか。よく生きてたな。

しかし今の状態を見る限り助かる見込みはなさそうだ。辛うじて生きてる状態だな。ていうか生きてるだけで辛そうだ。かわいそ。

 

「隊長、なにか遺言があるなら聞きますよ」

 

「あ、あ……」

 

喉をやられたらしい。出てくるのは意味をなさない言葉ばかり。

 

「あ、く」

 

「うん?」

 

口に耳を近づけて聞き取ろうとする。

 

「くそ……った…れ」

 

「……」

 

それが隊長の最後の言葉だった。ていうか家族になんかないのか。奥さんいるだろ、三歳になったばかりの息子はどうした。

最後の最後にそれかよ。

まあらしいっちゃらしい。

 

 

隊長の遺体を運ぶ。生き残った奴らも回集し帰投の準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライ」

 

呼ばれた名前に振り返ると年上のくせに俺と対して背が変わらない男の子がいた。

 

「よう。ご無沙汰」

 

「ああ」

 

二人並んで艦を歩く。

しばらく沈黙が場を支配していたが暫く歩いてようやくクロノが口を開く。

 

「聞いたぞ、ラッセル三尉が……。残念だったな」

 

 

「まあ、尊い犠牲だったな」

 

隊長の最後を思い出す。竜に一太刀浴びせて怒らせて全力のブレス食らってたな。

それさえなければ生き残れたんじゃなかろうか。

恨みごとを言いながら全力で囮の任を全うしてくれた。感謝感謝。

 

「惜しかったなあ。今回の任務を無事果たせていれば昇格できたんじゃないのか」

 

「そうかもしれないな」

 

妙に暗いクロノンがツボだ。ここでいじるのもいいが今はやめとこう。

それよりも、

 

「俺また異動になりそうだ」

 

「……またか?」

 

「おう」

 

異動に次ぐ異動でもう何回目か分からないぐらい異動している。

この無駄な異動ラッシュは何なのか。もしかしたら人事部に俺に対してツンを発揮してるご淑女が?

これはまた人事部に手土産もって挨拶に行かねばならんな。

 

「まあ最近変な異名付いたししょうがないかもしれないなあ」

 

異名を聞いた時は噴き出した。そんな厨二な異名いりません!

 

「次はどこに配属されるのか、楽しみだねえ」

 

「君ならどこでもうまくやるだろう」

 

「もし一緒になったらその時はよろしくね! クロノン!」

 

「……」

 

返事はなかった。これが噂に聞くツンデレか……!?

 

「ツンツンしちゃってー。デレを見せろよデレを」

 

「君が何を言ってるのか、時々わからなくなるな……」

 

ツンデレ君をいじりながら進む。目指すは人事部。手土産は何がいいかなあ。

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