第一管理世界ミッドチルダ首都クラナガン。
そこに何でも屋の皆さんが居座っていらっしゃると聞いたので聞き込み中。
「で?」
「ほ、ほんとに知らないんだ! 本当だ!」
「ほーう」
銃型デバイスをごりっと眉間に押し付ける。顔を真っ青にして必死に否定しているが、さてさて。
本当に知らないのかな?
「まあいいや」
判断に迷ったが、結局諦めることにした。知っていても、知らなくても、これ以上は時間の無駄だろう。次行こ。次。
店の外に出て、通信を開く。
内容は、そこの所の居酒屋で武装集団を見つけたので殴っといた。捕まえに来いというもの。半分嘘で半分本当。
局員自体はすぐに来るそうだ。陸にしては仕事が早くて助かる。
「さて」
局員の到着を待つつもりはさらさらなく、鼻唄を歌いながら道を逸れる。裏通りに出た。
無駄に高い建物に囲まれていて、見通しが悪い。
物は試しに背後を確認するが、隠れるところ一杯で障害物も多い。
こんなの後をつけられていても分からんな。魔法を使えば別だが。
「……」
しばらくその場で立ちすくんでみる。何も起きない。ねらい目としては上なんだが、それらしい気配はない。
早くしないと見つけてしまう。別に自身としてはそれでもいいが、ふむ。
「見つけられることをお望みですかねえ」
どうだろうか。それはそれで面倒だろうけど、今こうしてる間も面倒だ。
もうとっとと壊滅させてしまおうか。
そんなことを考えて、デバイスに手を伸ばす。
瞬間、爆発音。
「……」
上空から何か飛んで来たらしい。目の前の地面に大穴が空いた。焦らしプレイですか、危ないですよ。
一歩後ろに下がる。今度は轟音と共に地面が爆発した。顔に砂利が飛んでくる。咄嗟に顔を守るが、それでも痛い。
「セットアップ」
次いでデュアルをコール。右手に持って、索敵を全開に使う。
――――下に二人。背後に三人。前方に二人。計七人。
上からの攻撃は後ろにいた三人のどれかだな。誘導弾か何か撃ってきたか。この三人と前の二人はかなり距離が離れていて、捕まえるのは億劫だ。近づく間にスナイプされそうだし。狙い撃ちにされそうだ。
それなら、
「下だな」
先ほど空いた大穴に飛び込む。おう、ここから撃ってきたんだろ。分かってるんだ。
中は空洞になっていて、下水道か何かに繋がっているようだった。少し鼻につく臭いがした。
俺が飛び込んできたことを察知したのか、下にいた二人は移動を始めた。
あまり慌てている様子がない事から、俺の行動は予想していたことらしい。
撃ってもいいんだが下水道ぶち壊すわけにもいかないから、素直に走って追いかけることにする。
「面倒くさいな、本当に」
一言呟いて、追いかけっこを始める。早く終わらせよう。
かんかんと足音がよく響く。しかし響く割に全然追いつかない。コンパスの差かな。
そう考えると、こんな臭い場所を何時まで走り回らなきゃいけないんだといい加減うんざりしてきた。こんな調子だといつまでたっても終わらない。終わりの見えない作業ほど苦痛なものはない。もう嫌だ。
ぶち抜こうか? 壁抜きならぬ下水抜き。始末書で済むってレベルじゃねえぞ。
「行け」
仕方ないからサーチャーを飛ばす。せめて顔だけでも拝んでやろう。
サーチャーが飛ぶ。この速さならすぐ追いつくだろうと思っていたのだが、またもや予想外。
サーチャーを飛ばした途端、二手に別れたらしい。何なのさ。
それなら一方はサーチャーに任せて俺はもう一方を追いかけよう。
しかしこれ、どう考えても俺の行動ばれてる。
辺りに魔法の気配はないし、どうやっているのか。謎である。
俺の行動がリアルタイムで相手に筒抜けで、相手の情報はほとんどないこの状況。
危ない。
「ソニックムーブ」
決断してからの行動は早かった。こういう不確定な要素がある敵は早めに潰すに限る。
最速で相手に迫る。しかし相手は俺の行動に合わせて地上に上った。
逃がさねえよとこちらも地上に出る。
マンホールをくぐった先はどこかの廃墟のすぐ目の前だった。結構走ったらしい。辺りに人の気配はなく、クラナガンの中心から離れている。ここはどこだろうか。
追いかけていた奴の背中が廃墟に入って行くのが見えた。
「追い詰めたぞ」
それはどちらが発した言葉だったか。あるいはどちらも言ったのか。よく分からなかった。