「相棒」   作:ダンちゃん1号

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新たな力と決着と

「現れろ…!風霊導くサーキット!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

「まさか…リンクマーカーを産み出した…!?」

 

しかし、そのサーキットは所々ノイズが入っており"完璧なサーキット"とは呼べないものだった。

しかし───

 

「行くぜ、ウィン!」

「うん!行くよ、霊使!」

 

霊使とウィンは互いの手を取り合うとその不完全なサーキットに突入した。

そして、一度閉じるサーキット。

 

「まさか───!」

 

キスキル達はこの日、本当の意味での奇跡を目撃する事になる。

 

 

 

リンクマーカーに突入した途端、霊使達を襲ったのは目が眩むような極光だった。

 

「くっ…!」

 

二人は急いで目を瞑る。

そして極光が収まった時に二人の目の前に広がっていた光景は何もない真っ白な空間だった。

そして二人は静かに向き合う。

 

「ここは―――」

「私と霊使しか入れない、特別な場所だよ。」

 

ウィンは嬉しそうに、でも悲しそうにに微笑んだ。

 

「…ここにはね。私達と私達が信頼する人しか入れない新たな力を得るための契約場」

「契約場…?」

「そう。これから私達が得ることになる、人と精霊が繋いだ絆の最奥。その名も"ディープ・リンク・マインド"。私達精霊の新たな力を引き出す…文字通りの意味で二人の心が一つになった時にたどり着ける境地のことだよ。」

 

ウィンはこの場所の説明をする

ウィンの説明によると、ここは精霊とその契約者―――マスターの精神の奥底に眠る真の力を引き出す術を授ける場所らしい。

 

「…どれ位かかるんだろうか?」

「あっちからだとこっちは観測できないからねぇ…あっちからなら一瞬だよ。」

 

そういうとウィンは無言で歩き始める。どうやらついて来いという事らしい。

しばらく歩くと石のように固まったリンクマーカーが現れた。ウィンはそこで振り返ると真剣な面持ちになった。

そして、ウィンは、「大事な話」と称して、その境地に至った者へのデメリットを語った。

 

「…霊使。この力はとても大きい。でも…私から力が逆流するっていうデメリットもあるんだ。」

「力の逆流…?」

「うん、そう。力の逆流。…これが起きてる間は霊使の体にどんどん私の力がたまっちゃうの。文字通りで私と繋がるから…。」

 

ウィンが、今から起こることを一つ一つ説明していく。

 

「…力が溜まるとどうなるんだ?」

「…よくて、精霊化…。悪ければ、霊使の体が耐え切れずに消滅しちゃう。」

「…消滅、か、人外になるか…か。」

「うん。少なくとも残留した私の力は霊使に身体能力の上昇とかをもたらすけれど…、それ以上に死ねなくなるのはつらいでしょ?」

「…俺はウィンと別れる方が辛いけどな…。」

 

ウィンが言うには良くて人外、悪ければ消滅してしまうという余りにも重い誓約。

それでもなお、ウィンの傍に居たいという霊使。

だが、霊使は笑った。

 

「上等だ。耐えきってやるさ。」

「そういうと思った。でも……」

「俺がお前に嘘ついたことがあったか?」

「…ないね。冗談はよく言ってたけどさ。」

 

ウィンは呆れたように笑うと手を差し出す。

 

「行こっ!決着を付けに!」

「ああ。行こう!」

 

本来は何もない白い空間に手をかざすとリンクマーカーが現れた。それと同時に石のようなリンクマーカーが崩れ去る。

霊使はそのマーカーに向かって声高に叫ぶ。

 

「さあ、行くぜ!アローヘッド確認!召喚条件は風属性を含むモンスター二体!俺は"憑依装着―ウィン"と"ランリュウ"をリンクマーカーにセット!」

「サーキットコンバイン!行って!霊使!!」

 

再び現れたリンクマーカーにウィンとランリュウがその力を注ぎこむ。

赤く光ったのは、右下と左下の二か所。

そして、再びつながる現世と白い空間。

霊使はそこから飛び出しながらEXデッキから何も書かれていない青いカードを取り出す。

そのカードには新たなる力を得たウィンが描かれていた。

 

「風霊従えしものよ、今、新たな友と共に地平へ翔る風と成れ!ディープ・リンク・マインド!来い!LINK-2!"蒼翠の風霊使いウィン"!」

「何だってぇ!?」

 

ウィンは新たな使い魔を連れてその場に降り立った。

ウィンのリンクモンスター化。これにはさすがのキスキルとリィラも驚愕を隠せない。

 

「まさか…リンクモンスターとしての力を手に入れるなんてね…!」

「そうさ、これからは、二人で一人!」

「私達は全てを分かち合う!そう…私が!私たちが!」

「「決闘者(デュエリスト)だ!」」

 

今まで通常の効果モンスターだったウィンはリンクモンスターとして、新たな力を手に入れた。

互いへの信頼はまた一つ深くなり、二人の力は更に昇華される。

今では互いの全てを知っていると言っても過言ではないだろう。

 

「でも、攻撃力は1850…!」

 

だが、そうなのだ。

いくらリンクの力を得たところで、大本の攻撃力は何一つ変わっては居ない。

更にいうなら"憑依解放"の対象となる"憑依装着"の名が外れてしまっている。

つまり、これから発動するであろう、"解放"の効果は受け付けない。

 

「…覚醒の効果で一枚ドロー。俺は、"三賢者の書"の効果で手札の"憑依装着―ヒータ"を特殊召喚!更に手札から"憑依装着―アウス"を通常召喚!」

「…六属性が…全部そろった…!」

「まだだ!墓地の"連携"の効果発動!墓地のこのカードを除外して"憑依解放"を表側表示で自分フィールド上に置く!」

 

これで盤面は整った。

 

「バトルだ!"蒼翠の風霊使いウィン"で"Evil★Twinsキスキル・リィラ"を攻撃!」

「……自爆特攻!?」

 

霊使はウィンでキスキル・リィラに攻撃。

攻撃力は3650でキスキル達には遠く及ば無い。

 

「行くぜ!ウィン!」

「うん!私達の全力を叩き込む!」

 

霊使とウィンは互いの手を取ると、握っていないてを高々と天に突き上げる。

二人の間には竜巻をはるかに超えたレベルの暴風が渦巻いていた。

 

「行くよ!キスキル!」

「勿論!そう簡単には負けてやれないからね!」

 

負けじと二人も跳躍。

電撃を纏う無数のワイヤーが一つの槍へと紡がれていく。

 

「打ち砕く!」

「……吹き飛ばしてやる!これが俺達の全身全霊!喰らえ!"蒼翠の烈風爆裂波(ストームストリーム)"!」

 

全てを吹き飛ばす烈風と全てを穿ち貫く槍とがぶつかり合う。

 

「「ああぁぁぁあああぁぁぁああ!」」

「「おおおぉぉおおぉおおおぉお!」」

 

互いの全力は中央で拮抗し、しかし、キスキル達の槍が少しずつ風を掻き分けて押し進む。

 

「「届けぇえぇぇぇええぇぇぇええ!」」

 

キスキル達の絶叫と共に槍がウィン達の喉元まで迫る。

 

「「負けるかぁああぁぁぁああぁぁ!」」

 

負けじとウィン達も絶叫。

そして、限界を迎えたのは────

 

 

「…届かなかったね…」

 

キスキル達のワイヤー──つまりはキスキル・リィラだった。

 

「"蒼翠の風霊使いウィン"は…"憑依装着"モンスターとしても扱う。だから相手モンスターと戦闘するとき攻撃力は800上昇したんだ。これで攻撃力は4450。……どうする?サレンダーするか?」

「もう…勝負は見えてるしね…この勝負…ワタシ達の負けだよ…」

 

ゆっくりと両手を上げ降参の意を示すキスキル。

リベンジマッチの最後は余りにも静かで、呆気ないものだった。

結果は先を悟ったキスキルのサレンダー負け。

しかしながら五体のモンスターを前に罠も、モンスターも居ないのならば"霊使が止めを刺さなかった"だけで完全勝利と言えるだろう。

 

「いやー…負けたねぇ。負けちゃったからねぇ。」

「そうね。負けたからしょうがないわね。…今から貴方達に協力するわ。」

「手のひらを返すの早すぎィ!」

「でも……」

 

そう言うとキスキルは一目を伏せた。

 

「…一つだけお願いがあるの。」

 

そう、リィラが切り出す。それは重々しく、残酷な現実だった。

 

「私達が知る全てを貴方に話すわ。だから…どうかマスターを《呪いから》救って…!」

「呪い…?」

「うん。感じるの。マスターから別のおぞましい何かを。…多分呪いの類いだと思う。」

「……なるほど。…でも、呪いは俺達じゃ分からない。」

「そんな…!?」

 

キスキル達は全てを諦めたかのような、絶望しきったような顔色になる。

 

「…そんな顔するなって。呪いには詳しい知り合い(エリアル)が居るから。ちょっと掛け合ってみるよ。」

「…!そうかい!ありがとう。」

 

そう言うとその場に倒れ込むキスキル。

 

「あ゛ー…つっかれたぁ…」

 

その小さな声は微かにリィラの耳に届くばかり。

こうして、キスキル達による盗難事件は幕を下ろすのだった。

 

 

 

 

 

「負けやがったよ。なら処理だな。」

「うわあッ!?」

 

しかし、何かの終わりは何かの始まりを告げる事になる。霊使の後ろから飛んできた何かがキスキル達に対して攻撃を仕掛ける。

それは、黒い何かだった。

 

「なっ…!」

 

振り返ればそこには漆黒に染められた竜を従えた一人の男が立っていた。その方向───即ち一階には他の仲間達がいたはずだ。

 

「お前…皆に何した…?」

「なにしたって…決闘して少し寝てもらってるだけだ。……別に始末しても良かったんだが、如何せん父上に"事を荒立てるな"って命令されててね。」

 

恐ろしい事を平然と言ってのける目の前の男にえもいわれぬ恐怖を感じ、構える霊使達四人。

 

「……俺の仕事はそこの二人の始末だ。そこを退いてくれないかな?出来損ないの末弟よ。」

 

キスキル達を庇うように霊使は男の前に立つ。

 

「…悪いがこの二人の帰りを待つマスターが居るんだ。だからこの先には行かせない!」

「じゃあここで死ぬしかないなぁ!俺は警告したからな!殺れぇ!"ヴェルズ・バハムート"ォ!」

 

一瞬だった。一瞬で黒い靄を内側に溜め込んだ何かが霊使の全身に突き刺さる。

即死しないよう、心臓や頭部、血管が多く集まる場所を避け一瞬でも長く苦しむような箇所だけに氷は打ち込まれていた。

 

「……え。」

「う、そ…。」

「……そんな…いや…!」

 

キスキル達はただ呆然とし、ウィンは目の前で最愛の人が刺し貫かれ、動きを止めた。

 

「な…にを!」

「"邪魔をしたから"仕方なく殺しただけさぁ!滑稽だよなぁ!?他人を庇って無駄に命を散らすなんてなぁ!」

 

そして、男は心底愉快そうに笑う。

 

「傑作!傑作ゥ!馬鹿じゃねぇのか!?どうせ目撃者であるお前は消されるってのにさぁ!いやー、本当に腹の底から笑いが込み上げて来るぜ!ざまぁねぇな!ヒャーハハハァ!」

 

目の前で一つの命が消えようとしているのに、男はそれを嘲笑う。

 

「ハハハハハ…はぁ…。あぁ…たっぷり笑わせて貰ったよ。さて、次は誰に…」

 

四人がいた場所に視線を向ける男。

しかし、そこには既に四人の姿はない。

 

「逃げやがったってぇ!?ふざけんなよぉ!もっと俺に気持ちよく殺させろよぉ!…次会ったらぜってぇぶっ殺してやるからなぁ!」

 

男はそう言うと姿を消した。

 

 

 

 

 

「霊使!しっかりしてよ!」

「……ウィン…。悪い…な。」

「もう、喋らなくていいから!今は黙って私の力を使って!」

「…それじゃ、ウィンが消えるだろ…?…だから、俺が…」

 

キスキル達は一瞬の隙を付き、霊使を連れての逃走に成功していた。

 

「こんな終わり方で良いのかい!?」

「誰かを…守って…逝けるなら……本望…だ。それが…ウィンなら、尚更、だ…。」

「ああもう!そういうことを言ってるんじゃないの!君はまだ生きて居たいんだろう!?」

 

しっかりしろとキスキルは言う。

 

しかし、霊使はもう、その声に答えることは無かった。

 

「霊使ィィイイィィ!」

 

ウィンの慟哭が夜空に響き渡った。

 

 





ウィンの覚醒回でした。

水樹君のデッキ強化

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