「相棒」   作:ダンちゃん1号

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※今回の話は割と胸糞要素があります。


暴徒を止めろ!

暴徒を警察官に現行犯してもらった後、霊使達はその警察官と協力して、暴徒の鎮圧に当たっていた。

協力体制を持ち掛けてきたのは意外にも警察官の方からであった。一人の警察官がこちらへ来ると『…恥を忍んで…君達に協力をお願いしたい』と頭を下げてきたのだ。そんな誠意を見せられれば霊使達も協力しないわけにはいかない。

その協力を承諾して後、「逆凪(サカナギ)」と名乗る警察官と一緒に暴徒の鎮圧へと向かう事になったのだ。田波子の混乱で交通網が壊滅したため、基本移動は徒歩である。

移動中に、逆凪が霊使が鎮圧した暴徒はほんの一握りでしかないという情報を話す。霊使達はその情報は何となく分かっていたし、そうでなくてはこれだけの騒動は起こせないという事も理解していた。だが、それでも、アレと同じ考えを持つ人間は多数いるのか、と考え込んでしまう。

 

「考えていてもしょうがない、か…。」

「そうだね。…それは今の君が考えても仕方が無い事だと思う。ああそうそう、今回暴徒は鎮圧し次第すぐに町のブタ箱にぶち込まれることになっている。留置場だけじゃスペースが無いからね。」

「ソレ今言う必要あります?」

「後処理は僕らがやるってことさ。」

 

暗にそれは思いっきりやってしまっていいという了承だと勝手に解釈した霊使達。ならば、という所で近くから爆発音が聞こえた。霊使達は大急ぎでその場所へと向かう。特に霊使は嫌な予感がしていち早く駆けていった

 

「あの方向は…まさか!?」

「…商店街の…!?」

「くそ…ッ!」

 

悔しさを滲ませながらかける少年と、少年を励まし合いながら死地へと向かう少年たちを見て逆凪はどうしても考え込んでしまう。本来は守るはずの子供に守られ、その背中を見送る事しかできまいという無力感と、少年を死地へ送り出すという罪悪感に苛まれる自分の姿を。

 

「そんなものはいくらでも捨ててやる…!」

 

逆凪の使命は無辜の民を守る事。抗う術を持たないものを庇護する者。それでも、今の自分にはその「抗う術」が無いことも自覚していた。だから、抗う術を持つ少年たちに未来を託すことにしたのだ。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「…おいおいおい…。」

「これは…こんなのって…。」

 

爆発音が発生した場所に駆け付けた霊使と霊使い達。そこで見たのは火に包まれた街並みと、逃げ惑う人々、そしてそれに対して嬉々として襲い掛かる暴徒たちだった。

 

「…この、場所で…。何、が…?」

 

そして、この場所は霊使も良く足を延ばしていた商店街だった。近郊に大きなショッピングセンターなどもなかったお陰でよく人でごった返していた、霊使が大好きだった場所の一つ。それが今、大きな悪意によって壊されてしまった。

 

「…それに、この匂いは…ッ!」

 

必死に吐き気をこらえながらそれでも騒動の元へと歩みを進める霊使。霊使が吐き気を催した匂いは商店街の中心へ行くにつれて少しずつ強くなっている。

それでも、何が起きているのか、その目で確かめなくてはならなかった。そして、商店街の中心―――憩いの場だったはずの噴水広場にあったのは―――

 

「やあ、来たね?」

「何やってんだ…!?」

 

積み上げられた大量の焼死体と、熱さと痛みに悶え暴れまわる火のついた人間、そしてそれを見て楽しそうに笑う噴水の縁に腰を掛けた一人の少年であった。少年の顔はパーカーのフードが目深にかけられていて伺えなかったがそれは邪悪な顔をしていただろう。

 

「初めまして、かな?僕は一方的に君たちの事を知っているけど…君たちは僕の事を知らないよね?」

「そんな事はどうだっていい…。何をやってるんだと聞いているんだ…。」

「つれないなぁ…。」

 

少年はそう言いながら座っていた腰を上げる。霊使より少し低いくらいの身長の少年は霊使の前にやってくると開口一番にこう言い放った。

 

「君はさ、人の命の輝きって何だと思う?」

「…知らないし、分からない…けどな。少なくともお前がやってる行為でそれが見れるとは思わない。」

「へぇ…?」

 

霊使はこの妙に人をイラつかせる猫なで声を放つ少年の言葉に極めて冷静でいようとした。ここで怒ってしまっては何もかもを不利にするだけだと分かっていたからだ。だが、少年はそれを知ってか知らずか歩いて霊使に問いかけを続ける。

 

「じゃあ、人の命が最も輝く瞬間って何さ?」

「そうだな…。瞬間瞬間を必死に生きていこうとすることそのものが命の輝きだって思ってる。…お前のようなクズにはもったいないほどの命の輝きがあるんだ…!」

「はんっ…模範解答、0点だね。」

 

目の前の少年は霊使の答えを鼻で笑う。分かってはいたがこの少年もあちら側なのだ。少なくとも、共感を得られないのは分かっていた。そして少年はその正解を話し出す。

 

「いいかい…?人の命の輝きってのはね…死の際に見せる本性の事なんだよ!」

「は…?」

 

その余りの理論にウィンは思わず言葉に詰まった。他の霊使い達も信じられないものを見るような目で少年を見る。一方の少年はそんな風にみられるのは心外だというように肩をすくめながら、続きを話した。

 

「人が死の際に見せる本性っていうのはさ、「最後」だからこそ印象に残るんだよ。君だってそうだろう?物語の感動的なシーンは物語の途中よりも、最後にあった方がよく印象に残る…!だから、人生の最後に見せる本能が、一番印象に残る。それが「命の輝き」なんだよ!」

「何言ってんだ…。そんなくだらない理由で、これだけの人を殺したのか…?」

 

霊使は少しずつだが、確実に怒りを溜めていた。このような光景を見せられて頭に来ない人間はそれこそ人の死をどうにも思わない―――それこそ目の前の少年のような存在くらいだろう。

 

「いやー滑稽だったよ。火をつけられた人間が我先にと噴水に飛び込もうとするんだから。力が無い奴を押しのけて、自分だけが必死に助かろうとして。」

「…極限状況に追い込まれた人間は本能的に助かろうとしてしまうだろうが!」

「そう。絆だのなんだのと言っている奴らも結局は自分の命が一番大事なのさ!綺麗事を言うやつだって一旦死にかければ醜い本性が見えてくる!」

 

だから、と少年は前置きして、霊使達を指さして笑った。

 

「君たちみたいな人間の群れを見るとさぁ、試したくなっちゃうわけ。君たちの本性がどんなものかって、ね!」

「…それはウィン達をバカにしたってことで良いんだな?」

 

しかし、霊使に言い訳をさせるようなその言動は、逆に霊使自身に堪忍袋の緒を引きちぎらせるには十分だった。霊使は今まで溜め込んでいたもの全てを乗せて少年の顔を思いっきり殴った。

少年は布切れのように吹っ飛び噴水の中にまで吹っ飛ばされる。

 

「今の拳はウィン達をバカにしたことに対する一発だ。ここにいる人たちとは知り合いが多くてな…まだ殴り足りないってのが俺の正直な感想だ。」

「野蛮じゃ、ないか…。見るに君も決闘者(デュエリスト)だろうに…。」

「悪いな。今の俺はリアリストだ。」

 

そう言って、噴水の中から起き上がる少年。殴った衝撃でパーカーのフードが外れて、その顔があらわになる。

 

「…アルビノ…。」

 

その肌は真っ白で、瞳は燃えるような赤で彩られている。そして、その髪も色が抜け落ちたかのように真っ白だった。それは生物学的にはアルビノと呼ばれる存在だ。

だが、その顔の右半分は焼け爛れてしまっていた。

 

「この傷は『家族』っていう馴れ合いに身を任せてしまった結果できた傷さ。いやー、実の息子でも簡単に踏み台にしていくんだもんね、家族ってやつは。―――だから幸せそうなやつを見ると僕と同じ目に合わせたくなる…。なんでお前らは持ってんだってね。」

 

少年は顔の右半分を覆い隠しながらそんな風に独り言ちた。そして憎しみのこもった視線を霊使へとむけて来る。霊使はこの時、目の前の少年はどうしてもだめだと思った。親に見捨てられ、顔の右半分に消えない傷を刻まれ、そしてきっと数えきれない苦労をしてきた。

だがそれは同情する理由にはなれど、手加減する理由にはなりえないのだ。

だから霊使はその言葉にはなにも反応しなかった。

 

「…さて、とそんなこんなで僕はこの世界を決闘(デュエル)だけが法であり正義という世界に変えたい。君も共にそんな世界に生きないかい?」

「断る。生憎と俺はこの世界が大好きなんでね。」

「そっか…じゃあ、決闘(デュエル)で叩きのめして、それから君の命の輝きを見させてもらおうかな!」

 

事実上の決闘(デュエル)で負けたら殺害宣言にどうしようもなく、考えの違いを感じさせられてしまう。

こんな考えを持つ人たちがまだたくさんいるのか、と。

そして、こうも考えた。こんな奴らに虐げられている人たちがまだたくさんいるのか、と。

だから、霊使はこんなところで止まっているわけにはいかないのだ。

 

「よし、決闘(デュエル)しようぜ、なぁ…!」

(絶対に勝つぞ、皆ァ!)

 

そして、ここに暴徒鎮圧用の、そして、少年をここで斃すための決闘の幕が上がる。




登場人物紹介

・四遊霊使
ガチギれいじ。傷を見て大体何があったかは察するけどそれはそれとして少年の出した被害が大きすぎるんでここでぶっ潰すつもり。

・ウィン/霊使い達
ガチギレ中のガチギレ。霊使が居なかったら多分ぶっ殺しにかかってたくらいにはガチギレ

・アルビノの少年
混乱に乗じて人の死の間際に見せる本性を観察していた。立ち位置は言うまでもなく安雁派で、霊使の事を羨ましがって、自分と同じ境遇にしようとしている。

今回の話は特定の事件を揶揄したりするものではありません。

…なんかすごいシリアスになってしまった…。

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