彼には決勝で当たってもらいます。
あ、でも合間合間には出る。
あと今回は霊使の焦燥っぷりを描くのがメインなため少々重いです。
名も知らぬ少年にいきなり「倒す」と宣言された霊使。
一体全体何をやらかしたのか、そんな事に思い当たる節もなく。
『今回は『英雄』の二つ名を持つ四遊選手が来てくれるぞ!』
視界にそう書かれたポスターを入れて霊使はため息を吐いた。
更には「英雄」だと持て囃され、不相応な歓声を受ける。
渦中にあった人達からは特に何も言われることは無いが、霊使にとってはそれが心地よかったのだ。
正直に言ってあの時の事はもう思い出したくもない。
追い打ちを掛けるように見知らぬ少年から因縁を付けられた。
当然霊使のやる気は最低になった。
デュエルをするからには負けたくはないが、そもそも今この場でデュエルをしたくないというのが本音だ。
が、そんな霊使に偶然が起きる。
「あれ!?霊使君!?」
「結!?どうしてここに?」
「いやー…転校先がこっちの方でさ。だからここら辺のデュエルの腕を知りたいし?というわけで出場することにしたんだ。」
偶然、たまたま結がこのデュエル大会に参加するというではないか。
霊使が退院してからしばらくは大した用事もなかったため、チャットアプリでやりとりをしていたくらいだ。
近況報告などは互いにしていたが、逆に言えばそれ位しか接点が無かったとも言える。
「というわけで、久しぶりに戦おうか、英雄様?」
「俺は英雄じゃない。そうやって呼ぶのは勘弁してくれ。…助けて欲しいと願っている人を守れないような、弱い人間だから―――俺はそうあるべき人間じゃないんだ。」
結は純粋に賞賛の意味で使っているのだろうが、霊使からしてみればそれはただの精神攻撃に他ならない。霊使の纏う雰囲気が明らかに変わっているのを見て、結は霊使の事を「英雄」と呼ぶのは止めた。
代わりに
「…それは、颯人君の事?」
「違う。…色々と、あったんだ。」
ふるふると霊使はその言葉に首を横に振る。
霊使の目に、未だ根深い後悔の念を見た結はそれ以上はも突っ込むことはしなかった。
「ま、当たる時になったらよろしくね。」
「了解だ。手加減はしないからな。」
「上等!」
霊使は結に心配をかけまいと今まで通りの明るさに戻る。
結は今の霊使は中々に厄介な状態にあると何となくで分かった。だが、それを癒す事が出来るのは他の誰でもない霊使自身なのだ。
霊使が自身を許せるかどうか―――それは結ではなく霊使自身が行わけなければならない事だろう。
いくら他人が彼を許しても、それはきっと彼の中では重荷にしかならないだろうから。
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結と会話を交わし、エントリーを済ませたうえで霊使はぼんやりと空を見上げていた。
その脳裏にはくっきりとあの男たちの笑みがへばりついている。
四道安雁や四道零夜、そして四道に従い暴虐の限りを尽くした徒党。
ただ先の事件の被害で最も大きかったのが暴漢による性的暴行だったそうだ。
―――霊使はそれを聞いてからというもの、自分がもっと早く行動を起こせていたらそんな被害を少しは減らせたかもしれない、と思い始めてしまっていた。
その事を話した警察は、霊使達はあの時に「為すべきことに最短に動いただけ、だからこそ被害はそれだけで済んだ」のだとそう言った。
だが、霊使はまだ少年だ。そんな事を言われて「はいそうですか」と割り切れるほど精神は強くない。
その日以降霊使は眠れない日が増えた。
(もっとやりようがあった―――。)
あの戦いが終わってからおよそ、五か月。霊使の中にあった「世界を救ったという事実」は「たくさんの犠牲を強いた」という現実にすり替わっていった。
だから霊使は英雄ではないと自嘲する。
自分はたくさんの犠牲を強いて、数多くの人に悲しみを与えてしまったのだから。
(俺は、英雄なんかじゃない。そういうのは、颯人に言ってやってくれ。俺は、弱いから―――。)
ただただぼんやりと雲を眺める霊使。
そんな霊使に声を掛ける存在が居た。霊使が最も信頼する人物の一人―――ウィンである。
「―――霊使。そろそろ始まるよ。」
「ん?ああ、そうか…。行くよ、今行く。」
霊使はウィンにさえこの胸中を明かしたことは無い。
これは自分が何とかすべきことだし、何よりも霊使はウィンにこれ以上の心配をかけたくなかった。
きっと、ウィンは気づいているし、事の次第を話せばきっと慰めてくれるだろう。
だがきっとそうなってはいけない。
そうすればきっと自分は守れなかった人を忘れてしまうだろうから。
四遊霊使は英雄などではない。もとはと言えば―――独善的な、「ウィンを失いたくなかったから」という理由で戦い始めた。
友人の犠牲を経て世界を救い、そして数多くの悲劇を招いた。
四遊霊使は英雄などではない。―――ただの、人殺しだ。
だから、せめてもの忘れない。どれだけ苦しくとも、記憶の片隅に留め続ける。それが今の四遊霊使という男が自分に下す罰だった。
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ウィンは霊使の憔悴に気付いていた。
その原因がかつての戦いの犠牲になった人達であることも気づいていた。
だからこそ、ウィンは何も言えなかった。言えるはずが無かったのだ。たとえその人たちが霊使を恨んでなかったとしても、霊使は自分を責め続ける。
「もっとうまくやれたはずだ」だとか、「もっと早く動けたはずだ」だとか。
だが、それは違うだろう―――とウィンは思う。
それは霊使の中の「驕り」だ。自分ならもっとやれた、という言い訳だ。
例え霊使がそう思ってなかったとしても、もう過去は変えられない。その人たちの死を受け入れて、それでも前に進んでいくしかない。
―――霊使にはそれができるだけの強さはまだない。だからその重荷に押しつぶされそうになっている。
ウィンが出来るのはただ無言で支える事だけ。それが、ウィンが霊使にしてやれる唯一の事だ。
(―――自分から話せるようになるまでは聞かない方がいい、かな。精一杯考えて霊使なりの背負い方を見つけたら。そしたら私達も改めて支えるよ。)
だからウィンは霊使に対して何も言わない。
愛する人はこの苦難を乗り越える方法を既に知っているのだから。
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『レディース&ジェントルメン!ようこそ、第27回レヴィオンカップへ!この大会はかつて「最強」と呼ばれたデュエリスト、『レヴィオン=ティエラ』氏は創設されたデュエル大会だ!この大会で優勝したものは今年の日本選手権への出場権を獲得できる!敗退してもォ!好成績を残せば日本選手権の予選会に招待されるかも、だ!更に今回はわが国で初めてこの『デュエルフィールド』を用いた大会でもある!』
「デュエルフィールド?」
「ほら、あれだよ。大会だとかそういったものに最近使用され始めたあのフィールド。なんでもモンスターゾーンやモンスターの位置が視覚的にわかりやすくなるんだって。イカサマ判定機能もあるみたいだよ。」
開会式で示された『デュエルフィールド』という聞きなれない単語にウィンは首を傾げる。
そんあウィンの疑問に霊使は実物を指さしながら答えた。
「後、あれ、よりド派手にソリッドビジョンを動かせるようになるんだとさ。色々と見た目も良くしようと頑張っているみたいだね。」
「あー…じゃあ私達もド派手にしたほうが良いかな?」
「大丈夫だろ。」
この大会は全日本選手権への予選も兼ねている為、全国でも名が売れたデュエリストたちが集まるようだ。
その中には霊使が戦ったことの無いような相手もいるだろう。
どうにも英雄と呼ばれるのは性に合わないが、それでもやる気は湧いてくる。
少なくとも、ただ「英雄」と持て囃されるよりかは、ずっと。
『さあ!組み合わせの発表だ!第一回戦!第一試合はァぁぁ!』
そんな声と共にトーナメント表が発表された。
霊使は自分の名を探すまでもなく、、自分が何試合目なのかを察した。
『四遊霊使選手!
「げぇ―ッ!」
「うそぉ…。」
一回戦目の相手の名前は「白百合結」―――いきなりとんでもない相手とかち当たってしまった。
一回は破っている相手―――とそうはいかないのが恐ろしいところだ。
きっと彼女たちは今までの何十倍も強くなっている事だろう。
「…こりゃ、やる気が出ないだとか文句言っている場合じゃないな…!」
舐めてかかって勝てるほど結は軟じゃない。
霊使は否応にも自分の中の「決闘者の魂」がざわめき立つのを感じていた。
登場人物紹介
・四遊霊使
クッソナーバスになってるけど、なんでそうなったかは自分で見つけなきゃいけない。
別に英雄と呼ばれるようなメンタルはしてないから結局引き摺ってしまう。
あと周りから英雄と持て囃されてるのもこうなってる理由の一つ。
それはそれとして生粋の決闘者なせいで結のデュエルが楽しみでしょうがない。
ただここは民度最悪な遊戯王世界なので…
・白百合結
忘れられがちだが霊使よりも年上。
だからか霊使が何を抱えているかを一発で見破ることができた。
・ウィン
今の霊使が抱えている物は自分で解決しなきゃいけない。
いくらでもアドバイスするけどまずは共有してほしい。
というわけで多分これからはギャグ色が強めになっていくと思います。
次回もお楽しみに
水樹君のデッキ強化
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