霊使 LP8000 手札一枚
EXモンスターゾーン I:Pマスカレーナ
モンスターゾーン 教導の聖女 エクレシア
魔法・罠ゾーン 憑依覚醒×2
伏せ×3(憑依連携、憑依解放、ドラグマ・パニッシュメント)
諷利 LP7800 手札一枚
モンスターゾーン 共振虫
魔法・罠ゾーン 伏せ×1
これで大丈夫だろうと安心しようとしていたらとてつもなく不利な盤面を形成されてターンを返された諷利。油断だとかはしていなかったし、やるところまではやってなおこの様であるのでここまでくると単純に相手の方が上手だったと考えざるを得ない。
「私のターン。…ドロー。魔法カード【サイクロン】発動。とりあえず【憑依覚醒】を一枚破壊。」
「…分かった。」
そのカード効果自体は通してくれたようで攻撃力のラインはそれなりに戻った。なら、後はここでどう押しきるかを考えるだけだ。
「私は手札から【強欲で貪欲な壺】発動・効果でデッキの上から10枚除外して二枚ドローする。…さらに魔法カード【貪欲な壺】発動。効果で墓地の【ビッグ・バリスタ】、【ゴキポール】、【ゴキボール】、【カマキラー】、【竜咬蟲】の五体をデッキに戻して二枚ドロー。」
今の相手の手札はついさっきサーチしていた【教導の騎士フルルドリス】一枚のみ。しかし、【フルルドリス】は相手のターン中にも特殊召喚できる【ドラグマ】カード。しかも他のドラグマカードが存在するのならばモンスターの効果まで無効にしてくる厄介極まりないカードでもある。
これの何がひどいのかというともし【死者蘇生】などでパクられたとしても攻撃するたび攻撃力が500上昇するだけの準バニラになってしまうという点だ。
【フルルドリス】を扱うにはきっちりとデッキの動きを邪魔しない様に構築を考えなければならない。
複数のカテゴリを合わせる場合は特にそれが顕著だ。彼は【憑依】を主軸において魔法使い族の低級モンスターが多い【ドラグマ】や【フェアリーテイル】と組み合わせたデッキを駆使するが、それはきっと多くの試行を重ねて生まれたものなのだろう。
少なくとも、「完成度」という観点で見れば非常に高いものなのではなかろうか。―――ただこのデッキの弱点としてはやはり【憑依装着】モンスターのカードパワー不足が見て取れる。
「私は伏せカード【メタバース】を発動。デッキからフィールド魔法【G・ボールパーク】を発動するよ。」
「了解だ。」
いくらカード間のシナジーが強いとはいえ、一枚のカードパワーが低いというならば突き崩すのは容易だ。だから、それを容易に行わせない為にいっそ過剰と言えるくらいには妨害が存在する。
流石にここまで妨害を張られると突破する事さえ厳しい。
「私は手札から【ゴキポール】を召喚。…魔法カード【一族の結束】発動。」
「その発動にチェーンして罠発動【憑依連携】。俺は墓地から【憑依装着-エリア】を召喚して…【G・ボールパーク】を破壊する。その後【憑依覚醒】の効果でデッキから一枚ドロー。」
当然の権利を行使するように霊使は自らの戦術の核を狙い撃ちにしてくる。当然、【G・ボールパーク】を守るカードや、【G・ボールパーク】本体に耐性などは存在しない為エリアの召喚によって呼応するように消し飛ぶ。
当然召喚によるドローも許してしまうが、別にそこは関係ない。もとより諷利はそれを狙ってモンスターを召喚しているわけでは無いのだ。
「…私は二枚目の【G・ボールパーク】を発動。…バトルだ。…何か発動するかい?」
「…発動しない。」
伏せカードの内の一枚は言うまでもなく【ドラグマ・パニッシュメント】だろう。だがそのカードの効果を発動しなかったのは相手の明確なプレイミスだ。
確かに攻撃力が低めの【ゴキポール】しか場に無い諷利。おまけに墓地に昆虫族モンスターは存在しない為、当然【一族の結束】の効果は適用されていない。【憑依覚醒】が場にある限り、攻撃力1000のゴキポールの攻撃は行わない。ならもっと強いモンスターに対して【ドラグマ・パニッシュメント】を使うべきだと考えたのだろう。
「…バトル。私は攻撃力2750の【憑依装着―エリア】に【ゴキポール】で攻撃!」
「―――なッ!?」
だがその判断を下した時点で霊使は諷利の戦術に沈み込むことになる。
例え一ターンに一度効果を無効にできる優秀なフィールド魔法があったとしても、だ。
攻撃を通すという事はそれ即ち、昆虫軍団を呼ぶという事。
「この瞬間【G・ボールパーク】の効果発動!この戦闘により発生する互いへの戦闘ダメージを0にしてデッキからレベル4以下の昆虫族モンスターを墓地に送る。この効果で通常モンスターを墓地に送った場合手札、デッキ、墓地からそのカードと同名のモンスターを任意の枚数特殊召喚できる!」
「―――ちょっと待って!?」
「さあ、戦闘だ!【ゴキポール】と【憑依装着―エリア】による戦闘ダメージはゼロに!更にデッキから【G戦隊 シャインブラック】を墓地に送り、デッキと墓地から【G戦隊 シャインブラック】計三体を特殊召喚!更に【ゴキポール】の効果発動!このカードが墓地に送られたとき―――」
「その効果は【大霊術-「一輪」】で無効に!」
既に【ゴキポール】の効果はおまけと割り切っている。今の諷利の場には攻撃力2000の【G戦隊 シャインブラック】が三体存在しているのだ。展開するにしても便利、追撃を賭けるのにも便利、とやりたい放題できるのは「通常モンスター」という縛りがある故か。
ちなみに【G・ボールパーク】は展開する力こそあれ、妨害には無力なためうらら一枚で止まったりもする。
だがそうなったらそうなったでまた別の手段でも取ればいいのだ。
「…【ゴキポール】の効果は止められるけれど…
「止められない…か。」
「その通り。【一族の結束】の効果で攻撃力は2800に上昇している。…果たして君にこれが止められるかな?」
「…無理だけど…抵抗はさせてもらう。」
今の霊使のフィールド上の最大の攻撃力は2750。一方、諷利のフィールドには【一族の結束】の効果で攻撃力が上昇した【G戦隊 シャインブラック】が三体。相手のフィールドに壊滅的な被害をもたらすこともできるだろう。
それほどまでに今の諷利にはこの状況が整って見えた。
「さあ、バトルだ!まずは【I:Pマスカレーナ】を攻撃!」
「…その瞬間罠発動!【ドラグマ・パニッシュメント】!…俺は墓地に【ヴァレルロード・ドラゴン】を送って今攻撃している【G戦隊 シャインブラック】を破壊!」
(…対してうまみもないのに【ドラグマ・パニッシュメント】を発動…、か。これは勝負をかけてきたのかな?)
「勝負を仕掛けてきた」。
その考えはおおよそ間違ったものではない。だが、諷利は心の何処かで侮っていたのかもしれない。
四遊霊使という男は常に逆転の一手を引き当てているという事の重大さを。
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霊使は焦っているかどうかと聞かれればすぐに「NO」と答えることができるだろう。
確かに【ドラグマ・パニッシュメント】によって得たアドバンテージよりもそれによってもたらされたディスアドの方が多いのは事実だ。なにせ霊使は【ドラグマ・パニッシュメント】に加えて【ヴァレルロード・ドラゴン】も失ったのだから。
カードの交換だけで見るならば霊使二枚:諷利一枚の圧倒的ディスアドだ。
だが霊使には何が何でもモンスターを一体場に残すという状況を作る事が必要だった。
「…続けて【I:Pマスカレーナ】を攻撃!」
「…攻撃力1700の【I:Pマスカレーナ】は破壊される。」
霊使 LP8000→6900
「更に、【G戦隊 シャインブラック】で攻撃!対象は【教導の聖女エクレシア】!」
「攻撃宣言時に永続罠【憑依解放】を発動!―――その後【エクレシア】は破壊される。2100のエクレシアが破壊されたから俺には700のダメージが入る。」
霊使 LP6900→6200
フィールドでは攻撃を喰らって吹っ飛ばされたマスカレーナとエクレシアが何故か爆散していた。霊使はその爆発の衝撃をその身に受けながら、今の状況について考える。
諷利は今この状態で押し切らないと何かがまずいという事を何となくで察していたのだろう。
それを見ぬいたからこそ、霊使はディスアド覚悟で【ドラグマ・パニッシュメント】をぶっ放す事が出来た。
実のところを言うと霊使は少しばかり油断していた。何故なら霊使の場には多くの妨害用のカードが揃っていたからだ。【ドラグマ・パニッシュメント】や【憑依連携】、【大霊術-「一輪」】に【教導の騎士フルルドリス】―――多くの妨害を抱えていたからこそ、油断してしまったのだ。「どうにかなるだろう」、と。
確かに【ゴキポール】の効果は【大霊術-「一輪」】で無効にできた。だが、それはただ【一族の結束】の効果を使うためだけの布石だったのだ。
それを見切れなかった時点で、霊使は戦略的には既に敗北している。
だからと言ってデュエルにまで負けてやるつもりはさらさらなかった。
「俺のフィールドのモンスターが破壊されたこの瞬間永続罠【憑依解放】の効果発動!俺のフィールドのモンスターが破壊されたときデッキから元々の守備力が1500で、破壊されたモンスターと元々の属性が違うモンスター一体を表側攻撃表示か裏側守備表示で特殊召喚することができる!」
まずは霊使はすぐにフィールドの立て直しを図った。これ以上の追撃はこないというタイミングで発動した【憑依解放】は最高の働きをしてくれる。この状況で霊使が最優先で行う事はただ一つだ。
「この効果で俺はデッキから【憑依装着―ウィン】を召喚!」
「…ターンエンド。」
諷利 LP7950 手札0枚
フィールド G戦隊 シャインブラック×2
フィールド魔法 G・ボールパーク
魔法・罠ゾーン 一族の結束
諷利は特にその後の行動を起こすことなくターンエンドした。だが手札もゼロ枚、伏せもゼロ枚で何かができると言われれば否だろう。
ピンチの痕にはチャンスが待っている―――、その事を実感した霊使の目に熱い闘志が宿る。
心が叫ぶままにデッキの一番上のカードに手を添えればそのカードは確かな熱を持っていた。
「感じる!」
霊使の心臓の鼓動を指を通して感じているのか、それともそのカードが霊使の魂の鼓動に共鳴しているのか。
そのカードからは確かに熱く燃えるような魂の鼓動を感じ取れた。
「さあ、反撃の時間だぜ!俺の、タァアァァアアァンッ!」
決着はもう、すぐそこにまで迫っていた。
登場人物紹介
・霊使
ディスアドなんて目じゃねぇ!
・諷利
コイツ…(ディスアド覚悟で)動くぞ…!
嘘予告
某KONMAI 「ティアラメンツ!?規制されたんじゃ…?」
ルルカロス「残念でしたね。トリックですよ。」
やめて!手も足も牙ももがれたのに環境に喰らい付いていたらさらに厳しい規制が課されちゃう!お願い、もうこれ以上暴れないでティアラメンツ!ここで大人しくなればきっと規制をすり抜けることだってできるんだから!次回「ティアラメンツ
次回もお楽しみに。
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