「相棒」   作:ダンちゃん1号

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二部四章:激闘への序章
世界への序曲は静かに奏でられる


 

「【閉ザサレシ天ノ月(サロス=ナンナ)】と【閉ザサレシ世界ノ冥神】の効果でフィールドのモンスター二体を吸収!」

「うわぁぁぁぁ!ふざけるな!ふざけるな馬鹿野郎ぉぉぉぉぉう!」

 

霊使と鈴花の攻防は実にギリギリだった。

その上で隠し球を入れていた霊使に軍配が上がったっといったところだろうか。

もし隠し球を入れていなかったら勝負の行方はきっとまた別のものになったはずだ。

聖也はそう考え―――隣にいる人物に話しかける。

 

「これで…霊使君が11勝、鈴花ちゃんが10勝か…。オリエ、二人も十分な実力を備えていると思うんだけど…。」

「ええ。四遊君の引きの強さは異常ね。」

 

生徒会長であるオリエ―――彼女もまた聖也の部活に入部していた。

一部の生徒会員から大量の文句は上がったものの、本人が「5人集めたら入部する」と聖也と約束し、そして「実際に5人集めたのだから約束は果たされなければならない」と言い負かしたのだという。

何とも頼もしい会長だ。

 

「ちなみに渡瀬君はデュエルしないの?」

「【ティアラメンツ】以外使えませんので…。」

「…なるほど…。それは、その…ええ…。仕方が無いわね。」

 

ちなみに海斗の【ティアラメンツ】だが―――校内でさえ使用が禁じられてしまった。

ただでさえ公式戦での殿堂入りという名の出禁宣言を喰らったというのに、とうとう校内というプライベートな空間でさえ「使わないで欲しい」と懇願されたのだ。

事実、先攻で海斗の手札を全て捨てさせてしまったある生徒はこう語っている。

 

「【ティアラメンツ】はデュエルモンスターズの皮を被った何かと相対しているような気分になる」

 

と。

現に海斗が今まで校内で行ったすべてのデュエルは海斗の圧勝で終わっている。全ての【ティアラメンツ】カードを一枚に制限したデッキですらまともに太刀打ちできる人間の方が少ないという有様だ。

おかげで、彼が使うデッキは全て「凶悪」認定されてしまう事になってしまった。最も【マナドゥム】も【マナドゥム】ですっかり【センチュリオン】おなじみになってしまった相手ターン中に【琰魔竜王レッド・デーモン・カラミティ】をシンクロ召喚してくるので凶悪の一言で言い表されてしまったのだ。おかげで【ティアラメンツ】は言わずもがな、【マナドゥム】でさえ学校での使用を禁じられてしまったのである。

 

「酷い…!俺だって色々考えているのにーッ!」

 

とは本人の弁だが―――やっていることがやっている事なので致し方なし、というものだ。だって、自分のターンに動きを止められたら誰でも「凶悪」だと言ってしまうだろう。

特に魔法カードを展開の軸としている霊使にとっては【琰魔竜王レッド・デーモン・カラミティ】の召喚というのは、封殺以外の何物でもないのだ。

その結果といえばいいのかなんといえば良いのか分からないが――――カラミティは無事に禁止カードに制定された。【赤き龍】の特殊召喚先が一つ減って聖也は「馬鹿やろぉぉぉ!」と嘆いた。

そんな理由があるからか、海斗は基本キトカロスを突っ込んだ墓地肥やしデッキで戦っている事の方が多い。

 

「【簡易融合】!【ティアラメンツ・キトカロス】!【古尖兵ケルベク】!【古衛兵アギド】!【宿神像ケルドウ】!【補充要員】!【封印されしエグゾディア】の効果!エクストラウィン!!」

「?????????」

 

肥やした墓地は最終的にエグゾディアに直結するので運が悪いとこんな悲劇も起こりえるのだが、ここまで怒るのはさすがにまれだ。ただ【手札断殺】や【手札抹殺】、【命削りの宝札】に【リロード】、【打ち出の小槌】といったドロー系のカードが大量に存在しているので、この男は何としてでも墓地を肥やして勝ちたいようである。

 

「ぬおーッ!【ジェット・シンクロン】!【蛇眼の炎燐】!【黒魔女ディアベルスター】!【氷結界の竜トリシューラ】!」

 

鈴花は鈴花で【スネークアイズ】にシンクロ召喚のギミックを取り入れたようだ。【フォーミュラ・シンクロン】の効果によって相手ターン中に能動的に【蛇眼の炎龍】を墓地に送れるようになった。最初は【シンクロ・トランスミッション】との同時採用も考えていたようだが、結局【フォーミュラ・シンクロン】だけにとどめたようだ。

後は霊使が追加した【閉サレシ天ノ月】のような「とっておき」が追加されている。

それに伴い先攻制圧にもある程度強く出られるようになったそうだ。

また、EXデッキには切札たる【氷結界の竜トリシューラ】が存在している。デッキの都合上そうそう披露されないが上手く嵌ると【トリシューラ】三連打という可能性もあり得る。恐ろしいことこの上ない。

 

「…カラミティを返してくれ…!」

「諦めなさい、マスター。彼は、もう居ないのよ…。」

 

そう嘆いている聖也であったが転んでもただでは起きない。レベル8シンクロを採用することにより【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】を特殊召喚するルートを取ることに成功した。

しかもレベル12の大型シンクロにはまだ【コズミック・ブレイザー・ドラゴン】や【スターダスト・シフル】も存在している為、リカバーはたやすい筈だ。

 

「むう。今回の改定は私にとっては±0です…。」

「それはそれでマシなんじゃあないかなぁ…。」

 

一方の凪は相変わらず【忍法・変化の術】のカード効果で【神禽王アレクトール】を出し【魔封じの芳香】を用いて相手の魔法カードを制限。じわじわと相手の逆転の芽を摘んでいくデッキを使用している。

確かに忍者らしいデッキではあるが―――なんでこうも自分のデッキと相性が悪いのだろうか。

 

「…会長のデッキは…」

「私?」

 

せめて、とオリエの方に目を向ける。

せめて、せめて会長のデッキは一手間違えただけで詰むようなデッキではありませんように―――。

霊使は血反吐を吐くような思いでオリエにデッキの内容を聞いた。

 

「私は儀式だよ。儀式の…【粛声】。」

「よ、よりにもよってぇ…?」

 

【粛声】―――これまた厄介なデッキである。

確か、なんやかんやして高攻撃力の儀式モンスターを召喚するデッキ―――だったはずだ。

これまでの学生生活は巡り合わせで霊使と彼女はデュエルすることは無かったが、彼女もまたこれまでの生活の中で無敗であったと聞く。

今までは同じ「無敗」の海斗とはデュエルしていないので「無敗」同士が戦ったらどうなるのか気になるところではある。

本人たちが一番気にしているのだが、その戦いの結果はまた別の話だろう。

 

「…このメンバーで行きたいな、世界。」

 

オリエのそばでぼそりと呟く。

今は散り散りになってしまった皆へと紹介したい友人がこんなにも増えた。

世界に行けば、あるいは世界に行くための道中でカードを交える日も来るだろう。

そうなったらぜひとも大声で自慢したいものだ。

「俺はちゃんと友人を作れているぞ」と。

 

「貴方は個人戦もあるでしょう?…チャンスは多いに越したことは無いわ。」

「はい…。」

 

個人にせよ、団体にせよ―――チャンスが多ければきっと彼らと刃を交える回数も多くなる。

ああ、今からとても楽しみだ。

霊使という男は、どうしようもないほどにデュエル馬鹿で、―――かつての仲間とのデュエルを心の底から望んでいる人間であるのだから。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「いやあ、久しぶりだなぁ。霊使君はきっとここまで来てくれるんだろうなぁ。」

「兄さんは―――来ますよ、絶対。」

「根っからのデュエル馬鹿だからね。」

 

かつての仲間はその地に集う。今は相対するものとして―――。

 

「今回は英雄様も来るのか。」

「楽しみだねぇ。彼は強いのか弱いのか―――。」

 

新たな強敵とも相まみえることもある。

それでも進んでいかなくてはならない。

その先にどんな景色が待っているかは分からないけれど、いい景色なのは確かだ。

果たして霊使は何処まで行けるのか。

―――ここに霊使の新たな戦いが幕を開けたのであった。




登場人物紹介

・霊使
主役に復帰
新たなカードを投入してウハウハである。

・凪
なんやかんやで馴染んだ。
事の次第は鈴花と凪だけの秘密。

・海斗
最終兵器
彼が動く時、きっと何かが起こる

・鈴花
シンクロ軸に
炎王?
使わなくてもいける行ける。

・聖也
カラミティが消えたことで傷心中。
言うて強力なデッキだろう、センチュリオン

・オリエ
新メンバー
使用デッキは【粛声】。

というわけで世界編始まります。
まずは予選からです。これから先はデュエルマシマシになると思います。

次回もお楽しみに!

水樹君のデッキ強化

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