転生して逆行した結果人生イージーモードだった   作:紺南

15 / 35
15話

ふわふわと浮かび、お互いに相手の動向を伺う。

俺はすでにダブルバレットで銃を二丁持っており、いつでもかかってこいやの態勢だ。

 

しかし、管制システムは目の前でふよふよするだけで一向に近づいてこない。

ちょっと? 攻撃しに来ないんですか? そちらが先に動いてくれないとこちらとしても動きにくいんですが。

 

困ったわー。

 

仕方がないので先制することにする。相手の手札がわからないからあまり攻撃をしたくはないが、仕方がない。あまりのんびりしてたら地球がなくなる。

 

しかし、攻撃する前に少し高町なのはにコンタクトをとることにする。

 

『俺攻撃しかけるんで援護よろしく』

 

『あ、はい』

 

よし。さてさて、

 

「先手必勝!」

 

ファイト一発。全力で行く。

まず、先ほど魔力弾を撃ち込んだ際に発動条件を満たした幻覚を使う。

 

これにより、奴には俺が分裂したように見えていることだろう。

だが、それは幻覚。俺は分身も分裂もしてはいない。

 

「どぅはははは!」

 

「俺たちのどれが本物か!」

 

「はてさて、見分けることが!」

 

「できるかな!?」

 

現実に声を出している訳ではないが、闇の書と俺の二人っきりの世界で俺はこのようなことを言っている。

どこの悪役だよ。

 

「くだらない」

 

ちなみに、闇の書の感想はこの通り。おや、これはまた随分余裕ですね。俺としては冷や汗もんです。

攻撃を仕掛ける前に、再度高町なのはへ目配せして、突っ込む。

 

「さっき海に潜らなきゃいけなかった俺の恨みを直にくらえやああああ!!」

 

多少の私怨を交えて殴りに行く。くらえや男女平等パンチ。

 

幻覚発動中で、絶対届くと思ったその拳は、しかし当たる直前に防がれた。

 

「その程度の魔法で私を欺けると思ったか」

 

「いや、全然」

 

そんなこと全然思ってませんよ。ただ少しばかり解析して術破るの速すぎやしませんかね。

 

「お前も、眠るといい」

 

「悪夢はもうお腹いっぱいなんだ。ごめんよ」

 

そう言って、本命の幻影を解除する。

突如消えた俺に、闇の書は目を丸くしたが、

 

「ディバイン……!」

 

「そういうことか」

 

高町なのはの魔砲を見ると納得がいったように元の無表情に戻った。

 

「バスター!」

 

高町なのはが放った砲撃は、当たり前のごとく防がれる。

さらに、ステルスで背後に回り込もうとしていた俺をバインドで絡めとり、そのまま高町なのはの方へ放る。

 

「いて」

 

「あいた!」

 

砲撃を撃っていて身動きが取れなかった高町とそのまま衝突。あーん、この石頭。

 

「二度も同じ手をくらうと思うな!」

 

痛みに悶える暇もなく、闇の書は襲い掛かってくる。

即座に散開し、念話で意思疎通。

 

『やっぱ無理だったわ。ごめんね! てへぺろ!』

 

『うわぁ……。変な顔をしてる仮面さんが想像できました』

 

別に変な顔をはしてないけどな。見る人いないし。いや、目の前で拳振りかざしてる管制システムはいるか。

 

『しかし、二度同じ魔法が通じないと言うのはわかった』

 

『なにか作戦はあるんですか?』

 

空飛ぶ赤いナイフを迎撃しながら念話を続ける。

作戦も何も、

 

『僕、正直これ詰んでると思うんだ』

 

『え、諦めるの?』

 

『いや』

 

諦めはしないけどさ。

でも、ステルスと幻惑系封じられたのは痛いね。奥の手もないことはないけど、どうしようか。

残り魔力量も心もとないし、使うなら早く使わないと。

 

しかし使おうにも闇の書の猛攻は治まらない。あ、高町なのはが吹っ飛ばされた。

 

「少しはおとなしくしてもらえませんかねえ。考え事の一つもできない」

 

ショットガンシェル、の呟きと同時に俺のデバイスから発射される魔力弾が散弾状へと変化する。

そして、さっきまでとは違う無数の細かい銃弾が障壁の上から、闇の書へ襲いかかった。

威力の方はお察しだが、突如変化した攻撃にいかに闇の書といえども一瞬怯まざるを得ない。

 

「デュアル! フォームチェンジ!」

 

その隙を突き、デバイスの名前を叫んで奥の手を開帳しようとするが、

 

「お?」

 

がしゃん、と何かを噛んだ音と共にデバイスの変形が止まった。

適当に振ったり叩いたりしてみるが、動かない。

自作デバイスで古い型だから、先ほどこれで攻撃を受け止めた時にでもどこか壊れただろうか?

いや、でもショットガンシェルは使えたよな……。

 

「仮面さん!」

 

高町なのはの叫びに顔を上げる。こんなことしてる場合じゃねえ。

 

視界を満たす桃色。高町なのはのディバインシューター。

反射的に障壁を展開し防御。

 

ピンク色の魔力光が辺りに巻き散らかる。何か嫌な色。次いでとばかりに嫌な予感。

とりあえず、こんな所に一人で居られるかと脱出を敢行。しかし予想通りと言うか、異常なスピードで接近され、捕まった。

 

「いやん」

 

「お前も私の内で眠るがいい」

 

何それなんか卑猥。しかし現在ヘッドロックを決められている状態でそんな事を言われていて。

これはどう考えても死の宣告です。本当にありがとうございました。

 

「体が消えてくとか何それ怖い」

 

大して抵抗も出来ず体が塵と消えていく。正確には光の粒だ。

魔力として分解されているのか何なのか知らないが、蒐集を極めるとえげつないことが出来そうだな。

 

そんなことを思いながら、意識がどこかへ飛んでいった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。