俺の絶対(選びたくない)選択肢   作:イニシエヲタクモドキ

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そこまで痛くないから。大げさすぎるから。というお話。


①雪平ふらのは可愛い ②雪片弐型はかっこいい

「あっ!しろぶた君だ!」

「ねぇねぇ、なにか手品してー!」

『ぶひひ~!』

「わー!無限ハンカチだ!」

「おもしろーい!」

 

時折子供たちに呼び止められながらも、雪平がどこかにいるだろうと探し歩く。

 

…あれ?ちゃんと雪平を見つけてたよね?と疑問に思う方がいるだろうと思うので、少し回想させてもらおう。

あれは、ショーが終わって舞台袖に戻ってからの事だった。

 

『いやぁ、すごかったよ天久佐君!これからも何度かお願いしたいくらいだ!』

『あっはは~!でも、それじゃしろぶた君のイメージとか色々台無しになっちゃうじゃないですか~』

『だが、君は本当にすごかったよ!まさしく手品のために生まれてきたと言ってもいい!』

『あはははははっ!それほどでも~!……っと、それでこの後なんですけど』

『え?ああ。君には広場を一周してもらって、その途中で子供たちにあったら、軽ーく触れ合ったり手品を披露したりしてほしいんだ』

『あ、外回りしていいんですか?』

『寧ろこっちからお願いしたいくらいだよ。―――じゃあ、さっそくお願いしていいかな?』

『あ、はい。では』

 

 

『…あれ?雪平?』

 

はい、回想終了。

会話文だけでもわかると思うが、結局何が言いたいのかというと…『褒められて有頂天になって、しかもトントン拍子で外にこのまま出ていいと許可をもらって勝利を確信していたら、肝心の雪平がどこかへ行っていた』という事だ。

間抜けすぎる。

 

しかもこれ、①と②を同時に選んだってことになってるらしく……端的に言えば、頭が痛い。

いや子供の前だったら絶対陽気に振舞うよ?シャボン玉を風船に変えて、それを割ったらキャンディが出てくる手品とか普通にやるよ?

けどね、痛いんだよ。とっても。

 

…そうだな。歩き回って子供たちに手品をしてるところだけ見せても面白みないし、少し俺が味わう頭痛について説明しよう。

―――自殺頭痛という言葉を聞いたこと…あるだろうか?

 

正しくは群発頭痛と言って、眼窩を中心に痛みが発生する頭痛で、一定期間…一週間に一度など、ある周期にその痛みが来る。

特筆すべきはその痛みで、なんでも『自分の親指くらいの小人が眼球の奥にある神経や肉を悪意に満ちた顔で食い荒らす』ような痛みらしい。

まぁぶっちゃけて言えば『恐ろしく痛い頭痛』という事だ。

 

ではなぜ『自殺』なんて呼ばれ方をしているのか?という疑問が出てくるだろう。

これは簡単な話で、『あまりの痛みについ自殺してしまう』ということらしい。

日本人の自殺率は低く、アメリカ人などがそれによってよく自殺するらしいのだが…

その理由が単に『銃がそこにあるかないか』の違いでしかないという。

 

つまり、銃が手元にあるから、痛みを感じたら自分で頭を撃ってしまうのだとか。

 

そんな恐ろしい頭痛の話を何でしたのか、というのは、もう察しのいい人ならお分かりだろう。

―――催促の痛みも、これくらいなんだよ。

 

普段は単なる片頭痛程度で済んでいる。

だが少しでも『拒否』や『抵抗』をすれば、親指大の小人が俺の眼窩を貪り喰らう。

そのくせ自殺しそうになったら例の『①死なない ②死ねない』が出てくるんだよな。

地獄だぜマジで。

まぁ最近はそこまで痛くならないから転がりまわるような真似はしないけどさ。

 

―――っと、こんな話をしているうちに……見つけたぜ、雪平。

あの白い髪に、赤みがかった目。そして整った顔―――うん。雪平だ。

 

じゃあどうやって話しかけよっかなぁー…ん?

 

「……こんにちは、しろぶた君」

 

まさか雪平の方から声をかけてくるとは…ラッキーだな。

ここはキュートなしろぶた君を演じて、様子をうかがうとしよう。

 

【選べ ①ここはクールさで勝負を決める ②ここはユニークに手品を披露する】

 

キュートでええんやって。

なんで態々そんな……でも雪平ってどっちの方が好きなんだ?

 

うーん…勝負を決めるってのが怪しいし、ここはユニークに賭けるか…?

 

「わっ…!?これ、しろぶた君…?」

『ぶひぃ』

 

手を叩き、地面に手を当てて、さながら錬金術師のごとく地面からしろぶた君ぬいぐるみを錬成した。

ほら、あいさつ代わりにプレゼントは道化師の鉄則みたいなところあるから(本物を見たことがない)

 

「……あの、一回転してもらっていいかしら」

 

…なんだその要求。

普段ならこの辺でとんでもない下ネタか恐ろしい要求が飛んでると思うんだが……まぁ、従うか。

 

【選べ ①くるっと・まわって・いっかいてん ②不動をつらぬく】

 

一回転の言い方よ。

それあれじゃん。ケロ●軍曹じゃん。

歌わなきゃなの?

 

「…ありがとう。ちょっと触らせてもらってもいいかしら」

 

体を小刻みに震わせながら、雪平はなおも質問してくる。

別に構わないんだけどさ?なんかこう…身にまとうオーラ的なものが…不穏?なんだよな。

 

うなずいて見せると、雪平はゆっくりと俺に手を伸ばし、しろぶた君を撫で始めた。

 

因みに水槽脱出マジックの時の水気はちゃんととってあるので、洗い立てのようなふわふわもふもふ感だと思うぞ。

 

「もう、我慢しなくても…いいわよね」

 

そう呟いた雪平に、着ぐるみの中で首をかしげる。

…我慢ってなんだ?もしかして、今からいつもの下と毒のオンパレードに…

 

「ここには知り合いもいないだろうし……いいわよね」

 

知り合いもいないだろうしってお前…人前でもどこでも気にせず下と毒をまき散らしてるだろうに。

 

呆れるように溜息を小さくついた俺を、強い衝撃が次の瞬間に襲い掛かった。

 

「はうう……やっと傍に来られたよぉ、しろぶた君っ」

『えっ(特別意訳:えっ)』

「か、かわいいよぉ…」

 

普段からは想像もできないような声を出しつつ、俺に抱き着いてきた雪平に、俺はしろぶた君風喋りを忘れて、素の声を出してしまった。

 

―――いや、何この子。雪平?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

雪平(?)からの熱烈な抱擁を受けること数分。

呆然としている俺に、ようやく離れた雪平(?)がオドオドと質問してきた。

 

「えっと…一緒に写真、とっても…いいかな?」

 

うーん。可愛い。

 

おっと、見とれてても仕方ないな……うん、写真ね。

それくらいならいくらでも一緒に写ってやりますよ。

 

【選べ ①ここは自分が率先してスタッフを呼ぶ ②ここは雪平に呼びに行かせる】

 

…あ、そうか。

別に俺が呼べばいいじゃんって思ったけど、しろぶた君が普通に喋ったらイメージ崩壊とか俺の身バレとかがあるかもしれないのか。

 

それに、スタッフの人に俺のしろぶた語が通じるのかも疑問だしな。

もし通じなかったとしたら、ただしろぶた君がぶひぶひ言ってるだけになってしまう。

 

それはそれで、第三者目線で見てみたい気もするが。

 

「あ、あのっ、お仕事中…申し訳、ないんです、けど…」

 

いやすっげぇオドオドと声かけるね君。

もしかして雪平似の別人?

 

ほら、スタッフさんもその全身から放たれてる緊張感に気圧されてか、若干後退りしちゃってるじゃん。

 

「えーっと…どうしたのかな?」

「そのぉ……しろぶた君と、一緒に写真を撮りたいんですけど…」

「ああ、撮ってほしいのか。それなら全然いいよ。―――いやぁ、随分緊張してるっぽかったし、もっとすごい事言われるかと思ったよ」

 

ははは、と笑うスタッフに、雪平似の誰かさんは耳まで赤くして俯くだけだった。

――あれ?なんか前に、雪平がこんな風になっているところを見たことがあるようなないような…?

 

「はい、笑って笑ってー?」

 

カメラを構えたスタッフが、雪平にもっと笑うように指示。

ふむ。確かに表情が硬いな。

せっかくのマスコットとのツーショットなんだから、もっと笑顔にならなくては勿体なかろう。

 

しかし今の俺はしがないホワイト・マジシャン・ピッグ。

お客さんに媚びる事とそれっぽい手品をする事しかできないのだよ。

 

【選べ ①リンチされている最中のしろぶた君の鳴き真似 ②リンチされている最中のしろぶた君の真似(動作のみ)】

 

――――リンチされている最中のしろぶた君ってなんだよ。

 

「え、えぇっ!?どうしちゃったのしろぶた君!?」

「ちょ、大丈夫!?」

 

あぁ、スタッフさんに雪平さん。心配してくれてありがとうございます。

でも、今の僕はしがないリンチされている最中のホワイト・マジシャン・ピッグ。

無様に地を転がるしかできないのだよ。

 

『ぶひぶひ。(特別意訳:お気になさらず)』

「な、何を言ってるのかわからないけど…問題ないなら、いいか。じゃあ撮るよー」

「…今のしろぶた君、なんか天久佐君みたいだったな…ふふっ」

 

おっ、いい笑顔じゃないですか雪平さん。

 

ていうか今、明らかに俺の事言ってたよな。

そりゃ確かに学校で何度もリンチされている最中の豚の真似をしてたら、持ちネタとも割れてても仕方ないよな。

実際はスベリ芸だけども。

 

「じゃあ、もう一枚撮るよー」

 

もう一枚か。

今度は何かポーズとかもつけてやりたいな。

しかしピースとかはこの着ぐるみ状態では不可能だし…

 

【選べ ①ここは芸人魂を見せつけるべく、着ぐるみの中から抜け出してみる。その時の表情はアヘ顔 ②普通が一番。雪平に抱きつきながら、着ぐるみの中でアヘ顔】

 

俺に芸人魂とかないからね?

別にいっつも人前で滑稽なことしてるのは自分の意思じゃないからね?

確かに二択のうちから選ぶのは俺自身の意思だけど、提示してきているのはそっちだからね?

 

まぁ、アヘ顔は嫌だけど、誰かに見られるよりはマシだよな。

本当、男のアヘ顔とか誰得だよって話なんだけど。

 

「ふぇっ!?しろぶた君!?」

「お、いいねいいね!」

 

僕悪いしろぶた君じゃないよ。

合法的に女子高生に抱き着けるなんて最高な仕事だぜ!なんて微塵も考えてないよ。本当だよ。

 

だって俺だって高校生だし。

なんだってそんな中年の変態(偏見)みたいなこと考えるんですかね。

 

「あ、ありがとうございました」

 

写真を撮り終えたスタッフは、笑顔で去っていった。

それに対して、恐らく聞こえていないだろうに、律儀に小さく頭を下げて礼をする雪平。

 

…やっぱ、俺の知ってる雪平とだいぶ違うな。

もしかして別の世界線の雪平?って思っちまうくらいには。

 

絶対選択肢だとかチャラい神だとかその僕だとか、そんな摩訶不思議なモノばかりが周囲にあるせいで、まじでその可能性があるのではと思ってしまう。

 

…もしかして、これが雪平の素なのか?

確かにまぁ、こんな様子だった時があるような気がしなくもなくもないけど…思い違いかもしれないし…

 

【選べ ①「大好き」と言われる代わり、この後を含めた着ぐるみの中に入っている最中の記憶が喪失する ②「大好き」と言われる代わり、全てを思い出す】

 

おい待て。

お前までシリアスし始めそうになるのはまずい。あくまでこれはコメディじゃなきゃダメなんだ。

明らかに俺の記憶の欠如している部分はシリアス路線寄りだろうし、まだここで思い出すのはダメだろう。

 

―――えー…でも、気になるなぁ…

 

熟考に次ぐ熟考。

長い間悩んでいたが、催促の痛みはなかった。

恐らく、しっかり悩めということだろう。

 

…そして、俺は決めた。

ここは……①を選ぶ。

 

「じゃ、じゃあ…そろそろ、私も帰らなくちゃなんですけど……その、最後にもう一回、抱きしめてもいいですか?」

 

しっかりと頷く。

 

すると、雪平は俺(しろぶた君)へ抱き着き、頬ずりしてこう言った。

 

「しろぶた君……!大好きっ!」

 

―――ミッションクリア。

 

そして、ここで見たことは全部忘れることになったな。

 

…で、なんで俺が②を選ばずにこちらを選んだのかというと…まぁ、端的に言うと、『雪平本人が素を知られたと気づいていない時に一方的に知っているのがよくないと思ったから』だな。

すっげぇくだらない気がするだろうが、俺は勝手に、本人が隠し通しておきたい(のだろう)事を知ったままでいるのが嫌だったのだ。

 

記憶の方に未練がないわけでもないが、それだって特殊ミッションさえ何とかすればいずれわかるのだろう。

なら、ここで無理に知ろうとする必要はない。――はずだ。

 

満足した様子で去っていく雪平に手を振りながら、自分自身に語り掛けるように、『これでよかったんだ』と呟く。

…そんな風に言うくらいなら、大人しく②を選んでおけば良かっただろうに、なんてのはNGだ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「あ、おかえりなさいっ」

「おう、ただいま」

 

なぜか着ぐるみの中に入って以降の記憶がないままに帰宅した俺を、本来なら一緒に来ていて然るべきだったショコラが迎えてくれる。

 

最初は何か文句の一つや二つでも言ってやろうかと思っていたが、その無邪気な笑顔を見たらどうでもよくなってしまった。

 

…なんというか、柔風といいショコラといい、純粋な奴って癒しのオーラを持ってるよな。

外見がいいってのも拍車をかけてるんだろうか。

 

「で、どうでした?ミッションのほうは」

「なんとかクリア()()()。記憶は残ってないんだがな」

「きおくが?」

「あぁ。どーせまた選択肢のせいなんだろうが…まったく、なんで記憶を失うなんてことになったんだろうな」

「きおくそーしつって、私とおそろいですねっ!」

「あー、そうか。お前も記憶喪失だっけな」

 

普通に忘れていた。

なんというか、ショコラはショコラだ、っていうイメージというかなんというかがな。

 

「…なぁショコラ。その見るからに高級そうなお菓子が入っていたのだろう箱は何だ?」

「これですか?そうですね。これは私が何気なくまちをさんぽしている時のことです」

 

それよりも前から決めていた予定をすっぽかして何散歩してんだこいつ、と思ったが、敢えて言葉にすることはなかった。

 

【選べ ①「散歩だなんて、いい御身分ですね」と鼻で笑う ②「楽しかったか?俺をほったらかしにしての散歩は楽しかったか?」と嫌味ったらしく言う】

 

敢えて言葉にすることは()()()()って言ったよね俺。

別に言う程の事でもないって言ったよね!?

 

「散歩だなんて、いい御身分ですね」

「いやぁ、それほどでも」

「褒めてねぇよ」

「それでですね?散歩している最中に」

 

話聞けや。

…まぁこれ以上長くしても無意味だしいいんだけどさぁ。

 

【選べ ①「急に愛おしくなった」と言ってショコラに上半身裸で抱き着く ②「急に愛おしくなった」と言って夏彦人形(実寸大)に抱き着く】

 

まだ夏彦ネタ引きずってんのか!

ってかマジで誰なんだよ夏彦!?

 

「きゅ…急に愛おしくなった」

「はっ…!か、金出さんが自ら夏彦さんへ…!?ついに夏×金から金×夏に!」

「なってねぇわ!半裸よりマシだっただけだわ!」

 

【選べ ①汚い花火になる ②綺麗なロケット花火が尻に突き刺さる】

 

何これ①だと爆発すんの!?

そして②は刺さってる場所が汚ぇんだよ!

いやちゃんと洗ってるけどさぁ!

 

「なっ!金出さんのおしりにロケットが…!?これは、あらてのプレイということでよろしいでしょうか!?」

「よろしくねぇよ!?」

 

夏彦というプロのホモ(ショコラ談)の人形(実寸大)を抱えながら、尻にロケット花火が刺さっているというわけのわからない状態に陥りつつも、ショコラの斜め上の反応にしっかりとツッコむ。

 

逆に聞くがこれを見てどんなプレイだと判断したんだこいつは。

これ以降にやることとかないと思うんだけど。

 

「……もういいから話を戻してくれ」

「でもだっせんさせたのは金出さんじゃ」

「俺じゃねぇ!全部選択肢が!」

 

【さぁ、選んで】

 

ち、違うんだ絶対選択肢!

今のは別にお前が悪いと言いたかったわけじゃないんだ!

 

だからその生暖かい目を向けているがごとき言い方で迫ってこないでくれ!

 

【①本当は自分が悪かったと謝罪しながらイチモツを見せつける ②本当は自分が悪かったと謝罪しながらショコラのパンツを頭に被る】

 

どぼじでごんなずるのぉおおおおおお!!

がなづるだっでぇえええ!びっじにいぎでるのにぃいいいい!

 

……え、どっちもダメじゃん。

俺のナニを見せつけるのも、ショコラのパンツを被るのも、どっちもアウトじゃん。

そりゃできる限りショコラが傷つかない方がいいけど…さすがにイチモツはダメじゃん。

 

でもパンツ云々もダメじゃん。

…え?詰み?

 

 

 

 

 

 

 

ショコラのパンツを被り終え、逆立ちしながらウルトラマン怪文書を暗唱し、右手を押さえて中学生時代の暗黒の思い出を無理やり思い出させられてから数分。

ようやくショコラの今日の出来事について聞くことになったのだが…

なんというか、随分とぶっ飛んだ内容だった。

 

饅頭を箱ごとタダでもらって、それを子供に譲ってやったらダイヤモンドをもらって?

そしたら覆面の謎の男に路地裏まで連れていかれて、挙句は拳銃を頭に突き付けられて?

その覆面の男こそがダイヤモンドの持ち主で、しかも正体が遊王子の父、遊王子謳真で?

それを返した礼で高級品のチョコレートをもらえて?

 

「その話絵本にしたら、ベストセラーいけるんじゃねぇの?」

「そうでしょうか?」

 

いや内容は濃いが、絵本って結構パワーインフレしてるラノベばりになんでもありだからなー…ベストセラーはないか。

 

他の絵本に比べたら…なんだろう、パンチが足りない?

 

【選べ ①サンドバッグが出現。せっかくなのですごく卑猥な絡みつき方をしてみる ②知り合いに片っ端から電話。軽いジャブ程度の下ネタを喰らわせる】

 

パンチ関連で変な方向に話動かさなくていいから。

そしてどちらにせよ変態なのをやめてくれない?

 

「おぉ。金出さんの絡みつきはすごいですね…!」

「そんな言い方をしないでくれよ…」

 

それじゃまるで俺がサンドバッグに性的興奮を覚える変態みたいじゃないか。

実際やってることは変態のソレなんだけど。

 

【選べ ①このままサンドバッグと一晩過ごす ②このままショコラと一晩過ごす(意味深)】

 

一晩過ごすとかサンドバッグフェチを極め切ってんじゃねぇか!!

 

…え?ショコラとの方?

バカ言ってんじゃねぇ。

本人の意思も無しにそういう行為に及ぶほど俺は落ちぶれてないぞ。(ただのヘタレ)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

昼休みの教室。

殆ど人がいない中(俺が何度か奇行に走ったからである)で、例の対抗戦参加者である俺たちは、ある紙を見ながらある事を話し合っていた。

 

その紙には対抗戦の出場順が書かれている。

なぜそんな敵に塩を送るような紙があるのか、というと、それが前回勝利したチームの受けられる恩恵だからである。

まぁ、次の対抗戦の時の相手チームの出場順を知れるだけなんだが。

 

それでも、いつ誰が出てくるのかを知れているのはいいアドバンデージだ。

おかげでこちらは誰に誰を当てればいいかを考えることができる。

…で、実際の相手の順番はこんな感じだ。

 

 

 

先鋒 獅子守想牙

 

次鋒 柔風小凪

 

中堅 麗華堂絢女

 

副将 吉原桃夜

 

大将 黒白院清羅

 

 

…とまぁ、結構妥当だなと思う順番だ。

獅子守先輩と吉原が逆じゃないか、とも一瞬思ったが…まぁ、あの人ってしょっぱから突っ込んでく見たいなイメージだし、それほど意外性もないか。

 

で、ここで俺たちがとるべき編成は…

 

「まぁ、遊王子と雪平の相手はもう決まってるようなもんか」

「うん!コナギ・ヤワ・カゼは私が倒すよっ!」

「えぇ。あの腐れパイオツは一度わからセッてやる必要があるわ」

 

二人とも闘争心マックス(主に雪平の方)でそう言ってくる。

 

因みに腐れパイオツ、というのは麗華堂の事だ。

…あれ?別に二人の仲って険悪じゃなくね?と思うだろうが、それは違う。

 

あの全校放送の後、ちょっとした諍いがあったのだ。

…あ、今から回想入るぞ。

 

 

 

 

『…全員に好きと言わせたいなんて、相当な変態ね』

『別に恋愛感情的な意味はまるで不必要なんだが…もう感情とか籠ってなくてもいいからそう言ってもらえるだけで十分なんだけど』

『…見た目通り、貧相な男ね』

『貧相てお前』

【選べ ①「確かにお前は富裕層だな。胸元が」 ②「いやいや、雪平の方が貧相だから(笑)」】

『―――――た、確かにお前は富裕層だな。胸元が』

『なっ―――』

『ええ、そうよ。格が違うのよ格が』

『…よく言うわね。私にはただの下品なパイオツにしか見えないわ』

『…なんですって?』

『聞こえなかったのかしら。あなたのパイオツは下品でしかないと言ったのだけど』

『な、なんですって!?…ふんっ、ペチャパイ風情がよく吠えるのね。いいわ、今回はただの負け犬の遠吠えって事で許して…』

『ペチャパイ…?取り消しなさいよ今の言葉!』

【選べ ①「乗るな雪平!戻れ!」 ②「取り消せだと?断じて取り消すつもりはない!」】

『乗るな雪平!戻れ!』

『取り消せですって?断じて取り消すつもりはないわ』

『なんでしっかり赤犬!?』

『黙っていて天久佐君。私はこの黒ずみパイ輪に世の恐ろしさと天久佐君の性欲の強さを思い知らせてやらなくてはならないの』

『いやなに平然と人の風評を』

『黒ッ!?そんなわけないでしょう!?』

『その慌てよう、明らかに黒ね。もちろんパイ輪からパイ頭までよ。そんな下劣でだらしないパイオツ&パイ首を晒して恥ずかしくないのかしら?』

『なっ、なっ…!ふ、ふざけたことを言わないで頂戴!私は正真正銘のピンク色よ!』

【選べ ①生唾を飲み込みながら「ぴ、ピンク色……じゅるり…」 ②唾を吐き捨てながら「ピンクかよ、ぺっ」】

『……ぴ、ピンク色…じゅるり…』

『『普通に気持ち悪いわよ』』

『ふ、二人して言ってんじゃねぇやい!』

『…話を戻すけど。あなた随分とその品のないパイオツが自慢みたいね』

『品の無い、というのは認めないけど…ええ。そうよ…それが何よ?』

『なら、語尾をパイオツにしたらいいんじゃないかしら』

『はぁ?』

『私、麗華堂パイオツ。今日も大きいパイオツでパイオツ』

『な、なによそれ!?』

『あら、あなたにピッタリだと思うけど?』

『こ、このっ…!言わせておけば…!所詮ナイチチじゃないのっこの平面!』

『なんですって…?私のz軸がない…?どうせあなたの胸だってでかいだけでしょ!?』

『はんっ、でかくない癖にそんなこと言わないでもらえるかしら?』

『乳牛め…!』

『ペチャパイが…!』

【選べ ①「パイパイ、くだらない喧嘩はそこまでだパイオツ」 ②「揉めば同じだろ?」と言って獅子守と吉原の乳首を摘む】

『―――ぱ、パイパイ、くだらない喧嘩はそこまでだパイオツ』

『『だから普通に気持ち悪いから黙ってて!』』

『さっきから俺罵倒する時だけナイスコンビネーションなのやめろや!』

 

 

…うん。酷すぎる。

そしてあんな状況でも普通にふざけさせてくる選択肢が一周回ってすごく…見えねぇよ。馬鹿か。

 

しかし、これでわかってくれただろう。

雪平が麗華堂を敵視する理由を。

 

「…で、ゆらぎは誰がいい?」

「うーん…正直、小凪お姉ちゃんを倒したかったけど…謳歌お姉ちゃんが行くし…まぁ想牙お兄ちゃんかな」

「?なんで柔風を倒したかったんだ?」

「んー?一番向こうの人たちの中で()()()()()から、かな?」

「怪しかったって…」

 

柔風には裏表ないだろ。

…爽星にはあったけど。もう驚くほど性格変わっちゃってたけど。

 

えっ、まさか表ランキングの女子って全員爽星みたいに裏表あんの?

全員猫かぶりなの?

あのニューミルク先輩ですら裏あるの?

柔風も勿論のようにあるの?

黒白院会長は……あぁ、確かにありそうだな。

そんで麗華堂……あれはねーよ。あれは明らかに素だよ。

 

「あっ、想牙お兄ちゃんと戦うけど、本命生お兄ちゃんはお兄ちゃんだけだからねっ!」

「はいはいわかったわかった」

「…むー、扱いが雑ー…」

 

そりゃ真面目に取り合っててお前ほど時間かかるやついないしな。

 

【選べ ①「まぁ、そんな落ち込むなよ」と言って頭を撫でてやる(ランダム) ②「いいなその顔。もっと俺を愉しませてくれよ」と言って本性を露にする】

 

俺の本性そんなんじゃねぇからな!

確かに素を出しているかと聞かれれば疑問符だけど、そういう性格ではないからな!

 

「まぁ、そんなに落ち込むなよ」

「…お兄ちゃん、撫で方手馴れてない?」

「そんな訳ないだろ?」

 

良かった。話の流れ的にゆらぎじゃなかったらどうしようかと思った。

しっかりゆらぎの頭を撫でたな。偉いぞ選択肢。

 

【えへん】

 

…あの、それ中●譲治ボイスだからね?ジ●ージがえへんって言ってても可愛さとかないからね?

 

【あ? ①「まぁ、毎晩色んな女喘がせてる(なかせてる)からな」 ②「毎晩潮吹かせてるからな」】

 

いやいや冗談!ほんの照れ隠しですって!

選択肢さんマジ可愛い!結婚して!

 

【…ふ、ふんっ ①「俺なんかが女性経験豊富なわけないだろ?」 ②「ま、お前にはわからん事情があるんだよ」】

 

……ヨシ!(現場猫)

 

「俺なんかが女性経験豊富なわけないだろ?」

「そーでもないでしょ…」

「いやいや。だって俺、今まで()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

―――うん?

彼女、()()()()

え、居た?何言ってんだ俺。

 

あ、あれー?居た気がするんだけどな…

でも居るわけないか。俺なんかを好きになる奇特な人…いやいや、選択肢が出てくる前まではモテモテのモテで…んー?

 

「彼女が居た事がない、か…」

「?だよ、な?」

「うん!そうだよ?」

「うっはいい笑顔で言いよるわコイツ……でもなんかさ、彼女…居たような気がするんだよな」

「っ、げ、ゲームの話じゃない!?」

「ゲームてお前…そりゃまぁ何人攻略してきたって話だけどさ」

 

なーんか変なんだよなぁ…まぁ、思い出せないんだしその程度か。

 

「……ま、話戻すか。えーっと、遊王子が柔風で、雪平が麗華堂、ゆらぎが獅子守先輩か。だったら俺は――」

 

言いかけて、ふと背後に気配を感じる。

この場にいるのは俺たちだけ。ショコラすら他クラスの人にお菓子を恵んでもらいにいなくなっている以上、背後に気配を感じるはずがない。

 

【選べ ①ショコラだろう。抱きしめて撫でまわしてやる ②宴先生かもしれない。抱きしめて舐めまわしてやる】

 

なんで宴先生だと舐めまわすことになっちまうんだよ!?

それに、よしんばショコラだったとしても抱きしめねぇし撫でまわさねぇぞ普通!

 

あいてっ……はいはい、やりますよー…

 

「ショコラッ!!帰ってきてたのかッ!!よ~しよしよしよしよし……って誰!?」

 

誰かを確認する前に抱きしめ、撫でまわしてやったのだが…うん、全然違う人だったわ。

しかも顔見えないように覆面になってるし。

 

(カラス)』と書かれた……なんだろう、罪袋のような人がいた。

背丈は俺と同じくらいで、学ランを着ている。

 

…まさか、夢島カラス先輩…?

 

「えーっと…もしかして、夢島カラス先輩…?」

 

あっ、うなずかれた。

なるほど、確かにお断り5(変人)の波動を感じる。

 

「先ほどはすみません。ちょっと気が動転していてですね。―――それで、今ちょっと対抗戦の順番決めをして…あーちょっとなに勝手に書いて…!?」

 

謝罪の後、紙を見せながら対戦順を決めている事を話そうとしたのだが、先輩は勝手に紙を取り、副将のところに名前を書いてしまった。それもかなりの達筆で。

 

しかもその後、サムズアップしてすぐにその場を去っていったのだ。

無論一言も発さず。

 

―――は?

 

【選べ ①許さん。サーチ&デストロイの精神で追いかける ②仕方ない。俺が黒白院先輩と戦おう】

 

えっ、あー…うーん…①にしたい気持ちはあるが、まだ他にも決めなきゃいけない事あるしなぁ…

―――仕方ない。ここは大人しく②にしておこう。

 

「…しょーがないし、俺が黒白院先輩と戦うか。んじゃあさっさと名前を書いて――」

「あっ、ちょっと待って天っち」

「ん?どうしたよ」

「せっかくだし、二つ名も書かない?」

「二つ名?」

「所謂異名だね。ゆらぎっちなら『全世界の妹』みたいな?」

 

二つ名とかお前…さすがにこの歳になって、なぁ?

 

「いいなそれ!じゃあ各自決まったら書いてこうぜ!」

「あー…お兄ちゃんそういうの前から好きだもんねー…うんうん。なら私は『生お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』で!」

「…そうね。なら私は『パイオツスレイヤー』にするわ」

「私は最初っから決めてるんだよねー!『史上最強の遊王子』、いいでしょ!」

「おうおう、いいじゃねぇの!ならそうだなー…俺は」

 

【まぁまぁ、ここは選びましょうや】

 

俺のテンションは一気に低下した。

くそう、いい奴が結構浮かんできてたってのに…

 

【①星の戦士 ②王位の復権】

 

両方ともカー●ィネタじゃねぇか!

…いや①はウル●ラマンの可能性あるけど。

 

うーん…響き的には②の方が好きだし、スマ●ラでもよくゴ●ドー投げてるし…●DDでいいか。

 

「じゃあ俺は『王位の復権』で」

「お、いいねそれ!」

 

と、いうことで、結局こう書かれることになった。

 

 

 

先鋒 獅子守想牙 VS 『生お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』箱庭ゆらぎ

 

次鋒 柔風小凪  VS 『史上最強の遊王子』謳歌

 

中堅 麗華堂絢女 VS 『パイオツスレイヤー』雪平ふらの

 

副将 吉原桃夜  VS 夢島カラス

 

大将 黒白院清羅 VS 『王位の復権』天久佐金出

 

 

 

 

おかしい。夢島先輩が一番味の濃い人のはずなのに…

二つ名つけたせいで、俺たちの方がもっとやべー奴みたいになってしまった気がする。

 

…まぁ俺もノリ気だったんだけどさ。

 

かくして、対戦表は書き終わった。

後は……黒白院先輩から、『好き』と言ってもらうだけだ。

俺としてはそれを達成して誰かの胸さえ揉めれば、正直対抗戦はどうでもいい。

 

…なんか発言だけ聞くとクソ野郎だな、俺。




  【天久佐金出、ショコラ】

「…お前ってさ」
「はい」
「俺のサポートとして、神から送られてきたーって話だよな」
「そうですね」
「けど、チャラ神の最初の話だと、『優秀な僕』と間違えられたってことになるよな」
「?けど、『天久佐金出は異能バトル物でも生き残れるくらいすごいから、君でもなんとかなるよ』って言われて送り出されましたよ?」
「いや、後でそう言ってたのも聞いたんだけどさ。―――結局、何が正解なんだろうなと」
「うーん…どっちもじゃないですかね?べつの世界にもどうせいどうめいのすごい人がいるらしいですし。あの神様が教えられた情報を誤解していただけかもしれませんよ?」
「そういうもんかな」

まぁ、あまり気にしても意味はないか。
それに……なんだかんだ言っても、ショコラが居てくれて癒されてるしな。
俺の荒んだ心にはこういう癒しが必要だったんだなーって、最近よく思う。

最初は『その優秀な奴をなんでこっちに送らなかったんだ!?』とか思ったけど、今じゃ『ショコラが来てくれて助かった』って思ってるからな。

「……ま、家族の一員…だしな」
「はいっ」
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