ストーリーのペースが速くなったり遅くなったり不規則な私のお話ですが、今回はまったり進んでいます。
顔がいい四コマは、今回ネタ枠です。
IQ3くらいのテンションで書いてるので、鼻で笑ってやってください。
それでは、本編をごゆっくりお楽しみに!
p.s.
四コマのネタはマシュマロからいただきました。
少し先の未来で、桃井愛莉は日野森雫を白鳥だと例えた。
見えないところで必死に努力する彼女を、水面下で必死にもがき美しくあろうとする白鳥のようだと、例えた。
言った彼女自身、深い意味を持たせるつもりはなかった。ただ、ファンは知らなくても、わたしは知っていると言ってあげたかっただけなのだ。
そして、その言葉は湊にも当てはまる。彼の場合は、白鳥のような綺麗さはないが、周囲から泥臭さがわかるかと言われれば、否だ。
月野海湊の中途半端な才能は、凡才に殺される奇才。前に進む足は誰よりも遅く、理不尽に押し付けられた枷を引きずって歩いていく。
0から1を彼は作れない。
1から10まで彼は簡単に上がれない。
精々、1を2にして、1から10まで上がる誰かの手伝いが関の山だ。
過去の湊にとって、それは耐え難い苦痛だった。届かない背中は遠く、頂きは遥か高く。夢や目標がどんどんと重りになって、いつしかポッキリと折れてしまっていた。
残ったのは幼馴染みである雫の隣にいる自分だけで、それを守るために自分を追い詰めて、最低限の力を身につけた。それ以上を望まなかったのはきっと、怖かったから。
けれど、今は違う。向き合う覚悟を決めた湊にとって、その恐怖は乗り越えるべき壁だった。
◇
「朝から熱心ね、みぃちゃん」
「……やるからには、やれることをやっときたいだけだよ」
「わざわざ、司くんに参考書やDVDを借りてまで?」
「……………………そうだ」
月末に迫った文化祭まで、残り二週間を切った週末。
珍しく早起きをし、リビングのソファで演劇に関する参考書を読み耽る湊に対して、雫は揶揄うように話しかけた。勿論、邪魔がしたかったわけではない。ただ、少し構ってもらいたかっただけなのだ。
存外、図星だった彼にはクリティカルヒットだったようで耳を赤くしているが、彼女に悪意はない。イタズラ心はあるかもしれないが。
「確か、ロミオとジュリエットのパロディ劇……だったかしら?」
「一応は、まぁ。大幅に改変したから、残ってるのは役名くらいだけど」
「司くんが悲劇を選ぶからおかしいと思ったら、そういうことだったのね」
「本人曰く悲劇らしいが、脚本を見る限り喜劇でしかなかったよ。最後なんて、宇宙に行った主人公が概念存在になるからな……」
「ふふっ。とっても楽しそうな劇になりそうね♪」
「俺もそう思う。人を笑顔にするってことにかけて、あいつに勝てそうな奴なんてそうそういないよ」
回り道に寄り道、幾多の遠回りをしながらも、湊が知る限りの司が諦めたことはなかった。どんな時も、紡いだ縁や奇想天外なアイデアでピンチを乗り越える。多分、そのスタンスは誰が相手でも変わらない。
譲れないもののために、正面から立ち向かえる人間。それが、湊の知る天馬司だ。
本当に、眩しい親友。
雫とは違う、けれど同じように人を照らす才能を持っている。
必死になって湊が努力してるのも、溢れんばかりの輝きに、見つめられないほどのキラメキに、当てられたからだ。
「私じゃなくて、本人に言ってあげればいいのに」
「言ったらウザくなるから嫌だ」
「素直じゃないみぃちゃん。……朝ごはん、いる?」
「軽めのもので頼む。このあとは、少し動くから」
「……動く?」
「訛った体を動かしたい気分なんだ。セカイで」
みのりの手本として、何度か歌ったり踊りを見せる機会はあるが、最近ではそれも少なく。基本的なことは愛莉や遥に任せ、メニュー作成の方に集中している湊の体は、大分訛っている。
彼自身、それを自覚しているし、その訛ったままの体で彰人たちの領域に踏み込む気もない。少なくとも、勘を取り戻すレベルまでは持っていかなければ、後夜祭のステージに立つなんて無謀もいいところである。
だからこそ、湊の努力は終わらない。
◇
「悪いなKAITO、付き合ってもらって」
「構わないよ。ミクやリンの方には、みのりちゃんたちが行って一緒にレッスンしてるみたいだしね。僕も一人だと寂しかったし、丁度よかった」
「そう言ってくれるとありがたい。……じゃあ、先ずは一曲歌ってから確かめるか」
「僕は、聞いて感想を言えばいいかな?」
「頼む。お世辞は抜きで」
「わかった」
無限に続くステージのセカイ。
どのステージも綺麗に保たれた中、一つだけ薄暗く、埃が薄らとつもるステージに湊の歌が鳴り響いた。KAITOが見守る中、紡がれた音は、詩は、彼の人を表すようなもの。
臆病で、怖がって、過去の栄光が未来の可能性も捨てて。
ありがとうも、さよならも言わせないで去ってしまう。
言葉だけを置いて、大切な人の幸せを願って、消えてしまう。
月野海湊という人間の本質的な部分を突くような、そんな詩。
全く持って、アイドルのステージで歌うには似合わない、けれど彼自身に似合う、そんな曲。背中を押すだけ押していなくなる、明るくなって欲しいと祈る曲。
関係の『終点』を歌った曲。それに合わせたダンスも当然、アイドルらしいと言える部分はない。エネルギッシュでもなければ、愛らしさもない。ただただ、伝えきれなかった想いの丈を表現するようなステップを踏む。
今現在の湊が出せる全部が、それだった。
「──────! ────────っ!!」
感情を全て吐ききった最後の詩が口から零れ、音楽が止んだ瞬間。薄暗かったステージの明かりが、一瞬だけ眩く光ったと思ったら、すぐに消え。代わりに、客席から赤いペンライトが湊に向かって振られた。
思ってもみない光景に、彼が呆然としていると、KAITOが優しくその肩を叩いた。
「君が歌った歌は、そこに込められた想いは、確かにアイドルとは言い辛い。けど、よく見てごらん? こんなにも多くの人たちに届いた。これは紛れもない事実だ。改善点や修正点はある……でも、今はこの景色をしっかりと覚えておくといい。いつか、絶対に君の力になるから」
「……この景色が、俺の、力に……?」
「──さて、この調子で何曲か歌い続けよう。歌とダンスはそこまで問題ないから、体力を見極めておきたいしね」
「うん、わかった」
「それじゃあ、
「はは……お手柔らかに頼むよ」
苦笑しながらそう言った湊は、KAITOの方に拳を差し出し、彼も応えるように拳を合わせ、コツンと音を鳴らす。港に人が集まるように、湊が一人だけになることはない。
二重奏は響いた。大切な人の奥、深くまで。セカイの果まで。
顔がいい四コマ
「変人トップスリーと機械オンチなアイドル」
曰く、神山高校には変人トップスリーと呼ばれる人間がいる。
天翔るペガサスこと、天馬司。
現代の平賀源内こと、神代類。
そして、その二人についていける校則破りまくりヤンキーこと、月野海湊。
彼らは友人だ。
司と類は同じ劇団の仲間であり、友人。
類と湊はメカオタク仲間であり、友人。
湊と司は幼馴染みであり、友人。
関係性は違えど、三人の仲はよく、都合が合ったり誘われればそれなりに付き合うし、遊んだりもする。
問題点が一つあるなら、三人が絡む時の被害者は大体が司であり、解決するのが────全く関係のない日野森雫であることくらいだろう。
「司くん! 乗ってみてくれ! 僕と湊くんで作った試作機一号の大型ドローン! ペガサススターくんだ!」
「おかしいだろ!!! なんだこれは!?!? 車と変わらないサイズじゃないか!!!」
「安心しろ司! シュミレーション上では一億回に一回くらいしか墜落しなかった! 奇跡の数字を叩き出した傑作だ!」
深夜テンションではち切れた湊と類の猛攻に、為す術なく押されていく司。
よもやここまでか、と諦めてペガサススターくんの手すりに手をかけた瞬間、彼らの騒いでいた公園に彼女は現れた。
友人、知人内でのあだ名は、怖いもの知らずの
「あらあら♪ みぃちゃんに司くん! それと……類くんよね? こんなところで偶然だわ!」
「不味い!! 類!」
「わかってる! 急いで、もう一つ隣の公園に──」
「ちょっ! 待てっ! 俺が手を──」
焦った湊が声に出し、類がその意図を察した時には既に、終わっていた。
雫が近付いてきた途端、ペガサススターくんは、手すりに手をかけていた司を振り解き急上昇。数秒後に、呆気なく爆発した。
こうして、未然に司の命は守られた。
湊と類の週末の徹夜は無に帰した。
雫は湊をお持ち帰りした。
おしまい。
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マシュマロ URL↓
https://marshmallow-qa.com/narushi2921?utm_medium=url_text&utm_source=promotion
次回もお楽しみに!
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使用楽曲
『終点』…… cosMo@暴走P feat. 初音ミク
https://m.youtube.com/watch?v=m_phuaZAsGk
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