零夜はこの状況を奪回できる方法を思いつかずにいた。
そして初めて恐怖を感じていた。
「"
「なんだよ、なんなんだよそれ…。」
流星のフィールドに鎮座しているのは三体のモンスター。"竜儀巧―メテオニス=DRA"、"虚竜魔王アモルファクターP"、そして"崇高なる宣告者"。おまけと言わんばかりに"端末世界"を発動している流星。
これで妨害がいくらでも行え、零夜のターンのメイン1もメイン2も行えず、そんな状況で攻撃力4000のメテオニスを突破しなければならないというどう足掻いても取り返す事の出来ないようなアドバンテージの差を付けられてしまった。
心が折れる、なんてものではない。
心をありとあらゆる方法で苛め抜かれたという方が明らかに近い。
「…えげつなっ。」
同じ志の下で戦う味方で本当に良かったと思う。そうでなければ自分がこの絶望盤面に立ち向かわなければならなかったのだ。奈楽もフレシアも心の底から良かったと思う。そう思わなければやっていられない。
しかもこの盤面の何がひどいかというとこの状況に追い込むまでただひたすらに崇高なる宣告者一体で耐久し続けていたという事実だろう。
崇高なる宣告者だけならば壊獣などを用いれば簡単に処理出来るだろう。
だがすでに、毎ターン襲い来る実質、かつ強制的なターンスキップによって壊獣を用いて"崇高なる宣告者"をリリースすることもできない。
このロックの要であるアモルファクターPの効果を無効にしようにも、"
魔法も、モンスターも、罠も何もかもが効果を発動できないし、そもそももう自分が何かを召喚することもない。
このままこの三体の化物に嬲り殺されるだけだ。
四道零夜は今すぐにこの決闘から逃げ出したくなった。どうしてこうなってしまったのだろうか。何でここまで差があるのだろうか。何か触れてはならないものに触れてしまったかのような感覚。
もう言葉では言い表せないような恐怖がじっとりと零夜に襲い来る。
彼は哀れにも竜の逆鱗に触れてしまったのだ。
何故、彼が知らず知らずのうちに逆鱗に触れてしまったのか、それは二人の邂逅時にまでさかのぼる。
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流星と奈楽は暴徒を抑えるために東奔西走していた。
克喜が二人に命じたのは遊撃部隊だ。霊使が創星神を従える安雁を斃してこの地獄を終わらせるきっかけを作る。そのための時間稼ぎとして、辺り構わず鎮圧しまくれという指示を出したためである。
その指示を忠実に遂行するため流星は一度自宅に戻り、カードケースの中から交換用のカードセットを取り出す。その際、親に「頑張って」と送り出されたことから絶対に負けないことを誓った流星。
そして家を飛び出て、数分、早くも最初の暴徒と遭遇した。
だがそこは奈楽がフレシアを
「…フレシアに喧嘩売らなくてよかったね。…そうしてたら今頃君の体はドロドロに溶けていたかも、だからね。」
さらに決闘の終わりに奈楽がそう言えば大体の暴徒は震えあがって逃げていく。
そもそもの話、フレシアを無理矢理襲おうとした時点で普通に蟲惑魔達の捕食対象になっている。例え奈楽を打ち倒していたとしてもフレシアのご飯になることは変わらなかったであろう。
まぁ、もっとも。
奈楽が負けたところでフレシアがそう簡単に誰かになびくとは思えないのだが。
とにもかくにもこんな感じで二人は、小規模な暴徒を結構な数を鎮圧していたのである。
そしてっもう既に二桁近い暴徒の群れを鎮圧したところで、とうとうそれを快く思わないものが現れた。
この上場を作り出した元凶の一派の一人である四道零夜だ。そんな人物が絶賛お怒り中の二人の前に出てきたらどうなるか。
それは勿論激昂の対象になる。というか、そもそもの話で二人の怒りを受けることは必至だ。
「…こりゃちょうどいい獲物が居るじゃねぇか。」
「獲物扱い…ですか。狩られるのはそっちだというのに。」
「さてな。この数の暴力をひっくり返すとでもいうのか?言えねぇよなぁ!」
零夜が引き連れている人間はざっと7,80人。対してこちらは奈楽と流星の二人しかいない。それでもやるしかないのだ。それが自分の使命だと本能で理解しているから。
「ひっくり返すに決まってるんだよなぁ…。」
「そうだね。…それくらいやらないと世界は救えない。
自分達の決意を言葉にすることで確かなものにするという狙いがあったそれはいとも容易く口にできた。
それほど自分達の決意が固いという事なのだろうか。
「救う?この世界を?こんあ存在する価値がかけらほどもないクソみたいな世界を?」
だが目の前の零夜という男は自分達の決意を下らないと切って捨てる。だが、悪人とは往々にしてそういうものなのかもしれない。自分達の障害となりえるのが「敵」なのだから、基本的に考えや決意が合うわけがないのだ。もしこれが物語の主人公であるならば言葉で敵を引き込むことだって可能なのかもしれない。
だが、ここは物語の中ではない現実で、この世界の主人公と呼べる存在もいない。
そもそもの話、ここまでの被害を出した相手ならば、たとえ物語の主人公であっても手を差し伸べたりはしないだろうが。
だからこそ、二人は毅然とした態度で零夜の言葉に対応できた。
「確かに…この世界は歪んでるさ。」
「…そう思うだろ?なら、お前も―――」
確かにこの世界の歪みの事を二人は嫌というほど知っている。目の前でその歪みに呑まれた悲しい男の末路をみたのだから。だが、その男は歪みの事を少しだけ勘違いしていた。この世界の真の歪みは―――今の二人になら自信をもっていう事が出来る。
「でもその歪みっていうのは―――君たちみたいな
「…俺達を結び付けてくれた
確かにこの世界の歪みの原因はデュエルモンスターズにあるのだろう。だが、それを歪みの原因としている元凶はまた別に居るのだ。そう言った面ではデュエルモンスターズも被害者なのだ。それを利用し、誰かかを傷つけ弱者から搾取するというこの構造を作った存在こそがこの世界の歪みの元凶。―――それが四道という存在なのだと。頭ではなく、感覚でそう理解できた。
「なんでだ?―――お前たちは強者だろ?なら甘い蜜をすする権利がある!―――資格がある!弱者は何をされても文句も言わずに死んでいくだけだぁ!だが強者は違う!強者は従えられるだけの力がある!ならばその力を弱者に振るっても文句は言えねぇんだよ!だから―――」
「馬鹿だね。強者は支配するもんじゃないよ。…それが分かっていない君に俺らは負けない。」
生きるのは強者の特権であるという零夜の言葉を流星は切って捨てた。零夜が言う通りに弱肉強食は世の常だ。だからといって自然の尺度をそのまま人間に当てはめていいわけが無い。
それは人の進化を否定するものであり、先人の努力を無駄にするものだから。
「…君のお望み通り
「結局デュエルに訴えるんじゃないか…?」
「そりゃ、君の心をへし折るのにちょうどいいし、何よりも、俺が大好きな
流星はそれだけ言うと自身のデッキに手を掛けた。いつも通りに回し、いつも通りに手札を整えていく流星。
そして―――
「よし、儀式召喚―――究極にして崇高なる宣告者の王よ、今こそ降臨し、まなるものを打ち祓え。"崇高なる宣告者"―――召喚!」
"崇高なる宣告者"を特殊召喚した。
その後の
こうして、あっさりと、四道の一派である零夜は鎮圧されてしまったのである
登場人物紹介
・龍牙流星
静かにキレる。珍しくドラゴンの要素がかけらもないモンスターを使用。好きなものを汚されたらそりゃ使うし最凶のロック掛けるわ。
・星神奈楽
キレるそれはもうキレる。具体的にはフレシアを無理矢理アーゼウスに乗せるぐらいにはキレている
・四道零夜
ナレ死。もうこいつは不憫枠なのかもしれないが霊使の殺害未遂というトンデモをやってるので嬲り殺されたと思われる。残当
デュエル描写はバッサリカットしました。
まぁ、白い汚物が居るならする必要ある?っていう…
次回もお楽しみに
水樹君のデッキ強化
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