「…さあ、始めようか!」
「いいだろう…。」
相手はデュエルの結果しか認めないのであればデュエルで従えるしかないのだ。そしてこのデュエルが正真正銘霊使の最期のデュエルになる。
ならばもう後悔も何も考えない。ただただ目の前の相手を止めるだけに全身全霊を賭けることができる。
「…俺のターン!俺は手札の"憑依装着―エリア"を墓地に送り魔法カード"精霊術の使い手"発動!デッキから"憑依連携"を手札に加えて"憑依覚醒"をフィールドにセット。更に"大霊術―「一輪」"を発動し、そして伏せカード"憑依覚醒"を発動。手札の"憑依装着―ウィン"を通常召喚。"憑依覚醒"の効果でデッキから一枚ドロー。…さらにカードをニ枚伏せ魔法カード"天底の使徒"発動!EXデッキから"灰燼竜バスタード"を墓地に送る。」
「…ふむ…。」
安雁は何かを考え込むようにして顎に手を当てる。そして霊使の使うカードにその視線は向けられた。
「…ほう?霊使いとかいう雑魚に頼るのは諦めたか?」
そして、霊使の使用カードを見て霊使をあざ笑った。それはまるで自分の方が正しいと言わんばかりの笑みだ。
「…お前は散々自分に尽くしてきた小娘を捨てたか?」
「…何?」
その笑みは霊使の使用する【ドラグマ霊使い】への何かが含まれている。その何かは分からないが、今の発言は霊使の相棒達の「軸」をぶれさすには十分すぎるものだった。
「お前は自分の勝ちたいという欲に溺れて小娘たちを裏切ったのだ。」
「…何が言いたい?」
「…ああ、霊使。貴様に言っているのではない。小娘たちに聞いているのだ。貴様等はこれから先も本当に「捨てられない」と信じられるのか?」
その言葉を聞いたとき、ウィン達はある意味での衝撃を受けた。確かにデッキの中に入っている自分達の枚数は減ってしまったかもしれない。それでもどのカードを抜くか、どのカードを残すか、彼の中にある葛藤を知っている。
エリアは知っている。デッキの都合上自分を抜かなくてはならなくなった時に「ごめんね」と言っていたことを知っている。
ヒータは知っている。彼は今まで自分達にたくさんのものを捧げてくれたことを知っている。
アウスは知っている。彼がこのデッキを作る際にどれほど「皆への裏切りになるのでは」と苦悩したのかを知っている。
ライナもダルクも、マスカレーナにクルヌギアスもみんな知っているのだ。その事を知ってそれでも「いいよ」とそれを受け入れたのだ。
故にここにいる皆がその言葉に返すならばたった一言しかないと考えていた。その言葉をウィンが言い放つ。
「そんなの…信じぬくに決まってるよ!私が!私達が一番長く一緒に戦ってきたんだ!そんなの信じぬくに決まってる!」
「相容れんな。人間誰かを信じたら簡単に騙されるというに。」
理解できないと言わんばかりに安雁は首を振った。そうだ、安雁にとっては絆はまやかしのものなのだろう。もしくは「傷のなめ合い」を略してきずなにでもしているのかもしれない。
だが、安雁と対峙する者たちには「それは違う」と言い切れるだけのものがあった。確かに目には見えないものだし、「傷のなめ合い」もするのかもしれない。だが、一緒に居ると心が温かくなって、心地よくなって。とにかく不快な思いはしたことないし、大切にされていると実感さえできる。
そんな男をどうして信用しないこととが出来るのだろうか。いや、できない。少なくとも、一人の人間としては、絶対に四遊霊使という人間を信用しないということ自体があり得ない。
「お前が…お前なんかが霊使の事を語ろうだなんて100年早いんだ!」
だから、たとえ何があっても傍に居たいと思えるのだ。裏切られるかもしれないだとか、捨てられるかもしれないだとかそんな事は知ったことではないしどうでもいいのだ。ただ霊使という人間の傍に居れればそれだけで満足してしまうのだから。
そんな気持ちを久しぶりに抱かせてくれた霊使の事を語ろうだなんてそれこそ何年も早いというものだ。
「…そういうわけだ。悪いけど…ここでお前をぶっ潰す。」
そして霊使はそんな気持ちをぶつけられたからこそ安心して命を預ける事が出来るのだ。不安にさせてしまうかもしれないし、時には怒らせてしまう事もあるかもしれない。でも、孫相棒達と見るこの世界が好きだから、だから滅びに抗うのだ。
「効果で"教導の天啓アディン"を手札に。。エンドフェイズ時"灰燼竜バスタード"の効果でデッキから"教導の聖女エクレシア"を特殊召喚。効果でデッキから"教導の騎士フルルドリス"を手札に…俺はこれでターンエンド。」
四遊霊使 LP8000 手札二枚
モンスターゾーン 憑依装着-ウィン
教導の聖女エクレシア
フィールド魔法 大霊術-「一輪」
魔法・罠ゾーン 憑依覚醒
伏せ×2
滑り出しは上々―――とまではいかないがそれなりのものだろう。少なくとも二回は妨害をかませるだけの手札は整えた。これからは相手のデッキ如何だが、どうにかするしかないというのが霊使の回答だった。
だが、それは余りにも突然に、唐突に訪れるものだ。
「儂のターン…ドロー。まずは厄介なカードを一掃しておこうか。魔法カード"ライトニング・ストーム"。相手フィールドの魔法・罠カード全てを破壊。」
「…まじかよ。」
展開の要である伏せカード―――憑依連携が破壊されてしまう。確かに今の手札に召喚できるカードは無く、墓地のエリアだけとはいえ、破壊されるのは辛いものがある。効果を使わなければ使わないで、墓地から"覚醒"を発動できるのだからまだましと考えた方が得だ。
「モンスターが居ては安全に展開できんなぁ…。魔法カード"サンダー・ボルト"。相手フィールドのモンスター全てを破壊する。」
「はぁ!?」
が、その考えはいとも容易く打ち砕かれる。安雁の強力な魔法の二連打により霊使のフィールドはがら空きになった。なって、しまった。
とにかくウィンは無事なようだが、それでもしょげてしまっていた。
「…これでもう儂の勝ちは決まったな…。儂は手札の"
「…どんなデッキか見えないな…。」
安雁は様々なテーマを複合したデッキを使っているようだ。際限なく広がっていくそれはまるで何かを目的としたような恐怖を霊使に与える。
「墓地の"憑依連携"の効果発動!墓地のこのカードを除外することで墓地から"憑依覚醒"を表向きで魔法・罠ゾーンに置く!」
「…"タリスマンドラ"の効果でデッキから儀式モンスターである"ネフティスの繋ぎ手"を手札に。」
その恐怖を振り払うように霊使は墓地の"憑依連携"の効果を発動。これはこのターンに破壊してくれたおかげで攻撃力1850のモンスターを特殊召喚する効果が使えなかったために発動できた効果だ。
まだ流れは切れていないはずだと自分を鼓舞しながら霊使は相手の展開を見つめていた。
「…そして儀式魔法"魔神儀の祝誕"発動。"タリスマンドラ"をリリースし、手札から"ネフティスの繋ぎ手"を特殊召喚。"繋ぎ手"の儀式召喚成功時デッキからレベル2の"ネフティス"儀式モンスター一体を儀式召喚扱いとして特殊召喚できる。儂はデッキから"ネフティスの
「…儀式デッキなのか…?」
未だそこの見えない安雁のデッキ。今のところ読み取れる情報は【デビリチャル】と【ネフティス】が混在しているという事程度だ。二つともデッキの軸は儀式召喚であるが二つのデッキにシナジーやコンボが存在するとは考えにくい。だが、儀式のサポートとして【デビリチャル】は優秀なため、それを巻きこんだのかもしれない、と霊使は考えていた。
「…儂はレベル2の"ネフティスの祀り手"、"ネフティスの祈り手"で"森のメルフィーズ"を
「????」
二体のネフティスから現れるのはなんかどことなく凄いモフモフした獣たちの群れ。そしてこのカードが所属しているテーマは言うまでもなく【メルフィー】だ。ここまでくるとも霊使の脳は理解を拒みそうになってしまう。だってそうだろう、世界をかけた最終決戦の最中、目の前で何ともファンシーな光景が繰り広げられていたら、誰だって脳の情報処理が追い付かない。
「"森のメルフィーズ"の効果発動。X素材を一つ使いデッキから"メルフィーと追いかけっこ"を手札に。」
「?????」
最早霊使は考える事さえめんどくさいと言わんばかりにその光景を眺めていた。まるでではなく端から意味が分からない。それでも嫌な予感はし続けているというのがより霊使を頭をバグらせる要因になっていた。
「続いて"レスキューキャット"の効果発動。このカードをリリースしてデッキからレベル3以下の獣族を二体…"キーマウス"と"メルフィー・ラビィ"を召喚。そしてこの二体で"
「…あ、ドラグマの弾…。」
とうとう霊使も見慣れたモンスターが飛び出してくる。霊使もよく知っているモンスターであった。何故なら彼女は全国のドラグマ使いの皆さんに弾として扱われていたからだ。こうして、フィールドに出ている姿を見るとなんというか、涙が出てきそうになってしまう。
(…じゃなくて!気を引き締めないと!)
(そうだよ!)
どうやら気が緩み過ぎていたようだ。改めて気合を入れると霊使は安雁の方を見た。一人で頭を抱えたりしている霊使を見てとうとう気でも狂ったかというような曖昧な表情を浮かべている。
「…続いて"召喚僧サモンプリースト"と"キーマウス"で"憑依覚醒-デーモン・リーパー"を特殊召喚。効果で"武力の軍奏"を蘇生。」
「…おやぁ?」
「ひん。こちらとてなりふり構ってはいられないという事だ。さらに"メルフィーと追いかけっこ"を発動。墓地から"森のメルフィーズ"を特殊召喚。…最後に"武力の軍奏"と"憑依覚醒-デーモンリーパー"で"ゼラの天使"をS召喚…。待たせたな。…これで儂の場には儀式、融合、シンクロ、エクシーズ…四種のモンスターが揃った。」
霊使の背筋に冷や汗が流れ落ちる。これは明らかに不味い流れだと完全に理解した霊使は手札の"フルルドリス"の効果を起動した。
舐め腐っていたわけでは無い。むしろ打ちどころはここしかないと判断したためだ。
「"ゼラの天使"の特殊召喚成功時、手札の"教導の騎士フルルドリス"の効果発動!EXデッキから特殊召喚されたモンスターが存在する場合このカードは手札から特殊召喚できる!」
「…無駄な足掻きを!儂は"ゼラの天使"、"森のメルフィーズ"、"ネフティスの繋ぎ手"、"旧神ヌトス"を除外する!」
そして、神は降り立ち、全てを光で包んでいった。
登場人物紹介
・四遊霊使
とにかく守りを固めた。
そもそも相手がどんなデッキ使ってくるか分からないから様子は見たいよね。
・四道安雁
とにかく催促に最短に一直線に神の着地を行う。
えーと中途半端ですが今回はこれまで
色々と忙しいのでもしかしたら次回も中途半端に終わるかもです。
あと今回は遊戯王wikiさんを参考にしました。
それでは次回をお楽しみに
水樹君のデッキ強化
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