空也は獰猛な笑みを浮かべ咲姫と対峙する。
「先攻は俺だ。…俺は手札から魔法カード"調律"発動!デッキから"シンクロン"モンスター――"ジャンク・シンクロン"を手札に。その後、デッキの上から一枚を墓地に送る。更に"ジャンク・コンバーター"の効果を発動!このカードと手札の"幻獣機オライオン"を墓地に送り、デッキから二枚目の"ジャンク・シンクロン"を手札に。この際、"オライオン"が墓地に送られたことにより、"幻獣機トークン"一体を特殊召喚する。さらに、"ジャンク・シンクロン"を通常召喚!」
「端から全力…!」
空也はガンガンデッキを回していく。
「ふん…"ジャンク・シンクロン"の効果発動!このカードが召喚に成功したとき、墓地のレベル2以下のモンスターを一体特殊召喚できる!来い!"ジャンク・コンバーター"!」
現れたのは二体のモンスター。
そして、片方はチューナーモンスターだ。
つまり、空也が扱う召喚法はただ一つ。
「シンクロ召喚…!」
「察しの通りだ!俺は、レベル2の"ジャンク・コンバーター"にレベル3の"ジャンク・シンクロン"をチューニング!シンクロ召喚!現れろ!レベル5"源竜星―ボウテンコウ"!さらに続けて"ジャンク・コンバーター"の効果発動!このカードが
再び現れるチューナーモンスター。心なしか顔に隈ができてきたように思えてならない。
「更に、俺は"源竜星―ボウテンコウ"と"幻獣機トークン"の二体でリンク召喚!現れろ!"落消しのパズロミノ"!更に"ボウテンコウ"は表側表示でフィールドから離れた際にデッキから"竜星"モンスター一体を特殊召喚できる…。来い!"水竜星―ビシキ"!」
再び、チューナーモンスターと非チューナーモンスターが空也のフィールドに揃う。
そして、"パズロミノ"はレベルを1~8の任意の数値に変えることができたモンスターのはずだ。
「まさか―――!」
「そのまさかだよ!俺はまず墓地に居る"ボルト・ヘッジホッグ"の効果を発動!チューナーモンスターが居る時、このカードは墓地から特殊召喚できる!」
「それは…最初の"調律"で墓地に送ったカード…!?」
「…どうやら何が起こるか理解したようだな!俺はレベル2の"水竜星―ビシキ"にレベル3"ジャンク・シンクロン"をチューニング!―――シンクロ召喚!レベル5"ジャンク・ウォリアー"!」
ジャンク・ウォリアー。
マフラーをたなびかせ空へと跳躍する姿は正に戦士と呼ぶに相応しい。
そして、その効果はまさに"ヒーロー"そのものの効果だった。
「"ジャンク・ウォリアー"の効果にチェーンして、"落消しのパズロミノ"の効果発動!このカードのリンク先にモンスターが召喚、特殊召喚されたとき、そのカードのレベルを1~8の任意の数値とする。俺は"ジャンク・ウォリアー"のレベルを2に変更する!そして、"ジャンク・ウォリアー"の効果発動!このカードの攻撃力は自分フィールド上のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分上昇する。"パワー・オブ・フェローズ"!」
ジャンク・ウォリアー ATK2300→5400
「…攻撃力…5400…!?」
「お前のデッキには、ドレミコードにはこのカードの攻撃力を超える手段がないことを俺は知っている。…諦めろ。俺は、これで、ターンエンド」
空也 LP8000
フィールド ジャンク・ウォリアー(ATK5400)
咲姫が勝つにはまず、あの攻撃力5400のジャンク・ウォリアーをどうにかして破壊しなくてはならない。
普段なら諦めることだろう。
"青眼の究極龍"ですらその攻撃力は4500。
つまり、攻撃力でジャンク・ウォリアーを破壊しようというのが無茶な話だ。
ならば
「…私のターン!ドロー!…私は"覇王門零"と"ドドレミコード・キューティア"で
咲姫のデッキはドレミコードというP召喚―――Pスケールをセッティングし、その間のレベルのモンスターを手札、デッキ、EXデッキから特殊召喚できる。ただし、EXデッキからは表側表示のモンスターしか特殊召喚できず、さらに、EXデッキから特殊召喚する場合はEXモンスターゾーンにしか特殊召喚できないという制約があるが、爆発的な展開ができる―――という召喚法を軸としたデッキだ。
「更に私は手札からフィールド魔法"ドレミコード・ハルモニア"を発動!そして、"ハルモニア"の効果により"キューティア"のPスケールをこのカードのレベル分上昇させる!」
勿論、咲姫のターンはまだ終わらない。
「行くよ、皆!現れて!旋律描くサーキット!」
空也がリンク召喚を行ったように、咲姫もリンク召喚で対抗する。
「アローヘッド確認!召喚条件はPモンスター二体!私は"レドレミコード・ドリーミア"と"ファドレミコード・ファンシア"の二体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!天上の音楽の始まりはここに!リンク召喚!来て!"グランドレミコード・ミューゼシア"!」
今までの"ドレミコード"達は皆指揮棒を持っていた。しかし、今、彼女は指揮棒を持っていない。
その代わり、と言ってはなんだが彼女はグランドピアノを傍らに置いていた。
「…クーリアが飛び出したのはこういうことですか…。咲姫。自分を取り戻してくれたんですね。」
「うん。だから、ミューゼシア!もう一度力を貸してくれるよね…?」
「勿論!さあ、行きましょう?」
ミューゼシアは笑顔で咲姫に語り掛ける。
咲姫はもう自分が大丈夫であることを伝えるとミューゼシアは柔らかな笑みを浮かべた。
咲姫もその笑顔に笑顔で返す。
そして、咲姫は空也に向き直ると、初めて不敵な笑みを浮かべた。
「"ハルモニア"の第二の効果発動!EXデッキから表側表示の"シドレミコード・ビューティア"を手札に。」
「…どうするつもりだ?ドレミコードモンスターでは…」
「…効果破壊耐性が無い時点で「破壊してください」って言ってるようなものでしょ?」
「何?」
「貴方はドレミコードの…私の
手を空に掲げる。
「描け、旋律のアーク!揺れなさい!音階のペンデュラム!」
覇王門零が「0」の文字を、キューティアが「9」の文字を映し出す。
「天上の音楽の担い手たちよ!今ここに集え!手札から"ドドレミコード・クーリア"と"シドレミコード・ビューティア"の二体を!EXデッキから"レドレミコード・ドレーミア"と"ファドレミコード・ファンシア"をP召喚!」
二つの数字の間を振り子が揺れる。
振り子の軌跡は光り輝き
そして、四人の"ドレミコード"達が現れる。
青い髪を後ろに送り、ハープを抱えた妖精を従えた女性"ビューティア"。
金髪を左右で団子にしてまとめ、フルートを持つ妖精を従える少女"ドリーミア"。
金髪をポニーテールにし、アコーディオンをかき鳴らそうとする妖精を従えた"ファンシア"。
そして―――かつてのそして今からの、これからの自分の相棒。
綺麗な桜色の髪をロングにし、悠々と指揮棒を構え、傍らにバイオリンを持った妖精を従える、ドレミコードの現リーダー"クーリア"。
全員が咲姫の下に帰還できたことを喜んでいる。
咲姫には魔力を通して伝わってくるのだ。
「"ミューゼシア"の効果発動!自分が"ドレミコード"Pモンスターの召喚に成功した場合、その内一体のPスケールと同じレベルを持つ"ドレミコード"Pミンスターを手札に加える!私が選ぶのは"ファンシア"!」
「ファンシアのPスケールは5…。レベル5の"ドレミコード"を手札に加えるということか。」
「その通り!私は"ソドレミコード・グレーシア"を手札に!」
ミューゼシアは杖を一振り。
それによって、デッキが光で包まれるとデッキから一枚飛び出した。
そのカードはもちろん"ソドレミコード・グレーシア"。
―――と言っても恐らく彼女に出番はないのだろうが。
何故なら―――
「"ドレミコード・ハルモニア"の第三の効果発動!自分フィールドの"ドレミコード"PモンスターカードのPスケールが奇数三種以上、もしくは偶数三種以上の時、相手フィールドのカード一枚を選んで破壊する!もちろん私が破壊するのは攻撃力5400の"ジャンク・ウォリアー"!」
「…おい。お前は何を言っている!お前のフィールドには奇数も偶数も二体しか―――!」
「"ハルモニア"が指定するのはあくまで"ドレミコード"Pモンスターカード!この効果は自分のPゾーンに置かれているカードを参照できる!」
「…!ならスケールが9となったキューティアを含めると…奇数のスケールのモンスターが三体…!」
「そういう事!不協和音を味わいなさい!"ディスソネス・サウンド"!」
フィールドに居る各ドレミコードそっくりの妖精たちが気ままに演奏を始める。
その音は不協和音となり、ジャンク・ウォリアーの機能を狂わせる。
そして、ジャンク・ウォリアーは機能停止して爆発四散。
余りの奇怪な音に空也も使用者本人である咲姫でさえ耳を塞ぐ。
「全く…落ち着きなさい!」
「―――!」
最終的に不協和音は各ドレミコードにより抑え込むことができた。
小さな妖精が不服そうに辺りを飛び回って抗議するが、あの演奏を続けられたら決闘どころの騒ぎではない。
しかし、耳の一時的な麻痺と引き換えに攻撃力5400のジャンク・ウォリアーはフィールドから消え失せ、空也を守るモンスターはもういない。
「…バカな。」
「だから言ったでしょ。"舐めすぎ"だって!バトル!」
"ミューゼシア"、"ドリーミア"、"ファンシア"、"ビューティア"の合計攻撃力は6600。
全てのモンスターの攻撃が空也に吸い込まれるよう直撃する。
「ぐぅっ…!」
空也 LP8000→1400
今の空也のライフポイントはクーリアの攻撃力を下回っている。
つまりは―――
「これで、終わりッ!"ドドレミコード・クーリア"でダイレクトアタック!"
この一撃で終わりだ。
この決闘を終幕へと導くようにクーリアは指揮棒を強く振るう。
それに合わせて、クーリアが従える妖精が放つ音色が大きくなる。
そして、その音楽に合わせてクーリアの頭上には大きな竜巻が。
しかし、その音楽に聞きほれているのか空也は頭上を見ようともしない。
「御鑑賞、ありがとうございました。」
クーリアがそう言って指揮棒を止めるのと、竜巻が空也に直撃するのは同時だった。
「…ッ!!!」
空也 LP1400→0
霊使が家に帰った時にみたのは家が竜巻に飲み込まれ、吹き飛ぶ瞬間だった。
そして、感じた膨大な力。
まさか、咲姫が敗れたのか―――。
嫌な予感がした霊使が竜巻が消えた後、すぐに家のあった土地に突入した。
そこで霊使が見たのは―――
「…アカン。」
「…ど、どうしよう…」
「……すこし、力を入れすぎちゃったかしら…。」
「クーリア、張り切りすぎですよ…」
素晴らしいorzを決める六人の女性たちと、伸びている男だった。
「ど、どういう事なの…?」
霊使達六人は無残に破壊された我が家とその跡地で繰り広げられるカオスな光景に疑問を抱かずにはいられず、つい、元凶であろう人物―――咲姫に問い詰めた。
「今来た俺にもわかるように簡潔に今の状況を説明してくれないかなぁ?」
それは、もう、獰猛な笑みを浮かべて。
「つまり、記憶を取り戻して?四道の追手ともう一回決闘して?そしてそこのクーリアが竜巻発生させて家を消し飛ばしたと?」
「…うん。」
「…ええ。間違いなくやったのは私よ…」
「…まるで意味が分からんぞ!」
例の獰猛な笑みを浮かべた霊使の追及によって事の次第を何一つ余すことなく洗いざらい話した咲姫。
その話を聞いて、余計に頭が混乱した。
それでも、彼女たちに声を掛けるとしたらただ一つ。
「…命あっての物種だと思う。…だから、良かったな。二人とも。」
心からの祝福だ。
四道の所為で引きはがされた二人がこうしてまた、再会できたのだから。
だが。
それはそれ、これはこれだ。
「って、俺達、今日、何処で寝りゃいいの?」
『…あ』
ドレミコードと霊使い、十数人分の声が重なる。
「私たちは霊体化すればいいけど…霊使が…ね。」
「あっちゃー。とうとう野宿?」
「おい、エリア。おま、風呂とかどうすんだよ!?」
わちゃわちゃ騒ぎ始める霊使達一行。
「……家はすぐに御用意しますね。」
「貴女は──?」
柔らかな笑みを浮かべた女性が霊使に優しく語りかけてくる。
「……あ、自己紹介がまだでしたね。私はミューゼシア。ドレミコードの…師匠みたいな者です。」
「で、俺はどうすればいい?どうやって過ごせば良い?」」
「…とりあえず今日は精霊界にある、私達の拠点においで下さい。その間に
そう言ってミューゼシアはクーリアと咲姫の首根っこを掴むと──
「私は説教がありますので。」
それはもう凄い笑みで笑っていた。
「…兄さん、助けて…。ミューゼシアの目の奥が笑ってない…。」
「…咲姫、あきらめましょう…」
「い…嫌だぁあァアァ!」
「それでは。ごきげんよう、霊使いのマスターさん。」
「あー……」
「あー……」
二人は助けを求めるように手を伸ばす。
しかしその手は空しく空を切る。
「……さて、逃げるか。」
霊使は人が笑うときは云々という話を思い出して真っ先に取った行動はミューゼシアからの逃走だった。
──時は空也と咲姫の決闘の決着時まで遡る。
「一体なんだったんだ…あの竜巻…?」
黒髪の少年が困惑したように声を挙げる。
「ほんと、なんだったんだろうねー?」
白い髪の少女も困惑したような声を挙げた。
「先輩たち大丈夫かなー?」
「さあね。でも少なくとも俺は大丈夫だとは思ってる。」
「うん、そうだねー。お姉ちゃんもそう思うなー。」
「一体いつから君は俺の姉になったんだ!」
甘やかされる事になれていない少年は弟扱いされ、少し照れていた。
少年は未だに頭を撫で続ける少女の手を振り払うと、照れ隠しのように歩き始めた。
「全く…!ライナはいつもそうだ…!」
「でも、いくら背伸びしたってダルクは可愛いんだもん、甘やかしたくなっちゃうの。」
「男に可愛いってなんだよ!?」
少年と少女───ダルクとライナは軽く口喧嘩しながらも歩を進める。
「先輩達のマスターってどんなひとかなー?」
「さあね。いいから行くよ、ライナ。目的地は、もうそこだ。」
二人は未だに気付いていない。
二人の目的地は先の竜巻で消し飛んだことに。
「遅ればせながら光と闇が伺いますよー!」
「…何言ってるんだ…?」
新たな出会いは、すぐそこにある。
という訳で咲姫のデッキの御披露目回でした。
咲姫のデッキはドレミコード寄り…というかほぼドレミコードな【覇王ドレミコード】。
因みに覇王要素は"覇王眷竜ダークヴルム"と"覇王門零"だけ。
因みに今回からアンケートが始まります。
回答の方をお願いします。
水樹君のデッキ強化
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