ですのでまず8話からどうぞ。
「ちぃ!」
魔力糸が幾重にも襲い掛かってくるのを見て、つい舌打ちを漏らす。
この糸うぜええええええええええええ!!!
「おとなしく捕まりやがれ!」
「お断り、よ!」
魔力弾を撃って、ダメージを与えようとするが腐ってもヴォルケンリッター。
中々に抵抗してくる。
「支援職のくせにぃ!」
「支援職を舐めないで!」
支援職は大切ですよね。分かってます。
「でもやっぱり邪魔ああああああああああ!!」
あっちは紐で俺を絡めとろうとしてくるが、俺はバインドで縛ろうとする。
SとS。反発必至。仲良く出来そうにないな。
「あー、くそ」
「はあ、はあ……」
しかし本当にしぶとい。
このままじゃ時間切れになりそうだ。仕方がない。
「なあ、おとなしく捕まってくれない? 本当に事情が聞きたいだけなんだよ」
「……」
「別に変なことしないし、なぜこんなことをするのか知りたいんだよ」
「……」
「そっちにだって何か事情あるんだろ? 手伝えるかもしれない」
どうだこの説得力。凄まじいものがあるね。俺がこんなこと言われたらイラッと来て罵詈雑言の嵐だよ。
主にどこかの誰かさんの引用だけれどさ。
しかし、敵もさる者。かの魔王の説得をもってしても揺るがない。
「ごめんなさい」
ただ一言謝って、それでもその瞳は前を向いている。
教える気はないと。まあそれならそれでいい。
「話し合うだけ無駄だったな」
遠くの方にクロノンを先頭にして局の応援が見える。
これで、少々手荒くなるかもしませんが捕まってもらいましょうか。
「ジ・エンドだな」
「……く」
勝ち誇って見下していると夜天の書がパラパラとめくれ始めた。
んー?
「仕方がないわね」
シャマルは息を深く吸い込み、通信を開く。
『みんな、結界内に広範囲魔法を撃つわ。その隙に撤退を』
おいおい。
「させると思ってんのか!」
速攻で近づいて銃床でぶっ叩きに行く。しかし、
「リングバインド」
夜天の書が一人でに魔法を使い始めたのにびっくりする。
ちょ、おま!
「闇の書よ 守護騎士シャマルが命じます
眼下の敵を打ち砕く力を 今ここに」
「待って待って、話し合おう? 話し合おう? やばいやばいそれやばい」
詠唱を聞きながらバインドを壊そうとするがまったく壊れない。
リングバインドって、基本的な捕縛魔法のはずなのに、何これ凄く堅い。
「撃って! 破壊の雷!」
「ああああ!?」
結界の中に放たれた魔法は凄まじい威力で、攪乱には十分だった。
おのれ……!
「せめてこの支援職だけでも……!!」
そうは思うがバインドがなかなか壊れない。
ていうかいつの間にかあやつの姿が見えない。どこへ行った。
『クロノンクロノン逃がした逃がした』
『わかってる』
分かっているらしい。ちくしょう。
「逃がした」
誰に言うでもなく、一言つぶやき、結界があった場所に目を向けてみる。
そこでは百合百合娘ズと犬っころが、何をするでもなく浮いていた。
どうやらあちらも逃がしたらしい。
今はクロノン達が追跡しているが多分無理だろう。経験値の差を舐めちゃいけない。
無駄に年食ってないさ、あいつら。
無駄に快晴な空を見ながら、二度目の敗北をかみしめた。