そのあと彼と後始末を終え、流れで一緒に帰ることになった。
あの騒動で授業は短縮、部活動は中止となってしまい校内に生徒はほとんど残っていない。
真と蓮は事件の一部始終を警察に説明するため学校に残り、すっかり暗くなってしまったため彼が家まで送ると口にした。
一人で平気だと一度は断ったが顔色が悪いから甘えたほうがいいと教師に諭され一緒に帰ることになった。
外にでてみると街灯が少ない蒼山駅までの道は確かに不気味であった。
何度か生徒会の仕事で遅くなることはあったがここまで暗くなったこの道を歩くのは初めてだ。
不審者もそうだが足のない女の人がたっていたらどうしようと学校の怖い噂を思い出して思わず足がすくむ。
なんとか気を紛らわせたくても目の前にいるのは今日初めて会話する男の子だけ。
「大丈夫だったか」
「え?あぁ・・・えぇ」
いきなりの問いかけに答えるのがワンテンポ遅れる。
思えば助けてもらったお礼を真はまだしていない。
「あの、今日はありがとう。貴方がいてくれなかったらどうなっていたかわからないわ」
「別に大したことはしてない」
「いいえ。私ひとりじゃ多分対応が遅れていたと思う。本当にありがとう。
・・・ところでどうして貴方はあそこにいたの?」
彼のクラスである2年D組はあの時間現国の時間だったはず。
実験室になんてよほど用がない限りくることはなかっただろう。
「貴方に話があった」
「私に?」
「裏ネット。・・・名無しNについて」
どくりと心臓が嫌な音をたてた。
「名無しN」を彼は知っている。
彼の話によると転入して数日たった時同じクラスの男子が学校の裏サイトについて話してたので気になって調べてみた。
興味本位だったが裏サイトというだけあってほとんどの書き込みは先生や特定の生徒への悪質な書き込み。あとは学校の抜け道だったりの情報。
くだらないと感じながらもいろんな書き込みを読んでいくうちにある人物の書き込みが目にとどまった。
大体裏サイトの書き込みなんて聞くに堪えない暴言や人の上げ足をとるようなものばかりだがその人だけはいつも冷静に、学校や教師への改善策を書いていた。
もちろんその中の全てが正しいわけでもなく時には暴言を吐くこともあったようだが逆にそれが人間味に溢れて面白い。
蓮は「名無しN」に興味を持った。
だけど惜しい。本当は聡明な人なはずなのにこんなところに埋もれている理由がわからない。
本当にどうにかしたいのならこんな匿名の掲示板ではなく自ら動きあがくべきだと。
そう思った蓮は思わずパソコンのキーボードに触れていた。
「この状況を自分で変えようと思わないのか?」