幼馴染みは顔がいい   作:しぃ君

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 お待たせ様です、一週間ぶりですね、私ですしぃです。
 色々と立て込んでて文字数は控えめですが、喜んで貰えたら嬉しいです。
 メリークリスマス!

 p.s.
 前回お伝え忘れてた、高評価者様。
 ぬわーっ(´・ω・`)さん、☆10評価ありがとうございます!
 今後とも、よろしくお願い致します!


聖なる夜に、あなたに歌を

 クリスマス。それは、一年に一度の聖なる夜。

 サンタさんが、今年一年良い子にしていた子供たちにプレゼントを配る日。かく言う湊たちも、ファンのみんなにプレゼントとして配信をしていたわけだが、それも先程終わった。

 真っ赤なサンタ衣装に身を包んだ、雫たちの生配信は大盛り上がり。衣装を用意した彼からしたら、ホッとすると同時に鼻が高い。折角作った服だ、喜んでもらえたならデザイナー冥利に尽きる。

 

 

「お疲れ様、みぃちゃん♪ はい、あったかいココアよ」

 

「ありがと。……にしても、またみのりの企画に助けられたな」

 

「えぇ。お絵描きクイズ、すっごく楽しかったし、みんなもコメントで楽しんでくれてたわ!」

 

「まっ、当の本人の絵は……うん、残念だったけどな」

 

 

 今回の配信で使った企画は、大きく分けて二つ。

 一つは、クリスマス風企画。この時期にあった、配信サービスなどて行われる鉄板ネタ。くじ引きで、互いが秘密に買ってきたプレゼントを交換する、『ドキドキ! サプライズプレゼント交換』。あとは、過去のクリスマスエピソードを雑談を混じえながら話す、『私たちのメリークリスマス』。

 

 

 上の二つは、湊が他の人が投稿したものを参考に考えたもの。だが、これだけでは少し味気ない。クリスマスに関係しなくても、みんなが楽しめるネタが一つは必要だった。

 そこで、案を募った結果、出てきたのがお絵描きクイズだ。

 二人一組に分かれ、相手が書いた絵から決められたお題を考え、当てる。時間制限を用意し、ヒントを小出ししながら答えまで導く、シンプルなものだ。

 

 

 企画名は、『以心伝心! お絵描きクイズ』。

 勿論、制限時間内に答えられなかった場合、罰ゲームを用意したのだが、ジンクスとでも言うべきか、みのり画伯の絵心が爆発。相方になった愛莉は、みんなが有名洋菓子店のケーキを食べる中、一人寂しくロシアンシュークリームを完食。ロシアンの意味のないことにツッコミながら、配信映するリアクションを見せた。

 

 

「愛莉には悪いことしたな。いや、ケーキはちゃんと用意しておいたけどさ」

 

「大丈夫。愛莉ちゃんも苦しそうじゃなかったし、変に気にしてたら乗り越えたはずなのに、逆に蒸し返しちゃうもの」

 

「だな。──にしても、雫。お前、なんで帰ってきたのに、まだサンタ服着てるんだ?」

 

「ふふっ♪ なんでって、今日はクリスマスだもの。良い子にしてたみんなにプレゼントがあるべきよね?」

 

 

 その言葉を待ってた、と言わんばかりにニコニコと笑みを浮かべる雫。しぃーっと口にしながら人差し指を立て、そっと反対の手で湊の目を覆う。一瞬、身構えた彼だが、聞き慣れた音が耳に入ったことで力を抜き、自分たちを包む淡い光に身を任せた。

 

 

 たった一人の観客に向けたクリスマスライブが、ステージのセカイで始まった。

 

 ◇

 

 透き通る歌声が耳に抜ける。

 自分だけに送られるファンサに応えるように、ペンライトを振る。

 演出として、粉雪が降るステージで、サンタさんの雫が舞う。露出を最低限に抑え、それでも可愛いらしく、彼女のセクシーさを損なわない最高の一品。わざわざ一人一人に合わせて作った甲斐があったと、湊は嬉しそうに微笑んだ。

 

 

 客席に一人座り、愛しい者を見る目で、世界で唯一の特別を感じる。

 良い子にしてた子供へのプレゼント。もうそんな歳でもないはずなのに、胸が弾むのは何故なのか。答えは簡単だ。好きだから、どうしようもないくらい、この時間が。

 二人に気を利かせてくれたのか、セカイの住人であるバーチャルシンガーもいなければ、みのりたちも来ない。

 

 

 まるで、本当にセカイに二人だけになったかのような錯覚。

 互いの存在だけが主張しあって、惹かれ合い、想いを伝え合う。選ばれた歌は、その歌詞一つ一つに、測りきれない感情が込められていて、雫はそれを自分の感情に変換して歌にする。

 

 

 時間がゆっくりと、確実に流れていく。

 温かさに満たされて、過ぎていく。

 一秒は一分になり、一分は十分になり、十分は一時間になる。ずっと、ずっと幸せな時間が続いて欲しい、そんな二人の願いを、聖夜の奇跡が叶えるかのように、有限が無限に変わる。

 

 

 何時間も歌を聞いた気がした。

 彼女に誘われて踊った気もした。

 ふわふわと、するすると、疲れが取れて、いつの間にかセカイから戻って家のリビングに居た。

 

 

 ソファに座る自分の隣で、幸せそうな寝顔を魅せる雫の唇に触れるようなキスをして、湊もそっと瞼を閉じる。

 さっきまでの記憶は夢か、はたまた現実か。

 そんなことは彼にとって些細な差だ。

 

 

 ただ、隣に居るだけでこんなにも愛おしさが溢れるのだから、それだけで満足じゃないか。そう一人思い、意識を落としていく。

 首筋に熱を感じたのは、きっと気の所為なんかではない。




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