俺の絶対(選びたくない)選択肢   作:イニシエヲタクモドキ

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クラシック、有名な曲、知名度0のアニソンというお話。


①爆乳 ②貧乳

『さ、さぁ!会場も再び盛り上がってきたところで』

『明らかにスベッてましたよ俺。無理に雰囲気良くなってるみたいに言わなくてもいいですって』

『…では、会場が恐ろしいほど静まり返って来たところで!次の対決に移りたいと思います!』

 

恐ろしいほどと付け足すほどでもないと思うんですがそれは……って思ったけどめっちゃ静まり返ってるな。

まぁ俺の披露した『三本指に入るほどの奇行』のせいなんだけどさ。

 

そんで、次の対決は…雪平と麗華堂か。

やけに闘争心を露にしている麗華堂と、普段通りの無表情の雪平……余裕がありそうなのは明らかに雪平の方だし、多分雪平が勝つだろう。

平常運転で行くのなら、まず雪平に負けはないだろうし。

 

『雪平ふらの…!あの時の雪辱を、今こそ果たしてやるわ!』

『それは()平と()辱をかけているのね。中々うまい事言うじゃない』

『そ、そんなオヤジ臭い事考えてないわよ!?』

『なら臭いオヤジの事でも考えているのかしら?ほら、あなたを毎晩抱いてる』

『なっ…!?そ、そんな事考えてもいないし、そもそも私は処女―――って何言わせんのよ!?』

 

今のは自爆でしたよ麗華堂さん。

 

ていうか勝負が始まる前なのに早速飛ばしてんな…特に雪平。

それに、親の仇でも見るように麗華堂の胸を凝視しているが…別に見たところで小さくはならんぞ。中のシリコンを抜かない限りは。

 

…つーか、シリコン入れたって言っても、流石にあの大きさななら…元からかなり大きかったって事だよな?

なんでわざわざシリコン入れるような真似を?

 

『あの、雪平選手。対戦パネルを…』

『パイオツの8で。―――パイとオツの伝道師にしてパイオツスレイヤー…その実力を思い知らせてやるわ』

 

なぜ雪平が選んだのか、ということについて軽く説明しよう。

…と言っても理由は至極簡単で、対戦方法が裏面に書かれているパネルの数字を、その前の試合で敗北したチームの方が選ぶことになっているだけなのだが。

 

実際先程の遊王子と柔風の対決も、柔風が選んだパネル(二十五番)の内容だったし。

 

『はい、8番ですね……おっと、『あだ名対決』!ルールは制限時間以内に相手にマッチしたあだ名を交互に言っていき、終了後の投票で一番多く票を取ったあだ名を決めた方の勝ちとなっています!』

 

あだ名対決…なんだろう、もうこの時点で大分酷いことになる予感がプンプンするんだが…

 

【選べ ①「あだ名対決…嫌な予感がぶるんぶるんしますね」 ②「あだ名対決…嫌な予感がツルペタストンとしますね」】

 

予感がぶるんぶるんするってなんだよ!?

 

でもツルペタストンなんて言ったら雪平に何されるかわからんし、こっちを選ぶしかないか…

それにまぁ、マイクの電源さえ切っておけば聞かれることは無いだろうし。

 

『あだ名対決…嫌な予感がぶるんぶるんしますね……ってなんでマイク入ってんの!?』

『なるほど、特に『パイオツスレイヤー』こと雪平選手が大暴れしそうですしね』

 

お、実況の人が良い部分だけ拾ってくれたな。

 

ぶるんぶるんのくだりで雪平が一瞬こっちを睨んできたけど……アイツ、大きいおっぱいへの恨みがすごいからな。

まるで親か親友を殺されたみてぇだ。

 

【選べ ①「まぁ、俺の股間の暴れん坊将軍よりは大人しいでしょうけど」と笑う ②取り合えず両チームの少女たち相手に股間を暴れさせる】

 

これもう選択肢式にする必要なくね?

一択じゃね?

 

『ええ、そうですねー…まぁ、俺の股間の暴れん坊将軍よりは大人しいでしょうけど』

『……え、えー…では、早速始めてくださーい!』

 

無視かいっ!

ここはなんか笑い話にして冗談みたいに流させてくれやいっ!

 

…でも変に広げられたら選択肢が以下略。

ここは下手に何も言わずに黙っておくのが吉。

 

【選べ ①黙らない。卑猥なことを叫ぶ ②黙らない。麗華堂の秘密を叫ぶ】

 

「おチン●ォ!!」

『…あの、天久佐選手。まだ出番は後ですので、落ち着いて』

『……本当、さっきからごめんなさいね』

 

一瞬くらい麗華堂のシリコンの話をしてやろうかと思ったが、良心には勝てなかった。

 

実況の人と観客の人…というかこの会場の全員に謝罪し、今度こそ黙り込む。

麗華堂と雪平の対決…まぁオチは見えているが、しっかりと見届けてやろう。

 

『…あだ名、ね。なら私から行かせてもらうわ。《意外と硬そう》』

『な、なんの話をしてるのよっ!』

『あなたのパイオツの話だけど?』

『か、硬くなんて無いわよ!』

『じゃあ《ダルンダルン》』

『ダルンダルンでも無いわよ!ちゃんとハリはある……っていうか交互ってルールなのにどうして連続で言ってるのよ!?』

『違うわ。勝負はすでに拷問に変わっている…この場では、あなたにターン等無いわ』

『なっ!?』

『ずっとずっと私のターン!ドロー!』

 

雪平が絶好調すぎる。

どこら辺が拷問なのかとか、なんで虚空から虚無を抜き取るような動作をしたのかとかツッコミどころが多いが…情報量多いし、一々反応するのは一旦やめておこう。

 

『《ホルスタイン》』

『誰が乳牛よ!?』

『《ファットマン》』

『爆弾でも無いわよ!』

『《ボンバーガール(物理)》』

『だ、だから爆弾じゃ』

『《重力に完全敗北》』

『ま、負けないわよっ!』

『…あら、矮小な人間風情が老化という自然現象に抗おうなんて、愚かしいわね。「重力なんかに絶対負けない」?ならその発言に対して《即落ち二コマの擬人化》というあだ名を贈るわ』

『即――ッ!?だ、だれがよ!』

『もちろんあなたよ、《オークのオ●ホール》…いえ、《ゴブリンの●み袋》かしら?まぁどちらにせよ《姫騎士》に変わりは無いのだけど』

『そ、そんなの…卑猥よっ!』

『卑猥?どこが卑猥だったのかしら?しっかり言わないと私はわからないわ』

『お…オナ●ールとか…は、孕●袋とか…』

『真昼間から、こんな公衆の面前でよくそんなことが言えるわね。《痴女》の名をプレゼントするわ』

『なぁっ!?あなたが言えって言ったんでしょ!?』

『嘘つきはヤリ●ンの始まりよ。そんな証拠も無しに私の風評を悪くしないでもらえるかしら』

 

…す、すげぇ。まさしくずっと雪平のターンだ。

こりゃもう、勝者は決まったな。

 

あまりに下ネタが飛び交ってるせいで、観客席が凍り付いてるけども。

 

―――しかし、ここで一気に流れが変わる。

 

『《シリコン入ってる》』

『シリコ…ッ!?は、ははは、入ってないわよ!?入ってないに、決まってるじゃない!!』

 

雪平が、ついにシリコンに触れた。

 

けど雪平はその事知らないはずじゃ…偶々か?

 

『その反応…怪しいわね。まさか本当にシリコンなんじゃ…』

『んなっ、そんな訳ないでしょ!?シリコン云々なんて言われたらこんな反応が普通よ普通!』

『私としては「●ンテル入ってる、みたいに言ってるんじゃないわよ!」って反応を求めていたんだけど…』

『そ、そんなコアな反応求められても…』

『いいえ、全然コアじゃないわ。確かにオークやらゴブリンやらを聞いて姫騎士や快楽堕ちを連想するのはコアな方だと言えるけど、「イン●ル入ってる?」は「うーん、マ●ダム」くらいポピュラー…もはや一般常識よ』

『ど、どっちも知らないわよ…?』

 

多分麗華堂はマジで知らないんだろうな。

 

…ていうか観客席の方でも「うーん、マンダ●って何?」とか言われてるし。

もうそのネタ通じる人大分いないだろ…俺はたまに使うけども。

 

それと雪平。オークとゴブリンの方も一般教養だと思うぞ。

 

『とにかく、これはパイオツ改めが必要ね』

『な、なによそれ…』

 

なんだよパイオツ改めって。

そんな御用改めみたいに言って……まぁ大体の意味は分かるけどさ?

 

けどまずくないか?このままじゃ全校生徒にあの爆乳の秘密が明かされてしまうことに…

 

【選べ ①庇ってやろう。具体的には自分が麗華堂のパイオツを揉みしだき有耶無耶にする ②庇ってやりたいが不可能だ。ここは鼻の下を伸ばして見つめよう】

 

すまん麗華堂。

俺に揉まれるよりも雪平に揉まれる方がまだマシだろ。

 

シリコン云々はまぁ……バレても、俺くらいは友達でいてやるからな。迷惑かもだけど。

 

『ほらほら、ここがええのか?ここがええのか?』

『ちょっ、やめっ…あんっ!そ、そんなとこ…!』

 

男子たちが固唾を飲む。

そりゃあの爆乳が偽乳だとしたら、それはもうかなりの衝撃だろうからな。

 

女子たちは、どこか期待した目で見る。

そりゃあの爆乳が偽乳だとしたら、今まで敵わないと思っていた相手が消える訳だからな。

 

俺はもちろん鼻の下を伸ばしている。

そりゃああの爆乳云々が関係ないにしても、選択肢に指示されてるからな。

 

あっ、ちょっとゆらぎさん。そんなに足を踏みつけないでください。

俺にはご褒美にしか―――いやならねーから。ご褒美とかないから。

 

【選べ ①「ッしゃぁ!!ゆらぎに足踏んでもらえたぁ!ンギモヂィイイイイ!」 ②「ゆらぎタソの足踏みィイイン!射精の百倍ンギモヂィイイイイ!」】 

 

はい、これは多分俺のせいですね。

 

でもだからってやり過ぎたと思うんだよな。

そもそもご褒美だとも思ってないからね?

 

『…このパイオツの真実、今に晒してあげるわ。ずばり、あなたのパイオツは―――』

『ッしゃぁ!』

『…ぇ?』

 

右手を掲げ、今にも麗華堂の秘密を明かさんとしていた雪平を、叫んで止める。

 

…お、タイミング的に、俺の変態発言で有耶無耶にできるのでは?

 

―――それと麗華堂さん、あんたも結構可愛い声出すんですね。

 

『…ゆ、ゆらぎに足踏んでもらえたぁ!ンギモヂィイイイイ!』

 

会場、完全に沈黙しています!

勿論雪平も麗華堂も呆然としています!

 

…あ、ゆらぎが何とも言えない顔してる。

なんでだ?俺がM発言するのは受け入れられないのか?

 

まぁどうせ『俺が麗華堂を庇うために自分をダシにした』と思ってるんだろうけどさ。

実際そうだし。

 

『…天久佐君。あなたがドMなのは周知の事実だけど、だからって今叫ぶ必要は無かったと思うわ』

『だ、誰がドMだ!?ただ叫んだだけだぞ俺は!』

『……まぁいいわ。麗華堂さん。あなたのパイオツは…』

 

くっ、ダメか…!

あんな事を叫んでもダメだという事は、現在俺に(観客たちが訝しまないように)誤魔化してやることは不可能だという事……

 

麗華堂…ま、まぁ。表ランキングから消えるだけだろうし、そんなに深刻に受け止めるなよな。

 

『…残念ながら本物ね』

 

―――ん?本物だと?

 

おかしいな、雪平が言っているパイオツ改めというものはよくわからないが、シリコン入りかどうかは揉めばわかってしまうだろう。

なのになぜ本物と…?まさか、庇ったのか?

 

『…まぁ、素晴らしい揉み心地だったわね』

『なっ、なっ……こ、この《乳揉み変態おんなぁああああああああ》!!』

 

顔を真っ赤にした麗華堂が叫ぶと同時、終了のブザーが鳴り響いた。

 

…すっかり忘れていたが、まだ勝負の途中だったっけか。

 

『終了です!では早速、今まで出てきたあだ名をリストアップしていきますので、一番いいなと思ったものに投票をお願いします!』

 

スクリーンに、『①意外と硬そう』、『②ダルンダルン』という風に、順番に先程でたあだ名が羅列されていく。

しかしまぁ、恐らく今回は麗華堂が勝ちだろう。

 

確かに雪平の言っている物も悪くは無かったんだろうが…最後の『乳揉み変態女』の破壊力が強すぎた。

見ればほら、結果はすべてに大きく差をつけて『乳揉み変態女』の勝ちだった。

 

―――うん、すごかったな色々と。

 

『勝者!麗華堂選手!―――では、両選手は所定の位置に戻って…』

『『ちょっといいかしら』』

『…は、はぁ。なんでしょうか?』

 

おかしいな、勝敗はもう決まったはずなんだが。

 

雪平だけならまだしも、麗華堂も異議を唱えるなんて…しかもタイミングばっちりだし。

やっぱりアイツ等本当は仲良しなんじゃねぇの?

 

『…私は大勢の前で胸を揉まれた』

『そして私は大勢の前で敗北した』

『…そう、ですね?』

『私たちは、こうして互いに恥ずかしい目に遭っている…』

『そうよね?』

『は、はぁ…まぁ…?』

『けど、私たちと同じくらい目立っていて尚、被害という被害を受けていない男がいると思うのだけど』

『ヒントを言うなら、「て」から始まって「さ」で終わる天久佐君よ』

 

雪平さん、しっかり天久佐って言っているじゃないっすか。

 

ていうか二人は誤解していると思う。

俺だって、大勢の前で『ゆらぎに足踏んでもらったぁ!』なんて叫んで恥ずかしくないわけじゃない。

まさかとは思うが、人前で恥ずかしい事をすることに喜びを覚えているのと勘違いされてるのではなかろうな。

 

『まさか』

『ええ、そのまさかよ』

『天久佐君にも、しっかり恥辱を味わってもらうわ』

『なんでだよ!?』

『理由はさっき言った通りだけど?さぁ、そんな貧相な顔をしていないでさっさとこっちに来なさい?』

 

ぐっ…ひょ、表情は結構いつも通りだと思うんですけど!?

 

しかし俺は大人なのでぐっと堪え、諦めと共にステージ上へ出た。

…まじで何されるんだよ、俺…

 

『し、しかし…恥辱と言っても、何をするんでしょうか?』

『パネル、カモン』

『あっ、了解しました……天久佐選手、適当に選んじゃってください』

『えっいいんですかそれで!?』

『まぁ時間はありますし…この二人相手に静止しても聞かなさそうだし

 

本音出ちゃってるじゃないですかやだー…

 

けどまぁ、わからないわけではない。

麗華堂は女王様気質で自分至上主義的考え方をしていそう(偏見)だし、雪平はもう…普段から中々傍若無人というかマイペースだからな。

 

『…パネル、ですか…じゃあ』

 

【選べ ①「シリコンの4で」 ②「僕の息子のサイズ的な意味で、15で」】

 

どっちもアウトだわ!バカ!

 

①だと麗華堂が、②だと俺が被害を被るんだわ!

ていうか②!俺は四捨五入したら16だからな!小さい方で言わせんじゃ―――痛ぁ!?

 

『ぐ……ぼ、僕の息子のサイズ的な意味で、15で…』

「ほう…」

「15か…」

「受けも攻めもイケる♂」

 

き、聞こえてくる声が全員男子っ!?

舌なめずりまで聞こえてくるんだけど!?

 

『15…』

『いや雪平までそんなボケ始めようとしなくていいから!収集つかなくなるから!』

『……違うわ天久佐君。私だってふざけていい時とダメな時くらいわかるわよ』

『そ、そうか…』

『どうやって慰めてあげればいいかって思っただけよ』

『よ、横幅あるから思ってるより小さくないからな!?そんな…慰められる程じゃねぇからな!?』

「はぇ~…」

「横幅…あるんすね~」

「私、気になります!」

 

だから興味津々な反応を見せないでくれよ男子たちぃ!

男からそんな目で見られても、俺はノーサンキューなんだけどぉ!?

 

…で、雪平は雪平で何で固まってんだよ。俺が下で返すのは予想外だったのかよ。

それとも何か!?俺が予想よりも小さくて且つ反応がマジだったことにドン引きしてんのかァン!?

 

『……で、対決の方法は?』

『えー…隠し芸対決です!』

『隠し芸?』

『はい。言葉の通り、自分の持つ一芸を披露し、一番評価が高かった人が勝利する、というものです』

 

思ったよりいい感じの勝負だな。悪くない。

さて、ここで披露するのは何がいいか…手品かグラスハープ、なんならサクランボの茎を口の中で結んだり、即席のリリックで全校生徒を驚かせてやるのもいいだろう。

 

【選べ ①手品を披露 ②利き乳輪を披露】

 

ま、まだ利き乳輪ネタ生きてたのか…

だがまぁ、①が普通に手品を勧めてきている以上、そんな明らかに卑猥な事はしない。

 

全校生徒の前だしな。

 

『ふふ、隠し芸というわけではないけれど…ピアノは昔からやってて得意なの。この勝負、私の勝ちね』

『随分と自信満々そうだけど、ピアノなんてどこにもないぞ?』

『スタッフが用意してくれるでしょう?』

『あ、ならちょっと待ってくださいね。今実行委員の人に持ってきてもらうので』

 

ほほう。麗華堂はピアノか。

何を演奏するのかはわからないが、楽器をやるんだったら俺もグラスハープをやれればよかったな。

 

まぁ選択肢が手品をご所望らしいし(利き乳輪?知らない子ですね)今回はそっちに…って、うん?

 

【選び直せ ①グラスハープ ②口の中で乳輪を結ぶ】

 

……ちょっと待って?

口の中で…何結ぶって?乳輪?えっ、乳輪を結ぶって何!?

もはや怖えよ!?

 

そもそも乳輪関係の特技なんて俺は持ってねぇからな!

①一択だコノヤロー!

 

『なら私は篳篥をお願いしようかしら』

『ひ、ひちりき?何よそれ』

『あら、ご存じないのかしら?音楽の授業で一度は名前を聞くと思うのだけど』

『えっ?―――あ、も、もちろん知ってたわよ、ええ』

『じゃあ、どんな曲を演奏する時に使うのかは知ってるの?』

『そ、そりゃあ……』

 

麗華堂…お前、マジか。

篳篥って言ったら、雅楽とか近代寄りの神楽を演奏する時には欠かせない…笛みたいなやつだろ。

確か竹で作られてるんだっけ?

 

【選べ ①「ヘヴィメタの時だろ」と助け舟を出してやる ②「エロゲのBGMでよく流れてるだろ」と助け船を出してやる】

 

どっちも違うだろ。

 

普通に考えろよ。

お前嫌だろ?聖●魔Ⅱの構成員に篳篥担当がいるの。

お前嫌だろ?セッ●ス中ずっと雅な音楽流れてるの。

 

俺はどっちも嫌だぞ。

…ああ痛い痛い痛い!わかったって、ちゃんと言うって!

 

『麗華堂。ヘヴィメタ、ヘヴィメタ』

『ヘビ、メタ?……そ、そうよ!ヘビメタよ!』

『ぷっ……い、いえ。雅楽とか、日本の古くから伝わる音楽を演奏する時に使われる楽器よ…ふふっ』

『なっ――』

 

雪平、笑ってやるなよ。

半分くらいは俺も悪いんだからさ。

そりゃまぁ知識がないからってヘヴィメタで使われていると勘違いする方も中々だけど。

 

あぁ、会場の人たちまで笑いを堪え切れてない人がちらほらと。

やめたげろよ。麗華堂さん顔真っ赤だぞ。

 

『あ、あなたねぇ!!』

『いやごめんって!けど知らなかった方も知らなかった方だと思うな俺は!』

 

実際、クイズ番組で『小学生でも解ける』って文言と一緒に出題されててもおかしくないし。

…麗華堂、まさか頭悪いんじゃ…

 

【選べ ①「そのデカパイに、脳の栄養も取られてんのか?」 ②「シリコン入れたら頭スカスカになんのか?」】

 

い、言いたくねぇー…

ここはまぁ、雪平がノッてくれる事に期待しよう。

 

『そのデカパイに、脳の栄養も取られてんのか?』

『は、はぁっ!?だ、誰が馬鹿よ!』

『いや篳篥でヘヴィメタ答えるのはバカだろ…』

『……ええ、そうね。それだけ育てるには、知能をいくらか犠牲にする必要がありそうだもの』

 

なるほど。だから雪平はボキャブラリーがすごいんだな。

…嘘です、冗談です。だからそんな『今なんか変な事考えたろ』みたいな目を向けるのはやめてください。

 

『わ、私はそんなに頭が悪いわけじゃ』

『でも成績優秀者のところには居なかったぞ?』

『そりゃ毎回下から数えた方が早いから…って何言わせんのよ!』

 

麗華堂さん。それ自爆って言うんですよ自爆。

 

『ピアノの用意ができたので、麗華堂選手お願いします。―――えーっと、雪平選手は篳篥ですか?』

『…普通にヴァイオリンをお願い』

『ヴァイオリンですね。――では、天久佐選手は』

『俺はグラスハープで』

『はい、グラスハープですね…えっ?グラスハープ?』

 

ピアノ、ヴァイオリンと来て、いきなりグラスハープなんて…そりゃ聞き返したくもなりますよね。

…そうだ、演奏前にちゃんと手の油とか落としておかないと…音が鳴らなくなっちまうんだよな。

俺の出番の時になったら、まず手を洗いに行かせてもらおう。

 

持ってこられたピアノの前に座り、ペダルの調子を確認する麗華堂。

その時点で大分様になっているが、果たして演奏の内容はどうか。

 

『ラ・カンパネラを演奏させてもらうわ』

 

おぉ、確かリストの曲だっけか。

アレってかなり難しいって聞くが、大丈夫なのか?

 

【選べ ①「モーツァルト?(無知)」 ②「カンタレラ?(難聴)」】

 

リストの曲って言ったじゃん。

で、カンタレラは毒薬じゃん。もはやクラシックですらないじゃん。

 

『カンタレラ?(難聴)』

『ラ・カンパネラよ。まぁ貧相なあなたの事だし、知らなくて当然だと思うけど』

『なんだよ、篳篥=ヘヴィメタとか言っておいて』

『そ、そそのかしたのはあなたでしょう!?』

『はいはい……それと、ラ・カンパネラくらいは知ってるからな俺だって』

 

あ、まーた顔真っ赤にしてら。

そりゃまぁ俺が煽るような真似したせいなんだけどさ。

 

―――っと、演奏始まったな。

…ふむ。まぁ悪くないんじゃないか?所々危なっかしいところはあるけど、ちゃんと演奏はできてる。

強弱だってはっきりしてるし、こうして人前でやれるくらいにはいい出来だと思うな俺は。

 

どこ目線だ、って言いたいだろうが、俺は結構ピアノ演奏を聞いたりしているからな。

上手い下手くらいはわかるんだ。

 

『……どうだったかしら?』

 

額の汗を拭いつつ、満足そうな顔で感想を求めてくる麗華堂。

それに対し、雪平は、若干認めたくなさそうに答えた。

 

『…すごかったわ。中々やるじゃない』

 

悔しそうだなぁ…確かにすごかったからなぁ。

 

けどまだ雪平は演奏してない訳だし、負けが決まった訳ではないだろう。

見ればほら、ヴァイオリンの準備も済んでいるようだし、今度は雪平のターンじゃないか。

 

『因みに麗華堂。俺もさっきの演奏はすごいと思ったぞ』

『ええ。当然よ!』

 

にしては頬が緩んでいるようですがそれは?

…麗華堂も、俺と同じく褒められるとすぐに調子に乗るタイプなんだろうか。

 

会場の人達の拍手も、未だに止んでいない…あ、止まったな。

まぁ雪平がヴァイオリン持って前に出たからなんだけども。

 

…さて、かなりハードルは上がっているが…どうだ?

 

『不肖雪平ふらの。情熱大陸…演奏させてもらうわ』

 

情熱大陸か。

普段無表情のコイツが…と思うと少し面白いな。

 

なんというか、情熱大陸というよりも平熱大陸というか……はい、つまらなかったですね。

 

…だが演奏はすごいな。

ピアノと同じでよく聞いているからこそわかるが、上手い方なのではなかろうか。

なんだろう、引き込まれる…って感じ?

 

『…結構上手くいったと思うけれど』

『あぁ、すごかったな。なんつーかこう…あー!語彙が少ない自分が恨めしい!…って感じ』

『ええ。素晴らしい演奏だったわ。―――これじゃ、あなたは中々大変じゃないの?』

『…確かにハードル高いな…お前ら二人の後とか、正直キツイんだが…』

 

ピアノ、ヴァイオリンと有名な楽器で、尚且つ有名な曲だったが、俺の場合はグラスハープ。

知名度なんてあってないようなものである。

 

まぁ名前の通りグラスの淵をなぞってハープのように音を出して演奏する事なのだが…こう、響きとかがよくってな。

それ以来練習とかを頑張って、まぁ人前に出しても恥ずかしくないレベルには仕上がっているが…

 

何を演奏しようか。

やっぱり有名な曲がいいだろうが…なんだろう。グラスハープと言えばこれ、みたいな曲ってそうそう見つからないよな…

まぁ音の響きとか余韻を楽しむ楽器だし、落ち着いた曲がいいよな。

 

【選べ ①あのアニメのオープニング、『S・●・L☆』にしよう ②あのアニメのエンディング、『●陽と●のCROSS』にしよう】

 

落ち着いた曲が良いって言ったろ!―――ってかなんのアニメだよ知らねぇよ!?

 

…ん?なんで知らないはずなのに『落ち着いた曲じゃない』ってわかってるんだ?

いや、なんとなく歌詞や曲調が脳裏に…?なんで?

伏字があるのにわかる時点で中々記憶に焼き付いてるやつだと思うんだけど…おかしーな。

 

ま、大人しく①にしよう。

 

『…えー…知らない人が殆どでしょうが、まぁ聞いてください。アフィ●ア・サーガの、『●・M・L☆』』

 

 

 

 

 

 

さて、結果を話そう。

大成功だった。

 

明らかに知っている人がいないだろう曲だったのに、なんとか演奏技術だけでカバーできた。

いやー、常の練習ってわけだね。これ大事。

雪平も麗華堂も、純粋に称賛してくれてるし。

 

…まぁ強いて言うなら、やっぱアニソンだからかな?好き好みが分かれてるって感じはあるな。

観客席の方でも、大きく拍手してくれている人と、礼儀的な意味で拍手しているだけの人で二分化されてるし。

 

やっぱり大衆受けするクラシックか、有名な曲の方がよかったのでは…とは思う。

 

『…いやぁ、全員素晴らしい演奏でした!では早速投票に移りましょう!』

 

実況の人の言葉に呼応するように、スクリーンに麗華堂と雪平、そして俺の顔写真(証明写真のような感じ)が横並びに表示され、その下にゲージのようなものが現れた。

恐らく、このゲージが投票数を示すのだろう。

 

……お、集計終わったみたいだな。

さて、結果は…

 

『はい、出ました!結果は御覧の通り、雪平選手の情熱大陸の勝利です!』

 

会場が拍手に包まれる。

勿論、俺も麗華堂も惜しみない称賛を贈る。

 

…ま、アニソンで一位は取れなかったか。

けど結構接戦だったな。

俺と麗華堂なんて票数同じだし、雪平だって圧勝ってわけじゃない。

 

うーん、選曲さえクラシックだったら、もう少し結果は違ったのだろうか。

…ま、あの曲もいい曲だったし、個人的には大満足かな。

 

―――けど、元々俺が前に出されたのって『俺だけ恥ずかしい目に遭ってないからここで恥を晒させる』という理由じゃなかったか?

別に恥ずかしい目になんて……あ。息子のサイズを(選択肢によって)公開することになったな。

それは流石に恥ずかしいかった…というか屈辱的だったな。

 

『…いい勝負だったわ。二人ともありがとう』

『ええ。最初こそアレだったけど、今は満足よ』

『あぁ。本当にいい勝負だったな』

 

【選べ ①「それはそうとお前ら、おっぱい揉ませてくれない?」 ②「それはそうとお前ら、お尻揉ませてくれない?」】

 

……オチ、つけなくてよくない?




その後の話 【雪平ふらの】

「…15センチ…大体この定規一本分……は、入るのかな……そ、それに横幅が大きいって言ってたし―――いやまだそういう関係でもないのに何考えちゃってるの私!?」
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