俺の絶対(選びたくない)選択肢   作:イニシエヲタクモドキ

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キレる変態(笑)というお話。

または、祝日だから投稿したよ、というお話。


①対抗戦のお話 ②太鼓汚染のお話

なんだかんだでゆらぎを連れて教室まで戻り、自分の席に向かう。

 

すると、俺の席の後ろで、雪平がやけに落ち込んでいるのが見えた。

その近くで遊王子が不思議そうな顔をしているが、一体どうしたというのだろうか?

 

「おーい、どうしたんだ?」

「っ!…別に、何でもないわよ蟯虫」

「誰が寄生虫だ!しかもそれ検査が廃止されたヤツじゃねぇか!!」

「ならあの貼り付けるやつの粘着性のある部分があなたね」

「もはや生物ですらねぇのかよ!?」

「冗談よ。あなたの粘着力はその程度じゃないわ。アンパン●ングミのオブラート以上だもの」

「あー、あれか。昔俺もはがそうと躍起になって……ってそんなに粘っこくねぇし!汗とかサラサラなんだけど!?」

「本当かしら?あなた程脂ぎった人は居ないと思うけど」

「そんなにギトギトじゃねぇし!!」

 

…え、俺ってそんな脂っこく見えるの?

いやいや、絶対冗談…冗談、ですよね?

 

というかあれはアン●ンマングミの粘着性であって、オブラートから張り付いているわけではないのでは…?

 

「その粘着性を活かして、随分女性に貢がせていい思いをしてるらしいじゃない」

「ヒモじゃねぇよ!?」

「働いたら負けと思ってるんでしょう?」

「ニートでもねぇよ!?―――いや、確かに今はバイトも何もしてないが」

「やっぱりヒモニートじゃない」

「違うから!」

 

【選べ ①「そんなに言うならお前が養ってくれよ」 ②「そんなに言うならお前を養ってやるよ」】

 

……これってどっちが正解なんだ…?

 

えっ、①は冗談として使えそうな反面、冗談として受け取られなかった(ように振る舞われた)場合が悲惨だし…

②も冗談として使えそうな反面、何がそんなに言うならなのかわからない上に、冗談だとしてもクソつまらないし…

 

けどまぁ、ヒモ発言するくらいなら働く気はあるという方がいい…よな。

 

「そんなに言うならお前を養ってやるよ」

「えっ」

「……いや、そんなマジに受け取らなくても」

「…ごめんなさい、無理ね」

「でしょうねぇ!」

 

そりゃ「嫌い」なんだからそうだよね。

 

……というか話があるのを忘れていた。

 

「そういや、対抗戦の助っ人の話はどうなった?」

「…見ての通りよ」

「なんだ、それ」

「コラよ」

「いや見たらわかるけど」

「タイトルは『叫ぶ天久佐君』」

「ビーバーのやつだろ知ってるわそれくらい!!なんで助っ人の話になってそれが出てきた!」

「あなたがこの間『ロリゲーの登場人物の実年齢は授業内容でわかるだろぉおおお!!』って数学の時に叫んでいたのを、実はこっそり録音していたのよ」

「なに録音してくれてんの!?」

「その音声を入れて、ビーバーの顔の部分を天久佐君に変えて、完成したわ」

「だから完成させて何があるんだよ!?」

「これを使って、お断り5の宣伝でもしようと思ったのよ」

「人を宣伝材料に使わないでくれませんかねぇ!?」

「他には『異世界天久佐君』とか『party tenkyusa』とかもあるわ」

「作り過ぎだろどんだけ素材あんだよ!?」

「音MADも作ったのだけど、聞く?」

「聞くか!」

 

というかコイツ俺のコラの話しかしてないぞ。

結局助っ人は駄目だった、って事か。

 

―――あ、因みにロリゲー云々の話は選択肢のせいなので悪しからず。

 

「…じゃあ、遊王子の方はどうだったんだよ」

「うーん…あっ、あたしね?さっきすっごい人見つけてさー!」

「ほー…んで?どんな奴?」

「なんかね、女子生徒見てはぁはぁ言ってる、すっごい老けた男子生徒かと思ったんだけど…」

「まさか女生徒だった…とか?」

「違う違う。―――コスプレショップでこの学校の制服買ってこの学校に忍び込んできた、無職のおじさんだったの!」

「不審者じゃねぇか!!」

「騒がしいと思ったら、そういう事だったのね……惜しい人材を無くしたわ」

「流石に部外者を使おうとするなよ…」

「なら、おかしい人を無くしたわね」

「言い方の話じゃなくてですね…」

「じゃあ、そういう天っちは誰か見つけてきたの?」

「―――あー、いや。そういう事は全くなく」

「んー?じゃあその子誰?」

「え?あぁ、コイツは俺の…」

「妹ですっ!」

「ただの幼馴染だ。自称『全人類の妹』で、知的生命体ならその性別、年齢、人種の如何に関わらず自分の兄か姉にする変人。名前を箱庭ゆらぎ」

 

ゆらぎの紹介が遅れていたが、遊王子が話を振ってくれたおかげで何とか紹介できた。

…いやこれ何も言わずにそのまま帰らせた方が良かったんじゃねぇの?

 

「なるほど…あなたシスコンだったのね」

「違うから。俺が言わせてるとかじゃなくってただコイツが勝手に…」

「ねぇねぇ、この人たちは?」

「あ?…あぁ、クラスメイトの雪平ふらのと遊王子謳歌な。俺と同じお断り5の」

「雪、平……」

「ん?知り合いだったか?」

「いんやぁ?―――あの、ちょっといいですか?」

「…何かしら、天久佐君の性的な意味での妹さん」

「おい待てそれは一体どういう」

「ちょーっとお兄ちゃんは黙ってて?」

「アッ、ハイ」

 

怖っ。なんでこんな威圧感出してんだコイツ。

雪平と何かあったのか?でもだからって俺にそんないう必要は無いと思うんだが…

 

ていうか性的な意味での妹ってなんだよ。

 

「……ふらのお姉ちゃんって、お兄ちゃんに「嫌い」って言った、あのふらのお姉ちゃん?」

「…そうだけど」

 

改めて言わせないでくれよ涙が出る。

まぁ俺は強い子だからな。実際には目からは汗しか出ていないぞ。

 

「ふーん……まっ、お兄ちゃんがいくら狙ってるって言っても、この様子じゃ何もなさそーだし…いっか!」

「何の話だよ…」

「…うーん、やっぱりこの超鈍感さは変わってないね。まぁそこがお兄ちゃんがお兄ちゃんたる所以なんだけど!」

「なんだよそれっていうか抱き着くな暑苦しいなぁ!」

 

再び俺に抱き着いてきたゆらぎを、今度こそ体勢を崩すことなく受け止める。

暑苦しいのは本当だが、まぁくっついてくるなら受け止めてやるのが男だろう。

 

…うっ、なんだろう。急に冷たい視線を感じる。

教室内からも、何故か雪平からも。

侮蔑の眼差しという事ですね、わかります。

 

でも兄扱いされているのは不本意なんです信じてください。

カナヅル、ウソ、ツカナイ。

 

「…ねぇねぇ。対抗戦の助っ人、この子で良くない?」

「お兄ちゃんの助っ人?やるやるー!」

 

【選べ ①「普通に嫌なんだけど」と本心を告げる ②「俺の肉便器を全校生徒に晒すのはなぁ…」と本心を告げる】

 

何気にどっちも本心じゃねぇんだよ!!

なんだよ肉便器って!さっきからふざけすぎだろ!

 

因みに①の方は「最悪誰も候補が居なかったらコイツを助っ人にしよう」って画策してたし、実は間違ってるんだよね。

 

まぁ無難なのは①だけどさ。

 

「普通に嫌なんだけど」

「えーお兄ちゃんつれない……もしかして、私の事嫌い?」

「ははは、いくら美少女でも妹を自称してかつ他の男にもホイホイ付いていくような奴は好きにはならんぞ俺は」

「美少女…」

「美少女…」

「美少女って言ってくれた!」

「そこに反応すんのかお前ら!」

 

態々論ずるべきことでもないと思う。

だって実際ゆらぎは可愛い方だと思うし。

 

中身が壊滅的だからって、外見まで貶すのは、なぁ?

 

因みにどうでも良い話だが、反応は上から順に雪平、遊王子、ゆらぎだ。

 

「ほっ……まぁ、別にいいんじゃないかしら?」

「うんうん。ちょーっとモヤモヤするけど…

「なんだよモヤモヤって、さまぁ~ずか?」

「なっ、なんでもないよっ!?」

 

左様ですか。

後ね、人がボケたらそれにはノッてくれなきゃだよ。

じゃなきゃただの変な人だからね…って周りからしたら元からか。ははは!

 

「じゃあゆらぎが助っ人って事で。でも本当に良いのか?周りからの目が恐ろしく冷たくなるぞ?」

「えっ、今下の名前…」

「うん!お兄ちゃんと一緒なら、全然オッケーだよっ!」

 

…今雪平からすっごい声が聞こえた気がするんだが、気のせいだろうか。

まぁゆらぎの名前を呼んだくらいで雪平が反応する訳ないか。疲れてんのかな?俺。

 

「……そして抱きつくな抱きつくな。暑苦しいし首は絞まるしで良い事無しなんだけど?」

「え~?可愛い妹に抱きつかれて、嫌な思いするお兄ちゃんがいる訳ないでしょ?」

「自分で言うか!?いや確かに可愛いとは思うが、それとこれとは別問題だろ!」

「ええ、そうね。公衆の面前でそんな接触…破廉恥よ」

「別に、兄妹愛の範疇だと思うけど~?」

 

そもそも兄妹じゃないんですけど。

そして兄妹だとしてもこの年頃ならやっぱり過剰だと思うんですけど。

 

「あっ、もしかしてふらのお姉ちゃんも抱き着きたいの?」

「なっ…私は」

「んなわけないだろ?さっき話したじゃねぇか。俺がコイツに嫌われてるって話」

「―――えぇ、そうね。私だってこんなドブネズミのような匂いのする男に抱き着きたいなんて思わないもの」

「そんな臭くねぇよ!!」

「間違えたわ。ねずみ男のような匂いよ」

「同じじゃねぇか!」

 

実際に嗅いだことがある訳じゃ無いけども。

 

しっかしなんだ?随分と不機嫌そうだが……まぁ、嫌いな奴相手に抱き着きたいって思ってると勘違いされちゃ、流石の雪平も露骨になるか。

 

「すんすん……だいじょうぶですよ金出さん。くさくないです!」

「お、まじで?……じゃなくて!なんでお前まで抱き着く必要があるんだよお前教室内の全員がもはや視線で殺しに」

「……ほほーう、この流れで行くとあたしもだね?うりゃー!」

「ぎゃー!?お子様がまだ一名居たのかー!」

 

右にゆらぎ、左に遊王子、そして正面にショコラという訳の分からない包囲網が完成してしまった。

 

何が悲しいって、明らかに遊王子は普段と違うんだよな。

流れ汲んでみましたー、って感じで抱き着いたはいいが、今になって自己嫌悪…という感じだろうか?

実際は耳を真っ赤にした挙句、顔を隠すように俺の脇腹に埋めているって感じなんだけど。

 

「……なるほど。これは私も行動に移さなきゃ、ね」

「―――ちょっと待って雪平サン。俺、悪くない。子供たち、やんちゃ。それだけ」

「コォオオオオ……」

「なんで波紋の呼吸!?」

 

殺意に満ち溢れた瞳を向け、ゆっくりと俺の傍に近づいてくる雪平。

正直さっさと逃げ出したいが、無理に逃げ出そうとすればこの三人が転んでしまう。

 

それはちょっと、駄目だと思うんだ。

 

【選べ ①周りの被害など気にせず回避。そのままシェルブリット・バーストを雪平に喰らわせる ②誰も傷つかないなら、命だって惜しくはない。最悪波紋を流されて消滅する】

 

①だと雪平死ぬぞ!?

そして②はなんだよ!?俺吸血鬼なの!?

 

「……緋色の波紋疾走(スカーレットオーバードライブ)!」

「ぐぶぁっ!?」

 

ただの拳が、俺の腹部を穿った。

スカーレット要素無いじゃん、というツッコミが出るよりも先に、俺の体は崩れ落ちていた。

 

【選べ ①「URYYYYYYYY!!」と叫ぶ ②「WRYYYYYYYY!!」と叫ぶ】

 

なんでさっきから●ョジョなんだよ!

さっきの雪平の波紋疾走が中々強力だったせいで、今中々もだえ苦しんでるんだけど!?

 

「WRYYYYYYYY!!」

「あなたを葬るのに罪悪感無し!」

 

なんでちょっとノリ良いんだよコイツは。

 

ていうかマジで痛ぇんだけど!?どんだけ本気で殴ったんだコイツ!?

 

「ちょっ…まって、マジで痛かったんだけど…」

「そうね。本気で殴ったもの」

「なんでだよ!?」

「年頃の女の子三人を公衆の面前で抱いていた変態だったからよ」

「違うから!俺から抱き着いたわけじゃないから!」

「なら男に抱き着きたい、という事かしら?」

「ほもですかっ!?」

「どっちも違ぇから!どうせなら女の方がいいわ!」

「なら、やっぱり望んでいたことじゃない」

「だからそういう訳じゃ……」

 

【選べ ①「俺は雪平が良かったんだ」 ②「俺はふらのが良かったんだ」】

 

そういう訳でもねぇよ!?

しかもお前、①も②もほぼ同じじゃねぇか!名字か名前かの違いだろコレ!!

 

「…お、俺は雪平が良かったんだ」

ふぇっ!?――――ん、んんっ。私は勿論嫌だけどね」

「そりゃそうでしょうねぇ……」

 

嫌いなんだもんね、そりゃそうだよね。

…つーかよしんば嫌いじゃ無かったとしても好きでもない奴に抱き着きたくも抱き着かれたくもないだろ。

 

まぁ雪平の価値観が一般人のソレとズレている可能性だってあるが。

 

「…さ、今までの事は水に流してあげるから、結団式でもしましょう」

「……お、それいいね!」

「じゃあ、優勝目指して―――」

「「「「えいえい、おー!」」」」

 

水に流すってお前…と言う間もなく、勝手に四人で勝鬨を上げていた。

勝つ前にやってどうするんだ、とか、そもそも優勝ってなんだとか言いたいことは色々あるんだが…

 

【選べ】

 

うん、どうせ黙ってないだろうなぁって思ってたさ。

今度は何でしょう?

 

【①カチドキロックシードと戦国ドライバーが出現。その場で変身する ②自分でカチドキアームズの変身音を完全に再現する】

 

……①、かなぁ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「という訳で、早速自己紹介をし合いたいと思いま~す」

「…どういうわけですの?」

 

時刻は昼。

誰もが食事に勤しむその時間、本来流されるはずの校内放送に代わって、対抗戦の出場者たちがトークする番組になった。

 

…いやなんだよコレ。

語尾がですのってなるくらいには訳が分かってないよ。

 

「ですから~、来る対抗戦に備えてお互いに自己紹介と軽いお話をと~」

「あまり馴れ合うのは良くないって言ったんだがな…こいつが聞かなかったんだよ」

「なるほど…」

 

いくら獅子守先輩でも、黒白院先輩には勝てなかったか。

しかし、向こうは全員参加しているが、こちらは夢島先輩だけいないぞ?

 

これって不参加でも良かったのか?

 

「夢島さんは、今日はお休みですのでいません~」

「なるほど、休みか……えっ、今心読みました?」

「さぁ~?どうでしょうね~?」

 

間延びした声で、適当に流してくる。

…まぁ真面目に「読みました~」なんて言われても恐怖で朝も起きれなくなるだけなんだけどな。

 

「―――じゃあ早速、表ランキングの参加者たちから自己紹介を~」

「…え、えっと…二年十五組、柔風小凪…です。」

 

オドオドした様子で一番最初に自己紹介したのは、柔風だった。

相変わらずナチュラルな萌えオーラだな。いっそ尊敬する。

 

しかし、隣の席の金髪ドリル爆乳…麗華堂は、その自己紹介は不服だったらしい。

 

「ちょっとあなた?これから戦うという相手にそんな弱気な態度でどうするの?」

「で、でも…み、皆仲良くとか、出来ない…かな?」

「駄目だな。さっきも言ったろ。馴れ合うのは良くないってな。―――別にプライベート云々はどうでもいいが、この場じゃこれから戦う相手だ。強気で行け」

「え、えぇ……お、謳歌ちゃーん…」

 

遊王子に助け船を求める柔風に、獅子守先輩も麗華堂もあまりいい顔をしない。

そりゃまぁ、これから戦う相手って何度も言ってるんだからな。

 

―――さて、遊王子の反応は…

 

「ふっふっふっ……その通り!あたしと小凪たんは現在敵同士!我らお断り5の前にひれ伏すのみなんだよ!」

「ふぇぇっ!?」

「いや助けてやれよ……つーかひれ伏すってなんだひれ伏すって。別にそんな血で血を洗うような戦いじゃねぇだろ」

「甘いよ天っち。ハン●ーグ師匠も「あまーい!」って叫ぶレベルで甘いよ」

「「あまーい!」はそっちじゃねぇだろ!同一人物だけど!」

「悪の女帝、コナギ・ヤワ・カゼを倒すのがあたし達『残念編隊断ラレンジャー』の使命。―――辛くても、やらなきゃならないんだよっ!」

「色々ツッコミどころが多いんだよお前は!なんだ悪の女帝って!その『残念編隊断ラレンジャー』もわけわかんねぇし、そもそも辛くてもってセリフを目を輝かせながら言うんじゃねぇ!」

 

【選べ ①せっかくだし、なんかそれっぽい名乗りをしてみる ②昔書いていたポエムの内容を全文暗唱】

 

これ全校放送なんだけど!?

えっ、①…?どんな感じだよ…?

 

…取り敢えずゴー●ンジャーでもやるか。

 

「……マッハ全開!断ラレッド!!」

「おっ、良いね天っち。ならあたしは―――まさしく不正解!断ラブルー!」

「お兄ちゃんとお姉ちゃんがそれなら、私は―――妹満開!断ライエロー!」

「あら、なら私は―――時々不愉快!断ラグリーン!」

 

全員ノリが良いな。嬉しいぞ俺。

 

…でも五人目が居ないんだよなぁ…

 

「ここは私がっ!」

「えっ、ショコラ!?」

「―――しょくじごうかい!ことわラブラック!」

 

いやなんでここに来てるんだよコイツ。

確かクラスの連中に餌付けされてたはずじゃ…

 

【選べ ①ここまで来たなら、最後まで名乗ろう ②ここまで来たなら、最後まで脱ごう】

 

誰が脱ぐかっ!全校放送だぞ馬鹿っ!

 

「正義のロードを斜め上に突き進む!」

「「「「「残念編隊、断ラ!レンジャー!!」」」」」

 

……決まった、な。

 

「…なんかありがとな、お前ら。俺の突発的な奇行に付き合わせて」

「ううん!楽しかったよ天っち!」

「スーパー戦隊系妹だって行けちゃうんだよ私!…あれ?でもゴーオン●ャーならシルバーが妹系?」

「私も、久しぶりに満たされた気がするわ。―――楽しかったわよ、天久佐君」

「金出さんのもっていたしーでぃーのおかげですっ!えへん!」

 

…選択肢による行動の後にここまで満たされた気持ちになったのは初めてだ。

やっぱり●ーオンジャーは素晴らしいな。家に帰ったらもう一回見よう。

 

「…話を戻しても~?」

「あ、はい」

「では、次は麗華堂さんの自己紹介を~」

「…二年十組、麗華堂絢女。趣味は絵画鑑賞、特技はピアノ演奏……そうね、今は五位だけど、いずれ頂点に立つ女よ!」

 

随分と高慢な雰囲気だが、あの時(絶対選択肢のせいで強制的に)俺に告白してきた時は、随分と弱々しそうだったのは忘れていない。

…でもまぁ、こっちが素なんだろうなコイツは。

 

しかしまぁ全校に映像ごと放送されてるからって、随分と大きな事を言ったな。

それもその胸を張りながら。張らんくても充分だと思うんですがそれは。

 

「―――大きいのはわかるけど、そんなにパイオツに集中するのは良くないと思うわよ」

「何の話だ雪平…基本俺は目しか見てないぞ」

 

確かにさっきの一瞬は見たけどさ。

でもやっぱり、人と話す時は相手の目を見るのが大事だと思うんだ僕。

―――まぁ、今のは話というよりも全体への発信だったんだけどさ。

 

「えぇ、そうね。実際私の胸に唯一視線を向けてないわけだし……ほんと、男としての機能が死んでるじゃないの?」

「全然健全だわ!なに雪平レベルの邪推してくれてんだ!?」

「天久佐君のその反応…クロね」

「だから違うから!」

「杓死を使うのはいいけど、私が居るところで使うのは止めてもらっていいかしら」

「キャプテンの方のクロかよ!」

 

二人は誤解していると思う。

別に全世界の男性が須らく大きな胸にしか興味が無いという訳では無いし、俺のように貧乳が好きな男だっている訳で。

 

―――でも三次元っていうのは触るためだけに存在しているわけだから、やっぱりデカい方が…

 

……やめよう。自分一人で終わらない論争を始めるところだった。

 

「……まぁ、なんだ?女の魅力ってのは胸だけじゃねぇだろ?俺あんまり麗華堂の事知らねぇけど、良いやつだとは思うし…だったら胸ばっかり見るのは失礼だろ?」

 

顔だって綺麗だし、性格だって悪いわけでは無いんだろう。

女王様的存在という噂は聞くが、それも個性だとしたらなんらおかしくはない。

 

という事を話すと、麗華堂は顔を赤くし、他は(ショコラと黒白院先輩以外)信じられないものを見るような目をしていた。

…いやそりゃ君たちからすれば珍しいかもしれないよ?俺がまともなこと言うの。でもちょっと失礼だと思うなその反応は。

 

「…やっぱ俺って、まともな事言っただけでこうなるのか…」

「別にこの反応はお前の思ってるようなのが原因じゃないと思うが…」

「はい?」

「まぁまぁ。次は獅子守さん、よろしくおねがいしま〜す」

 

気まずい雰囲気の中、平素と変わらぬ声音で続きを促す。

この人すげぇなぁ。ここまで表情変わらないとか。

 

「…獅子守想牙、特技はスポーツ全般。今は天久佐に勝つために特訓中だ。―――次は負けねぇぞ?」

「…まぁそれは次のスポーツ大会で」

 

獰猛な獣の如き眼差しを向けてくる先輩に、ちょっと距離をとってしまう。

…所詮助っ人程度だし、本当に頑張っている人にライバル視されるのは…なんというか、困る。

 

そりゃ相手がやる気何だからこっちもしっかり相手するけど…やっぱり、練習とかそういうのに時間を割くわけにもいかないし(俺の地位はボランティアによりなんとか残されている)望む通りの真剣勝負とはいかないと思うんだよなぁ…

 

 

「次は僕ですね。―――一年十一組、吉原桃夜です。趣味は女の子、好きな物は女の子、人生の目的も女の子です」

 

うわぁ…なんだこのお断り5に来てもおかしくなさそうな人材。

確かに見た目は良いと思う。爽やか系というかね?

それに声だって不快感を感じさせないようなこう、おっとりとした?って感じだし…

 

そりゃまぁモテるんでしょうけど、なんだろうか…この、行動理念が全て女で塗り固められている感じ。

いや実際本人がそう言ってるんだけどさ。

 

「えーっと…その、彼女とかいるの?」

「勿論居ますよ。丹生穂香さん、北島玲子さん、蟹沢蛯蜜さん、飛ケ谷紀美さん、赤松伊織さん、松永…」

「いやいやいやいや。なんで?なんで彼女の話になって複数人名前が出てくるんすかね?」

「え~、現在吉原さんとお付き合いしている女性は、十人とのことで~」

「おかしいだろ!?」

 

今のおかしいだろ、は、浮気とかそんな事して良いんですか的な意味と、なんでコイツがそんなモテモテで俺だけ最下層の住民なんだという世の不条理を嘆く意味が込められている。

 

まぁそんな事はどうでも良く。

 

え、なんなのこのガチ肉食。

十人?十人ってお前、何様?マジのハーレム野郎じゃん。

その相手達はいがみ合ったりしてないの(壊滅的であれよ)

 

「アフターフォローも完璧で、未だに彼女間での諍いも起こっていないようで~…一年生の中で現状、表ランキング入りの最有力候補だそうですよ~」

「僕と交わ…いえ、関係を持った少女達は全員幸せにしますよ。それが僕のポリシーですから」

 

いや言ってることクズだからな?

どんだけガワ良くっても中身壊滅的だったらお前こっち側(お断り5)だからな?

 

見方を変えたらマジでただの女好きの変態だからなお前。

ほら、こっち来いよ!(死者の呼び声)

 

【選べ ①女の心を弄び、悦に浸る等許せん。本心から説教してやろう ②女の心を弄び、悦に浸る等許せん。俺も一人二人分けてもらおう】

 

②さん。それじゃコイツと同じなんだよ。

 

―――まぁそうだな。たかだか一年程度だが、人生の先輩としてガツンと……ん?

 

どうしたコイツ。なんで急にショコラの手を掴んだりなんて……

 

「…えっと、どうかしましたか?」

「好きです」

「え?」

「好きです。僕の女性遍歴の中で、ここまで魂を揺さぶられたのは初めてです…お友達からとは言いません。まずは婚約から」

「全校放送で何言ってんのお前」

「だからこそ、です。僕は、全校生徒の前でこそ言いたい。―――ショコラさん、貴方を愛している」

 

…何言ってだコイツ(誤字にあらず)

ていうか何でコイツショコラの名前知って…あぁ、俺がさっき言ったからか。

 

しっかし困ったな。ショコラはショコラでどうするべきかわかっていないようだし、奴は奴でふざけてるようには見えない…つーか声がマジだし…

 

俺に止める義理も理由も無い、が…さっきの選択肢の催促のせいで、まだ頭痛いんだよな。

ここはもう、一目惚れで他十人を蔑ろにするような発言をしたこと(ここまで魂を揺さぶられたのは云々)も一緒に叱って――――

 

【選べ】

 

…なんで?

別にあの選択肢は変える必要無かったと思うんだけど。

 

【①こんなよくわからんヤツにショコラを取られてたまるか。ここは本気でキレよう ②よくわからんヤツだがショコラは任せよう。その間に全校生徒に見せつけるようにして表ランキング女子を堪能(意味深)しよう】

 

ひ、酷すぎる。

別に人の恋路を邪魔するような真似しなくてもいいと思うんだが…

 

けどまぁ、①を選ばなかったら全校生徒の前で俺が酒池肉林(強制)することになっちまうし……すまんな吉原何某。運が無かったと諦めてくれ。

 

イキリにしか聞こえないだろうが、昔から俺は―――キレると怖い、と言われてるんだ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

昼食中、俺のクラスのお断り5達が出演している校内番組を見ながら、「また変な事やってるぜアイツー」とか言って佐藤とかと笑っていた。

天久佐がコイツ本当にお断り5なのかって思うような謎のイケメンムーブ(無自覚)を披露したり、全員(謎の妹枠もセット)でふざけてみたり…なんかもう、見てるだけで面白かった。

 

―――はずだった。

 

だが、吉原とか言うちょっといけ好かねぇヤツが天久佐の『学業補助ペット』ショコラちゃんを口説いた時、一気に場が…というか、この放送が流れている場所…つまり校内全域が凍り付いた。

 

『なぁ、吉原桃夜』

『………な、なんでしょう…?』

『別にお前が何人好こうが何人抱こうが、俺にはまぁ関係ないんだよ。―――けどな』

 

今まで聞いたこと無いくらいに低い声で、呟くように発せられるその言葉は、本当に小さい声のはずなのに、何故かとても響いて聞こえた。

 

『―――ショコラはさ。学業補助ペットとか訳の分からん立ち位置でここに居るけど、なんだかんだ俺にとっちゃ家族みたいなもんなんだ。だから…』

『だ、だから…?』

お前みたいな浮気性野郎(いいかチ●カス野郎、)に預けるつもりも(次ショコラを口説くような真似してみろ。)ましてや触らせるつもりもねぇ(二度と女と遊べない体にしてやる)……わかったか?』

『は、はいっ…!』

 

意外だった。

天久佐は、正直こんな熱くなる(表情も声も底冷えするような感じなのだが)ヤツだと思ってなかったし、ここまで感情を表に出すような奴でも無かった。

 

確かに雪平とか遊王子とかにツッコミしてる時はすっげぇ生き生きとしてるけど、それ以外はなんかこう、無理してる感じが多々見受けられるというか。

 

―――そんなアイツが、あろうことかこんな大勢の前であそこまで。

 

その後は何も言わずに、腕を組んだまま吉原からは視線を外した。

そこでようやく空気が元に戻ったのだが、誰も喋らない状況は依然として続いていた。

 

…画面の中でも、勿論教室の中でも。

 

―――前々から思ってたけど、雪平と遊王子は天久佐の事が好き…なんだよな。

特に雪平なんかわかりやすいが……そんな好きな奴が目の前で他の女の為にキレたって、心中穏やかじゃなさそうだな。

ま、他人事だしどうでもいいけどさ。

 

戻ってきたら佐藤とかと一緒に天久佐を胴上げしてやるかな。『よく男見せたな!』って。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

……気まずい。

そりゃまぁこの状況作ったのは俺だし、誰がどう見ても俺が悪いんだろうけど…実際は選択肢がはっちゃけただけなんだよなぁ…

 

吉原は勿論、麗華堂も柔風も獅子守先輩も…果ては雪平も遊王子もゆらぎも、もっと言うなら黒白院先輩だって微動だにしてない。

そんな不味い事…言いましたよね、わかります。

そりゃそうだよね。互いに恋愛感情も何もないはずなのに、勝手に『家族も同然』とかなんとか言っちゃてもう……恥ッッッず!!

穴が無くても、今すぐに床を掘って穴作って入りたいくらいには恥ずかしいぞオイ!

 

あぁ……これで全校生徒に『イケメン相手に急にキレてイキるだけイキったイケメン(笑)』という風評が…辛い……いや辛いんだけどこれ!?

豚の鳴き真似より辛いんだけど!?

 

そして何でショコラはちょっと嬉しそうなのよ。なに?自分がペット枠だと思ってたら、いつの間にか家族枠に上がってて嬉しいとかなの?

俺なんかの家族で喜んでくれるならまぁ、こっちもなんか…嬉しい?かな。

 

「あの、黒白院先輩」

「どうかしましたか~?」

「いや、時間もあれでしょうし、次に進めてもらっても」

「そうですね~。なら、次はお断り5の皆さんの自己紹介でも~」

「あ、じゃあ俺から…」

「それは駄目、で~す」

「…何故?」

 

全員まだ復帰して無いし(そんなに俺がキレたのが意外だったのだろうか)数少ない普通に喋れる人代表としてお断り5一人目の自己紹介でもしようかと思ったんだが…

 

「え~?だって、主役は最後まで取っておくべきじゃないですか~」

「主役て。別に俺はそんな…」

「ご謙遜を~。天久佐さんは、『お断り5最強の男』じゃないですか~」

 

不本意ですがね?俺だってやりたくてやってるわけじゃないんですよ。

いつだって、俺の脳内の絶対選択肢が…

 

【選べ ①ここは期待に沿った奇行に走ろう ②ここは敢えて自ら考えた奇行に走ろう】

 

そうそう、こういう風に……っておい。

なんでそんなお約束守っちゃうんだよ。ここは来なくていいよ。

 

しかもどっちにしろ奇行じゃねぇか!

…え、また豚?流石に使いまわしすぎだろ……でも重力に逆らう変態は流石に昼飯時に見せて良いものじゃねぇし…

 

―――あっ、半裸日本男児!

 

「ではお望み通り……ぬははははは!!これが益荒男の心意気じゃぁあああいッ!!」

「……お、お兄ちゃんっていっつもこうなの?」

「違う、違うんだゆらぎよ。これには山よりも深く海よりも高い事情がだな」

「…それ滅茶苦茶浅いじゃん」

「気が動転してるだけだしっ!本当に深い事情があるんだしっ!」

「…見苦しいわよ、天久佐君。わかってるんでしょう?本当は自分が人前で脱ぐのが好きな変態だって」

「別に脱ぐことに快感は覚えねぇよ!?」

「なら見られる事かしら?」

「それもねぇよ!」

 

お、おおー…これまた不本意な方法でだが、全員復帰したな。

 

…俺はどうあっても最後に自己紹介しなければならないようだし、ここは大人しく座って話を聞こう。

さ、上着を着て……

 

【選べ ①ここは敢えて何も着ず、自分の鍛えられた体を全生徒に見せる ②ここは敢えて何も着ず、帰りも半裸である理由作りの為に服を燃やす】

 

…ちょっと、この部屋暑いね。

だから、半裸でも仕方ないよね。




IFルート 【②ここは敢えて何も着ず、帰りも半裸である理由作りの為に服を燃やす】

「たっだいまー!」

一人の少年が、元気よく家に入って行く。
上半身裸の状態で。

「おお、おかえり。今日は特別元気だね。なにかあったのかい?」
「うん、実はねー!」

楽しそうに、上半身裸のままその日の出来事を父親に話す少年。
話が終わった時、ふと少年がある質問をする。

「ねぇお父さん。どうして僕達は家に帰る時は上着を燃やしてから帰らないとダメなの?」
「ん?おかしなことを聞くね。昔から決まってるからじゃないか」

そう。二十三世紀の日本において、上着を燃やして半裸で帰宅するのは一般常識になっていたのだ。

「でもいい機会だし、少し起源について調べてみてもいいかもね」

そう言って、父親はさっそく上着を燃やすようになった機嫌を検索し始めた。

「えーっと、なになに?『今から二百年程前、二十一世紀に、とある学生が全校生徒に見せつけた行為である。偶々その場に居たある大企業の社長令嬢がその行為に強くインスピレーションを受け、それを取り入れたCMを作り、大ブームに。今では帰宅時燃焼用の上着の需要が急激に高まり、環境に配慮した―――』まぁ、こんな感じかな」
「えっ?じゃあ昔の人達って、帰る時に上着燃やさなかったの!?」
「らしいね。今じゃそんな人見かけないよ」
「ふーん…」


因みにこの二人に関わらず一般的な人には知られていないが、上着を焼くのは『帰宅時に半裸になる文化を定着させ、地球温暖化による急激な気温上昇に耐える為』という説が、現在学会にて注目を集めている。

果たしてその『ある企業の社長令嬢』は、そこまで考えた上でそのブームを引き起こしたのか……真相は、彼女の頭の中である。
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