幼馴染みは顔がいい   作:しぃ君

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 お久しぶりです、2週間ぶりですね、私です、しぃです。
 先週は少しゴタゴタしてて、投稿ができなかったのですよ……あはは……
 まぁ、不定期なので、そこら辺は温かい目で見てやってくれると嬉しいです。


 p.s.
 Kndkskさん☆10評価、キノコとリスさん☆9評価ありがとうございます!!


休みの日は仕事禁止で

「みぃちゃんは働き過ぎだから、お休みの日はお仕事禁止!!」

 

 

 プンプンと怒った雫に、湊がそう言われたのは今朝のこと。配信が軌道に乗り、配信に活気が溢れるほど、彼の仕事は増えていったからだ。台本などの小道具から、配信機器の調整、企画の整理、コメントや同業者からの情報収集。

 配信業というものを知れば知るほど、雪だるま方式がごとくやることは膨れ上がった。ある種、仕方がないことではある。サポーターとして、輝く彼女たちに最高の舞台を用意するのが役目だと言い張るくらいなのだから。

 

 

 だがしかし、雫はそれを認めない。

 休む時は休む。

 オンとオフの切り替えは大事だ。

 

 

 無意識なのか、雫が隣に居る時は自然と休むフェーズに入れているが、彼女にも彼女の用事がある。いつだって隣に居たいが、離れなければいけない時は何度も訪れるのだ。

 そんな中で、肩の力を抜けないままでは、いつかまた倒れてしまう。

 

 

「──にしても、衣装を考えるのも仕事に繋げるからダメって……厳しすぎるだろ」

 

 

 流石に俺だってそんな、なんて考える湊だが、思い当たる節はいくつもあった。趣味として雫用の服や、絵名たちの服を考える時、必ずとはいかずともそっちの方向に思考は寄る。悲しいことに、湊はやりたいことに対してとことんストイックだった。

 意識しても、少しずつ思考は寄って、新しい企画のネタを考え出したり、グッズ用のアイテムをイメージしたり、グループ衣装のラフに手は動く。

 

 

 しかし、問題はそこではない。

 今、彼は、どうしようもなく、

 

 

「暇だ。雫たちはショッピング、司も類もキャストの仕事があるし、彰人と冬弥は歌の練習。絵名と瑞希に至ってはメッセージに反応しないどころか、電話にすら出ないし……はぁ……」

 

 

 よく連むメンツは軒並み全滅。

 ダラダラ過ごすには勿体なくて、かといってアクティブに動くほどの力は出ない。まさに微妙。彼らしいと言えば彼らしい暇の持て余し方で、なにもしないでも時計の針は進む。

 一人が苦手ではない湊でも、いつも傍に居てくれる幼馴染みがいないのは──素直に寂しかった。

 

 

「放置しっぱなしだったゲームでもやるか」

 

 

 何年前に止めたかすらわからない家庭用ゲーム機をテレビ台の下から引っ張り出して、思い出しながら準備を終わらせる。

 今は懐かしき記憶。

 思うままにぶつかり合っていた頃の、記憶。

 

 

 昔は四人で、今は一人。

 同じレールの上を走っていたのは思い過ごしで、それぞれが違うのレールの上で足掻いていた。それは、今も変わらない。

 

 

「自分が欲しくて買ったのに、一人プレイするの初めてだな、このゲーム」

 

 

 誰に聞かせるでもない独り言を呟いて、湊はスタートボタンを押した。

 

 ◇

 

 朝の十時過ぎから始めて、現在は昼の一時前。

 約三時間の成果は、画面にデカデカと表示された『GAME OVER』の文字が伝えてくれる通りである。難易度の高い途中から始まった冒険に加え、忘れてしまった前半部分のストーリー。目的を確認し、挑戦してみたはいいものの、惨敗。

 ネットで情報を漁れば、要領のいい彼ならあっさりクリアするだろうが、それでは意味がない。

 

 

 初見のゲーム。まっさらな知識。果てない冒険心。

 ゲームというのは、心を動かすもの。それをネタバレありの攻略を見て、楽しいのか。彼の答えは、否である。

 もっとも、ゲームを続ける気力があるかと言われたら、それもないのだが。

 

 

「腹、減ったな」

 

 

 材料なら冷蔵庫の中に転がってるだろうが、料理をする気が起きない湊。

 買って帰ってきて食べるのも面倒臭い。

 いっそのこと、外で済ませてしまおうか。

 

 

 ぼーっとそんなことを考えると、彼は外行きの服に着替え、財布とスマホを持って家を出た。洋食、和食、中華。住宅街を抜ければ、店なんて腐るほどある。

 最近行ってなかったから店や、話題になってた店なんかをテキトーにスマホを使って検索し、あたりをつけていく。折角食べに行くのだから、どうせなら美味しいものが食べたい。そんな当たり前の考えのもと、街をブラブラと彷徨う。

 

 

 聞き慣れた歌声が届いたら、少し寄って冷やかして。また、ブラブラと。

 ファミレスを通り過ぎ、チェーンの中華店を通り過ぎ、卵かけご飯専門店、なんて店も通り過ぎ。どれにしようか、あれにしようかと迷う。

 結局、少し戻ってファミレスに行くのだから、中途半端なものだ。

 

 

「いらっしゃいませー」

 

 

 明るい店員さんの声を聞き流して、店内を見渡す。昼過ぎということもあり、客の数もまばら。これならゆっくりしても問題ないだろうと、案内されたテーブルにつき、無難な注文を伝える。

 ドリアにフライドポテトにドリンクバー。足りなかったらおいおい追加すればいいだろう、と呑気に構えて、湊はドリンクバーでアイスミルクティーを作って席に戻る。

 

 

 品を待つこと数分、ちょうどポテトが来たタイミングで、カランカランと入口の扉の音が鳴った。自分と同じように中途半端な時間から食べに来る人もいるもんだなぁ、とアツアツポテトを齧りながら音の方向を見上げると見知った顔が目に映る。

 

 

 朝、メッセージと電話を華麗にスルーした瑞希と絵名である。彼は、そっと顔を伏せ、気付かれないよう無言で食事を続けたが、目敏い絵名にはすぐに見抜かれてしまい、ドカドカとテーブルに詰め寄られる。

 

 

「人様が疲れて眠ってる時にモーニングコールしてくれてありがとう、湊。良かったら、ご飯でも一緒にどう? 勿論、アンタの奢りで」

 

「ヒトチガイデス」

 

「嘘言うんじゃないわよ!」

 

「ま、まぁまぁ、絵名。そんなに怒らないでもいいじゃん? それに、ほら、この後の買い物の荷物持ち手伝ってくれたらチャラ〜、くらいでさ?」

 

「……ったく、仕方ないわね」

 

「いや、まだ付き合うとか言って……」

 

「あ?」

 

「……なんでもない」

 

 

 美味しい昼食のあと、楽しい楽しいショッピングが湊を襲った。

 八つ当たりに、トレンド議論で打ち破ったのは、また別の話。

 

 ◇

 

 月が綺麗に浮かぶ夜。長いショッピングからの帰り道。

 偶然にも、湊と雫は出会い、並んで歩いていた。

 

 

 お互い、今日あったことを話して、雫が微笑んだから湊もつられて笑った。

 きっと、一年を通してみれば何気ない日。予定もあてもなくブラついて、流れた日。誰も見てないから、なんて言う雫に誘われて握った手が少しだけ冷たくて、湊はそっと寄り添った。

 冬にしては暖かくても、日も落ちれば寒くなる。握った手が凍えないように、彼は優しく握り込む。

 

 

「今度の休みは、家でまた映画でも観るか。司がおすすめしてくれたやつ、確かレンタルできるようになってたしさ」

 

「いいわね♪ 温かいココアでも飲みながら、一緒に観ましょ!」

 

「……あぁ」

 

 

 また明日があると自分に言い聞かせる過去は終わった。

 心配しなくても、また明日はある。

 明日は来る。

 

 

 空を見上げて、揃って『月が綺麗ですね』と言い合った。




 やって欲しいお題とかあれば、このマシュマロに!
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 次回もお楽しみに!

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