いやぁ、長かった戦いが終わりましたよ。
四ヶ月くらいの。
来年度からは投稿が本当に不定期になると思うので、週に一回か二週に一回くらいのゆったりしたペースで覗いて見てください。
もしかしたら投稿してるかもしれないですし、してないかもしれません。
p.s.
タイガ〜アイさん☆9評価ありがとうございます!
行けばお目当ての物は大体揃うでお馴染みのショッピングモールに、傍から見たら世にも珍しいメンツが揃っていた。
一人は、再び走り出し今を輝くアイドル。
一人は、声が大きいテーマパークのショーキャスト。
一人は、夜に動き出す音楽サークルのイラスト担当。
一人は、新進気鋭のアイドルグループをまとめる、プロデューサー兼デザイナー。
情報量の渋滞を起こす彼ら彼女らの関係は──幼馴染みである。
「……はぁ。なんで、雫を誘ったのにアンタたちがいるわけ?」
「私がみぃちゃんを誘ったの〜♪」
「俺が司を誘った」
「そして、オレが来たっ!!!」
見るからに不機嫌そうな顔をする絵名だったが、最早諦めたのか、雫の手を引いて歩いていく。雫はそのまま連れられていき、残された湊と司は顔を合わせて苦笑すると、懐かしいなと言ってそのあとを追いかけた。
冬なのに春のような陽気のとある日。いつかの軌跡を辿り、四人は集まった。
◇
最初に訪れたのは今日の絵名の目的でもあった、最近ようやく日本オープンを果たした海外で有名なブティック。センスというより感性が独特な司はさておき、四人中三人は専門ジャンルだったり、趣味や仕事の関係上、比較的知識が深い分野。
トレンドが、流行がと言い争う湊と絵名。こっちもあっちもみんなに似合いそうだと、服を重ねて微笑む雫。そして、棒立ちの司。
決着のつかない論争に二人が疲れた頃、合わさないよう逸らされた視線が、妹へのお土産にとアクセサリーを見ていた司に注がれる。
黙っていれば、変顔もせず整った顔立ち。身長も172cmと、小さ過ぎず大き過ぎずの中間ライン。ショーという名の運動をしてるからか、ガタイも悪くなく、服を着こなには申し分ない。
「試すか?」
「望むところよっ!」
売り言葉に買い言葉。安い挑発に乗り、面倒臭い二人の司ワンマンファッションショー、もといコーディネート対決が幕を開ける。
鬱陶しいほどに溢れ出る爽やかさを全面に出すもの。素材を活かし普段とはギャップのあるカッコよさを魅せるもの。痛いくらいに振り切って厨二チックなもの。大人しく文学男子らしいもの。
一々ポーズを構え無駄に上手く演じる司に、絵名が文句を言うのは仕方のないことだった。
「あぁもう! ほんと、素材だけは無駄にいい!!」
「もう少し中身が違ったら変わるんだけどなぁ……これだからなぁ……」
「似合ってるわよ、司くん! こっちにもポーズちょうだい?」
「はっはっは! 任せろ! 360度余すことなくスターの輝きを届けようっ!!!」
無意味と無駄を重ねる寸劇は、店員さんに注意されるまで続き。四人は、お詫びとして一人一着ずつ服を買って店を後にした。近くにいた客の視線は、とても美男美女のグループに向けられるものではなかったという。
◇
休憩という名の、女王様のご機嫌取り。
喫茶店に腰を下ろした四人は、敗走品を確かめながらお茶やデザートに舌鼓を打っていた。
「絵名ちゃん、こっちのパンケーキすごく美味しいわよ? 一口どうかしら?」
「ありがと、雫。あーん……んぅ〜、おいしい! やっぱり、ここのデザートはどれもハズレがないわね」
「ふむ……そうなのか?」
「ショッピングモールに併設されてる他のチェーン店とも肩を並べてるくらいだからな。SNSでも有名だよ。ほら」
「おぉ! 新商品の宣伝にコメントが百件以上も……! 咲希に知らせねば!!」
「いや、あの子なら知ってるでしょ。こういう所、結構マメに調べてそうだし」
当人同士の仲は微妙でも、それが兄弟姉妹に向くことはない。
司はなんだかんだ彰人と仲がいいし。絵名も志歩や咲希の現在を雫経由で聞くくらいには自然な関係を作れている。性格的にも正反対な二人だが、ある種、下を大切にする心は同じ。
感情の振れ幅が激しい所も、案外似ている部分なのかもしれない。
時を経て、目線も立ち位置も、居場所も変わった。
それはしょうがない変化。成長に伴う代償。
あの日の面影を見ているようで、今しか見えない景色を湊は眺めている。甘い、甘いミルクティーに反射する自分の表情が、普段より柔らかくなっているのに、少しだけ気付かないフリをした。
泡沫の夢。
掴もうとしたら、壊れてしまう幻影。
ふわふわと漂う雰囲気を、形に直すのが難しいのと同じく、今という瞬間は儚いものだ。グラグラと積み上げたこの空気を崩すくらいなら、このままの方がいい。
熱くもなく冷たくもないぬるま湯が丁度いいのだ。
◇
お茶をして、違う店を回って、ソファでアイスを食べながら少し休んで、また歩いて。解散まであとちょっと、という所で、ハプニングはやってきた。
良くあること。
大きめのショッピングモールで起きる、子供の迷子。
通路の隅に蹲って泣いている子供が、偶然にも四人の視界に入った。
勿論、一番早く走り出したのは司。通り過ぎる客の合間を縫って、目線を合わせるために膝を着いて声をかけた。
「一人で怖かっただろう少年っ! もう安心しろ!
「……ぅぅ……お兄ちゃん、怖いよぉ……!」
「なにぃ!?」
「普通、そのテンションでいったらビビるだろ。お前はバカか?」
「バカでしょ」
「ふふっ。あらあら、大丈夫? 怪我はしてない?」
「……うん」
優しく微笑みかけた雫に心を許し寄り添う少年を、湊が落ち着かせて情報を聞き出し、司は一人
放送を流してから十分もしない内に少年の両親はやってきて、四人に深々と頭を下げて感謝を伝え、去っていった。
別に誰も助けてなんて言っていない。
勝手に先を行った司を湊が追いかけ、絵名が続き、雫は少し遅れて辿り着く。コンビネーションとも絆とも表し難い、ただなんとなくそれが最善だと思う行動を各々がこなし、問題を乗り越えた。
彼ららしい回答。
「ただでさえ疲れてたのに、余計に体力持ってかれたわ……全く」
「滅多にしないんだから、偶になら人助けも悪くないだろ? 絵名」
「そうだぞ! 善いことをしたあとは気分がいいっ!」
「はいはい、アンタたちはそうでしょうね」
「……不器用ね、私たち、みんな」
並んで帰る四人は、きっと器用には生きられなかった。
夢を忘れたり、夢を諦めたり、夢を投げ出したり、夢から覚めたり。
ジグザグに道を変えながら、視線だけは真っ直ぐ前を向いて、進んだ。
また、振り返るのは、もっと先の明日に任せて。
やって欲しいお題とかあれば、このマシュマロに!
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次回もお楽しみに!
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