「相棒」   作:ダンちゃん1号

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怪盗と語らう

その日、南条町立博物館周辺は立ち入り禁止となった。

 

「…今回こそ捕らえてみせますよ。」

 

霊使にとってのリベンジと、疑問を解消する日でもある。

 

「…ふぅ。行ってくる。」

「ああ、行ってこい。…今日は、勝てよ?」

「…もちろん。」

 

全員が持ち場に付く。克喜と霊使は軽く言葉を交わすとお互いの持ち場所へと向かった。

 

 

 

霊使は予想される怪盗―――キスキルとリィラの侵入経路にて待ち構える。

なんてことはない。この前と同じ状況であるだけだ。

 

「…来るか」

「…うん。」

 

霊使とウィン達霊使いは強い気配を感じ始めていた。

以前、キスキル達と相対したときと同じ気配がただよう。

 

「…やっぱり、か。」

「…また、君なのね…」

 

二人は再び霊使と対峙することになった。

お互いに譲れないものがあるがために。

 

「…一つ聞きたい。なんでわざわざ予告なんてした?二人の手腕なら、誰にもバレる事なく盗む事だって可能だろうに…。」

 

しかし、霊使には引っ掛かっていたことがあった。

それが予告だ。

何故わざわざ、止められる可能性を上げるのだろうか。

 

「…それは。」

「…俺が思うに…止めて欲しかったんだろ?」

「…ッ…!」

 

言い淀む二人に霊使は己の予想をぶつけた。

そして、二人は図星を突かれたような顔をする。

 

「……霊使。…何企んでるの?精神攻撃?」

「人聞きの悪い事を言うな、ウィン。まあ、そう考えている根拠はあるけどな。」

「へ…なら聞かせて貰おうじゃないか。」

 

霊使は根拠を述べると言った。

しかし、キスキルはあくまでも飄々とした態度を崩さない。

 

「いいとも。…一つ。これはさっき言ったがわざわざ今まで送って来なかった予告状を送って来たことだ。…これだけじゃ、根拠として弱いが…二つ。あの時の忠告だ。少なくともそれは"危険さ"を教えるには十分。こっそり危険な事に関わっていると伝えたかったんだろう?」

 

一本、二本と霊使は指を立てる。

 

「そして、三つ目。俺には…俺達にはどうもお前達が悪人じゃないように見えてならない。」

「…いきなり理由が感情論になってるのだけど。」

「悪人があんな楽しく視聴できる動画作るか?」

「……動画、見てたんかい。」

「ファンになった。」

 

それ今言う?とウィンは苦笑した。

一方、それを聞いたキスキル達は頭を抱えてウンウン唸る。

その様子を見て、霊使は苦笑しながら理由を付け加える。

 

「四つ目。そもそもの話、悪人なら俺との会話にこんなに長い時間はかけないでしょ?」

「……嵌めた?」

「YESかNOで答えれば、YESだな。」

 

さらりと嵌めた事を白状する霊使。

悪人なら撃ち殺すなり何なりで既に霊使との会話を切り上げているはずだ。

そうしないし、そういう気配もないと言うことは、二人は少なくとも悪人ではない。

だからこそ気になるのだ。

 

そこまでして、悪に手を貸す理由が。

 

「………はぁ、ワタシ達の負けだ。…君の言うとおり、この盗みはワタシ達の本心…というか本懐じゃあない。」

「でも、やらなきゃいけないの。だから…そこを退いて。」

 

リィラから放たれるごく小さな殺気。

 

「断る。俺がまだ納得してない。」

「…他に何か?」

「二人が望まない盗みをする理由だ。そこまでするには、何か理由が───。」

「…うるさいッ…!」

 

それは怒気と殺気がない交ぜになった、複雑な、そしてやるせない感情だった。

 

「大事な()()()()()()()()()()()()()()この気持ちが君に分かる!?」

「…ッ!リィラ!一旦落ち着け―――」

 

激高したリィラがとうとう霊使に掴みかかった。

 

「分からない…でも、なんでここに居るかは理解できた。」

「…なら、そこを退いてよ…!」

「それも…無理だな。」

 

リィラは霊使の胸倉を掴んだまま離さない。

 

「俺は二人の目的を阻むためにここに居る。」

「…ならワタシ達のマスターはどうなるんだよ!」

「…あの時、二人が言ったことが真実なら!ウィンは!ダルクは!俺の大切な人たちはどうなるんだよ!?黙って見過ごせないのはこっちも同じだ!だから、二人に殺される覚悟をもって俺はここに来た!」

「……そこまで、いうなら!」

 

怒りのままにリィラは霊使を床に押し倒した。

そのまま首に手を掛け、力を籠める。まるで、肉親の仇でも見るような目で、リィラは霊使を睨んでいた。

 

「やりすぎだ!リィラ!」

 

慌ててキスキルがリィラを止めに入る。

しかし、それをウィンが静止した。

今は二人で会話させるべきだと。

 

「…誰かのために、感情的に……なれるんだな…」

「…なんで、なんで、通してくれないの…?貴方たちには恩を仇で返すことになって、ずっと苦悩してた…!」

「…やっぱ、二人は…悪人じゃないんだな…。最初の時点で首を圧し折って殺すこともできたろうにさ…」

「…うるさい!君は…大切な人を人質に取られたこともないのに…!なんでそんな分かったような口を…!」

「似たような奴を知ってるからさ…。そいつは、自分が悪になってでも…そいつの大切なモンを守ろうとしてた…。例え、それが、自分にとって…大切な人に、嫌われる、ことだったとしても…」

「…」

 

リィラは分かっていたのだ。どうやっても霊使達と戦うことは避けられないのだと。

それでも、納得が出来なかった。

 

「…そう、ね。…自分で決めたことだもの。…君に当たるなんてどうかしていたわ…」

「納得はできたか?」

「ええ。」

「なら、心置きなく俺達とやりあえるな。…悪かったよ、追い詰めるような真似をして。」

「その鬱憤はあとでたっぷりと払わさせてもらうからね?」

 

そういうとリィラはキスキルの下に戻る。

霊使はウィンにリィラを問い詰めたことを咎められながらも、デュエルディスクを装着していた。

 

「互いに"戦う"覚悟はできたみたいだね…。今日は手加減なしだよ、二人とも!」

「ああ。だが、楽しもう、二人とも。」

「全く霊使は…。そういう所が好きなところなんだけどさ!」

「…なら、始めましょう!互いに大切なモノを賭けた、闇の決闘を!」

 

ゆっくりと相対する二人。

傍にいるのは、互いを支え続けてきた相棒。

 

「さあ、ショウタイムだ!」

「皆…行くぞ!」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

闇の決闘が今、再び始まりの時を迎えた。

 




リィラは霊使達と戦うことはしたくない、と思いながらも大切な人を救いたいという二兎追う者は一兎をも得ずっていう状態だったんですよ。
で、霊使が煽って霊使と戦いたくないって気持ちを何処かへやりました。

さて、アンケートの結果ですが、憑依装着に口上が欲しいという意見が多かったために口上を入れます。
勿論、各回、それぞれが初めて登場したときだけですので、口上だらけになるということは避けられるとおもいます。

その内、リンク霊使いも出ますのでそっちも考えておきますね。

水樹君のデッキ強化

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