「相棒」   作:ダンちゃん1号

30 / 209
はい。
今回も超展開があるよ。



「サヨナラ」なんて認めない

咲姫から

 

「一緒に帰りましょう」

 

と誘われて、一緒に帰ることにした霊使。

咲姫が言うにはウィンは先に帰ったとのことだった。

それを鵜呑みにした霊使はそのまま咲姫と帰宅することにしたのだった。

それが咲姫の作戦だとは微塵も思わず。

 

 

「ウィンが居ない!?」

「うん…。」

 

まず家に帰ってきたときに「ウィンはいるか」と聞いた。

その時、に帰ってきた答えがこれだった。

エリア達もウィンが居ないことに気づいたようで、学校で会わなかったかと聞いてくる。

よくよく考えれば咲姫が「一緒に帰ろう」といった時点でウィンはどうしていたのだろう。

途中からウィンとの力のパスは必要最低限にしていた事が裏目に出た。

 

「探してくるッ!」

 

霊使は雨の中、傘を持たずに駆けだす。

 

「マスター!私も!」

 

エリアもまた傘を持たずに駆けだした。

人は一人でも多い方がいい。

 

「ボクも出る!」

「私も出ますよ!」

 

ヒータも、アウスも、皆が駆けだす。

だが、その足は直ぐに止まることになる。

何故なら―――

 

咲姫が霊使の道を阻むように立ち塞がっていたからである。

 

「咲姫…仕組んだな?」

「あら。勘が鋭いんですね。でも、そ(・)う(・)い(・)う(・)選(・)択(・)をしたのは彼女ですよ?」

 

咲姫は真剣な顔になっている。

 

「でもお前がさせたんだろ?」

「さて。なんのことやら。」

 

とぼける咲姫にこれ以上会話をする気が起きない霊使。

 

「…行かせてもらうぞ。」

「させません。これが兄様の為なんです。」

「興味ないな。…あと一度だけ言うぞ。そこを、退くんだ。咲姫。」

「…退きません。絶対に。」

「そうか…。なら、悪く思うなよ!」

 

咲姫の脇を走り抜ける霊使。

 

「行かせな―――!」

「はい、前方不注意ッ!」

 

咲姫が霊使に気を取られた一瞬。

その一瞬が咲姫の命運を分けた。

 

エリアが思いっきり飛び掛かってきたのだ。

 

「ちょッ…それは聞いてな―――!」

「はい、一本!」

 

そのままきれいな形で背負い投げするエリア。

咲姫は地面に叩きつけられる前に体をよじって脱出した。

 

「技が甘いですよッ!」

 

そのまま足を払うことでエリアの体制を崩す咲姫。

そして霊使を追おうとするが―――

そこに霊使の姿は無かった。

 

「兄さん…!」

 

それでも霊使より先にウィンを見つけるために咲姫は駆けだす。

 

「絶対に…戻ってきてもらう…!始末よりまだ、そっちの方が…!」

 

それは、咲姫なりに霊使の事を思っている証左だった。

 

 

 

「くそッ…!ウィンは何処に…!」

 

霊使は思い当たる場所は全て回った。

学校だったり、商店街だったり、それこそ二人が対面した公園だったり。

それはもうとても多くの場所に足を運んだ。

 

それでも、ウィンは居ない。

だから、霊使は最後の望みをかけて、二人が初めて出会った場所―――あの路地裏へと向かうことにした。

 

 

 

気づけばウィンは霊使と出会った路地裏に来ていた。

雨に打たれて、体力も無くなり、道の隅に座り込む。

これ以上はもう、動けない。

涙を流しながら、自分の浅ましさを呪う。

 

「そうだ。消えよう。」

 

このままここで消えてしまえばきっと霊使と四道の関係はいいものになる。

霊使には、幸せになってほしい。

そして霊使には失った分の時間を取り戻してほしい。

でも自分が邪魔。―――なら、消えるしかない。

それなのに。

 

「ようやく、見つけた…!」

 

どうして彼は自分を消えさせてくれないのだろうか。

 

 

 

 

霊使がそこにたどり着いたとき、ウィンからは余りにも希薄な力しか感じなかった。

 

「ようやく、見つけた…!」

 

それでも、心底、安心した。

力のパスは通じてないが、それでも彼女はそこにいた。

 

「さあ、帰ろう。」

 

ゆっくりと手を差し出す。

しかし、彼女はそれに応えない。

 

「だめだよ。霊使。私がいたら、またきっと、霊使を不幸にしちゃうから…」

 

そう言って、霊使の手を拒むウィン。

 

「だから、私は一人で大丈夫。だから、早く、戻ってあげて…ね?」

 

恐らくウィンはここで消えるつもりなのだろう。

だから、霊使をここから離そうとしている。

だからこそ、霊使は―――

 

「断る。」

 

はっきりと、拒絶した。

これは、ウィンが悪いのではないのだから。

だから、連れ戻す。

ウィンがここで蹲ってるなら引きずってでも連れ戻す。

 

「お前は俺の相棒だから。咲姫(アイツ)になに言われたが知らんが、お前は俺の家族だ。だから、連れて帰る。」

「それは、詭弁でしょ!?私達は家族でもなんでもないただの他人じゃん!」

 

ウィンの言うことは正しい。

ウィンと霊使の間に血縁関係なんてない。

だが、霊使にとってはかけがえのない相棒で、そして、大切な人だ。

だから放っておけないし、放っておく気もない。

 

「そうかもしれない!でも、俺達はそうじゃな──」

「私のせいで霊使が不幸になるなら私が消えるしかないじゃん!」

 

ウィンは大声で叫んだ。

 

「霊使がこの前見た夢は真実で、霊使は私を使ってたから独りになったの!あそこに私が居なければ霊使はもっと幸せになってた!好きな人の幸せを願うのはそんなに悪いことなの!?」

 

ウィンは叫ぶ。好きだからこそ、幸せになって欲しい。幸せになって欲しいから、自分が消える。だって霊使の幸せの邪魔をしているのは他でもない自分なのだから。

 

だから、泣いて、でも笑ってここで消えなくてはならない。

だが、そうは霊使が卸さない。

 

「そんなのウィンの幸せが無いじゃないか!……人はどんなクズにだって更正したら幸せを掴む資格がある!それはどんな奴にも犯されやしないモノだ!」

「え…?な、何を言って…?」

「なあ、ウィン。お前の"幸せ"ってなんだ?」

 

霊使はウィンに優しく問いかける。

霊使の言うことの意味がウィンにはわからない。

自分にとっての幸せとは。

そんなのは、分からない。

分からなくなってしまった。

 

「そんなの…分からないよ!」

「…だろうなぁ。ウィンは優しすぎるからなぁ。」

 

だから、霊使(自分)に幸せになって欲しくて、消えようとした。

だが、それはお門違いと言うものだ。

 

「分からないのは、悪いことじゃあない。でも、分(・)か(・)ろ(・)う(・)と(・)し(・)な(・)い(・)のは馬鹿だな。」

「……」

「お前は自分の幸せを考えたことがあるか?」

「…ない。」

「そうだよなぁ。…じゃあ、お前が一番嬉しい事ってなんだ?」

 

霊使の言う幸せの意味はウィンにはまだ分からない。

でも、「何が嬉しいか」はすぐに答えることが出来た。

 

「私は霊使が───好きな人が幸せになってくれる事が、一番嬉しい。」

「……そう、か。なら──」

 

霊使は改めて手を差し出す。

 

「これからも俺の隣に居てくれ。…お前が傍に居てくれたら俺は嬉しい。」

「え…?」

 

ウィンは迷った。差し出された手を取る資格があるのかと。だが、体は、何一つ迷うことなく、霊使の手を取っていた。

 

「…あ。」

「…それがウィンの答えだな。」

 

霊使はウィンの腕を引っ張る。

ウィンはそのまま霊使の胸に飛び付く。

 

「…ねえ、霊使。私なんかでいいの?」

 

震える声で確かめる。

 

「ああ。───確かに俺達にはエリアもヒータも、アウスも居る。でも、俺の一番の相棒はウィンしか居ないんだ。だから、ウィンがいい。」

 

霊使の言葉一つ一つにウィンはまた、泣きそうになる。

 

「だから、帰ろう。」

 

ゆっくりと、大切に抱きしめられる。

そして、ウィンの感情の堰は崩壊した。

 

「う…うえぇええぇん!」

 

まるで幼子のように泣き続けるウィン。

霊使はそれを笑顔で見つめていた。

 

それは年不相応の姿ばかり見せてきたウィンなりの甘え方なのだから。

 

 

 

それから十分程、ウィンは泣き続けた。

すっかり涙を枯らしたウィンはまず、霊使から全力で距離を取る。そして苦笑しながら「格好悪いとこ見せちゃったね」と呟く。そしてウィンは自らの頬を叩くと笑顔で振り向いた。

 

「うん、もう、大丈夫。…でもね、後、ちょっとだけ話したいことがあるの。」

 

 

そしてウィンは霊使に思いっきり抱きついた。

 

「私ね、霊使の事、大好きだよ。」

 

霊使は一瞬息が止まった。まさか、ウィンが自分に好意を持っているとは思っていなかった。

しかし、ここで彼女の誠意に答えねば一人の男として失格だ。

 

(俺はウィンの事が好きだし、でも、言葉にするのは恥ずかしいし…!)

 

しかし、この男、恋愛に関してはもの凄く奥手だった。

だが、恋愛に奥手だからこそ、時にとんでもない間違いを犯す。

 

(ああ、くそ!言葉以外でウィンの気持ちに答えるにはこれしかねぇ!)

 

やけくそになった霊使は抱きついたウィンに───

 

口づけをした。

 

「ん~~ッ!?」

 

唇が触れる程度の軽いモノだったそれは今、この時に限り最高の働きをしてくれた。

 

「…積極的だね。」

「嫌だったか?」

「ううん。霊使の気持ちが伝わってきてくれて…嬉しかった。ありがと、霊使。」

 

二人はゆっくり歩きだす。

新たな関係に進んだ二人を祝福するように、月明かりが二人を照らしていた。




はい。
付き合います。
ようやくオリ主×ウィンが書けます。

ちなみにサブタイトルの続きは
「ずっと傍にいて欲しい」
です。

さて、今回までの予定だったアンケート、次回更新まで期間延長です。
という訳で
評価、感想、アンケート回答待っています

水樹君のデッキ強化

  • ネクロス
  • リチュア
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。