目が覚めたら医務室だった。
な、なにを(ry
結局、負けてしまった。
幻術、ステルス、収束砲撃。持ってる手札を惜しみなく使ったが時間稼ぎぐらいにしかならなかった。
悔しいです。
ていうか援軍がいくら待っても来なかったんだけどなんなの? 通信妨害されてたから普通もっと急いで来てもおかしくないよね? 俺の安否はどうでもよかったの?
「どうなの?」
「それぐらい減らず口が叩けるのならもう心配はいらないな」
クロノンに文句を言ってみると出てきたのはブラックな一言だった。
クロノンにブラック企業社長の素質を垣間見た瞬間だった。俺、こんな上司のいる職場じゃもう働けません! 近いうちに辞めさせてもらいます。
「んで? 俺結局蒐集されたの?」
「いや、蒐集はされていない」
されてないんだ……。
「君が倒れてすぐ増援が到着してね」
「でも逃がしたんでしょう?」
「まあ……」
「ちっ、役に立たねえな」
途中から三対一になってもなお諦めなかった俺を少しは見習え。
「で、あのチビ百合二人組はどうなったの?」
「……なのはとフェイトのことか?」
「うん」
「……二人はすぐ本局に運ばれた。心配ない、むしろ前より魔力総量が増えたぐらいだ」
え、蒐集されたら魔力量増えんのか。俺も蒐集されたらよかったな……。
「おっけー。んじゃあ、俺もうちょい寝るから。ほら邪魔人は帰った還った」
「言われなくとも帰るさ」
クロノンの背中が自動ドアの向こう側へ消えるのを見送り、布団にくるまる。
目を閉じて、瞼に浮かぶのはヴォルケンリッターの姿。
あの戦闘が何回も何回も頭の中で再現されている。
それを使って、イメージトレーニング。
戦闘中に打った悪手に、改善点を見つけて修正する。もっと強くなるために、次に戦う時負けないために。
何度も何度も同じことを繰り返す。
『観測地点にて魔力反応。結界の発生を確認!』
『術式は……、エンシェントベルカ!』
「現在滞在中の隊員4名で包囲。結界破壊工作中なんですが……」
結界に向かって魔法を使っているのか何かびりびりしてると電気が走っている。その様子は見てる分には飽きない。
しかし、結界は破壊されるどころかびくともしていない。また魔力量の差が遺憾なく発揮されているのか……。
「そんなわけで結界破壊できましぇ~ん!」
『黙れ』
「うす」
通信越しでも分かる確かな怒気。最近クロノン機嫌悪いのよね。
「ていうかどうする? 俺一人で突撃しちゃう? この間の二の舞になりそうだけど」
『―――いや、いい』
「んー?」
『なのはとフェイトがそっちに向かった』
「あーはいはい」
上空から転移反応を確認。見上げてみると、百合っ娘たちがバリアジャケットも着けず、スカートで高度数百メートルからスカイダイビングしていた。
せめてバリアジャケットは着ておいでよ。
そのまま二人は結界を突破して中に入って行く。
『艦長は二人に任せて君は君の仕事をしてくれ』
「はいよ」
艦長……。言いたいことはたくさんあるが、勝手なことをした罰は後で受けてもらいますね。
「よーし、俺あっちの方に行くから引き続き結界の破壊工作お願いね」
「わかりました!」
良い返事を背中に聞きながら移動。
ほんの少し移動し、目標を発見。
目標、結界の外で結界の維持に専念していたシャマルさん。
「はーい、お元気?」
「……ええ」
「そかそか。じゃあちょっとあっちでお話聞かせてもらえるかな」
「……」
「大丈夫大丈夫。変なことしないよ、ちょっと知ってること全部吐いてもらうだけだよ」
ホントダヨー?
「ま、力尽くにでも来てもらうけど」
言い終わる前に糸が飛んでくる。
これ縛るだけでなく切断することも出来そうなので躱しておく。
「じゃ、戦闘開始ってことで」
攻撃されたことで大人しくする気がないことは分かったからちゃっちゃちゃっちゃと進めよう。
今度は負けねえ。