仕様が良くわからなかったんですよね。
ちゃんと説明書いてるくせに。
それと今回と次回は毎分投稿です。
だからなんだって話ですけどね。
「お兄ちゃん!」
「…あ、貴方が落としたのはこのアクア・ギャラクシーのチケットですか?それともチケットが貴方を落としたのですか?」
選択肢による訳の分からないセリフと共に、アクア・ギャラクシーのチケットを手渡す。
周りの目が痛いが、今回の言葉は訳が分からなかっただけでドン引きまではされなかった。
もうこれだけで幸せな気がしてきた。
末期って言うんだよね、こういうの。
「アクア・ギャラクシーって……も、もしかして水着デート!?」
「え、デート?」
デートな訳……デート?
俺デートの正しい概念を知らないんだけど、これはデートと呼べるのか?
別に互いに好意を抱いているというわけでもないし、そもそもチケットを持っているのは俺とゆらぎだけというわけではないけど…男女で出かける、という点は間違っていない。
昨今ではデートも男一人女一人だけとは限らないというし、間違いではないのではなかろうか?
【え、マジで言ってるのソレ? ①「で、でででででででで…!?」と童貞らしくデートという言葉に過剰反応 ②「デートではねぇな。まぁお前がどうしてもって言うなら今度二人でどっか出かけてやっても構わないが?」とモテ男アピール】
バカにしてんのか全体的に!?
①は言うまでもなく、②だって遠回しに「モテ男(笑)」って感じに馬鹿にしてるんだろオイ!
た、確かに童貞なのは否定できないけど。
「…で…デートではねぇなまぁお前がどうしてもって言うなら今度二人でどっか出かけてやっても構わないが?」
息を切らすことなく高速詠唱。
恐らく、この場の誰も俺の発言を聞き取れなかったことだろう。
選択肢に昔「東京特許許可局は無いけど京都特許許可局はあるかもしれないけどそれがもしあったとしたら東京都庁の丁度真ん前に東京特許許可局もあるかもしれないかも」なんて謎文章を一分以内に三回噛まずに繰り返しで読まさせられたからな。
早口言葉は得意と言っても過言では無かったりする。
「え、本当!?」
「ちょっと待て聞き取れたのか今の!?」
俺の高速詠唱を聞き取れた奴なんて、今まで一人居たかいなかったかだというのに!?
…いや、もしかしたら今回は誰にでも聞き取れてしまう程度の速度だった可能性だって―――あぁ、違うわコレ。
だって一年生たち驚いてるし。
「今の聞き取れたの!?」って言っちゃってるし。
「そんなのどうでもいいじゃん!今大事なのは、本当に今度デートしてくれるのかどうかって事だよ!」
「そ、そんなのってお前なぁ……まぁ、一緒に出掛けるくらいは何ら問題ないけど」
「言質とったからね!?」
「なんでそんな必死なんだよ」
言質をとるだなんて表現を使う程の事だろうか。
…いや、コイツからすれば「生お兄ちゃん」とのデート(笑)はかなり大事なイベントとなるのだろう。
俺にはまるで意味の分からない単語だが、どうやら普通の兄とは何かが違うらしいし、こんな必死になってしまう何かがあるのだろう。
「…まぁ、聞いてもどうせ訳わかんねぇしいいや。もう教室戻るから、取り合えずコレは受け取っといてくれ」
「あ、うん。―――デートの件、忘れないでね?」
「あのなぁ…」
俺は約束事を忘れたり、無かった事にしたりはしない。
選択肢に強制されない限りはな。
全く。俺の妹を自称するくらいなら、俺がそういう奴だってことくらいわかっておいて欲しいんだがな。
【選べ】
な、なんだよお前。
まさか早速忘れさせようとして―――
【①絶対に忘れないという事の意思表示。指切り(物理) ②誓約書を書き、拇印を押す】
違った。
なんかすっごい大事にしようとしてるだけだった。
なんだよ指切り(物理)って。
マジで切り落とせってか。
―――でも②もなんかなぁ…重たいよな、色んな意味で。
…まぁ、ここは②だよな。
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「それで、結局ゆらぎっちはくるの?」
「あぁ、来るってさ」
誓約書を書いた後、「こっちのデートは勿論だけど、水着デートも楽しみにしてるからねー!」って言われたからな。
あれは来る、と言っているということでいいんだろう。
「あの、ちょっといいかしら」
「ん?どした」
「アクア・ギャラクシーの件。遠慮させてもらおうと思って」
「えっ!?ふらのっち来ないの!?」
先ほどから一言も発さずに硬い表情のままだった雪平が、突然そんなことを言ってきた。
一体どうしたのだろうか。せっかくタダで流行りのレジャー施設に行けるというのに。
前に偽札製造をやたらと欲しがってたりと、金が絡む話には目がないと思っていたが…?
「一体どういう風の吹き回しだよ?タダなんだぜ?タダ。金がかからないんだぞ?」
「……天久佐君が私をどう認識しているのか、よく分かったわ」
「金の亡者だろ?」
…あー、わかった。その言い方が不服なのは分かったから、そんな目で見てくるな。
やたらと鋭い視線をこちらに向けてくる雪平に、両手をあげる素振りを見せて謝罪の意を示す。
いや、謝罪というか、降伏か。
「…けど、本当にどうしたんだよ。水着持ってないのか?」
「別に、そういうわけではないけど…」
「もしかしてふらのさん、およげないんですか?」
「………な、なんの事かしら」
返答にかなり時間がかかってたし…これは、確実だな。
確かに自分が泳げないのが露呈するのは恥ずかしい事だろう。
俺だって同じ立場なら似たような感じではぐらかすだろうし。
けどまぁ、泳げないだけならなんら問題ない。
アクア・ギャラクシーは確かにプールが一番の売りだろう。
しかしプールで泳ぐだけではなく、ただ施設内を散策しているだけでも十分楽しめるのがアクア・ギャラクシーなのだ。
ちゃんと公式ホームページで調べた情報だから、間違いはないだろう。
「泳げないくらいなんも問題ねぇじゃねぇか。なんなら一緒に―――」
【選べ】
練習してやっても―――って言おうと思ってたんですけど。
なんだよ、この文脈と全く関係ない事言わせんのか?
【①溺れようぜ! ②海のモズクになろうぜ!】
なんで一緒になっておぼれてやる必要があるんだよ!?
独りでおぼれるよりも複数人でおぼれてる方が恥ずかしさも軽減するとでも思ってんのか!
それに②はプールだから海関係ねぇし、そもそも藻屑であってモズクじゃねぇんだよ!
―――でもまぁ、冗談風に受け取ってもらえるのは多分②だよな。
ツッコミどころが多いし。
「一緒に、海のモズクになろうぜ!」
「…天久佐君って、本当に駄洒落のセンスがないのね」
「その認識は極めて遺憾だ」
さっきの駄洒落は俺の意思とまるで関係ないし、それに俺の駄洒落はもっとウィットに富んでクールだ。
不当な評価は訂正を要求する。
「…でも、泳げないだけなら来ない理由にはならなくない?」
「そ、そんな事ないと思うけど」
「だって、アクア・ギャラクシーはプール以外にも楽しめるとこ、沢山あるじゃん。売店とか」
遊王子が、俺の思っていたことを言う。
そう。実際アクア・ギャラクシーは楽しむ要素が多いのだ。
行ったことないけど。
まぁ強いて欠点として挙げるのであれば、売店にしろ何にしろ水着で行かなければならないという点があるのだが。
前に佐伯の奴が「親戚全員が集まった時にアクア・ギャラクシーに行くことになったんだけど、正月太りの爪痕のせいで俺だけ行くに行けず…」なんてことを話していたのは今でも記憶に新しい。
横幅が大きい…というか、自分の体に自信がない奴とかはアクア・ギャラクシーを歩くのにかなり度胸というか勇気というかが必要となるとされている。
―――アレ?もしかして雪平が渋ってる理由って…
【よし、言え ①「お前まさか、胸の事気にして…?」 ②「お前まさか、おっぱいの事気にして…?」 ③「お前まさか、パイオツの事気にして…?」】
よし、言え…じゃねぇんだよ!
お前、そんな事堂々と言える訳ねぇだろ最悪殺されるぞ俺!?
相手がもし他の奴なら侮蔑の瞳だけで済んだかもしれない。
だが雪平はダメだ。いかんでしょ。
コイツは自分の胸をコンプレックスに思っているはずだ。
少なくとも俺が知っている情報をまとめればそうとしか考えられない。
でなきゃ、前に選択肢のせいで「今日も可愛らしい胸だね」って言わされた時のレスポンスがビンタだった理由が見当たらない。
……悩もうにも、そろそろ催促が来る…あ、やっべ来ちまったたたたたたっ!?
わ、わかったわかった!言うから!言いますから!
「―――お、お前まさか……む、胸の事気にし」
「は?」
「な、なんでもありません」
目がマジだ。
あれ以上何か言っていたら、俺は殺されていた。
―――ってか、最後まで行ってねぇのに催促の痛み無くなってんじゃん。
いきなり優しくなったのか…それとも何か裏があるのか。
「…で、結局来ないのか?」
「そうね…」
「ならこのチケットは金券ショップにでも」
「それは違うわ」
「なぜにダンガン●ンパ」
チケットを売った分の金を向こうでの飯代にしようかと思ってたんだが…
なんで来るつもりもないのにチケットを売るのを止め―――いや、全然疑問に思うようなこと無かったわ。
俺だって、行かないにしても自分の分のチケットで誰かが飯食うの嫌だし。
確かに今のは配慮が無かったな。
売って金にするのは、雪平が権利を持っているべきだろう。
「そう、だよな。悪かった。このチケットを売る分の金は、お前が好きに使うべき金だもんな」
「…え、えぇ。そうよ。売るにしたって、権利は私にあるべきだもの」
若干虚を突かれた様子で、俺の言葉にうなずきながらチケットを取る雪平。
その一連の会話を聞いて、遊王子が不服そうに頬を膨らませる。
「えー?ふらのっち、ソレ売っちゃうの?」
「…別に、ペットのヤギの餌でも構わないけど」
「お前ヤギ飼ってんのかよ」
「ヤギですかー…シェーブルチーズがたべたくなりますねっ!牛乳アレルギーの人でも食べることができて、なんでも西洋いがいの地域ではこちらのほうが好まれるらしいですよ!」
シェーブルって確か、フランス語でヤギって意味だったよな。
じゃあ直訳したらヤギのチーズか。
いやショコラさん、なんでそんな詳しいんですか?
「へぇー、そうなんだ」
「はいっ。しかも、シェーブルチーズの方が牛乳のチーズよりもとくちょうてきな
だからなんでそんな詳しいんだよ。
ショコラの語るシェーブルチーズの情報を流し聞きしながら、今日の晩飯は多分これが要求されるんだろうなとスマホを取り出す。
家にシェーブルチーズなんてありはしないが、ネット注文すれば晩飯には間に合うだろうからな。
でもシェーブルチーズを使う料理、か。
何を作ればいいんだろうな。
「……って、今はチーズの話は良いだろ」
「それもそうですね…という事でふらのさん。いずれチーズをおすこし分けていただきたく」
「ええ。考えておくわ」
【選べ ①「考えておくわ(わけるとは言ってない)」←()内も読む ②「俺のミルクはいるかい?(意味深)」←()内は読んでも読まなくてもいい】
言う相手が悪いだろコレは。
①はなんか話が長くなりそうだし、②だと絶対(選択肢が)言わんとしている事を当てられて恥をかくことになる。
ってか男がミルク、とか言ったら
でも…(意味深)を言わずに、「え?俺が家に貯蔵している牛乳って意味だったんだけど?」って言えば話が長くならず、しかも恥をかかずに済むのではなかろうか?
試してみる価値はある…と、思う。
「俺のミルクはいるかい?」
「―――相変わらず卑猥ね、天久佐君」
「おいおい、俺はただ」
【選べ ①「お●んぽのミルクって意味で言ったんだぜ?」 ②「●ーメンって意味で言ったんだぜ?」】
や……やられた…ッ!?
く、くそっ!この野郎、コイツを狙ってたって事かよ!?
隙の生じぬ二段構えを以って、俺に確実に(社会的な意味で)致命傷を与えるために―――痛いッ!?
催促か…!腐りきってやがるぞこの
ア゛ァ゛ッ゛!?(激痛)
「お……お●んぽのミルクって意味で…言ったんだぜ?」
「何昼間っから盛ってんだお前」
「げっ、先生!?」
絞り出すようにして声を出すと、突然背中を蹴られた。
宴先生だ。
声の主も、俺の背中を蹴ったのもこの人だ。
相変わらず暴力的というかなんというか…
ってか雪平の奴、もういなくなってるし。
俺が聞くに堪えない下ネタを言うと察したのだろうか。
「げっ、ってなんだげっ、って。舐めてんのか」
「痛い、痛いです先生。追加で蹴り続けるのやめてください」
まるで表情を変えずに、ひたすら俺の背中を蹴ってくる。
地味に痛い。
いつもの関節技の方が痛いけど、連続してくるからこっちの方がなんか辛い。
「…つーか、今日は先生の授業ないでしょ。なんで教室に」
「用事がなきゃ悪いか?」
「え、えぇ…別に悪かないですけど」
「まぁお前らに言う事があって来ただけなんだけどな」
「いやあんのかよ!?」
なんでそんな「何もないのに来たけど、文句あるか?」みたいな事言ったんだよこの人…
「ほら、前の対抗戦の副賞で、アクア…なんだっけな…ま、キャバクラみたいな名前のプールのチケット貰ったろ」
「アクア・ギャラクシーですよ。どこがキャバみたいなんですか」
「あくあ・ぎゃらくし~なんて明らかにそういう店だろ」
「それは言い方が悪いのでは」
あっ、すいません。
要らん事言ったのは謝るので睨みつけてくるのはやめてください。
次に何が来るのか恐ろしくなるので。
「…で、あたしもチケット貰う事になったから、せっかくだしついでにお前らも連れてってやろうかと思ってな」
「車に乗せてくれるって事っすか?」
「あぁ。さっきの話を聞く限り、雪平は来ないみたいだから…席もそんな狭くならねぇだろうしな」
こういうのを、渡りに船と言うのだろう。
元々移動手段をどうするかは決めてなかったし、ここはお言葉に甘えさせてもらうとしようか。
…ってこたぁ、もう一回ゆらぎの教室まで足を運んで、当日は先生が送迎をしてくれるって旨を伝えなきゃいけねぇって事か。
一年の連中も、大分俺の奇行に慣れつつある様子だったが…それでも精神は摩耗する。
自慢じゃないが、俺の精神は普通の人のソレに比べて数倍貧弱だからな。
あんまり恥を晒し続けてると…また心が折れる。
あ、『また』の下りは掘り下げないので悪しからず。
「…じゃあ、ゆらぎにも乗せてもらうって事話してくるんで。当日はお願いしますね」
「おう。酔い止め忘れんなよ」
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「ただいまー!ですっ」
「なんでこんなに元気なんだコイツ」
時は流れて放課後。
疲れ気味の俺と対照的にやたらと元気が有り余っている様子のショコラに苦笑いしつつ、急ぎパソコンの前に向かう。
前のように、ミッション攻略のためにネットの力を頼ろう思ったのだ。
だがネット記事を探すだけでは『○○する○○の方法(法則)シリーズ』かそれに類するものが引っかかってしまう。
それはダメだ。
もし俺が権力者なら、理由もなしに全て焚書するくらいにはダメな本だ。
ついでにネット記事の方はクラウドからも削除してやりたい。
さて、ここからどうすべきか、だが…やることは一つだ。
●ちゃんねるを使う。
某知恵袋を使っても良かったが、今回は●ちゃんねるだ。
スレで成功したらこれからはこちらを使えばいいし、もしダメなようなら次は知恵袋を頼ればいい。
とにかく、俺は二度とあの『例のシリーズ』関係に頼りたくないのだ。
「ってな訳で、早速スレを立てるとしますか……あ、ショコラ。棚の中に入ってるお菓子、三つまで食べていいぞ」
「はーいっ!」
ショコラの元気な返事を耳に、俺はスレを建てるのだった。
【その後】
天久佐「えーっと、スレ……よくよく考えたら、俺●ちゃんねるやったことねぇな」
ショコラ「ファミリーパックは偉大な発明ですねっ!」
ゆらぎ「みっずっぎー、みっずっぎー!…でもその後のお兄ちゃんとのガチデートの方がもっと重要なのでは」
ふらの「……流石に水着は、ね…」
遊王子「ねぇお母さん!アクア・ギャラクシーに行く日、ちゃんと朝起こしてね!絶対楽しみ過ぎて遅くまで起きちゃうから!」
宴「…この水着、一昨年のなんだがな…微塵も苦しくねぇどころかピッタリじゃねぇか」