高町なのはとフェイト・テスタロッサの激戦は高町なのはが勝利した。
魔法を覚えて幾ばくも無い少女が小さいころから魔法に触れていたであろう少女に勝ったのだ。
これには嫉妬を禁じ得ない。うらやましいなあ。あの魔力量。
そんな俺の嫉妬は置いておいて、とりあえずこれで本丸への手がかりが手に入った。
あとは口を割らせて黒幕をとっ捕まえればこの事件も終了だ。やったね! 俺、帰ったらのんびりと休むんだ……。
そういうフラグを建ててしまい、口を割らせている最中と本丸へ突入した局員がぼっこにされるところその他バッサリとカットいたしまして、
『この子を失くしてからの時間も、出来そのこないの代替品を娘扱いするのもすべて終わりにしましょう』
『アリシアはいい子だった』
『時には我が儘も言ったけど私の言うことはとてもよく聞いてくれた』
『アリシアは優しかった』
『いつでも私に優しかった。いつも優しく笑いかけてくれた』
『幸せな時間だった……』
『だから取り戻すの』
『失ったものを……。私たちの過去と未来を。こんなはずじゃなかったこの世界のすべてを……』
『……だからフェイト、あなたはもういらないわ』
『代替品でのお人形遊びは、もうお終い』
『私たちはこれからアルハザードへ行く』
『そしてやり直す。アリシアと二人で。もう誰にも邪魔立てはさせない』
『……そうだ。最後に良い事を教えてあげるわ。フェイト』
『あなたを作ってからずっと』
『私はあなたのことが』
『大 っ 嫌 い だ っ た の よ』
ひっでえ。
「フェイトちゃん!? フェイトちゃん!」
ショックを受けて倒れるフェイト・テスタロッサ。
心中、お察しします。
ジュエルシードを故意に暴走、次元震を発生させアルハザードへの道をつくり、アリシア・テスタロッサの蘇生を目論むプレシア・テスタロッサ。
それを止めんと走るクロノン。
気になるあの子に酷い事言ったババアをこらしめるために加勢せんとクロノンの後に続く高町なのはと道連れユーノ・スクライア。
倒れたフェイト・テスタロッタをベッドへ運ぶ犬。
そんな風にそれぞれが行動するなか俺は、
「俺必要?」
「いやー、いらないんじゃないかなー」
エイミイとお喋り。
「クロノ君になのはちゃんもいるしね。実力的にライ君は待機でいいんじゃないかな」
条件付きSSにAが立ち向かったところで多寡が知れてますもんね。
「そんなわけだからクロノン! 頑張って!」
待機決定。クロノンに声援を送る。残念ながら返答は無かったがきっと喜んでくれたに違いない。
お菓子食べながらそう思う。甘い。
菓子をもぐもぐと噛んでいる間に次元震は強くなる。まさか俺の噛む回数と比例してはいまいな。
「私が出て次元震の進行を抑えます!」
どんどん強くなる次元震に、最終的に艦長がそんな事を言って、随分とかわいらしい羽をつけ本丸へと飛び立った。
次元震って抑えられるんだ……。へえ……。
「ライ君もう一個頂戴」
「はいよ」
「ありがと」
乞われたのでお菓子を袋ごとあげる。このチョコ俺にはちょこっと甘すぎたよ。
冗句もそれなりに、
「落ち着いてるねえ」
「ん?」
率直な感想を。
もきゅもきゅとリスみたいに食べている姿がかわいい。
「普通もうちょっと焦るんじゃないの?」
「うーん?」
エイミイは少し考える素振りを見せて、
「まあ、信用してるしね」
「誰を?」
「クロノ君」
混じりけのない、純粋な笑顔を見せて言う。
「もちろんなのはちゃんもね。クロノ君たちならきっとやってくれるよ」
まぶしいぐらいの信頼。いいですね。
「そうっすか」
「うん」
モニターには高町なのはと、何時の間に復活したのかフェイト・テスタロッサが二人、デカ物を倒していた。
ああ……。まあ確かに、あの二人ならきっとやってくれるだろう。そう思えるぐらいにはあいつらのことを知っている。
モニターに背を向けて歩き出す。
「あれ? どこ行くの?」
「寝る」
言って、仮眠室へ向かう。
俺の仕事は事件が終わった後の報告者がメインになるだろうから今のうちに英気を養っておこう。
けっこうな大事件だし、クロノンはフェイト・テスタロッサに付きっきりになりそうだし大変そうだ。
しばらく歩いたところで思い出す。
そういえば大量の負傷者が出ていたなと。
医務室に寄って少し疲れてからの方が気持ちよく寝れるだろう。
少しでも負担は軽くしてやろう。
俺やさしい。