先日は愛莉の誕生日短編を投稿して即消しするという、奇怪な行動を取りましたが納得いかなかったので消しただけなのでお気にならさず。週末には上げ直します。
お待ちしてい方は、本当にすみませんでした。
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気を取り直しまして、どうも。投稿をサボった私です、しぃです。
決して、決して! 競馬場に行ってたわけじゃありません!
友達の家に泊まりに行ってただけなんです! 推しアニメの布教活動してスマブラやって桃鉄やってウマ娘見てただけで、競馬してた訳じゃないんです!
あっ、因みに推しはスーパークリークです。
「私ね──アイドルを辞めたの」
凛とした声は微かに震え、真剣な表情の奥に見える瞳は暗く、一言に込められた重みを湊に感じさせる。なにか言わなければ、そんな衝動が湊を突き動かすも、この状況に適当な言葉は見当たらない。
慰めればいいのか、怒ればいいのか、悲しめばいいのか、苦しめばいいのか、感情の表現すら面に出せない。
間違えたら消える。間違えたらなくなる。それくらい、今の雫は危険な状態だ。
「………………」
「なにも、言わないのね」
「過ぎたことになにを言っても、変えられないだろ」
「ふふっ。それも……そうね」
「……なにかあったんだよな。なにがあった?」
「色々あったわ。本当に、色々」
どこか遠くを見つめながら、雫はそう言った。湊の質問に答えるでも答えないでもなく、寂しそうに笑って頷いた。
怒りも、苦しみも、悲しみも、恨みも、憎しみも、感じた思い全てがその一言に詰まっている。言霊、そう言っても過言ではないくらい、彼女の言葉は心に響く。
生まれ持ったもので責められて、生まれ持ったもので褒められて、あとから頑張った分は誰にも見てもらえない。唯一の救いだった幼馴染みですら変わり始めて、雫が求めていた安らぎは消えていく。
勘違いして、拗れて、捻じ曲がった心が、狂いかかった思考が普段なら出さない道ばかり示してくる。
「──時間って酷いわよね。どんなに止まって欲しくても流れて、世界も人も変えてしまう。みんな、みんな変わってしまったわ。……みぃちゃんも」
「変わりたかったから変わった。俺の意思だ。時間だけの所為じゃない」
「けどっ!! 私は変わって欲しくなかった! みぃちゃんは、弱くて優しいみぃちゃんのままでよかった! 傍で笑ってくれるだけで私は頑張れたのに……」
太陽が月を照らすように、月もまた太陽を照らし返していた。眩しいほどじゃないけれど、温かくて柔らかい光。雫にとっての最後の柱、心の支え。
折れて、折れて、折れて、折れずに残っていた柱にもヒビが入って、崩れる寸前。それが最悪な現状。
しかし、湊の考えは違う。彼からしたら、雫はもっともっと強い人間だ。いつも自分を過小評価し、卑下しているだけ。
いつだって、湊がやってきたのは背中を押すことだけだった。後ろから必死に押して、彼女が飛ぶ手伝いをしていたに過ぎない。確かに支えていた、確かに柱になっていた。
だが、隣にはいなかった。並んではいなかった。頼られたとすら、彼は思っていない。ずっと昔から、隣を歩いていたが、真の意味では後ろにいた。背中を押すだけで、背中を見るだけで、向き合えていなかったのだ。
「それでも俺は嫌だったんだよ、弱いままでいるのが。頼って欲しかった。後ろから支えるんじゃなくて、押すだけじゃなくて、隣に立って手を取りたかった。雫に、一人で傷ついて欲しくなかったんだ」
「……あぁ、本当に。
「普通だろ。大切な人に優しくするのは」
雫が涙を零し、湊はそれをそっと指で拭いた。瞬間、何度も見た微笑みも零れ、彼は変わらず思った。「やっぱり、その顔が一番好きだ」と。
過去は決まってしまったが、未来は未知数。雫にとって最善の未来に辿り着くように、湊はもう一度彼女に向かい合った。
いくらか落ち着きを取り戻したのか、雰囲気は先程より柔らかいが、未だに少し暗さが残る。
「……そうなると、一番変わってしまったのは──私だったのかしら。アイドルを続ける理由も、アイドルを好きかもわからなくなって、自分勝手に逃げた」
「どうだろうな。変化なんて人それぞれだよ」
「みぃちゃんは、こんな私でも好きでいてくれる?」
「嫌いになるわけないだろ。……好きだよ」
「……嬉しいわ。私も好き、大好き。だから、一緒に
膨れ上がった想いは、積もり積もった様々な感情は、少女の恋心をとことん捻じ曲げた。許容した湊の愛に漬け込むように。
悪役はこの場におらず、強いて言うならタイミングが悪かった、その一言に尽きる。元々、拗れ捻じ曲がった心に狂いかけの思考が重なった結果が、アイドルの道を辞めるという選択だった。
これは変えられない選択だった、湊だって話を聞いて相談されたら候補として挙げただろう。だが、今の選択肢は最初から間違いだ。
何故なら、逃げるという選択肢は、一生の親友になりうる愛莉すらも切り捨てることに繋がる。
「アイドルのお仕事で貯めたお金と、みぃちゃんのバイト代があれば、国外は無理でも国内ならどこでも行ける。二人だけの全国ツアー、なんてどうかしら? きっと楽しいし、最高の旅になるはずよ。あなたの為に歌うわ、あなたの為に踊るわ。だから──お願い、湊。一緒に来て」
「……ダメだ」
「なんで? どうして? 私のこと好きじゃないの?」
「好きだからだよ。好きだから、後悔して欲しくない。今逃げたら、お前は絶対に後悔するから。……それでもいいなら、いいよ。一緒に逃げよう。どこまでも付き合うよ」
月野海湊は、日野森雫を知っている。彼女の全部は知らないが、今必要な言葉は知っている。今送るべき言葉はわかる。
想いに漬け込まれたなら、漬け込み返す。彼は、雫が自分に向ける深く重い恋心を、少なからずわかっていた。酷く汚い手だが、未来のためなら嫌われたって構わない。湊にとって一番の結末は、雫が幸せであること。
その為なら、利用できるものは最大限使い、道を作る。誰も傷つけないなんて不可能だ。だからこそ、大切な一人が傷つかないように、自分を傷つける。
「ズルい。みぃちゃんにそこまで言われたら、私は待つしかないじゃない」
「悪いな。でも、時間は酷いだけじゃないし、変化は怖くない。それを伝えたいんだ」
「……もう少しだけ、もう少しだけ頑張ってみるわ」
「ありがとう、雫」
「その代わり……少しだけつまみ食いしちゃうわね」
つまみ食い、その言葉を湊が理解するより早く、雫の唇が彼の頬に触れた。
柔らかい感触が伝わって、すぐになくなる感覚に湊が戸惑っていると、雫は今まで見せたことのない笑みを見せてベンチから立ち上がる。
彼も追って立ち上がるが、結局帰り道でも脳が処理を拒み、一向になにがあったのか理解できず。
その日、湊は頬に触れた温もりを忘れらず、眠れぬ夜を過した。
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