霊使 LP8000 手札二枚
EXモンスターゾーン I:Pマスカレーナ
モンスターゾーン 教導の聖女エクレシア
フィールド魔法 大霊術-「一輪」
魔法・罠ゾーン 伏せ×3
憑依覚醒
大智 LP6400 手札三枚
モンスターゾーン 黄金卿エルドリッチ
魔法・罠ゾーン 伏せ×1
この状況。どちらが有利かという事は火を見るよりも明らかだろう。―――という見方をするのは少し甘い。
霊使は手の内を多く晒してきたせいでこの状況は未だにひっくり返される可能性のある物だと感じていた。
特に相手のエースカードであろう【黄金卿エルドリッチ】を場に残す羽目になったのは非常に痛い。これでは単純に
「…俺のターン。ドロー。…俺は魔法カード【黒き覚醒のエルドリクシル】を発動。効果でデッキから二体目の【黄金卿エルドリッチ】を召喚。更に手札から永続魔法【黄金郷の七摩天】を発動!【黄金郷の七摩天】の効果を発動!手札、フィールドのモンスターを素材に融合召喚を行う。ただし!素材にするモンスターは全てアンデット族でなければならない!」
「―――罠発動!【憑依連携】!効果で墓地の【憑依装着-ウィン】を蘇生してそのまま【黄金卿エルドリッチ】を破壊!更に【憑依覚醒】の効果で一枚ドロー!」
霊使は即座に【黄金卿エルドリッチ】の破壊を選択。融合素材は全て【アンデット族】という縛りがあった。ならば、フィールドのアンデット族を破壊してしまえば何とかなるのではないか。霊使はそう考えたのだ。
「…俺はフィールドの【黄金卿エルドリッチ】と手札の【死霊王ドーハスーラ】の二体で融合召喚!来たれ【
だが相手は手札にアンデット族モンスターを抱えていた。つまりは元からそのような手札だったという事だろう。
それだけこのデッキが考えて作られた居る者というのが伺える。
「更にカードの効果でカードが特殊召喚されたとき、相手のセットカード一枚を選択して発動できる!このターンそのセットカードは発動できない!」
「…残念だったな!選択したカードをチェーンして発動!【憑依解放】!」
「…くそっ!」
一方の大智は余りにも普通に行動を制限され続けていることにどこか苛立ちを覚えていた。別に【黄金卿エルドリッチ】が破壊されたこと自体はどうでもいい―――というわけでは無いが、エルドリッチも今融合素材にしたドーハスーラも自身を特殊召喚できる効果を持っている。
「…なら!伏せカード【黄金郷のガーディアン】の効果発動!」
「それにチェーンして効果発動!手札の【教導の騎士フルルドリス】を特殊召喚して【黄金狂エルドリッチ】の効果を無効に!」
だが、だからと言ってここまで的確に妨害されて思うような動きができないという事になると話は別だ。苛立ちとそれと同時に何故か尊敬を抱いてしまう。
一体どれほどの時間をかけてこのデッキを練り上げたのか、いったいどれほどの研鑽を経てこのデッキを使いこなせるようになったのか。
気付けば大智の中の怒りが消えていった。どうして、視界を自分で狭めてしまったのだろうか。
「…【黄金郷のガーディアン】を召喚。その後、【I:Pマスカレーナ】の攻撃力をゼロにする!」
「その効果は【黄金狂エルドリッチ】の効果が無効になっているから不発だ!」
ここまでされて大智はようやく思い知った。
少なくともあの男―――霊使とこのデッキには確かな信頼関係がある、と。
それがどういうことか分からない程大智も腐ってはいない。
ここまで信頼関係を寄せているのなら、それは何かを強制しただとかそういう話ではなく。
彼女たちが望んで霊使の傍に居るのだと、そう思えて仕方が無いのだ。
(…ん?待てよ?)
だが、それはそれで別の意味で怒りが湧いてくる。
元来「霊使い」という存在達は非常に人気の高いテーマだ。霊使以外にも使用している人間はたくさんいる。あそこまで使いこなせるのは霊使程度だろうが。
そもそも大智もウィンの可愛さに一目ぼれしていたわけだ。それだけの美少女たちが最低四人。その全員から明確な好意を向けられている。
(―――これって、ハーレムじゃないか!?全男子の夢の!ハーレムじゃないのか!?)
それは大智にとっては羨ましくもけしからんシチュエーションであるハーレムそのものであり、霊使は絶世の美少女四人に好かれたこの世でぶっちぎりのハーレムの体現者であるといえる。
さて、ここでこの事実に気が付いてしまった大智。彼は今まで初恋を経験したことはあれども、その初恋は無残に終わってしまった。しかも、ハーレムという形で。
―――つまり、大智は別の方向で激昂したのだ。男子たちの初恋を無残に散らせた男に対して。そして全ての男子が一度は夢見るであろう光景をカードの精霊とはいえ現実にした霊使に対して。
(つまりあいつは―――)
「全男子の敵がッ!あそこにいるッッ!」
「急にどうした!?」
当然大智が何を考えているかなどと霊使が分かるはずもない。
だから霊使は大智からの全男子の敵認定されたとき思わずツッコミをせざるを得なくなったのだ。
「この!これ見よがしにハーレムなんか作りやがって!羨ましいぞ畜生!?」
「急に罵倒のレベルが下がったんだが!?大丈夫か!?大丈夫なのか!?」
当然デュエル途中に急にIQが下がったような発言をするものだから霊使は大智を心配する。
だが、その霊使の心配が逆に大智の逆鱗に触れた。
誰のせいでこんなになっているのか、ぜひとも手鏡があったら突き付けてやりたいところだ。
「誰のせいだと思ってんだ!?―――俺は【黄金郷の七摩天】をコストに墓地の【黄金卿エルドリッチ】の効果を発動!」
「今初めてモンスター効果を発動したな!?守備力1500の魔法使い族モンスターが存在するため【大霊術-「一輪」】の強制効果でチェーンを作らず無効化だ!ただししっかりコストは払ってもらうぞ!」
「んなぁ!?」
だが、いくら逆鱗に触れたといえども相手に妨害し続けられれば当然何もできはしない。
大智は一応【黄金狂エルドリッチ】が存在するが効果は無効になっている為当然攻撃することしかできない。
しかしながら霊使の場には相手ターン中にリンク召喚を行う【I:Pマスカレーナ】が存在している。攻撃するためにはメインフェイズを終わらせなければならず、すると当然霊使は【I:Pマスカレーナ】の効果を発動するだろう。
(…このターン、攻撃は出来ないか。)
そうすれば大智のフィールドからモンスターは消え失せる。従って、大智はこのターン、攻撃を行う事は能わないだろう。
(…ワッケーロが引ければ話はまた別だったんだろうけど。)
だがうじうじして何も行動しないよりかはここで行動して突貫した方が少しはましだ。
ここから何かをめくる手を考えなければならない。――そのために、ここでリンク素材とされるのは俗にいう必要経費というやつだ。
「―――俺はメインフェイズを終了する。」
「当然、【I:Pマスカレーナ】の効果を発動。効果で【黄金狂エルドリッチ】、【I:Pマスカレーナ】、【教導の聖女エクレシア】、【憑依装着-ウィン】の四体で【
「…ターンエンドだ。」
大智 LP6400 手札一枚
モンスターゾーン 黄金郷のガーディアン(守備表示)
(―――これは、まずいな。)
今の大智のフィールドには【黄金郷のガーディアン】が一枚のみ。次の霊使のスタンバイフェイズに【死霊王ドーハスーラ】を蘇生でいるとはいえ、だ。
それでできるのはせいぜい延命処置程度だろう。相手の手札次第では簡単に吹き飛ぶくらいの薄い守りでしかない。
「俺のターンだ!ドロー!」
「スタンバイフェイズ時に【死霊王ドーハスーラ】の効果発動!」
「…【閉ザサレシ世界ノ冥神】の効果発動!一ターンに一度墓地から特殊召喚をするモンスター・魔法・罠の効果が発動した際に発動できる!その効果を無効にする!」
「…なん…だと?」
そんな時に、である。頼みの綱の【死霊王ドーハスーラ】の効果を無効にされてしまった。
これでは墓地からの蘇生ができない。守りはもはや守備表示のガーディアン一体に託されたのだ。なるほど、墓地利用を防ぐというまさしく「閉ザサレタ世界」の名にふさわしい効果だ。少なくとも、ここまで圧倒されるとは思わなかった。
「俺は永続魔法【
「―――嘘だろ!?」
そんな大智に相対する霊使は相手の心境を読み取る能力なんてものはない。空気を読むことはするが、呼んだうえでぶち壊すことを信条とする霊使が相手の心の中を読み取るだなどとそんな事が出来るわけが無かった。
だか霊使あできるだけ確実な、どれほど時間がかかって確実性のある案を選ぶ。
「さあ、バトルだ!まずは【教導の騎士フルルドリス】で【黄金郷のガーディアン】を攻撃!このカードは【ドラグマ】カードの攻撃力を500アップする能力が付いている!」
「ああクソッ…!」
最早抵抗する手段さえ失われた大智。霊使とのデュエルは手をもがれ、足をもがれ、首と体を切り離された上で丁寧に頭をすり潰されるようなデュエルだった。
それだけ自分の戦術には改良する余地があったという事だろう。
―――今回のデュエルはそれが分かっただけで十分だ。ここまで圧倒的な差を見せられて、「まだ負けていない」という戯言を言える精神力は大智にはない。
「でも、いつかは絶対に勝ってやる!」
「いつでも来いよ
だから、いつかは超えると霊使に宣言して。
霊使はその宣言を、その挑戦をしかと受け止めた。
そしてその宣言と同時に暴風と影が同時に大智を飲み込み、そして残りのライフポイントを全て消し飛ばした。
「うわぁあぁあぁぁぁああぁぁッ!」
大智 LP6400→2500→0
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『完全決着ゥゥゥッ!決勝戦でまさかのパーフェクト!優勝はァ!』
周囲から聞こえる歓声が、霊使に「勝った」という現実を知らさせてくれる。
初めてだ。
頂点に立つという事がこんなにも楽しい事だったとは。
思わず、右腕を天高くつき上げる。その行為はより感火薬たちの興奮を煽り、歓声をより大きくする結果となった。
『四遊ゥゥゥゥ!霊使ィィィィッ!』
歓声に負けじと実況の声も大きくなる。
歓声のなかで、その万雷の拍手のなかで。霊使は初めて自分の名前を呼ばれた。
ようやく霊使はスタート地点に立ったのだ。
これから何をどう言われようと、霊使は霊使と自身が最も信頼する者たちとのあり方を示す。
その戦いの舞台に立つためのチケットを入手したのだ。
「俺達が!ナンバーワンだ!!」
霊使は高らかにそう宣言した。
その声は始まりの合図。その声に惹かれるようにして強者たちはまた集う。
だが霊使がその強者たちと会見えるのはもう少し後の事だ。
登場人物紹介
・霊使
勝った。
・大智
負けた。
でもなんか少し清々しい。
次回1.5部完結です。
いやー長かった…。
水樹君のデッキ強化
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ネクロス
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リチュア