「相棒」   作:ダンちゃん1号

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一回戦:閉ざされし世界を照らすは天の月

霊使 手札4枚 LP8000

EXモンスターゾーン(左) 閉ザサレシ天ノ月(リンク先:咲姫の③、④)

モンスターゾーン    ①なし   

            ②なし

            ③憑依装着‐ヒータ

            ④なし

            ⑤なし

魔法・罠ゾーン     ①憑依覚醒 

            ②妖精の伝姫

            ③なし

            ④なし

            ⑤なし

フィールド魔法     大霊術―「一輪」

 

咲姫 LP8000 手札1枚

 

EXモンスターゾーン(左)グランドレミコード・クーリア(①、②、③がリンク先)

モンスターゾーン    ①ドドレミコード・クーリア

            ②ソドレミコード・グレーシア

            ③クリスタルクリアウィング・シンクロ・ドラゴン

            ④アストログラフ・マジシャン

            ⑤オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン

Pゾーン         右ドドレミコード・クーリア

            左ドドレミコード・キューティア

魔法・罠ゾーン     ①Pゾーン

            ②なし

            ③伏せカード

            ④なし

            ⑤Pゾーン

フィールド魔法     ドレミコード・ハルモニア 

 

フィールド上のモンスターの数は咲姫の方が多い。しかし、霊使いはそれを補って余りある手札を持っている。そして何より【閉ザサレシ天ノ月】というカードの恐るべき効果を咲姫はまだ知らない。

 

「俺は、【閉ザサレシ天ノ月(サロス=ナンナ)】のリンク先の【アストログラフ・マジシャン】を対象に【閉ザサレシ天ノ月(サロス=ナンナ)】の効果発動!このターン、俺がリンク5のモンスターをリンク召喚するとき、対象のモンスターもリンク素材にすることができる!」

「…は?…え?…え?」

 

恐るべき効果―――それは【閉ザサレシ天ノ月】のリンク先のモンスター一体をリンク素材にできるというもの。【クリスタルクリアウィング・シンクロ・ドラゴン】は厄介な耐性を持っているが、そもそも対象にしなければいいだけの話だ。

どうやら咲姫は上手く状況を飲み込めていないようで、頭の上に?を浮かべている。

 

「…現れろ!世界を拓くサーキット!アローヘッド確認…召喚条件は効果モンスター4体以上。ただしこのカードをリンク召喚する場合、相手のフィールド上のモンスター一体をリンク素材にできる!」

「それって【閉ザサレシ天ノ月】の効果と重複したりは―――」

 

咲姫は一縷の望みを賭けてリンク素材とすることでの除去は【閉ザサレシ天ノ月】の効果と重複して結局一体しかリンク素材にされないのでは―――と聞いてきた。

しかし咲姫も内心で答えは分かっているのだろう。それも聞いて来たという事はそれだけこの状況が呑み込めなかったと見える。

しかし現実というのはいつだって非情だ。

 

「しないんだなぁこれが!俺は【閉ザサレシ天ノ月】と【憑依装着―ヒータ】、【クリスタルクリアウィング・シンクロ・ドラゴン】【アストログラフ・マジシャン】をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!」

「まさかの2:2交換!?ウソでしょ!?ウソだと言ってよクーリアぁ!」

 

咲姫は涙目になりながらクーリアに助けを求める。

しかし、いくらクーリアでもルールに逆らうことなどできはしない。

なので、クーリアもこの圧倒的なディスアドバンテージを受け入れるほかないのだ。

 

「閉ざされた世界を照らす天の光よ、昏き世界の淵よりその姿を見せ我らが敵を撃滅せよ!リンク召喚…!夜を照らせ―――【閉ザサレシ世界ノ冥神(サロス=エレス・クルヌギアス)】!」

「出たーッ!?」

 

そして霊使にとってのとっておきの切り札である【閉ザサレシ世界ノ冥神】がフィールド上に現れた。

彼女が腕を振るえば世界は影に包まれ、そこに居るもの全ては影によって縛り付けられる。それがどれだけ屈強な竜であっても、天に幸せの音色を届ける天使であっても、それが、天を掴みし覇王であったとしてもだ。

誰もクルヌギアスの世界から逃れられない。故に、霊使はこのカードが破壊されたとき、自分の負けに直結すると考えている。

 

「【閉ザサレシ世界ノ冥神】の第一の効果。…このカードがリンク召喚に成功した時に発動できる。相手フィールド上の表側表示のモンスターの効果は無効化される…!」

「…これで【グランドレミコード・クーリア】の攻撃力は2700に減少…!」

 

これで相手を無力化に成功した。

しかしそれでもまだ終わったわけでは無い。相手の場にモンスターが居る限り、いくらでも再展開される。

だから、霊使がやるべきことは、咲姫のフィールドのモンスターの数を減らす事だ。モンスターが残っている限り逆転の目は残る。相手に逆転を許すつもりが無いのであれば、そのままモンスターの数を減らすのが良いのだ。

 

「…魔法カード【天底の使徒】発動。効果でEXデッキから【灰燼竜バスタード】を墓地に送り、デッキから【灰燼竜バスタード】以下の攻撃力を持つ【ドラグマ】モンスター―――【教導(ドラグマ)の聖女エクレシア】を手札に。【教導(ドラグマ)の聖女エクレシア】はフィールドにEXデッキから特殊召喚されたモンスターが存在する場合手札から特殊召喚ができる。さらに【教導の聖女エクレシア】は召喚成功時にデッキから【ドラグマ】カード一枚を手札に加えることができる。俺はいつもの【ドラグマ・パニッシュメント】を手札に!」

 

守備力1500の魔法使い族である【教導の聖女エクレシア】は【憑依連携】のような【霊使い】をサポートするカードの恩恵に与ることができる。【妖精伝姫】と【霊使い】のシナジーが強いように【ドラグマ】と【霊使い】のシナジーも相応にある。

つまり―――霊使は相当に考えたうえでこのデッキを使用している。そして考え抜かれたデッキは―――咲姫のデッキも含めて―――強い。

 

「バトル!【閉ザサレシ世界ノ冥神】で【グランドレミコード・クーリア】を攻撃!」

「あっ…!」

 

しかし、力量が同じだとしても決着は必ず起きることだ。

望んだ形であれどうであれ、戦いはいずれ終わる。いずれ終わってしまうのだ。

 

「【グランドレミコード・クーリア】撃破!」

 

咲姫LP8000→7400

 

咲姫は声に出さずとも苦悶の表情を浮かべていた。

救いは、霊使のモンスターがまだ二体しか居ず、その内の一体―――エクレシアに関しては攻撃力が低い。

まだライフポイントの多くを確保したままなのは咲姫にとってうれしい知らせであった事だろう。

 

「うう…キッツイなぁ。」

「俺はカードを二枚伏せてターンエンド。エンドフェイズ時墓地の【灰燼竜バスタード】の効果発動!デッキから【教導の騎士フルルドリス】を手札に加えてターンエンド。」

 

霊使 手札2枚 LP8000

EXモンスターゾーン(左) 閉ザサレシ世界ノ冥神(リンク先:②、③咲姫の③、④)

モンスターゾーン    ①なし   

            ②なし

            ③教導の聖女エクレシア

            ④なし

            ⑤なし

魔法・罠ゾーン     ①憑依覚醒 

            ②妖精の伝姫

            ③伏せ

            ④なし

            ⑤伏せ

フィールド魔法     大霊術―「一輪」

 

咲姫 LP8000 手札1枚

モンスターゾーン    ①ドドレミコード・クーリア

            ②ソドレミコード・グレーシア

            ③なし

            ④なし

            ⑤オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン

Pゾーン         右ドドレミコード・クーリア

            左ドドレミコード・キューティア

魔法・罠ゾーン     ①Pゾーン

            ②なし

            ③なし

            ④なし

            ⑤Pゾーン

フィールド魔法     ドレミコード・ハルモニア 

 

咲姫は効果を無効にされたとはいえ【グランドレミコード・クーリア】を失ってしまった。

一方の霊使は切り札である【閉ザサレシ世界ノ冥神】が居る。更に【ドラグマ・パニッシュメント】、【憑依連携】、【大霊術―「一輪」】といった妨害カードが咲姫の展開を阻んでくれる。

 

「…でもなぁ。」

 

それでも心配事が消えるわけでは無い。

いくら妨害札があろうと【ライトニング・ストーム】で消し飛ばされるのは変わらないし、何よりもペンデュラム主体のデッキにおいて破壊は大した意味を為さない。

 

「…私のターン。ドロー。」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

カードが重い。デッキが妙に遠く感じる。

見えていた勝ちの目が一気に無くなったような気分だ。

兄はいつもこんな重圧に耐えていたのだろうか。確かに彼は勝ちを拾う事が多い。しかしそれは幾千の敗北の上に積み上げられた微かなものでしかない。

もし、いつもこんな気分になっているのだとしたら、自分は兄に追いついたと言えるのだろうか。

―――兄の背中が遠ざかっていく。追い付いたと思ったのにまた大きく離されてしまう。

自分が兄より劣っている―――それはそうだろう。それは間違いない筈だ。

だが、たとえそうであったとしてとしても―――

 

「…魔法カード【ドレミコード・エレガンス】発動!」

 

「負けたくない」というこの思いだけは誰よりも強い。

その想いにデッキはちゃんと答えてくれているのだ。ならば、劣っているだとかそんな変な事を考えている暇はない。

 

「【ドレミコード・エレガンス】でPゾーンの【ドドレミコード・クーリア】と【ドドレミコード・キューティア】をEXデッキに加えて二枚ドロー!…さらに【宣告者の巫女(デクレアラー・ディヴァイナー)】を召喚!【宣告者の巫女】の効果発動!」

「【大霊術―「一輪」】で強制的に無効化…無駄撃ちにさせられたか…!」

 

霊使の用いる【大霊術―「一輪」】は【増殖するG】や【灰流うらら】といった手札誘発も、【アクセスコード・トーカー】のようなチェーンを許さない効果も絶対に無効にできる。しかし、()()()1()5()0()0()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。従ってこのように一つの効果を囮にすることで、その他の効果を通す事が出来るのだ。

 

「さらにさらに【宣告者の巫女】をリリースして手札の【トリアス・ヒエラルキア】の効果発動!このカードを守備表示で特殊召喚!更に【宣告者の巫女】が墓地に送られた場合、デッキ、墓地から【宣告者の巫女】以外のレベル2以下の天使族モンスター一体を特殊召喚できる。…私は【ドドレミコード・キューティア】を召喚!【dpdpれ三コード・キューティア】の効果発動!」

「…その効果にチェーンし、【ドドレミコード・キューティア】を対象にして【ドラグマ・パニッシュメント】を発動!【旧神ヌトス】を墓地に送り【ドドレミコード・キューティア】を破壊する!」

 

【ドラグマ・パニッシュメント】はEXデッキからカードを墓地に送り、その墓地に送った攻撃力以下のモンスターを破壊できるカードだ。そして【旧神ヌトス】は墓地に送られた際に相手の場のカード一枚を破壊する効果を持つ。

しかしこれらは効果の発動自体を止めるわけではない。故に、【ドドレミコード・キューティア】の効果は未だに生きている。

 

「…【キューティア】の効果でデッキから【レドレミコード・ドリーミア】を手札に加えるよ。」

「墓地に送られた【旧神ヌトス】の効果発動。…ここは【ドレミコード・ハルモニア】を破壊する!」

 

従って、デッキから【ドレミコード】を手札に加えることができる。

しかし、まだだ。まだ―――終わってなるものか。

 

「【レドレミコード・ドリーミア】をPスケールにセッティング!…響け、響鳴のサーキット!私は【ドドレミコード・クーリア】、【ドドレミコード・キューティア】、【オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン】をリンクマーカーにセット!リンク召喚【グランドレミコード・クーリア】!」

「手札の【教導の騎士フルルドリス】の効果発動!」

「…【グランドレミコード・クーリア】の効果発動!PゾーンからPスケールが奇数である【レドレミコード・ドリーミア】を守備表示特殊召喚してその発動を無効に…!」

 

勝ち目がない―――そんなわけが無い。

まだ、まだどこかに勝ち目はある。そうだ、まだどこかに勝ち目が残っているはずだ。

 

「バトル!【グランドレミコード・クーリア】で【教導の聖女エクレシア】を攻撃!」

「…攻撃宣言時に罠発動!【憑依連携】…!墓地の【憑依装着―エリア】を特殊召喚。…フィールドに2属性あるため、【グランドレミコード・クーリア】を破壊する。その後、【憑依覚醒】の効果でデッキから一枚ドロー。」

「…【ソドレミコード・グレーシア】を守備表示にしてターンエンド。」

 

霊使 手札3枚 LP8000

EXモンスターゾーン(左) 閉ザサレシ世界ノ冥神(リンク先:②、③咲姫の③、④)

モンスターゾーン    ①なし   

            ②なし

            ③教導の聖女エクレシア

            ④なし

            ⑤憑依装着―エリア

魔法・罠ゾーン     ①憑依覚醒 

            ②妖精の伝姫

            ③なし

            ④なし

            ⑤なし

フィールド魔法     大霊術―「一輪」

 

咲姫 LP8000 手札1枚

モンスターゾーン    ①レドレミコード・ドリーミア

            ②ソドレミコード・グレーシア

            ③なし

            ④トリアス・ヒエラルキア

            ⑤なし

Pゾーン         右なし

            左なし

魔法・罠ゾーン     ①Pゾーン

            ②なし

            ③なし

            ④なし

            ⑤Pゾーン

フィールド魔法     なし 

 

グレーシアの攻撃力は2100。そして霊使のフィールドで最も低い攻撃力である【教導の聖女エクレシア】も攻撃力は2100。

それならば、守備表示にして少しでもダメージを軽減したほうが良い。

まだ、まだ戦えるはずだ。このターンを凌ぎきれば、まだ戦える。

 

「…俺のターン。ドロー。…俺は手札から【教導の騎士フルルドリス】を特殊召喚。さらに手札から【憑依装着―ウィン】を召喚。【憑依覚醒】の効果でデッキから一枚ドロー。…俺は手札から【貪欲な壺】を発動。墓地の【閉サレシ天ノ月】、【妖精伝姫―カグヤ】、【憑依覚醒―デーモン・リーパー】、【灰流うらら】、【デーモン・イーター】の五体をデッキに戻して、二枚ドロー。そして手札から二枚目の【デーモン・イーター】を特殊召喚。【教導の聖女エクレシア】と【デーモン・イーター】をリリースしてデッキから【憑依覚醒―デーモン・リーパー】召喚。効果で【憑依装着―ヒータ】を墓地から蘇生。…【フルルドリス】と【デーモン・リーパー】で【崔嵬の地霊使いアウス】をリンク召喚。効果で【憑依覚醒】を手札に。」

 

―――霊使は恐らくここで決着をつけるつもりだ。動きによどみがない―――しかも確実にこの三体の守備表示のモンスターを突破しようとしてくる。

フルルドリスをリンク素材にした理由は恐らく六属性を揃えたかったから。それが、きっと霊使いの私へ対する敬意なのだろう。

 

「そして俺は【妖精の伝姫】の効果でデッキから【憑依装着―ダルク】を召喚する。そして手札から【憑依覚醒】を発動して―――バトルだ。」

 

攻撃力の上昇幅は300×6×2で3600。そしてそれが6体。

総合的な攻撃力は21600上昇だ。しかも攻撃が通る3体だけでも10800の上昇。元のモンスターの攻撃力と合わせれば咲姫のライフを二回は軽く消し飛ばせる

 

(攻撃力5450×5という地獄よ…ばっかじゃないの!?)

「総攻撃だ。―――咲姫、またやろうぜ。」

 

霊使は、咲姫にそんな言葉を放った。

今度は負けない―――そう心に誓って、咲姫は霊使の一撃をその身に受け入れた。

 

咲姫LP0 ―――敗北

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「くやしぃぃいぃ!容赦なさすぎだってぇ!」

「…咲姫、落ち着きなさい?」

 

地団太を踏みたくなる。

折角並べると思ったのに、また大きく引き離されてしまった。

悔しい、だがそれと同時に清々しい。こんな完璧に負けたのは一体いつぶりだったかと思うくらいには完全な敗北だった。

 

「これが、今の私の位置…って事なのかな。」

 

今は兄には勝てない。

―――兄は本当に強いと思う。兄が一人居るだけで、あの時の場が変わってしまったように。

今の自分ではまだ追いつくことはできない。むしろ役立たずといっても過言ではないだろう。

命を賭けて生き抜いてきた兄の背中はそれほどまでに遠いものだった。

 

「それでも―――」

 

あの時に一瞬だけ近くにあった兄の背中。

間違いなく、あの時だけは兄と並べていた。それなのに、また遠くなった。

―――私が兄の所に追いつくのはもう少し時間がかかりそうだ。

 

「でも、いつかは…。」

 

背中は一度捉えた。二度目は逃がさない。

咲姫は空に手を翳して強く握りしめる。次は勝つ、その決意が鈍ることがないように。

 

「―――その時は、私も一緒に。」

 

まだまだ強くなれる。

私も、クーリアもまだ発展途上なのだから。

そうして、咲姫の全国大会は幕を閉じたのであった―――。




登場人物紹介

決着です


・咲姫
負けた。でもそれ以上に何かを手に入れる事が出来た。

・霊使
勝った。
次なる戦いに挑む。

というわけで咲姫戦決着です。

水樹君のデッキ強化

  • ネクロス
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