名無しN:いきなり呼び出してごめんなさい。
あめさん:いや大丈夫だ。
名無しN:さっそくで悪いけど本題に入りたいの。心の怪盗団ってしってる?
あめさん:あぁ。
名無しN:これはあくまで憶測だけど貴方もしかして何か関係しているの?
あめさん:どうしてそう思うんだ?
名無しN:根拠はないわ。ただの勘。
そう、ただの勘。
ただ疑わしいものは疑いがなくなるまでとにかく調べ上げる。
この方法は父から教わったものだ。
もしそれが正しければ犯人確保の手がかりになるし、なければないで容疑をかけられた人のアリバイが作られる。
容疑をかけられた人は不愉快な気持ちになるだろうが事件解決のためには仕方がない。
そのかわり犯人であろうとそうでなかろうとしっかり紳士に対応するのだというのが父の教えだった。
あめさん:心の怪盗団を探しているのか?どうして?
名無しN:彼らの行いに興味があるから。
あめさん:ただの冷やかしなら教えられないな。
「関係があることを否定はしないのね・・・」
あめさん:誰か改心してほしい人がいるのか?
改心してほしい人。
それを聞いて真っ先に浮かんだのは姉の顔だった。
小さいころは誰よりも優しく私の憧れだった人。
大人になった今でも私の憧れにはかわりないけれど、日に日に自分を見つめる視線の中に憎悪のようなものがちらつくのを見て見ぬふりをしていた。
仕方がない。
両親もいない中たった一人で妹を養っていかなくてはいけないのだ。
本当は自分の事だけで精一杯で逃げたしたくなるのに、真の存在がそれを邪魔する。
姉が自分を憎むのは仕方のないことだと言い聞かせてきた。
それでも。少しでも可能性があるのならもう一度幼いころのように笑いあいたい。
その願いは現在進行形で姉に負担しかおわせていない自分にはとても口にできないことだ。
名無しN:改心してほしいといったら怪盗団は対応してくれるの?
あめさん:約束はできない。けど検討することはできる。
「検討することはできる・・・ね」
もしかしたら前のように戻れるかもしれない期待。
だけどこの匿名のやり取りだけで全てを任せてしまうのはあまりにもリスキーだ。
名無しN:わかった。 申し訳ないけど少し考えさせてほしいの。
来週の同じ時間、ここに来てほしい。貴方と詳しく話がしたいわ。
あめさん:あぁ。俺も君ともう少し話がしたい。
「・・・本当に人の心を改心する方法なんてあるのかしら」
あるとしたらそれは他の誰よりも自分が受けるべきなのかもしれない。
誰かを落とすことでしか孤独を紛らわすことができない自分がひどく恥ずかしくなった。