「相棒」   作:ダンちゃん1号

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過去なんかより今を

なんとかして、ウィンの消滅を防いだ霊使。

二人は数分前と違って親しげな雰囲気で並んで歩いていた。

 

「一応話しとこうか?過去の事。」

 

ウィンは唐突にそう切り出す。

 

「お前が辛くないのなら。」

 

ウィンにとってそれは一つのけじめだった。

互いの思いを聞いたことで、今までの関係に決着が着いて、二人の関係は新しいモノになった。

だが、過去の清算は済んではいない。

あんな事言った手前でありえないだろうが、嫌われてしまう可能性もある。

 

「うん。分かった。―――まず、霊使に関して。君は間違い無く四道の血を引いてるよ。だから、咲姫ちゃんが霊使の妹っていうのは正しいんだよね。で、あの時に言ってた霊使が私を使ってたってのも事実。言っちゃえば、あの時、自分の保身のために嘘ついたんだよね。――まあ、その説教は後で受けるとして。」

 

一旦ウィンは言葉を切った。

 

「―――そして霊使の記憶は事故じゃなくて人為的に失われたものなんだ。」

 

そしてウィンの口から語られる真実は余りにも理不尽なモノだった。

 

「霊使が昔使ってたデッキは"クリアウィング・ファスト・ドラゴン"と"憑依装着―ウィン()"を軸にしたデッキだった。いわゆる"風属性"デッキだね。簡単に言えば霊使は"勝てなくなった"から記憶の改ざんをやられた上で無理矢理追放されたんだよね。で、勝てなくなった原因は私が居なくなっちゃったから。今までは"デブリ・ドラゴン"から私を召喚して、それで"クリアウィング"につないでた訳で。」

「つまり、俺はレベル3のモンスターをウィンしか入れて無かったって事か。」

 

"クリアウィング・ファスト・ドラゴン"はレベル7のシンクロモンスターだ。つまり、レベル4のチューナーモンスターである"デブリ・ドラゴン"以外にもレベル3のモンスターが必要だった。

つまり、自分はそのレベル3モンスターをウィンしか入れていなかったと。

言ってしまえば酷い構成だ。

だが、否、それだからこそウィンの「居なくなった」という発言が腑に落ちない。

 

「じゃあ、なんで、ウィンは俺の前から消えたんだ?」

「…それは、――――圧力?『お前は此処に相応しくない。』って言われ続けて…ね。まあ、圧力のせいかな」

「…は?」

 

『お前は相応しくない。』、とはどういうことだろうか。

まさかとは思うが、そんなことするはずない。

そんなことは決闘者(デュエリスト)がやることではない。

しかし、ウィンが次にいう言葉は何となく分かっていた。

 

「あそこってパワーカード主義だから…私が霊使のエースであることを認めたく無かったんだよね。だから、追い出された。でも結局霊使は勝てなくなって───。」

「━━俺も、追い出された、と」

 

呆れる話だ。

どうやら、自分はこの決闘至上主義の世界で負け続けた事で追放された、と。

ウィンはそう言った。

 

「…でも、普通、決闘で勝てないからって追い出すか?」

「四道は決闘の名家なんだよ。」

「だから、勝てない奴は"四道"じゃない、と。」

 

ここまで来ると呆れを通り越して何も言葉が出てこない。

たっぷり時間をかけて霊使がなんとか紡いだ言葉は━━

 

「……………ばっかでぇ」

 

この一言だけだった。

確かに今の世の中は決闘至上主義だ。

基本的に決闘が強い者ほどより良いものが得られる。

だが、それでも。

世界チャンピオンだって負けるときはあるように、勝敗全部ひっくるめて決闘なのだ。

負けただけで追い出す、なんてそんな事は普通は即、ブタ箱行きになる愚行だ。

 

「…ごめんね。勝手に居なくなっちゃって。」

「気にするな。」

 

ウィンは改めて霊使に謝罪する。

そもそもあんな事を言われ続ければまともでは居られない。だから、霊使もその事に関しては、とやかく言うつもりはない。

 

「過去よりも今を生きよう。な、ウィン。」

「━━━うん。ありがと、霊使。」

 

だから、過去はもう気にしない。

今を生きていくために。

 

「……なんで消えてないの、ウィン…!」

 

だから、過去の因縁をここで断つ。

 

霊使の目の前には鬼のような形相の咲姫が立っていた。




はい。
アンケート締め切りです。

結果発表は次回の本編に変えさせて頂きます。

……本当にアレなの…?

水樹君のデッキ強化

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