俺の絶対(選びたくない)選択肢   作:イニシエヲタクモドキ

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爆発しろよ変態、というお話。



因みに一番最後のは一定以上好感度があった場合だから、本編時空の金出君はあまり関係ないよというお話でもある。


①ハーレムタイム ②バジリスクタイム

「……おぉ、なんだこの選択肢」

 

ショコラに全員が集中している中、普段ならあり得ないような選択肢が現れた。

 

【①ハーレムタイム突入。表ランキング(在校生)数名から告白される。 ②バジリスクタイム突入。謎の黒人男性が出現、天久佐共々全裸で踊る。】

 

ハーレム、はーれむ、Harlem。

 

男と生まれたからには、誰もが一度は夢見る状況である。

そんな状態が、表ランキングというこの学校内の女子たちの中でもトップクラスの美少女たちによって形成されるという…のか?

 

しかも、俺を中心として?

 

――と、ここまでは希望的観測かつ妄想の世界。

では現実を見てみよう。

 

まず表ランキング全員から告白されるというこの言葉。ここに罠が潜んでいる。

表ランキングは女だけではなく、男の方にも存在する。

 

その上、選択肢が性別の指定をしていない時は、基本的に俺に利の無い方……この場合は男からの告白という事になる。

 

なにより、選択肢によって強制的に行動や意思、考えを変えさせられた人は、しばらくすると突然正気に戻り、その間の記憶を失うのだ。

 

俺だって、どうせ告白されるなら本気で告白されたい(多分断るだろうけど)し、そもそも選択肢で作られた偽りの好意なんて向けられても虚しいだけだ。

 

「―――けどまぁ、全裸バジリスクタイムよかマシなんだよな…」

 

断って、さっさと選択肢の呪縛を解いてやればいい。

その時に謝罪もしっかりしておこう。

 

そんな浅い考えで①を選んだ。

 

―――次の瞬間。

 

「あの、すいません。天久佐金出くんって…居ますか?」

 

ざわめていた教室内が、その一言によって静まり返った。

 

そりゃそうだ。突然表ランキングに名を連ねる人気者がクラスの珍獣(自分で言ってしまっていいものか)を要求してきたのだから。

 

【選べ ①大人しく出ていく ②もしかしたら画面の外に行けるかもしれない。試しにやってみる】

 

試しにって…何をさせるつもりだよお前。

画面って何の話をしてるんだ。

 

ここはまぁ、大人しく出ていくとしよう。

①一択だ、①。

―――しかしこんな高い声の男子、表ランキングに居たか?

…あ、居たな。確か三年の…西野、葵先輩だっけか?

 

一度も会った事無いし、もしかしたらハスキーボイスかも知れないけど…まぁ、男の娘って言われてるくらいだし、どうせ女子みたいな……うん?

 

「あっ、天久佐…くん?」

「え、あ、はい…そう、だけど…もしかして、爽星…?」

「は、はいっ。爽星素直です」

 

爽星素直……この学園の、表ランキング二位の女子だ。

今まで話したことなんて終ぞなかったが…これはつまり、そう言う事…なのか?

 

いやいやまさか。だって()()選択肢だぞ?

アレを選んだくらいで、まさか校内二位の人気を誇る女子が……

 

「その、あのね?実は言いたい事があって…」

「あ、あー…ちょっと向こうで話そうか。あまり人前でしたくない話だろうし」

「う、うん」

 

不穏な気配を感じ取り、被害が拡大(他の事情を知らない生徒に聞かれてしまう)のを避けるべく、人気のない場所へ誘導。

 

 

 

…よし、ここなら誰も居ない…よな?

 

「それで、言いたい事…って?」

「…あ、あのねっ!実は、アタシ…」

 

――あぁ、そういう事か。

 

顔を赤くして逡巡する爽星に、逆にこっちは一気に冷静になる。

 

いや、この状況で緊張しない訳では無いんだけど…なんだろう、オチが知っているわけだし、罪悪感とかもあるしで…こう、早く終わらせてくれって気持ちの方が上回ってるんだよ。

 

「アタシ、天久佐くんの事が好きなの!付き合ってください!」

「……その、マジでごめんなさい」

 

深々と頭を下げ、断る。

 

すると先程まで頬を紅潮させていた爽星は一気に真顔に戻り、そのまま困惑した表情を見せた。

―――断ればすぐに終わる、か。良かった良かった。

 

「あ、れ?どうしてアタシここに…?それに、さっき天久佐くんに…」

「えっ、あー…ほら、一時の気の迷いじゃないですかね。一種の錯乱状態」

「そう、かなぁ…?―――あのさ、天久佐くん。さっきのは勿論本心じゃないんだけど…」

 

改めて言われると傷つくんですけど。

 

まぁ、所詮俺はお断り5の中でも最強と揶揄される変人だ。

表ランキングの爽星からすればそれこそヘドロのような奴なんだろう。

 

でも爽星ってアレか。

純粋であまり人に暴言を吐いたりしないタイプって話だったし、ヘドロとは思ってないか。

 

「…参考までに、どうして断ったのか聞かせてくれない?」

「……はい?」

「だから…普通、アタシに告白なんてされたら二つ返事で了承しちゃうでしょ?それなのにどうして拒否したのかなぁって」

 

…目が笑ってないんですがそれは。

 

というかなんか変な雰囲気を感じるんだが。

若干素の…なんだろう、粗暴さ?とかそう言ったものが溢れ出してきている気がする。

もしかして、猫をかぶってたって事か?それも相当。

 

しかし困ったな。選択肢によって作られた偽りの愛情なんていらなかったんすよーっていう訳にも…

 

【選べ】

 

はいはい、こういう時に出しゃばりたがるのは君の癖だもんね。

今度はなにさ?急におっぱい!とか叫ばせるのか?

 

【①男なら、正直に振った理由を答える(タメ口) ②今からでも遅くない。真剣に土下座しながら告白する(変顔)】

 

案外まともだなお前。

なんか俺だけ子供みたいじゃん。

 

…けどまぁ、②は論外だな。

だってみろよこのゴミを見る目。隠しきれてないのよ嫌悪が。

これで告白なんてしたら、マジで笑い者にされるぜ俺。

 

それに真剣に、のはずなのに何故か変顔させようとしてるじゃん。

その時点でアウトだよお前。

 

「…そう、だな……よく知らないから、かな?」

「よく知らない?」

「だって、初対面じゃん。それなのに告白されても怪しいだけだし…」

「ふーん……ボロが出てたわけじゃない、か。身の程知ってるわけでもなさそうだけど

 

あの、聞こえてるんですけど。

ボロ出ちゃってますけど現在進行形で。

身の程とか言われちゃったんですけど俺。

 

なんだろうなぁ…可愛いとは思うけど、にじみ出てるんだよなぁ…悪い物が。

 

【選べ ①「小声で言ったつもりだろうけど聞こえてるからな猫被り」と言って唾を吐き捨てる ②流石に①は言い過ぎだ。軽く窘めるように本心を伝えよう】

 

うーん、今度は①がふざけたか。

 

でも②でもなぁ…最悪殴られそうなんだよなぁ…

まぁ証拠に残るような事はしないか、こういうタイプって。

 

そもそもまず、猫被ってるのは確定だとしてもまだ完全なるやべー奴という風に決まったわけじゃないからな。

 

本人の前での陰口はお勧めしませんよって感じに窘めるだけにしておこう。

 

「あのさ、陰口を言うなとは言わんけど、本人の前で言うのは止めといた方がいいぞ」

「えっ?なんの事?」

「……はぁ……せっかく可愛いんだから、すぐにメッキ剥がれるのはなんとかした方が……あぁいや、別に素のお前が悪いとは言ってないしそれにお前の素も知らないから何とも言えないんだが…」

「――――は?」

 

あー地雷踏んだ。

明らかに地雷を踏みつけましたわこれ。

 

急に目見開いて硬直しちゃったもんこの人。

こっわー…選択肢さん、この状況なんとかできないの?

 

あっ、俺の利になる事してくれないんだった。

 

「いや、すまん。忘れてくれていい。俺も忘れるし、誰にも…」

「お前、今なんつった…?」

「おーうついにとうとうお前って呼んじゃったよ俺の事」

 

メッキが完全に剥がれたなこの女。

この場は俺とコイツしかいないという風に知っているからだろうか?

 

そりゃまぁこんな簡単に剥がれるメッキだったら、ランキング云々の前にお断り行きだっただろうしな。

流石に普段はこんなに脆くないか。

 

「い、良いから答えろっ!さっきなんて言った!?」

「え?えーっと…『いや、すまん。忘れてくれていい。俺も忘れるし』」

「そこじゃねぇ!その前!!」

「えぇ?……『せっかく可愛いんだから、すぐにメッキ剥がれるのは』」

「か、可愛いってお前…!?」

「えっ、何その反応…言われなれてるだろ可愛いくらい。表ランキング二位なんだし、それ抜きにしてもお前素をダイレクトに出さなきゃ普通に可愛いし…」

「なっ、なっ、なぁっ…!?」

 

なななってなんだなななって。龍ヶ嬢か?

 

やたら顔を赤くして、信じられないものを見るような目でこちらを見て来る爽星。

いやいや、だから言われ慣れてるんでしょう?

勿論幼少期から。

 

どうでも良い話だが、幼いころからチヤホヤされていた人は成長すると性格が歪むという。

コイツはそれの典型例なのでは無かろうか…知らんけど。

 

【選べ ①ダメ押しにもう一度、可愛いと言ってみる。無論下心は満載 ②下心など不要。思ったままの感想を伝える】

 

いやそれいる?

別に言わなくていいじゃん。

 

―――まぁ、②にするけどさぁ。

 

「…うん、やっぱり可愛いと思うよ。お前」

「ッ!?―――う、うっさい!!お、お断り5のくせに…ッ!」

 

あ、行ったか。

 

しかし何だったんだあの捨て台詞。

お断り5のくせにって……なりたくてなってるわけじゃねぇんだけど?

 

「…にしてもやけに顔が赤かったなアイツ。マジで何があったんだ?」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

その後も(双方ともに望まぬ)ハーレムタイムは続いた。

柔風、麗華堂、ニューミルク先輩…生徒会長であり、女子の表ランキング堂々の第一位である黒白院先輩は来なかったが、それでも俺の心を削るには十分すぎた(罪悪感的な意味で)

 

「そしてその結果がコレ、か…」

「あぁ?何抜かしてんだテメェ…今回こそ許さねぇぞコラァ!!」

「そうだそうだ!何お前小凪たんから告白されてんだボケがァ!!」

「う、うらやましいナリィ!!」

「おらケツ出せ!!」

 

いや最後ぉ!なんでだよぉ!

なんでハードゲイ♂が混ざってんだよ柔風親衛隊のメンバーによぉ!

 

―――あの悪夢のハーレムタイム、最後に来たのが柔風だったのだ。

 

柔風の記憶は無くなっているだろうが、親衛隊はそうはいかない。

選択肢による記憶操作がない以上、『柔風が天久佐金出に告白してしまった』というあり得てはいけないはずの事象を覚えている人間が俺以外に居るという事なってしまう。

 

それを何とかすべく、結構真剣に頭を悩ませているのだが…うん、駄目だ。直近五分間云々のツボ(宴先生直伝)を利用しようとしても、もう六分経ってるし。

 

【選べ ①「俺はお前たちの弱みを握っている…!」と言って脅す。実際にその弱みを知る。 ②「実は俺、男にしか興味が】

 

①決定!

 

…え?弱みを握るだなんて、優しさとかはないのかって?

はははっ、馬鹿じゃねぇの。

 

「俺はお前たちの弱みを握っている…!!」

「「「「ナ、ナンダッテー!!」」」」

 

瞬間、俺の脳内に流れ込んできたのは、本来持ち得ないはずの記憶。

 

真ん中のリーダー格の男…藤堂さくらが、こっそり柔風に贈り物(ヘアピンに始まり、果てはパンツまで)を自作のポエムと一緒に(本人にすら気づかれないように)送っている事。

 

特に特徴のない男…赤崎俊太が、柔風が一年の頃自転車通学していた時、毎日毎日サドルを盗んでいたという事。

 

語尾が「ナリ」で、一番横幅が大きい眼鏡の男…尾田九朗が、柔風を盗撮し、ポスターにして部屋に飾っている事。

 

そして毎回俺のケツを狙っているホモなのか柔風が好きなのかよくわからんやつが、柔風の顔を印刷したお面を付けた男子とホモセッ―――

 

「おぐろぼごぼろろろろろげゃばああ……」

 

知らなかった、知りたくなかった、知るべきじゃなかった。

 

一緒に映像のような物も脳内に流れ込んでくるのだが、そのせいで俺は知らん男二人のハードな交わり(意味深)をモザイク無しで見る事になってしまった。

 

しかも相手の男は柔風の面をかぶっているのである。

まさしく地獄絵図。

 

「な、なにいきなりゲロ吐いてんだコイツ…」

「いや、そこは気にしなくて結構。―――それで?俺はあんた等全員の人に言えないような秘密を握っている。だから――」

 

だから、なんだ?

今みたのは忘れろ?

それとも、これから先柔風に粗相(多分選択肢がさせてくる)をしても黙認しろ?

 

うーむ、全部言ってしまってもいいが、それではなんかこう、有耶無耶にされる可能性だってありそうだしな…

ほら、一気に言ってたからそれは聞いてないな!とか。

 

「は、はん!そんな事言って、本当はハッタリなんだろ!?」

「そ、そうナリ!嘘は通じないナリよ!!」

 

【選べ ①大事な所は隠し、そのまま話す ②明らかに知っていると匂わせる発言をする】

 

おっと、珍しく上質選択肢。

ここは敢えて匂わせるような発言に止めておいて、強者感を演出する事にしておこう。

 

――しかし匂わせるってどうやって?

 

「……愛、それはラブ。僕と君を結ぶ赤い―――」

「ぎゃああああああああああッ!!?なんでそれをォ!?」

「ふっふっふ……なぁ、尾田ぁ…ポスターって結局何種類あるんだっけか?また新しく盗――」

「ひぎぃいいいん!!?やめっ、止めてぇえええ!!」

「んでぇ?赤崎クンはアレか?サドル―――」

「あじゃぱアーッ!!」

 

ふははははッ!!愉悦!!

普段酷い目に遭っている俺が、こうして他人の弱みを握ってうっはうっはとは―――最ッ高だな!!

 

前回前々回とボコボコにされたが、溜飲が若干下がった気がする。

うん、やっぱストレス発散って大事だわー!

 

「な、何が望みなんだ…!?」

「はんっ、そんなの決まってんだろ?」

 

【選べ!!】

 

なんでそんな力強いの?いつも通りで良いじゃん。

 

【①ワイン片手に、意味深に嗤う ②激辛の麻婆豆腐が出現。勢いよく食べる】

 

なんでさ。

 

くっ、②を選んだら確実にその激辛の麻婆豆腐とやらが出現する…

それをここに書かれている通り、勢いよく食べねば頭痛によって意識を失う事は確実。

どうせこの選択肢の事だ。気絶して倒れた時、ちょうど頭がくる位置に麻婆を設置しておくのだろう。

 

―――でも①選んだら、未成年飲酒とかなんとかで補導されるんだろ!

ちょっと調子に乗っただけでこれだからさぁ!

 

「はふっ、はふっ……俺はただ…んぐっ、うまっ……柔風に、はむっ…奇行を、しても…ごくんっ…放っておいて欲しい…はぁっはぁっ…だけだ」

「な、なんで急に麻婆豆腐を…?」

「食うか――――?」

「「「「食うか――――!」」」」

 

全力で返答される。

 

それもそうか。

後二口くらいだし、別に押し付ける必要もないだろう。

 

ただもう物凄く辛くて、舌とか唇とかが焼けているかのように熱い。

なんで俺がこれを喰わなきゃいけないんだ。

 

「…それで?俺の要求は、呑んでくれるよな…?」

「うっ…だが…」

「し、親衛隊はお前みたいな変態から…」

「小凪タソを守るべく存在しているわけですしお寿司…」

「なぁ…?」

「――はっ、変態はどっちだか…ま、明日の校内放送と新聞は面白い事になるな」

「「「「イエス・マイロード!!」」」」

 

ふむ、納得してくれたらしい。

 

まぁこれで選択肢が暴走しても大丈夫だろう。

柔風本人にはまぁ、慣れてもらうしかないが……毎回連れ去られてボコボコにされるよかマシ、だな。

 

でも、あれ?これじゃ結局さっきのやつの記憶は消せてないのでは?

 

【選べ ①オタ芸の練習に勤しむ。勿論上半身か下半身を露出させながら ②なんか凄まじい事が起こる。100パーセントとは言わないが10割の確率で社会的地位を完全に失う】

 

あぁ、そうそう。こうやって暴走しても……ってオイ。

 

なんで上半身と下半身ランダムなんだよ。

そして100パーセントと10割は同じ意味なんだよ。

 

えぇ…確実じゃないし、①しか選ぶ余地がないけど……下半身、脱がないといいなぁ…

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「で、なんの用ですか宴先生」

「ちょっとお前に話があってな―――そういやお前、表ランキングの連中から告白されたらしいじゃねぇか」

「ええ、選択肢ってマジで恐ろし……いやなんで知ってんの!?」

「叫ぶなようるせーなー…」

 

だって、誰にも知られずに選択肢によって感情を操作された少女達を解放しようとしてたのに…なんで知られてんの平然と?

 

「んで、なんで知ってるのかってそりゃお前…こっからなら丸見えだったからな。お前が頭下げてんの」

「……ああ、ちょうど見える場所だったのか…じゃあ別に噂とかとして広まってるわけでは…?」

「ねぇな。お前がフッた挙句口説いたのを知ってるのはお前とあたしと告白した奴等だけだ」

「なんすかその口説いたって…」

「―――マジで言ってんのかお前?」

 

マジで言ってんのかって…そりゃそうでしょうに。

まずあの俺の言葉のどこをどう受け取れば口説き文句になるんだって話だよ。

 

試しに回想してみるけどさ?

 

『…どうして私があなたに告白なんて…』

『ま、まぁまぁ……一時の気の迷いとかだろうし、俺も気にしてないから』

『……そう言えば、どうしてあなた…私の胸に視線を向けて居ないの?』

『えっ?』

『男なら、普通は私の胸に目が行って然るべきだと思うのだけど……一体、どういうことかしら?』

『え、えぇ……そりゃ確かにデカいけど…話すときくらいは相手の目を見て話すぞ普通…』

 

【選べ ①「ま、見るより揉む方がいいしなぁ!」と言って両手で鷲掴む ②「女性の良さは胸だけじゃないしな。麗華堂だって、胸以外も素敵だぞ」と言ってプレイボーイっぷりを披露する】

 

『そ、それに女性の良さは胸だけじゃないしな。麗華堂だって、胸以外も素敵だぞ』

『な、なぁっ…!?』

 

 

 

 

『あ、あれっ!?ワタシ、どーして…?』

『一時の気の迷いだと思いますよ。ほら、俺も気にしてないですし、今日の事は忘れるという事で…』

 

【選べ ①「まずはお友達からという事で」と渾身のイケメンスマイル(笑) ②「一度だけの恋なら、君の中(意味深)で遊ぼう」と言って、いく(意味深)】

 

『―――まずはお友達から、という事で』

『はぇっ…!?』

『あっ、あー、いえ。別にそう言う意味ではなく。せっかくこうして初めて会話をしたわけですし、なら…と』

『そ、その……ごめんなさいアルー!!』

『えぇ……意図せずフラれた…』

 

 

 

 

『わ、私…今…!?』

『いいんだ柔風。一時の気の迷いってやつだ。気にする事じゃない』

『き、気の迷いって……そうでもない、気がしなくも…』

『いや気の迷いだから。少なくともお前が俺を好きになる、なんてなぁ…?』

 

【選べ ①「でも、俺がお前を好きになる可能性はないわけじゃないよな?」とかっこつける ②「そうだ、今日のパンツ見せてくれよ」といつもの要求をする】

 

『……でも、俺がお前を好きになる可能性はないわけじゃないよな?』

『ふ、ふぇぇっ!?す、好きに!?』

『あー、柔風。できれば今のは……ってあぁ…行っちまった』

 

回想終了。

リザルト、ほぼ全部選択肢が悪い。

 

なんで告白されてる間はふざけと謎のイケメンキャラを同時に勧めてきたんだコイツ。

普通に断って終わりでよかったじゃん。

 

少なくともニューミルク先輩の時の『お友達から』発言はいらなかったと思う。

確かに俺は自分で言うのもアレだが顔は良い方だし、イケメンスマイルくらいなら出来る(自意識過剰)と思うが、あの場でさせる必要は無かっただろう。

 

余りの自意識過剰さに共感性羞恥を感じたのか、先輩顔真っ赤にして逃げてったからな……

 

俺だってぶりっ子見てると共感性羞恥で顔赤くなるもん。

…あれ?それって共感性羞恥で良いんだっけ?まぁ覚えたての言葉を使いたいだけなんだけどさ。

 

「ってか、全く口説いてないじゃないっすか」

「えぇ……お前、もう病気だぞそれ」

「び、病気って…先生こそ恋愛脳過ぎませんかね。だから未婚―――はっ!?」

「ほーお……死にてぇようだな天久佐金出」

「フルネーム!?いや、すいませんすいませんでした以後気を付けます!!」

「できねぇ約束すんなよ、天久佐。お前にはもう以後がねぇだろ?」

「そんなもう決まった事見たいに言うのやめてもらっても――ぐぇぇっ!?」

 

見事なヘッドロックだった。

死にはしなかったが死にかけた。

―――今のはまぁ、俺の過失だな。

 

「ところで天久佐。なんか変わったこととかあったか?」

「変わったこと…?あ、そうだ!特殊ミッションとか出てきたんですよ。そんなのあるなら先に言っといて欲しかっ――」

「なんだ、それ?特殊ミッションだと?」

「―――あぁ、ご存じないのですね……」

 

宴先生(かつての犠牲者)なら知っているかもと思ったが、全然そんな事無かった。

 

まぁよくよく考えたら先生が知ってる事は神も知ってて然るべきか。

単に記録されてなかったってだけの可能性もあったけどさ。

 

「これですよ、これ」

「…『対抗戦終了までに参加者の女子のおっぱいを揉みしだく』…だと?」

「いやふざけてますよねこれ。しかも失敗したらちゃんとペナルティもあるらしいんですよコレ」

「―――詳しく、聞かせてもらおーか」

 

姿勢を正し、真剣な表情を見せるようになった宴先生に、自然とこちらも背筋を伸ばしてしまう。

 

その綺麗な姿勢のまま、神からのメールの内容を説明し、ペナルティと報酬について話した。

 

「……なるほど、なぁ…まーた恐ろしいモンを…」

「これも多分やらなきゃ駄目なんでしょうけど……無理じゃないっすかコレ?だってまず俺対抗戦がなんの話なのかすらわかってないんですよ?」

「対抗戦ってのは…アレだ。まぁ、もうすぐ説明あるだろうしそれは問題ねぇ。―――ただ、なぁ…この胸を両手で揉むってのがかなりハードル高いだろ。対抗戦の出場者が出場者なら何とかなるかも知れねぇが…」

「いや出場者が出場者ならーって言ったってこの学校の生徒でしょ!?ただでさえ変態だとか奇行種だとかイケメンと江頭とエロ本のキメラだとか言われてるのに、両手でガッツリ揉んだりなんかしたら俺もう退学どころじゃ…!!」

「―――まぁ退学くらいはなんとかしてやる。そういうサポートは私の仕事だしな。――問題なのは揉むまでだぞ、マジで。出場者が誰になるかはまだ決まってねぇが…一筋縄じゃ行かねぇのは確かだ」

 

シリアスに考え込む先生に、泣きつく俺。

会話文さえ変えればシリアスなシーンなのだろうが、悲しいかな会話の内容は女子のおっぱいを如何にして揉むかというものなのである。

 

「―――そういやお前の所の犬っころはどうだ?役に立ってるか?」

「えっ?全然?」

「…あれでも、呪い解除のために神から送られてきた僕なんじゃねぇのか?」

「そ、そうなんですけど……普段は飯食ってゴロゴロしてるだけで、役に立とうという気概はあれど結果は芳しくなく……」

 

【選べ ①「まさしくアンタのサポートだな。首絞められるだけで喜ぶ男だと思うなよ?」と挑発。ご褒美(お仕置き)が貰える。 ②「でも居てくれるだけでなんか和むんですよね」と変態性をアピール】

 

最近俺に変態性をアピールさせたがりすぎじゃないかお前!?

でも①は論外だよ!!

 

でも、和むって言う事に変態性なんて欠片も無いと思うが…価値観の違い、だろうか?

 

「でも居てくれるだけでなんか和むんですよね」

「…そ、そうか……でも、マジで役に立ってないのか?」

「まぁ…そう、ですね」

「…ってことは今回の特殊ミッションとかいうのも?」

「一応なんとかしてくれようとはしていますが…」

「―――なんか呪いとかに関する情報は?」

「記憶喪失だった事を思い出したらしいです…」

 

あっ、先生が目を逸らした。

 

けど俺だって本当はもっと役に立って欲しいと思っている。

せめてあの本以外の本を買ってこいとは思う。アイツに払ってやる金はないだろう。

アレのせいでUOG出版の本に軽く抵抗を覚えるようになったもん。

まともな本でも見れないくらいって、相当だと思うぞ俺。

 

「って、先生は何か教えてくれないんすか?」

「あたしは無理だ。言おうとしたら、頭痛がして口が動かなくなる」

「……うへぇ、解放後も、って事ですか…」

「そう言う事だな…はぁ、お前だからギリギリ選択肢については話せるが、それ以外はアウトだ。呪い解除とかに関して直接言及できねぇし、充分不便だよ」

 

…先生も苦悩している、という訳か。

 

なんだかんだ、生徒思いの良い先生なんだな。

 

【選べ ①「今度一緒にお茶でもどうですか?」と夜のお誘いをする ②「素敵…!抱いて!」と言う。夏彦が現れる】

 

夏彦!?なんか最近多くないかお前の名前聞くの!?

 

「…こ、今度一緒にお茶でもどうですか?」

「―――天久佐、か……案外コイツは優良物件かも知れんぞ…?選択肢の奇行さえなけりゃ、コイツくらいの良い奴なんてそうそう見つけらんねぇそれに、コイツあたしの事…

「あ、あの?先生?」

「……なぁ天久佐。一世代くらい歳の差があっても結婚とか考えられるタイプか?」

「いや何言いだしてんですかアンタ…」

 

【選んであげなよ】

 

そしてなんだよその言い方。

なんでちょっと窘める風なの?

 

【①ここは本心を伝える ②ここは本心を伝える。具体的にはロリータへの愛を語る】

 

……①の本心の方がまだ安全そうだな。うん。

 

「そう、ですね……その人が良い、って思うなら、俺は全然歳の差とか気にしませんよ?結婚だって、俺で良いって言ってくれるなら全然いいですし…」

「そ、そうか。なるほどな…」

「そしてなんでそれを俺に聞く必要が」

 

【選べよ】

 

言い方冷たくなったなお前。

なんで急にツンなの?まさかさっきのがデレだったの?

 

【①「天久佐宴と道楽金出って、どっちがいいですかね?」と真顔で聞く ②同じ内容を変顔で聞く】

 

まーた実質一択だよ…あぁ、絶対殴られるか絞められるかされる…

 

「て、天久佐宴と道楽金出って、どっちがいいですかね?」

「お、お前…!?―――お、大人を揶揄ってんじゃねぇ!もう今日は帰れ!!」

 

反応が270度くらい違ったが、まぁダメージが無かったのでヨシ!

 

…しかし先生、なんでそんな顔が赤く…まるで照れてるみたいな、ねぇ?

 

て、天久佐宴、か悪かねぇな!

 

う、宴先生!?今なんて!?

 

【選べ ①聞かなかった事にしよう ②帰りに高めのペアリングでも買おう】

 

―――よし、俺は何も聞いてないぞ!




その後の話【ニューミルク、柔風、爽星】

「ハァ……どうしてワタシ、あんな反応…」

教室で、一人席に突っ伏す少女。
名をチチル・ニューミルクと言い、この学園内に存在する『表ランキング』にその名を刻む程の人気者である。

欧米系の見た目に、その見た目にそぐわぬ語尾…そしてこの学園内の全員と仲良しになると豪語するほどのフレンドリーさが相まって、それはもう人気者の彼女が……教室内の全員が心配そうな顔をするほどに、落ち込んでいた。

「ハァ……テンキューサ、カナヅル…」

何度目かの溜息と共に、初めて発せられたその名前に、全員がギョッとした表情をする。

それはそうだろう。
容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能、性格も良い―――癖に、普段から奇行ばかりの『お断り5最強』と名高い男の名前が、明らかに接点のないだろうニューミルクから出てきたのだ。

それも、ありえないくらいに気落ちした状態で。

結果、その言葉を聞いた全員の脳内に、『天久佐金出によって酷い目(主に性的な意味)に遭わされるチチル・ニューミルク』の姿がイメージされたのだ。

実際にはそんなことは無いのだが、普段の奇行が奇行なせいで、誰もその考えが間違っている物とは思わなかった。

「―――どーしてワタシ、友達になるのを断っちゃったアル…?」

そう。
普段は底抜けに明るいニューミルクが悩み、落ち込んでいた理由はこれだ。

『全員と友達になると豪語している自分が、何故あの時は拒否してしまったのか』

その理由に思い至るには、彼女は『ある』経験が足りなかった。

「あ、あのっ」
「ん…?あ、ミユキ。どうしたアル?」
「いや…なんか、元気なかったから……どうしたのかなーって」
「…あ、あははー…それが…」

話かけてきた友人(一際仲が良い)に、苦笑いしながら事の顛末を話す。
…流石に告白した、という事を話すのは恥ずかしさがあったり自分でもよくわかっていない点があるという事で、言わなかったが。

その話を聞いて、ミユキと呼ばれた友人は、ある結論に至る。

「…もしかして、チチルちゃん……『あの』天久佐君に惚の字?」
「ほ、惚の字アル!?」

そんな事無いだろう、という半ば確信めいた考えと共にそう口にして、彼女はかなり後悔した。

そりゃそうだ。自分の自慢の友人が、まさかあの学園内最強の変人に惚の字の可能性が濃いのだから(確定したわけでは無い)

そして、その会話を聞いていた教室内の全員も驚きで何も言えなくなった。
『あのキチ●イ、何してくれてんだ』と、全員の思いが一つになった瞬間でもあった。

「た、確かにカナヅルはカッコいい…けど、だって…」

硬直する全員を視界に入れることなく、俯きながら真っ赤な顔を両手で押さえるニューミルク。
彼女の脳裏には、あの時の金出のイケメンスマイル(笑)が。

「……うぅ…」
「―――よし、アイツ殺そう」

ついに完全に丸まってしまった(机に突っ伏し、腕の中に顔を完全に隠した状態)ニューミルクを見て、ミユキは決意した。

――我が天使を穢した下賤な輩を、この手で裁かねばならないと。
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「う、うぅ~…好きって、好きってぇ~…」

これまた顔を真っ赤にしてせわしく体を動かしているのは、『表ランキング』の天然記念物級ゆるふわ少女、柔風小凪である。

彼女は学校で悶えるような真似はしなかったが、家に帰ってからの悶えようはニューミルク以上だった。

まぁ原因は『何故か告白した挙句、遠回しに告白された』という事なのだが。
それを考慮するなら、この反応が普通かもしれない。

「て、天久佐君……」

奴の名前を呼ぶ度に、恥ずかしさやらなにやらを感じて悶え、落ち着いてもう一度名前を呼び…というループを繰り返す事数十分、ようやく本格的に落ち着いてきた柔風は、クッションを抱きしめたまま呟いた。

「……なんでだろ、私…ずっと天久佐君の事ばっかり考えちゃってる…」

ニューミルクと違い、彼女にはその感情の正体を言い当ててくれる人間がこの場に居ない。
学校だったなら、きっとすぐにでも『それは恋だよ!じゃあ私天久佐君始末してくるね!』と言われたのだろうが、生憎ここは自宅の自室。

答えは、探せども探せども見つからなかった。

―――そして、後もう数日で、柔風はこの感情に気づく事になる。
あの『公開告白』を目にして。
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な、なんなんだよアイツ!!

あの時の、アイツの『真っすぐな』目を思い出す。
それだけで胸が熱くなり、その熱が全身に伝わって行ってしまう。
要するに恥ずかしさを感じる…いや、これは違う。

―――照れてるんだ。

「んな訳あるかッ!!だって、アイツはお断り5で、最強の変人で、変態で……でも変な事してる時以外は結構まともで、人付き合いが良くって話上手で聞き上手で…成績はいっつもトップだし、運動だって人並み以上に出来て……」

おかしい、なんでそんな完璧超人がお断り5なんて汚名を甘んじて受け入れているんだ?

両親に頼んで調べてもらった情報を見てみると、奇行関係の話以外を見れば圧倒的に優良物件と言われるような男性だった。

―――そんな奴が、家族以外で『初めて』アタシを『下心無しで』可愛いって―――

「う、うがぁああああ!!?」

反吐が出る(嬉しい)反吐が出る(嬉しい)反吐が出る(超嬉しい)ッ!!

「…くそっ、あんな奴なんかに…お断り5なんかに…!!」

『せっかく可愛いんだから』

「~~~ッ!!」

声にならない叫びが出る。

あぁ、どうしてあんな事聞いたんだろ、アタシ。
そりゃお断り5の最強変人がどの面下げてアタシをフッたのかって気になっちゃったせいだけど、こんなことになるなんて思いもしなかった。

聞かなきゃよかった(聞いてよかった)
確かに下心は感じなかったけど、どうせアイツだって他の男と同じだ。同じなんだ。

だってあんなふざけた態度で(真っすぐに)なんてことないみたいに(私の目を見て)あんな事言いやがったんだから(可愛いって、言ってくれた)

「アイツ…絶対、泣かせてやる……後悔させてやるぅ…!!」
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IFルート 【②帰りに高めのペアリングでも買おう】

「……でもまさか、先生が即OKするなんて思いませんでしたよ」
「うっせ……あたしだって元々お前の事は悪く思ってなかったし、選択肢さえなけりゃお前以上の男なんてそうそう居ねぇ。それに―――」
「それに?」
「……流石に29にもなって未婚だったんだから、焦ってたに決まってんだろ」

俯き気味に、小声でそう言った宴先生に、何とも言えない顔になる。

……まぁ、確かに周りの皆が結婚していく中自分だけ行き遅れてたらそりゃ…なんか、気まずいって言うの?あると思うけど…

「まぁそれ言ったら俺だってコレ…」
「な、なんだよ…あたしに『結婚してくれ』って言ったの、嘘だったってのかよ…」「いやそうは言ってないでしょうに……俺は先生の事、好きですよ。一人の女性として」
「―――お前、結婚してからずっとそうだけどよ……ソレ素で言ってんのか?」
「そうですけど?」

実際そうだからな。
先生は確かに幼児体系だったり服装の趣味がまんま小学生だったりするが、それでも好きな事に変わりは無い。

ましてや嫁…妻になった人だ。愛さずしてどうする。

「選択肢も消えてまともになって…殴ったりしてもまぁあんまし気にしねぇで、なんならパシリだって普通にやってのける……なんなんだよマジで」
「嫌だったら止めますけど」
「そうじゃなくってよぉ……なんか、完璧すぎねぇか何でも」
「よく言われますよ。―――まぁ、選択肢のせいで下落するしかない好感度を何とか食い止めるべく身に着けた力ですから」

まぁ選択肢が消えた今となっては、どうでも良い話だが。

「そうなんだろうけどよ……なんかこう、あたしにゃもったいない気が…」
「なに言ってるんですからしくない。―――それに、そのセリフは俺のですよ」
「はぁ?」
「俺の方こそ、先生と結婚できるなんて夢にも思ってませんでしたし。幸せですよ」
「―――ほんと、そういうのを真顔で言うよなー、お前」
「事実ですし」

ほんのり頬を赤く染め、俺から顔を背けた先生に、自然とこちらの頬が緩む。
―――あぁ、幸せだな。

「……あの、宴先生」
「ん、なんだ?」
「―――ここ、職員室なんですけど」

―――結婚して早二年。卒業した俺は、今でもこうして講義の無い日に学校まで宴先生に会いに来ている。

そして、教頭先生に注意されて追い出されるのも、毎日繰り返していた。
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