幼馴染みは顔がいい   作:しぃ君

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 お久しぶりです、つい先日誕生日を向かせた私です、しぃです。
 いやぁ……お待たせしました。先週は就活(面接)が被ってしまい投稿できませんでしたか、今週は予定通りなんとかなりました。
 この話を除けば、あと二話でこのシリーズも完結になります。本当なら、このあとのイベントの話も考えてたりするんですけど……まぁ就職とかしたら忙しくなるし、エタる前に閉めるのも手かなぁ、と。思った次第です。


 一応、アフターを不定期で上げる予定ですが、それもいつ更新が途絶えるかはわかりません。気が向いた時、二人のその後をおまけ感覚で書くので、そこまで期待せず、たまーに覗きに来てください!


 まぁ、前置きはここまでにして、本編を楽しんでください!
 ごゆっく〜!


君にしか選べないもの

 静かな寝室で一人、雫は天井を見上げていた。

 できるだけ後悔をしないために、後悔しても、それで嘆かないように。彼女は選択しなければいけない。作られた偶像か、ありのままの自分かを。頼ってもいいから、悩んでもいいから、決めなければいけない。

 それは、大切なことだ。今後の活動に深く関わることだ。

 

 

 中途半端な心で選んでいい道じゃない。

 

 

「私の、道」

 

 

 左と右。わかりやすく、されど険しく別れた道。どちらにしようかな、なんて軽く考えられる状態ではなく、彼女は真剣にその先を見ていた。

 どん詰まりになるかもしれない、でも、温かい未来。

 いつかまた、今回のようにぶち当たり、冷たく苦しむ未来。

 どちらがいいかなんて、わかっている。わかっているから、怖い。変化のない平坦な場所を歩くか、変化が多くある茨の場所を歩くか、怖いのはどっち知っている。

 

 

 どっちも怖い、どっちも嫌だ。

 投げ出して、逃げて、諦めれば楽なのに。雫はみんなとの居場所を、湊の隣を譲れない。譲りたくないと、思っている。

 

 

「……セカイ」

 

 

 想いが形になった空間。

 もしかしたら、迷い悩む答えも、そこにあるのかもしれない。淡い希望と、微かな不安を胸に、彼女はスマホを手に取った。再生されるのは──

 

 ◇

 

「ここは、本当にいつ見ても綺麗だわ」

 

 

 無数にステージが並び、音が鳴り止まない不思議な世界。幾つものペンライトが綺麗な景色を作り上げる。雫も、自分の色で青空のように染まる客席が好きだった。

 なんとなく、歩いていれば探しものを見つけられる気がして、彼女はセカイを歩き始めた。

 

 

 練習で使ったことのあるステージを見れば、そこまで昔のことでもないのに懐かしくなって、今まで見つけられなかったステージを見れば、気分転換に次はあそこでやってみようと笑みが零れる。

 本当になんでもないことを繰り返して、リフレッシュするように散歩を楽しんでいると──雫の視界の端に桜色の髪が映った。

 

 

「……ルカちゃん?」

 

「あら? 雫ちゃんじゃない。こんな遅い時間にどうしたの? 夜更かしはお肌の天敵よ?」

 

「そうね。そう、なんだけど」

 

「なにか、あったのね。もしよかったら、私に話してくれない? 力になれるかわからないけど、楽になると思うから」

 

 

 気遣うよな喋り方が、不安を消そうと微笑みを浮かべる姿が、雫の中の湊と重なる。そんなわけはないのに、心がホッと楽になって、スラスラと喋ることができた。イメージについて、これからのことについて、変化への恐怖について、元々喋るつもりではなかったこともいつの間にか口にしていた。

 

 

 変な所で、彼の自分の中での存在の大きさを感じてしまう。

 それに、ここは想いが具現した世界。黙っていても、きっといくらかは通じてしまう。なら隠さず、さらけ出した方がきっといい方に繋がる。

 確信のない、それでも信じられる方へ向かっていく。

 

 

「ファンの子達を失望させたくない、変化が怖い、でもみんなの活動の幅は狭めたくない。欲張りさんね、雫ちゃんは」

 

「……ダメ、かしら?」

 

「全然。みんなに明日を頑張る希望を届けたいなら、それくらい欲張りじゃないと疲れちゃうわ。けどね、今の雫ちゃんの方が──ありのままの雫ちゃんの方がいいって、そう思ってくれてる子は絶対にいるわ。気付いてないだけで、身近にいるはずよ。これは、嘘じゃない」

 

 

 支えるような声音で、背中を押すような声色で、伝えられた言葉は無意識に雫が求めていたもので、くしゃっと花のような笑顔が生まれる。

 ヒントであり、それは答えだった。

 ありのままの自分を肯定する人はいる。ありのままの自分を認めてくれる人はいる。だから安心していい、自分の色を誤魔化す必要なんてない。

 

 

「やっぱり、雫ちゃんは笑顔が似合う。がんばって。本当のあなたのステージを待ってる人は、必ずいるから」

 

「えぇ! ありがとう、ルカちゃん!」

 

 

 またここに来るから、近い内に会いに来るから。

 彼女はさよならも、またねも言わずに去っていく。

 あとはただ、決めるだけ。

 

 ◇

 

 半強制的に雫の練習参加を休みにした翌日。湊は学校を休み、自室に籠ってこの先の方針や企画を練っていた。録画や動画編集の仕方、生ではなくてもファンのコメントや思いを汲み取れる企画。

 雫がどっちを選んでもいいように、ずっと考えた。

 何度も何度も試行錯誤を重ねて。生配信のテストで撮った動画を編集してテロップやBGM、効果音を入れて自然に楽しめるように。

 

 

 いつか活かせる技術、いつか使える企画。どちらに転んでも、雫が笑顔でいられるような環境を整えるのがマネージャー兼プロデューサーとしての湊の役目。

 

 

「時間か。今は、タイムアップだな」

 

 

 学校は休んだが、みのりたちのレッスンは休めない。加えて、案出しなんて一人では限界がくる。元を辿れば、付き合いが始まったばかりとはいえ、お互いのことを知らなさ過ぎたり、余裕がなくて知ろうとできなかったことも、今回の原因の一つ。

 

 

 難しいなら頼り、苦しいなら寄りかかる。

 仲間だと言うのなら、それくらいしないと、他の人も同じことはできない。言葉にする前に行動で、行動で示したあとに言葉で。

 余裕なんてない、炎上からの脱出はギリギリだろう。残念だが、チャンスは人生で何回も舞い降りてこない、掴むべきチャンスは取り逃せない。

 

 

 本当の意味で、雫がありのままの色を纏えるステージを作る。

 次の配信が分かれ目だと、湊は理解し、燃えていた。三度目の正直を待ってられない。二度目のミスは犯さない。固い意思を胸に、彼は走り始めた。




 顔がいい四コマ「夕食を囲んで」

 偶に、気が向いたら、そんな感覚で志歩は月野海家の夕食に顔を出す。そういう時は決まってなにか困り事がある、なんてことはなく至って普通にほのぼのと食卓を共にする。
 雫が気を利かせてチーズインハンバーグを作ると、志歩は親しくならないとわからない程度に頬を緩ませて箸を取る。


 二人の時間を大事にする湊と雫だが、なんだかんだ、志歩を交えた三人の時間も好きで、こうして笑を浮かべて言葉を交わす。
 他愛ない雑談。学校では最近なにがあった。友達がどうだった。ニュースでああ言われてた。あーだこーだ、いつでもできる話を温かい食事の席でするのも、中々悪くない。
 流れていく時間の中、空気に身を任せて、久しぶりの三人の夕食を湊は楽しんだ。


 翌日、ニコニコ笑顔で昼食を誘いに行った雫が断られたのは、また別の話である。

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 次回もお楽しみに!

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