「相棒」   作:ダンちゃん1号

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記憶と再会と繋いだ手

「…咲姫…?」

「……に、いさま、に…げて…」

 

キスキル達の犯行予告日まで、あと、三日。

そんな日に満身創痍となった咲姫が家に転がり込んできた。

 

「どうした!何があった!」

「四道の追っ手が兄さんを狙ってるんです…!」

「何だって!?」

 

咲姫からもたらされた凶報は、霊使を臨戦態勢にさせるには十分だった。

 

「……お前、止めようとして、返り討ちにされたな…。相当の手練れか…!」

 

そして、ボロボロにされた所を見るとどうやら決闘で負かされたらしい。

 

「…なあ、咲姫。なんで四道の追っ手を止めようと思った?」

「それは…」

 

一瞬、言い淀む咲姫。

しかし、すぐに気を取り直して霊使に対して──

 

「それは、貴方が死ぬのが嫌だから。」

 

力強い声で、そう言った。

 

「それが…お前の意志なんだな。」

「…はい!」

 

明らかな敵意が少しずつ濃くなっていく。

どうやら、追っ手の登場のようだ。

 

「…だから、兄さんはここから、逃げて────!」

 

疑問を挺する前に、咲姫に思いっきり突き飛ばされる。男がドアを蹴破るのと、霊使が庭に放り出されたにはほとんど同時だった。

 

 

「これはこれは。獲物のお二方が同じ場所に居たとはなぁ?まとめて処理出来て楽だぜ。」

「───空也兄さん…!」

「全く、家の末っ子どもは。まさか創星神様の大いなる意思に逆らうとは…。」

 

目の前にいる追っ手は四道の追っ手である四道空也。

咲姫と霊使よりも二歳年上である。

右手には拳銃を持ち、左手にはデュエルディスク。

しかもそのデュエルディスクは少し特殊な形をしていた。

 

そのデュエルディスクは()()()()()()()()()()()()()()としか言い様が無かった。

 

「退け。お前のような軟弱者に興味は無い。後で始末するのには変わり無いがな。」

「…本当に、始末するつもりなんですか…?家族なのに…!一緒に居たいとは───」

「思わんな。…これ以上俺の前に立ちはだかるなら容赦はしない。──例えお前がデッキを持って無かったとしても、だ。」

「───!」

 

そう。咲姫は"ヴァレット"デッキを失っていた。

それなのにも限らず、四道は咲姫を始末しに刺客を放った。

つまり、咲姫は四道に見捨てられたのだ。

 

「………ごめんなさい。」

「今頃謝罪か?まあ、もう、遅いがな。」

「……()()()()、ごめん。」

 

咲姫の頭に思い浮かぶのは音楽をこよなく愛していた天使。よく、人の事を"音"で例えていた、昔の「相棒」。

 

「……そう、だったんだ…。私も、兄さんと同じように記憶を弄られてたんだ…。兄さんが追い出された原因も、私がクーリアと離ればなれになったのも…」

 

捨てた───否。捨てさせられた過去のビジョンが頭の中に流れ込んでくる。その度に心の奥底で鳴る音が大きくなる。

 

「…ようやく、だよ。ようやく、取り戻せた。」

 

咲姫は右手を握りしめた。

そして、その手を空へと掲げた。

 

「私の声が、届いているなら───」

 

涙を流して、空へと叫ぶ。

 

「もう一度だけ応えて!クーリアァァアアァァッ!」

 

正に絶叫。

正しく魂の叫び。

 

自分を縛り付ける"何か"から解放されたような、奇妙な、しかし熱い何かが自分の中に生まれる感覚。

 

だが。

クーリアの気配は感じられなかった。

当然と言えば当然だろう。

裏切られたも同然の別れ方をして、"応えて"なんて、虫が良すぎる。

ここで、自分は多くの人間を陥れた報いを受けるのだと悟った。

 

「奇跡は…起きなかったようだな。」

「…。そう、だね。」

 

一歩一歩、死が近づいてくる。

結局、自分を取り戻せたとしても待っているのは地獄らしい。

それでも、咲姫は最期の瞬間まで空也を睨み付けると決めていた。

 

それが、咲姫に出来る最後の抵抗。

 

「ムカつく目だな…。そんなに死にたいと言うなら…あの世に送ってやるよ、今すぐにな。」

 

カチリ、と引き金に指が添えられる音がした。

 

「動くなよ。せめてもの情けだ。──確実に殺すなら、脳幹に二発。痛みを感じる前に、永遠にサヨナラだ。」

「全く…そんな、気遣いはいらないから。」

 

ゆっくりと銃口が咲姫の眉間に合わせられた。

 

「じゃあな。愚妹。」

「……さよなら、兄さん。」

「そうか」

 

襲い来る死の恐怖にとうとう堪えきれなくなり目を瞑る。

 

しかしいつまで経っても、銃声は響かなかった。

 

「全く…。無茶ばかりして…。」

 

そして、聞こえる呆れたような、誇らしげなような声。

 

「待たせちゃったわね。……咲姫。もう、目を開けても大丈夫。」

「え…。」

 

そこには、ついさっき、二度と出会えないと覚悟したかつての相棒が、クーリアが居た。目の前にはデッキを差し出すクーリア。

 

視界が滲む。

嗚咽が漏れる。

鼻がツンとする。

 

「遅いよ…馬鹿…!」

 

気付けば咲姫はデッキをひっ掴んでクーリアに抱きついていた。

 

「ようやく、思い出してくれたのね。」

「うん。」

 

クーリアの胸を涙と鼻水でびちょびちょにしながら咲姫は詫びた。

 

「ごめんね…!ごめんね…!クーリアぁ…!」

「謝りたいのはこっちの方よ。貴方が押し潰されて、過去を一度は投げたのは私達(ドレミコード)不甲斐ないせいだったから。」

 

クーリアは咲姫を一度離れるようにお願いする。

数年分の感情を爆発させた咲姫は恥ずかしそうにクーリアから距離を取った。そして、空也と相対する。

 

「色々と話したいこともあるけれど、まずは──邪魔者を退けないと!」

「ええ。行くわよ、マスター!」

 

空也は今にも飛び掛からんばかりに咲姫を睨む。

 

「上等だ…!掛かってこい!その精霊ともども廃品にしてやる…!」

 

「「決闘(デュエル)!」」




ミニキャラ紹介 四道咲姫
四道唯一の良心にして大のブラコン。
記憶が改竄されており、霊使が四道を追い出されたのはウィンのせいだと思っていたが、とうとう本当の記憶を取り戻す。それと同時にお嬢様の仮面を脱ぎ捨てた。
四道から離反する。
クーリアと最早百合の様相を呈し始めている
精霊は"ドドレミコード・クーリア"を始めとした"ドレミコード"。
好物は焼肉。
嫌いな物はチャラ男。
黒髪碧眼のモデル体型。

水樹君のデッキ強化

  • ネクロス
  • リチュア
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