俺の絶対(選びたくない)選択肢   作:イニシエヲタクモドキ

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おっぱいとシリアス、そして妹というお話。


①俺の幼馴染が妹で修羅場すぎる ②俺の妹を自称してるのはお前だけかよ

あのくぁwせdrftgyふじこlp事件の後(あまりに奇声過ぎて、今までの中でも結構本気で引かれた。数名程意味を知っているヤツが居たのが救いか)諦めと共に帰宅し、約束通り燻製料理を作りながら現在の状況を整理してみた。

 

まず俺は、なんかよくわからん神のせいで呪われていて、絶対選択肢が脳内に出てきている。

その呪いの解除のためのミッションがその神から送られてきていて、それを成功させ無かったら絶対選択肢は永久不滅になる。

特殊ミッションという呪い解除ミッションとは関係のないミッションを失敗しても、勿論社会的な死を迎える。

 

ミッションクリアをサポートするために俺に送られてきたのがショコラらしく、その理由が『俺がハイスペックすぎるし、異能バトルモノの世界観じゃないし、これでいいか』というふざけた物だったらしい。

ショコラはショコラで記憶喪失だとかアホの子な性格のせいで言いたくないが役に立たず、ほぼ自力で何とかするしかない。

 

―――そして、そんな失敗が許されないミッションが二つ…『美少女(性格だとか素行だとかは気にしないものとする)のおっぱいを両手で揉み、尚且つ対抗戦の参加者(女子)全員から好きだと言われる』なんていうぶっ飛んだものとして提示されている←今ここ

 

「いや無理ゲー!!今度こそ本当に無理ゲー!」

 

お断り5からの参加者女子は雪平と遊王子のみらしく、表ランキングの方は獅子守先輩と黒白院先輩…そして柔風と麗華堂だそうだ。

 

はい、もうこの時点で暗雲たちこめちゃってますね。

俺の人生バッドエンド確定演出入ってますねコレは。

 

「まぁまぁ、そんなにあせらなくても」

「焦るわ!だってお前、好きって言われるだけでももうハードルクソデカだってのに……挙句一人のおっぱいを両手で揉むんだぞ!?両手で!!」

「まぁまぁ…それはこの本をよめばかいけつすることまちがいなしですよ!」

「―――またUOG出版じゃねぇか!」

 

読まん、今度こそ読まんからな!

だって、タイトルからもうおかしいじゃん。

何この『女の子のおっぱいをいっぱい揉むいくつかの方法~これで君もパイオツだ~』って。

 

おっぱいといっぱいの話はもう小学校で卒業しとけよだし、いくつかって適当なのもなんか気になるし、何より……なんでパイオツマスターじゃなくてパイオツそのもの何だよ!!

 

【選べ ①仕方がないので、びっくりするほどユートピアを自室で行ってから読む ②誰かのパイオツになる】

 

びっくりするほどユートピアってあれだろ!除霊のやつだろ!

 

―――えぇ…部屋の中でとは言え、全裸になって尻叩きながら白目で叫び続けるって……

 

「…けどパイオツよりかマシか…なぁショコラ」

「はい?」

「…後一時間くらいでいい感じになるから、それまでこれでも食べながら様子を見といてくれ。俺はちょっとやらなきゃいけない事があるんだ」

「やらなきゃ、いけないこと……なるほど、わかりましたっ!」

「良い返事だ。―――行ってくる」

「ザクザク…ひゃい、いってらっひゃい!」

 

じゃがりこを早速頬張って俺を見送るショコラから視線を外し、部屋(死地)に向かう。

 

―――やってやるか。渾身の『びっくりするほどユートピア』を。

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――はぁ、はぁ……ただいま」

「あ、金出さん!おかえりなさいですっ!」

「ははは…なんだろ、すっげぇ癒されるなぁこの純粋な笑顔」

 

俺が欲しかったのは、案外こういうマスコットだったのかもしれない。

なら神に感謝だな。こんな底抜けに明るい奴を俺に与えてくれたのは、突き詰めれば神なのだから。

 

「えへへ~…いやされるなんて、そんな~」

「そういう所がなー……さて、さっさと読むか」

「あ、どうぞっ」

 

ショコラが手渡してきた本を開き、早速読み始める。

 

『始めに。女の子のおっぱいを揉みたいだなんて、夢見過ぎじゃ無いですか?』

「うるせぇよ!余計なお世話だよ!」

『でも私なら、夢を現実にさせることが出来ます。さぁ!貴方もモミモミキングに!』

「なんだそのマッサージのプロフェッショナルみたいな言い方ァ!」

『その1。おっぱいを要求する前に、それ以上の要求をする』

「あー…なんだっけ、ドア・イン・ザ・フェイスだっけ?」

『具体例。「ねぇ、セッ●スさせてよ。勿論ゴム無しで。――え?駄目。はははっ!冗談冗談、おっぱい揉ませて?」』

「一気に無理っぽいな!」

『補足。実際にやってみましたが、旦那の方にボコボコにされました。極道の妻に手を出すのは良くないですね』

「いや何やってんだお前!?」

『その2。同時に複数の選択肢を出す事で、相手がおっぱいを揉ませることに抵抗を覚えないようにする』

「無理があるだろ…」

『具体例。「今度の土曜か日曜におっぱい揉ませてよ」→「土曜か日曜かぁ…」』

「そうはならねぇだろ!」

『補足。これまた試しにやってみましたが、何故か駄目でした。どうしてでしょう?』

「おっぱい揉ませての時点でアウトなんだよ!」

『その3。訳を言う』

「はぁ?」

『解説と具体例。人は理由を言われるだけで許諾する確率が二倍になります。例えば「おっぱい揉ませて!揉みたいから!」』

「0は何かけても0だよ!!」

『その4。ダチョ●倶楽部のアレ』

「…押すなよのやつか?」

『具体例。「揉ませるなよ?――絶対揉ませるなよ!?」』

「なんでそれでいけるって思ったんだよ!?」

『その5。錬成』

「……錬成?」

『解説。水35ℓ、炭素20g、アンモニア4ℓ、石灰1.5㎏、リン800g、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素があれば、いくらでもおっぱい揉み放題の女の子が作れます』

「禁忌じゃねぇか!!」

『補足。試しにやってみましたが、弟は全身を、僕は右足を持っていかれました』

『なんで立ち上がる為の足が無くなってんだよ!?そこは揉むための手を持ってかれとけよ!―――つーか兄弟で何やってんだ!?」

『追加説明。弟の魂を鎧に定着させたら右腕が持っていかれました。現在賢者の石を求めて旅をしています』

「なんでさっきからハ●レンの話してんだよ!?」

『その6。自然な流れで言う』

「おっぱい揉ませてって言っても自然な流れってなんだよ…」

『具体例。「今日は晴れだね」→「うん」→「こんな日はどこかに出かけたいね」→「うん」→「元気?」→「うん」→「おっぱい揉ませて?」→「うん」』

「なるかッ!!」

『補足説明。実際にやってみましたが、よくよく考えれば僕にそんな会話のできるウィ●リィはいませんでした。人生半分の等価交換は何処へ……』

「知らねぇよ!ってかまだハガ●ン引っ張ってたのかよ!?」

『その7。香水のせいにする』

「いや若干流行り乗り遅れてるからな!?」

『具体例。「別に揉むのを求めてないけど、そこに居られると思い出す。君の大きくて柔らかそうなおっぱいのせいだよ」』

「ただの替え歌じゃねぇか!最後まで香水出てきてねぇし!」

『その8。サブリミナルを利用する』

「はぁ…?」

『具体例。「モ マ セ タ イ ン ダ ロ コ ノ otu ぱい オ ン ナ」』

「アシタ●ワダイじゃねぇか!!アウトだよ色々と!」

『その9。押して駄目なら引いてみる』

「確かにそのフレーズはよく聞くけど…」

『具体例。何度も何度もしつこく「おっぱい揉ませて」と頼み、しばらくの間何も言わずに過ごし、再び頼んでみる。―――揉める』

「ねぇよ!!」

『その10。彼女を作る』

「出来たら苦労しねぇよ!!」

 

最後の文章を見た俺は、自然と本を地面にたたきつけていた。

 

―――というか、結局十個までなんだな。

…で、付録は立体マウスパッド自作キットか。これでおっぱいマウスパッドを作れとでもいうのだろうか。

 

「……くだらねぇー」

「あ、金出さん!そろそろじゃないですか!?」

「そうだな。食器の用意、しておいてくれるか?」

「はいっ!」

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「遊王子ッ!!」

 

朝の廊下で、周りの迷惑だとか自分の風評だとかを微塵も気にしないで叫ぶ。

相手は勿論遊王子謳歌。俺と同じお断り5のメンバーだ。

 

「んー?どしたの天っち?」

「…お前、俺の事……人として、好きか?」

「うん。好きだけど?」

「よっしゃァ!!」

 

ガッツポーズ&喜びの叫び。

 

何故そんな事をしているのかって?おいおい、言わなくてもわかるだろボーイ…もしくはガール。

―――呪い解除ミッションだよ。

 

《遊王子謳歌 クリア》

 

ヨシ!(現場猫)

 

俺のひらめきの結果、好きと言うのは別にラブに限った話ではなく、ライクと言われる方でも良いという事に気づいたのだ。

何なら『隙』でも良い気はするが、まぁそれは最後の手段にとっておくとして。

 

「…ありがとな遊王子!おかげで助かった!」

「……天っち、あたしに好きって言われてすっごい喜んでた…?って事は…

「――ん?どうした遊王子、顔赤いぞ?」

「うひぃ!?な、なんでもないよっ!?」

「うひぃておま……まぁ何でもないならいいけどよ。じゃ、また後でなー!」

 

なんかちょっと様子が変だった気がするが、本人が気にするなと言っているので気にしない事にした。

 

―――よしよし、この調子なら問題ない。ちょっと難易度高めの奴が数人いるが、何とかなる…だろう。うん。

 

後はおっぱい揉み問題を何とかすれば、俺の勝ちだ!

…まぁそれが最大の問題なんだけどさ。

 

「お、雪平だ。―――おーい、雪平ー!」

「……なにかしら」

「あっはは…いや、ちょっとな。―――なぁ、俺の事、人として好きか?」

「えっ…天久佐君、あなた…人間だったの?」

「そのくだりつい昨日やったばっかりだろうが!!――じゃなくて。もう最悪人間扱いされてなくても気にしねぇから、好きかどうか教えて欲しいんだが…」

「そんな事…言える訳、無い」

「いやそんな深刻な話ではなく…」

 

確かに俺からしたらかなり深刻な問題だけど、そんな雪平が深く考えるような問題ではないと思うんだが…

 

「……その…私は、私は……」

 

……なんだ、これ。

 

頬をほんのり赤く染め、視線をあちらこちらに移動させながら発言を躊躇するその姿に、心臓が高鳴った。

―――これって、まさかときめき―――?

 

「あなたの事……――――嫌いよ」

「ごはっ…!?」

 

違った。全然そんな事無かった。

 

…でも、やっぱりおかしいぞ俺。

なんで雪平に嫌いって言われた時だけこんな血反吐吐いてんだ?

 

いっつも教室内の連中とか学校内の連中とかから言われてる事だってのに。

 

【選べ】

 

そしてここで来るのか君は。

なんだよ。人としてすら嫌われている俺を嗤いに来たのか?

 

【①「そっか…俺はお前の事、結構好きだけどな」 ②「マジですか?えっ、俺ずっと雪平の事盗撮して、あのーあれなんすよ。待ち受けにしてたんですよ。マジでショックです!!まぁでも、ヤらせてくれるなら…OKです」】

 

ファンの鑑のセリフすら、選択肢の手にかかればこんなクズ野郎の発言に早変わりするんですね。

これは酷い。

 

「そ、そっか……俺はお前の事、結構好きだけどな」

「すっ!?――――ごめんなさいっ

「え、あーちょっと!?……行っちまった…」

 

雪平が走り去って行ってしまい、後には何とも言えない顔をして佇む俺だけが残った。

―――え、でもマジで結構ショックだったな。なんでだろ?

 

【選べ ①試しに遊王子に嫌われた時のシミュレーションもしてみる ②実際にこの世に存在する知的生命体全てから嫌われる】

 

②の内容重すぎんだろ!?

…まぁ、試しに遊王子から嫌いと言われた時を考えてみる、か。

 

『なぁ遊王子。俺の事人として好きか?』

『えっ?嫌いに決まってんじゃん。何言ってんの?』

「ごはっ…!?」

 

再び喀血。

―――なるほど、遊王子でも駄目なのか。

 

つまりこれはアレか。雪平が好きとか遊王子が好き(どちらもラブの意味)とかではなく、単純に仲が良いと思っているヤツから嫌われるのは辛いというだけか。

うん。そう考えれば合点がいく。

 

【選べ ①ついでにショコラから嫌われた時のシミュレーションもしてみる ②ついでにこの世界そのものから嫌われる】

 

だから②重すぎるんだって。

なにその世界という概念からも嫌われるって。

 

『なぁショコラ』

『はい?』

『俺の事、人として好きか?』

『いいえっ!だいきらいですっ!』

「ごはっ…!?」

 

再三喀血。

なるほど、ショコラ相手でも喀血するのか。

 

まぁアイツはアイツで俺と仲いい感じだしな。実際アイツがどう思ってるかは置いといて。

俺の仮説は正しかったって事だ。

 

「―――いや雪平に嫌われてんの普通にショックなんだけど!!?」

 

 

 

 

 

 

 

「あ、居た。おーい、ショコラー!」

「…あっ、金出さん!」

 

あの後教室に戻ってもショコラが居なかったので探していたのだが、何故か知らんが一年生の女子たちに囲まれて可愛がられていた。

 

―――ま、ショコラは可愛いし。癒されるからなー……まぁアニマルセラピーみたいな感じだけど。

 

「まーた随分と貰ったな」

「えへへー!どれもおいしそーです!」

「そーかそーか。―――もうすぐで授業だし、とっとと教室戻るぞ」

「はいっ!」

「……ねぇ、聞いた?金出さんって…」

「もしかしなくても、『最強の変人』天久佐先輩…?」

「わ、私会った事ある……普段はね、すっごい良い人なんだよ…?」

「でもこの前豚の鳴き真似してたよね…」

「―――あれがお断り5最強の男…」

 

背後から聞こえる女子たちの声は全部無視。

…え?コレ?目から組織液が出ただけだよ。

 

【選べ ①爽やかに、ショコラにお菓子をくれた事の礼を言う。二分の一の確率でねっとりした感じになる ②全裸で荒縄に縛られながら、全員に踏んでもらうように頼み込む】

 

―――因みにこの選択肢を見た後に目から出てきたのは、組織液でも汗でもなく涙です。

カナヅル、イイワケ、シナイ。

 

「…一年の皆。ショコラにお菓子をくれて、ありがとなっ」

 

ねっとり…して、ない!

やった、やったぞ!珍しくいい方を引き当てたッ!

 

―――まぁついうっかり例の『イケメンスマイル(笑)』もやってしまったが、まぁ問題ないだろう。

ちょっと気持ち悪いかも知れないが、ねっとりした感じよりかマシだろうし。

 

「……えっ、アレがお断り5…?」

「なんかこう…キュンって…」

「爽やかでいい人…」

「わ、私…もしかしたら、天久佐先輩に…」

「―――お兄ちゃん?」

 

うーむ、反応はまぁ悪くはない…のか?

いや良かった。自分でも何であんな顔しちまったのかよくわかってなかったが、取り敢えず目の前でゲロ吐かれる事は無かったな。

 

―――で、最後の奴誰だよマジで。

お兄ちゃんとかさぁ、ほんと悪い冗談は―――いや、この声はッ!?

 

「やっぱり、お兄ちゃんだ!!」

「いえ、人違いです。お帰りください。―――さ、教室戻るぞーショコラ」

「お~に~い~ちゃんッ!!」

「ウボァー!」

 

箱庭ゆらぎ。

俺の幼馴染であり、妹()()()()()やべー奴である。

 

そんな彼女のタックルを背中でかつノーガードで受けた俺は、そのまま倒れこんでしまった。

勿論、その上にはゆらぎが乗っかっている。

 

「……わかった、俺が悪かったから離れてくれませんかねゆらぎさん」

「むっ、なんで敬語なの?――あっ、わかった!一年ぶりに会ったから緊張してるんでしょ!」

「なんでそうなる…」

 

コイツは昔からそうだった。

俺の事をお兄ちゃんお兄ちゃんと呼び、都合の悪い事は聞き流し、勝手に自分に都合のいい解釈をする―――うん、全く変わってない。

 

「…あのな、ゆらぎ。俺の事を兄と呼ぶのはまぁ百歩くらい譲っていい事にするとしても、なんで俺にだけこんなスキンシップが過剰なんだよ」

「え?」

「え?じゃなく。―――ほら、今だってこう俺の上にのしかかって首元に抱き着いたまんまでよー……暑いし周りの視線が冷たいし、離れてもらいたいんですけど?」

「えぇ~?だって私達兄妹でしょ?」

「お前はッ!俺だけじゃなくてッ!全人類の妹なんだろうがッ!」

 

何とかして引っぺがそうとするが、全然動かない。

この萌袖状態でどうやってそんな強く俺にくっついているのかが謎だが、追及してはいけないのだろう。

 

…さて、俺が先程言った言葉。それが俺がコイツを突き放している原因である。

 

まずクッソどうでも良い話から入るが、俺は一途な子が好きなのだ。

妹属性は嫌いじゃないし…というか、実妹で無ければ全然イケる。

 

だがコイツは『全人類の妹』を自称し、俺以外の男性にだって平然と「お兄ちゃ~ん」と言って擦り寄っていく。

しかもコイツ、『実妹』を自称しているのだ。

 

どちらか一方ではなく、両方の意味で俺のアウトゾーンに居る訳なんですね。

 

「でもでもっ、生お兄ちゃんはお兄ちゃんだけだし!それに、こんなにくっついたりするのもお兄ちゃんだけっていうか!!」

「どーせすぐ他の男を生お兄ちゃんって呼びだすんだろうがお前はよぉ!!いいから離れろっ、このままじゃ他人にお兄ちゃんと呼ばせている変態のレッテルが貼られるんだよっ!」

「お兄ちゃんのニブチン!どうしてここまで言ってわからないかなぁ!!」

「んだとお前俺は人並み以上に鋭いぞ!」

「じゃあ何で気づいてくれないのっ!?」

「何にだッ!?」

 

駄目だ、勝てない。

嘘だろ俺…ゆらぎに力負けするくらい弱くなってたのか…?確かに剣道とか柔道とかはちょっと齧ってやめたけどさぁ…(ボランティア活動の時間を圧迫したから)筋トレとかは毎日欠かさずやってるはずなんだけど?

筋肉が普通に裏切ったんだけど?

 

「あのー、金出さん」

「な、ん、だ…!?」

「そちらの方は、いったいどちらさまでしょう?」

 

ショコラの質問に、一度ゆらぎを引き離そうとしている手を止め、結構真剣に言葉を選ぶ。

―――どうしよう、妹を自称する幼馴染と言ってしまっていいのだろうか?

 

なんというか、ショコラは嫌な言い方をするからな。

前だって、頬の話だったのに『揉まれた』ってだけ言ってたし。

 

「……あー、なんて言ったらいいかな。俺の幼馴染―――」

「妹にしてシスター、箱庭ゆらぎだよっ!」

「いやどっちでもねぇよ!?」

「なるほどなるほど……つまり金出さんはいもうとでもない人に「お兄ちゃん」とか呼ばせていると」

「違うんだけど!?」

 

【選べ(笑)】

 

うわっコイツこのタイミングで笑いながら来やがった!

どんな面倒くさいやつが来るってんだよ…!?

 

【①「俺の『ろり●に!』だ!」 ②「俺の『ぷに●なDX』だ!」】

 

「馬鹿じゃねぇの!?」

「ん?お兄ちゃんどーしたの?」

「あー、発作みたいなやつだ。気にしなくて―――痛てて」

 

えっ、嘘だろお前。

マジでこれ言わなきゃいけねぇの!?流石に不味いだろゆらぎをオ●ホ扱いは!!

 

結構本気で頼むからこれ以外の奴に…!

この後なんか嫌な事あっても多少は気にしないから!

 

【選べ ①「俺の幼馴染でな。ちょっと変な所はあるがまぁ…可愛い奴だよ」とイケメンスマイル(笑) ②「俺の妹でな。実妹を自称しているがまぁ…義妹だよ」とフツメンスマイル(笑)】

 

やった!「運命」に勝った!

 

大分酷いしツッコミどころ多いけど、さっきのやつに比べたら全ッ然OKだ!!

不平不満は言わん。(笑)でもイケメンスマイルを選ぶぜ!

 

「―――俺の幼馴染でな。ちょっと変な所はあるがまぁ…可愛い奴だよ」

「……お兄ちゃん…!」

「変な所さえなけりゃなぁ…妹を自称してるけど、別に家族関係とかは全くない。―――コイツ、知的生命体なら取り敢えず兄か姉にするからな」

「全人類の妹だからねっ!」

「なるほど。わたしはショコラと言います。よろしくおねがいします」

 

何に納得したんだコイツは。

全人類の妹なんていう胡乱な肩書を平然と受け入れたという事なのかコレは。

 

「ねぇねぇ!ショコラお姉ちゃんって呼んでいい?」

「はうあっ!?―――も、もういちどかくにんのために言ってもらっても?」

 

早速ショコラを姉扱いしようとしたゆらぎに一言言ってやろうと思ったが、ショコラはショコラで満更でもなさそうだった。

 

なんだよ確認のためにもう一度って。

 

「ショコラお姉ちゃん」

「はぅぅ!!」

「えっへへー…おねーちゃん!」

「はうはうぅっ!なんとかんびなひびきでしょうか!」

「うわっもう手綱握られてる…」

お姉ちゃんと呼ばれる度に大袈裟な反応を見せるショコラ。

なんだろう、コイツ本当に扱いやすい奴だな。

 

―――あっ、餌付けされてる。

完全に姉じゃなくてペット扱いされてるじゃん。

まぁ実際に俺の学業補助ペットなんだけどさ。

 

「―――そう言えばお兄ちゃん。ここ一年の廊下だけど…どうしてここに居るの?」

「あ?そりゃお前…」

 

【選べ ①「俺さぁ、変態かつ変人扱いされてんだよね。はぁ、はぁ…ぐへへ、お断り5とか言う連中の最強枠なんだぜぇ…でゅふ…だから、ここに…俺と一緒に、大会…出てくれる、ちょっと変わったえっちな子を探しているんだな…」と物凄く気持ち悪く説明する ②「お前に会うためだよ、マイシスター」と言って壁ドン&顎クイ】

 

普通に説明させてくれない?

…えぇー…①の方が正しい内容なんだけどさ…いや一部違うけど。

それでも①選ぶのは本当にマズイ気がする。

 

―――でも②かぁ…嫌だなぁ…

 

「……お前に会うためだよ、マイシスター」

「お、お兄ちゃん…!!」

 

不本意ながらやってみたら、案の定ゆらぎは目を輝かせて喜んだ。

そりゃそうだ。いっつも自分が妹であるという事を否定している俺が、自らマイシスターと呼んだのだから。

 

まぁ壁ドンと顎クイを俺がやったことによる気持ち悪さで良い感じに感情を中和できてるだろうし、ギリギリセーフ……という事にしておこう。

 

「…まぁ本当は対抗戦に一緒に出場してくれる変り者をスカウトしに来たんだけどな」

「むぅ……でも、アレ?お兄ちゃんって中学の時はモテモテのモテじゃ無かった?」

 

あぁ、そうか。

ゆらぎは親の都合とかで一年くらい海外に居たから、俺がまだ輝いていた頃の事しか知らないのか。

 

「まぁな……何か知らんが、高校入学して以来奇行が…」

 

【選べ】

 

はい、奇行のお時間ですね。

 

【①「それよりお前、取り敢えずパンツ見せてくれよ。―――あっ、後ろの女子たちもね?」 ②「それよりお前、今穿いてるパンツ脱いで俺にくれよ。―――あっ、後ろの女子たちもね?」】

 

なるほど、まーたパンツ系か。

確かに、そういうの言ったらドン引きするような女子たちも勢揃いだしな。

 

……くそったれぇ……

 

「……それよりお前、取り敢えずパンツ見せてくれよ。―――あっ、後ろの女子たちもね?」

「えっ?」

 

ゆらぎが硬直した。

()()ゆらぎが、初めて自分の許容外の発言によって硬直したのだ。

 

ふっ、勝ったな。

―――まぁ常識人として大事な物を失ってるんだけど。

 

遠巻きに俺達を眺めていた女子たちが一気に悲鳴を上げ、俺から離れて行くのを見つつ、何言ってるんだコイツみたいな顔してるゆらぎからそっと距離を取る。

 

もうこのまま帰ろう。

一年のお断り5の素質ありとされる不名誉な人(期待の新人)はいなかった。それでいいじゃないか。

 

「ちょ、ちょっと待ってよお兄ちゃん!」

「駄目だ待たん。俺達と共に汚泥の中でこそ昏く輝く原石はここには無かったんだ。ならこれ以上マジキチ行為をする前に帰る」

「ぱ、パンツなら全然見せるからっ!」

「別に見たいわけじゃないからな!?」

「じゃなんで見せてくれよなんて言ったの!?」

「知るか!俺に聞くな!」

 

俺に質問をするな、という事ですね。

 

背後からゆらぎが声をかけて来るが全部適当に(それでも結構大声)受け流す。

だって本当に本位じゃないんだもん。何が悲しくて好きでも無い子のパンツを要求しなくちゃいけないんだよ?

 

このまま帰ろう。ついでにショコラはこいつ等に預けよう…そう思っていたが、力強いタックルのせいで再び押し倒され、顔から地面に叩きつけられてしまった。

 

「へぶっ!?―――な、なにすんだお前!」

「だってこうでもしなきゃお兄ちゃん帰っちゃうでしょ」

「そりゃね?という訳で放してほしいんですけど」

「やだ」

「はっはっはー。そんな顔と声をしても可愛いという感想以外には出てこんぞゆらぎ。さ、放しなさい。いい子だから」

「やだ」

「だからやだじゃなくってさー…」

「やだ。やだやだやだやだぁ!」

「そのやだやだ言うのをやめなさい!」

 

駄々っ子キャラで責めてくるとは…中々策士だなコイツ。

 

ゆらぎは全人類の妹を自称するだけあり、沢山の『キャラ』を演じる事が出来るのだ。

他にも『ツン九割デレ一割なツンデレの妹』、『愛しすぎて夜も眠らせないヤンデレの妹』、『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ない妹』、『青春ラブコメが間違っている兄の妹』、『この中に一人いる妹』などなど、多数の妹を持っている。

 

―――多数の妹ってなんだ。そして妹を持っているってなんだ。

 

【選べ ①よし、ツンデレ妹をリクエストしよう ②よし、ヤンデレ妹をリクエストしよう】

 

僕はヤンデレが好きです。

 

「―――なぁゆらぎ」

「…」

「ヤンデレな妹をやってくれるなら、まだこの場を去らないでやってもいいぞ」

「……なんで?」

「え?」

「なんでさっき私以外の女のパンツを要求したの?ねぇ、なんで?」

「おー……うん、もう良いぞゆらぎ。もう満足したから」

「満足って何!?私が居るのに、なんで他の女ばっかり見るの!?」

「あの、ゆらぎ」

「今だって、他の女の匂いがする!なんで、なんでなんでなんでッ!?お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんでしょ!?なのに、なんで他の女と―――」

 

ふと、頭の奥が鈍く痛んだ。

 

『金出くん』

 

声が聞こえる。

頭の中で、俺を呼ぶ声が、ひたすらに響く。

 

『金出くん』

 

その声を、知っている。

でも、思い出せない。

 

何故?

どうしても忘れてはいけないはずなのに。

 

―――そう、俺にとって何か、大事な……

 

「お兄ちゃん?」

「うぉっ!?……ど、どうしたゆらぎ」

「…途中からボーっとしてたから、どうしたのかなーって」

「……そ、そうか。―――なんでだろうな。なんか…懐かしい、声が聞こえたような…」

 

【選べ】

 

この声は聞きたくなかった。

 

【①そんなどうでも良い事は忘れて、自分が先程仲良しだと思っていた女子に嫌われていた事を笑い話にして話す ②そんなどうでも良い事は忘れて、ゆらぎへの愛を長文(大体二千字)程度に軽くまとめて話す】

 

どうでも良くないと思うんだけど!?

結構珍しくドシリアスな感じだったと思うんだけど!?

 

え、えぇ……①は多分雪平の話だろうし、②は……全然まとまってないじゃないですかやだー…

 

なによりそこまでゆらぎに対して語れる自信がない。

だって愛がないわけだからな。幼馴染ではあるが恋愛感情とかは全くなく。

 

「はぁ……そうだゆらぎ。面白い話があってな」

「面白い話?」

「あぁ。ショコラも…ついでにそこら辺の一年達も聞いてくれ。実はな、さっき俺は仲が良いと思っていたクラスメイトの…」

 

【選べ ①「現在進行形で狙っている、雪平ふらのという超絶可愛い子に「嫌い」と言われてな」 ②「現在進行形で体の関係な、雪平ふらのという名器に「あなたのは短いから嫌い」と言われてな」】

 

嘘だ!!

 

でもマシなのは①なので①を選びます。

…許せ雪平、本当はそんな事全然ないからな。

 

でも可愛いのはマジだと思う。

 

「現在進行形で狙っている、雪平ふらのという超絶可愛い子に「嫌い」と言われてな」

「えっ!?」

 

…なんだ今のどこかで聞いたことのあるような声。

むぅ…駄目だ、思い出せん。なんか衝撃的な光景と共に聞いた声だったような気がするんだが……

 

一年の集団の、奥の方から聞こえたな。

一年生関係で何かあったっけか?俺。

 

「いやぁ、俺の奇行を目の当たりにしても基本的に平然としていて、しかも良い感じにジョークにしてその場を収めてくれる奴なんだが……」

 

【選べ ①「親友とは言わなくとも友人レベルには仲が良いと思っていたのに、嫌いって言われたんだ。大事なことだから二回言うぞ?」 ②「膣内(なか)が良い奴だったんだが、嫌いって言われたんだ。本当に短いから、見せるぞ?」】

 

下が酷いんだよお前はよぉ!!

なんだよ②、ふざけてんのか!?

 

―――まぁ①はそこまで悪くねぇし、こっちにするけどさ。

 

「親友とは言わなくとも友人レベルには仲が良いと思っていたのに、嫌いって言われたんだ。大事なことだから二回言うぞ?親友とは言わなくとも友人レベルには仲が良いと思っていたのに、嫌いって言われたんだ」

「……それで?」

「いやぁ、すっげぇショックでさ。何が悲しいって、アイツめっっちゃ長く溜めてから嫌いって言ったんだぜ?どんだけ嫌われてんだよって話だよな。HAHAHA!!」

 

…うん、誰一人として笑ってない。

だってマジでつまんねぇもんこの話。

 

当事者だから余計につまらんわこの野郎。

 

【選べ ①「笑えよ……誰か、俺を…笑ってくれよ…」とアナザーカブト ②「今、俺を笑ったな?」と言ってキックホッパー】

 

なんで矢車なんだよ!

 

「笑えよ……誰か、俺を…笑ってくれよ…」

「なかないでください、金出さん」

「泣いてねぇし!こ、これは……兄貴塩だしっ!」

「じゃあ私は妹味噌で!」

「地獄兄妹じゃねぇか俺達」

 

確かに(周りの空気を)地獄(に変える)兄妹かも知れないが。

ていうか本当に周りの奴等黙り込んでんな。確かにつまらなかったけどさぁ、もっと反応見せてもいいと思うんだけど?

 

【選べ ①言いたいことは言えたし、教室に戻る。勿論ゆらぎも連れていく ②言いたいことはもっとあるので、下半身の小刀を露出させながらゆらぎへの愛を語る】

 

小刀言うな!!しっかり剥けとるわ!!




実はあの時 【雪平ふらの】

「現在進行形で狙っている、雪平ふらのという超絶可愛い子に「嫌い」と言われてな」

……えっ?

信じられない。信じられないので脳内でリプレイ。

『現在進行形で狙っている、雪平ふらのという超絶可愛い子に「嫌い」と言われてな』

…えっ?

現在進行形で狙っている?超絶可愛い子?
天久佐君が、私を?

「えっ!?」

ついうっかり、声が出た。

……いやいや!こんなの黙ってられないって!
えっ、狙ってる!?超絶可愛い!?

あ、あの天久佐君が、わわわわわわ私の事ぉ!?

顔が熱い。
絶対に今は人に見せられないような表情になってると思う。

だって、あの天久佐君に……あんな事言われて……

『「嫌い」って言われたんだ』

あー!私の馬鹿っ!
なんであの時「好き」ってちゃんと言わなかったの!?
言ってたら、もしかしたらもしかしたかも知れないのに!

もしかするってなに!?

「あ、う…」

今すぐにでも天久佐君の所まで行って、あの発言を訂正したい。
本当は好きなんだって、あの時『本当の私』を見ても嫌わないでくれた貴方が好きって、ちゃんと伝えたいのに。

こういう時に限って、思い出すのはあの一年の夏の日。
私が、本気で天久佐君に恋をした、あの夏の日。

『……雪平?』
『ふぇっ…!?て、てててててて天久佐君!!?』

グランドの木陰で、一人反省会を行っていた私を、偶々天久佐君が見つけちゃって。

『……その、なんだ。聞いちゃったんだが……』
『――――あ、はは…そ、っか…幻滅した、よね。こんな子で…』
『いや。そんな事は無い…寧ろまぁ、ギャップがあって良いと……』
『えっ!?』
『いや何でもない!忘れて良いからな!』

嫌われた、と思っても、そんな事は無いって言ってくれて。

『…俺は別に、ソレでもいいとは思うが……お前が無理だってなら、いつも通りにすればいいと思う。―――もしいつも通りにするんだったら、俺もさっきの事は忘れるよ』
『……』
『けど、まぁ……俺は結構、可愛いと思ったぞ。さっきのお前もな』

可愛いって、言ってくれて。

その後、結局恥ずかしくっていつも通りに話かけちゃっても、ちゃんと何も知らない風に振る舞ってくれて。

そこで、わかったんだ。
―――あぁ、私…天久佐君の事、好きなんだって。
お断り5とか、奇行のニューウェーブとか言われていても、好きなんだって。

……結局、宴先生に頼み込んで教えてもらった『取り敢えず都合の悪い記憶を消し飛ばす方法』を使って忘れてもらったけど。

「そんな天久佐君が……わ、私……」

落ち着け、私。
ここは教室で、皆もいる。
そんなところでニヤニヤしてたら―――あぁ、無理。こんなの抑えられない。

「…あんれー?ふらのっち随分とご機嫌そうだけど、どしたの?」
「……そういうあなたこそ、随分と頬が緩んでいるじゃない」
「え、これー?えっへへ、ちょっといい事知っちゃってねー?」
「奇遇ね。私もよ」

どうやら遊王子さんにもいい事があったみたい。
ふふ、でも私の方が絶対幸せね。

だって、ずっと好きだった人から『狙っている』とか『超絶可愛い子』とか言われちゃってー……あれ?

「……遊王子さん。つかぬことを聞くのだけど」
「んん?何々?」
「天久佐君って、人前で何かを話す時は基本的に「ある事」だけじゃなくて「無い事」も話す…わよね」
「んー…確かにそうかも。こないだの全校集会でも、全然思ってない事言ってたらしいし」
「…その大半って、誇張しすぎた表現とか…よね?」
「そだね。前なんて『腐ったミカン』の事を『さながらこの世界の如く堕落し、その身をグズグズにした橙色の果実』なんて言ってたし」

…あれ?

じゃあ、私の事を狙っているとか、超絶可愛い子って言ったのも、もしかしたらその場のノリで言っちゃっただけって可能性……?

「おんや?ふらのっち急に落ち込んでどしたの?」
「……少し、見たくもないものを見てしまっただけよ」

なんで気づいてしまったのだろう。
いや、気づいて当然だ。
だって私なんかが天久佐君に好かれるわけが無い。

はぁ、やっぱり――――私は私の事、大嫌いだ。
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